シダレヤナギの花穂 [2012年04月02日(Mon)]
シダレヤナギ(やなぎ科)が芽吹いてきました。古く中国から渡来した植物で、早春葉が伸びきらないうちに黄緑色の花を咲かせます(写真)。 万葉歌では、やなぎ(原文は柳・楊・夜奈宜などと表記)として詠まれています。
【歌】 うち上る 佐保の川原の 青柳は 今は春へと なりにけるかも (大伴坂上郎女 G-1433) 【口語訳】 流れに沿うて上って行く 佐保の川原の 青柳は 今はもうすっかり春の風情に なったことよ (『萬葉集全歌講義』より) 佐保は現在の奈良市の北郊で、当時大伴氏の邸宅もそこにあったようです。佐保の地は佐保川沿いに上って行く地形なので、「うち上る」と詠まれたとみられています(『新編日本古典文学全集 万葉集』ほか)。
柳は集中39首詠まれていますが、梅と一緒に詠まれたものが16首あります。そのうちの一首を載せておきます。大宰府での梅花の宴(3/7のブログ参照)で詠まれたものです。 【歌】 梅の花 咲きたる園の 青柳は 蘰にすべく なりにけらずや (少弐粟田大夫 D-817) 【口語訳】 梅の花の 咲いている園の 青柳は 蘰にできそうに 芽吹いたではありませんか 蘰は蔓性植物や柳などの枝を輪状にした髪飾りです。
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Posted by
katakago
at 17:10