オキナグサの花 [2012年04月05日(Thu)]
オキナグサ(きんぽうげ科)の花が開き始めました(蕾の写真は3/27に掲載)。万葉歌に、ねつこぐさ(原文は根都古具佐と表記)として詠まれている植物をオキナグサにあてる説があります(『増訂萬葉植物新考』ほか)。集中には次の歌一首のみです。 【歌】 芝付きの 御宇良崎なる ねつこ草 相見ずあらば 我恋ひめやも (M-3508) 【口語訳】 芝付きの 御宇良崎(みうらさき)にある ねつこ草のようなあの娘を 見さえしなかったら わたしはこうも恋い慕おうか 巻十四には東国の歌が二百数十首も集められていますが、そのうちの一首で国名不明歌に入れられています。御宇良崎は、神奈川県三浦半島の先端のどこかの岬かとする説もありますが、所在は未詳です。『新編日本古典文学全集 万葉集』では、「アネモネに似た暗赤紫色の可憐な花の風情が恋人を連想させたものか」とあり、『萬葉集釈注』では、「ねつこ草」は女の譬えで、「ねつこ」に「寝つる子」(共寝をした子)の意があると解されています。
オキナグサの花は可憐ですが、花が終わると多数の花柱が長く伸長し球状になります(5月上旬ごろ)。これが老人の白髪頭に似ているため、漢名で白頭翁の名があります。
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Posted by
katakago
at 10:50