百合となでしこ [2013年07月12日(Fri)]
今月5日に蕾の写真を掲載したヤマユリが咲き始めました。 オニユリも咲いています(花はコオニユリに似るが葉腋に珠芽が出来る)。 この時期、カワラナデシコの大部分は一旦咲き終わっていますが、一部の株で未だ花が見られます。 万葉歌に、大伴家持が百合となでしこを詠んだ歌があります(庭の中の花の歌一種と短歌)。 【歌】 大君の 遠の朝廷と 任きたまふ 官のまにま み雪降る 越に下り来 あらたまの 年の五年 しきたへの 手枕まかず 紐解かず 丸寝をすれば いぶせみと 心なぐさに なでしこを やどに蒔き生ほし 夏の野の さ百合引き植ゑて 咲く花を い出見るごとに なでしこが その花妻に さ百合花 ゆりも逢はむと 慰むる 心しなくは 天離る 鄙に一日も あるべくもあれや (Q-4113) 【口語訳】 大君の 遠い公吏として 遣わされた 職務に従い 雪の降る 越中に下って来 (あらたまの) 五年の任期間 (しきたへの) 妻の手枕もせず 紐も解かず 丸寝をすると 辛気くさいので 気晴らしに なでしこの種を 庭に蒔き生やし 夏の野の 百合を引き植えて 咲く花を 出て見るたびに なでしこのような 花妻の大嬢に ゆりの花の ゆりー後には逢えようと 気を紛らす ことでもなければ (天離る) 鄙に一日でも いられるものか 左注には閏五月二十六日とあり太陽暦の7月15日頃に詠まれたようです。家持が赴任先の越中で都に残した妻(坂上大嬢)を思い、独り身の寂しさを慰めるためになでしこの種を蒔き、百合を移し植えた、と詠まれています。 なお、「さ百合花 ゆりも逢はむと」のさ百合花は、同音でゆり(後の意)にかかる枕詞。 反歌二首のうち、なでしこを詠んだ歌は、一昨年の記事に載せています。 【歌】 なでしこの 花見るごとに 娘子らが 笑まひのにほひ 思ほゆるかも(Q-4114) ↓ URL https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/109 |
Posted by
katakago
at 09:40