ハギの花(その2) [2011年09月20日(Tue)]
台風の影響で雨が降る中、植物園内に咲いているハギを写してきました。萩の写真と万葉歌については、先に(8/20)掲載していますが、今日は次の歌を紹介します。 【歌】 明日香川 行き廻る岡の 秋萩は 今日降る雨に 散りか過ぎなむ (丹比真人国人 G-1557) 【口語訳】 明日香川が 裾を流れているこの岡の 秋萩は 今日降る雨に 散ってしまうのではなかろうか 題詞によれば、故郷明日香の豊浦寺の尼の房舎で酒宴をした時に詠まれたものです。「明日香川行き廻る岡」は、甘樫丘をさすとみられています(雷丘とする説もある)。 もう一首、笠金村の歌を次に載せておきます。 【歌】 高円の 野辺の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに (A-231) 【口語訳】 高円の 野辺の秋萩は むなしく 咲いては散っていることであろうか 見る人もないままに 志貴皇子が亡くなった時に笠金村が詠んだ挽歌(長歌と短歌二首)の一首目の歌です。ここで高円が詠まれているのは、長歌に「高円山に春野焼く野火と見るまで」とあったように、この地に皇子の邸宅が構えられていたからと見られています(和田壽寿男著『万葉集巻二を読む』より)。その跡を継ぐのが今の白毫寺と言い伝えられています。ここに故犬養孝先生揮毫によるこの歌の歌碑があります。境内にはハギが植えられています。 |
Posted by
katakago
at 11:07