アサザ [2011年06月04日(Sat)]
アサザは、みつがしわ科の多年生浮葉植物です。沼地に生じ、地下茎から葉を出し水面に浮かべ、夏に黄色の花を咲かせます。これから9月上旬ごろまで花を楽しめます。 万葉歌にあざさ(原文は阿耶左と表記)と詠まれている植物が、アサザに当たるとされています。 【歌】 うちひさつ 三宅の原ゆ ひた土に 足踏み貫き 夏草を 腰になづみ いかなるや 人の児故そ 通はすも我子 うべなうべな 母は知らじ うべなうべな 父は知らじ 蜷の腸 か黒き髪に ま木綿もち あざさ結ひ垂れ 大和の 黄楊の小櫛を 押へ挿す うらぐはし児 それそ我が妻 (L-3295) 【口語訳】 (うちひさつ) 三宅の原を 裸足で歩いて 足を痛め 夏草に 腰をからまれてまあ どのような 娘ごゆえに せっせと通うのか息子よ なるほどなるほど 母上はご存知なかろう なるほどなるほど 父上もご存じなかろう (蜷の腸) 黒髪に 木綿の緒で あさざを結いつけて垂らし 大和の 黄楊の櫛を 押さえ挿す ほんとにきれいな娘 それがわたしの妻です この歌は、一首全体が父母と息子との問答を一まとめにした形(父母の問いかけに、息子が自分の妻について打ち明ける形)になっています。アサザの花を黒い髪の飾りとしてつけている娘として詠まれています。 現在、アサザは湖沼の環境保全に活用されています。霞ヶ浦で、アサザの移植(アサザの波消し効果)による葦原の再生や、富栄養化につながる窒素・燐を吸収し、これを食べる昆虫や小鳥と共にこれらの再循環(昆虫の死骸や小鳥の糞として、一部は地上に戻される)にも役立っているようです。種から苗を育て、湖に戻すアサザ里親制度もあるそうです(「Asaza Project」)。 |
Posted by
katakago
at 12:40