蓮葉(はちすば)に溜まれる水 [2012年07月01日(Sun)]
昨夜来からの雨で、ハスの葉に水の玉が見られます。昨年7/1の記事にも紹介しましたが、次のような万葉歌があります(ハスの葉は”はちすば”と詠まれています)。 【歌】 ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む (O-3837) 【口語訳】 (ひさかたの) 雨でも降ってくれ 蓮の葉に 溜まった水の 玉に似たさまを見よう
もう一首、「蓮葉に溜まれる水の」と詠まれた歌があります。 【歌】 み佩かしを 剣の池の 蓮葉に 溜まれる水の 行くへなみ 我がする時に 逢ふべしと 逢ひたる君を な寝ねそと 母聞こせども 我が心 清隅の池の 池の底 我は忘れじ 直に逢ふまでに (L-3289) 【口語訳】 (み佩かしを) 剣の池の 蓮の葉に 溜まった水のように 成り行きも 分からないでいる時に 逢うべしとのお告げによって 逢った君なのに 寝てはいけないと お母さんは言われるが (我が心) 清隅の池の 池の底のように深く頼んで 私は忘れまい じかに逢うまでは この歌では、上四句「み佩かしを剣の池の蓮葉に溜まれる水の」までが、「行くへなし」を起こす比喩の序詞です(”み佩かしを”は”剣”に掛る枕詞)。自分の恋人に対する気持ちが深く純粋であることが詠まれています。
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Posted by
katakago
at 11:19