• もっと見る
<< 2024年03月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
最新記事
月別アーカイブ
最新コメント
ムラサキ [2012年05月03日(Thu)]
IMG_2056m.jpg

 ムラサキ(むらさき科)の花が咲いています。種から育てて二年目の株です。昨年は、6/11に写真と万葉歌を紹介していますが、17首詠まれているなかから別の歌を紹介します。
【歌】 韓人の 衣染むといふ 紫の 心に染みて 思ほゆるかも (麻田連陽春 C-569)
【口語訳】 韓人が 衣を染めるという 紫の色のように 心にしむばかり 君は懐かしく思われます
 題詞によれば、大宰帥(そち)大伴旅人が大納言に任ぜられ帰京しようとする時に、大宰府の官人たちが、筑前国の蘆城(あしき)の駅家(うまや)で催した送別の宴で詠まれた4首のうちの一首です。作者の麻田連陽春(やす)は、当時大宰大典(大宰府の四等官)で、『新編日本古典文学全集 萬葉集』によれば、旅人の人間的魅力を讃えた歌、とあります。「韓人の衣染むといふ紫の」は、「心に染みて」を起こす序詞。紫色の染料を採る紫草の栽培法や紫根染法は、朝鮮半島からの移住者によって伝えられたようです。当時の衣服令の規定では、官人の礼服の色は一位−深紫、三位以上−浅紫、四位−深緋、五位−浅緋と定められており、旅人はこの当時正三位で、大宰府中でただ一人の紫服着用者でした。

 もう一首は、
【歌】 紫の 我が下紐の 色に出でず 恋ひかも痩せむ 逢ふよしをなみ (K−2976)
【口語訳】 紫の私の下紐の色が外にあらわれないように、恋心を内に秘めたまま痩せてゆくことだろうか。逢う方法もなくて。(『萬葉集全歌講義』より)
 『萬葉集全歌講義』では、次のような解説がなされています。「紫の我が下紐の」の序詞(「色に出ず」を起こす)で、身分ある女性の歌であることが示されており、特に宮仕えをしている女性で制約が大きかったことが想像される、とあります。
Posted by katakago at 14:19
この記事のURL
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/327
コメントする
コメント
プロフィール

katakagoさんの画像
カテゴリアーカイブ
リンク集
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/index2_0.xml