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橘千蔭の書 [2011年09月22日(Thu)]

 2年ほど前、万葉歌が書かれた古軸を手に入れましたが、何時でも楽しめるようにと額装にすることにしました。橘千蔭による書で、次の歌です。
【原文】 天海丹 雲之波立 月舟 星之林丹 榜隠所見
【読み下し文】 天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ (F-1068)
【口語訳】 天の海に 雲の波が立ち 月の船は 星の林に 漕ぎ入り隠れようとしている
 柿本朝臣人麻呂歌集から採録された「天を詠む」歌です。天を海に、雲を波に、月を舟に、星を林に、見立てて詠まれています。ここで「漕ぎ隠る見ゆ」は、「終止形+見ゆ」で、この場合の「見ゆ」は、視覚的にその情景を確認した表現です(NHKカルチャー井手至先生の講座より)。
 天を海に、月を舟に見立てた例は、
【歌】 天の海に 月の舟浮け 桂梶 掛けて漕ぐ見ゆ 月人をとこ (I-2223)
【口語訳】 天の海に 月の舟を浮かべ 桂の梶を 取り付けて漕いでいるよ 月の若者が
があり、月を舟に見立てた例は、
【歌】 春日なる 三笠の山に 月の舟出づ みやびをの 飲む酒坏に 影に見えつつ (F-1295)
【口語訳】 春日の 三笠の山に 月の舟が出ている 風流士(みやびお)が 飲む酒坏に その影を映して
があります。

 ところで、この書の書き手、橘千蔭は、江戸時代中期から後期にかけての国学者・歌人・書家です。ネットで検索した際、橘千蔭を取り上げた企画展の記事を見つけました。昭和女子大学・光葉博物館で開催されていました(この大学は、十数年前娘が通っていたところで、何度か行ったことがあります)。会期(今年5/16〜6/18)は過ぎていましたが、早速電話して図録を送ってもらいました。
 橘千蔭は父の跡を継いで北町奉行与力となり、天明8年(1788)に与力を辞して学芸に専念。若くから書芸を学び、特に国学を賀茂真淵に師事し、同じく真淵の弟子であった本居宣長の協力を得て『万葉集略解』を著しました。万葉歌全首の注釈書として、十年がかりで寛政12年(1800)に完成。全ての歌に注釈を付けたことと、自説ではなく広く説を取り入れて、平易に記述しているので、入門書として広く読まれ、明治になっても活字で出版されました。
 次の写真2枚は、図録の表紙と『万葉集略解』に関するものです。


Posted by katakago at 05:28
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