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九州万葉の旅 [2020年02月09日(Sun)]
 先週、「万葉の大和路を歩く会」企画の旅行で訪れた主な万葉故地関連の記事を載せておきます。

【1日目】和布刈(めかり)神社、貴布禰神社
 和布刈神社(北九州市門司区門司)を参拝
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 拝殿、本殿脇にある磐座
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 神官から説明を聴く
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 この神社は古くから和布刈(めかり)神事が伝えられています。和同3年(710)に和布刈神事のワカメを朝廷に献上したとの記録(李部王記)があり、奈良時代から行われていたとのことです。神事は、毎年旧暦大晦日の深夜から元旦にかけての干潮時に行われ、3人の神職がそれぞれ松明(たいまつ)、手桶、鎌を持って海に入りワカメを刈り取って神前に供えられる。ワカメは万物に先んじて芽を出し自然に繁茂するため、幸福を招くといわれて新年の与祝行事として行われてきたとのことです(ワカメを採る行事は県の無形民俗文化財)。
 和布刈神事の様子(北九州市教育委員会設置のパネルより)
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 干潮時にこの階段から下りてワカメを採るそうです
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 万葉歌で「め」(原文は軍布と表記)と詠まれているのは食用となる海藻で、特にワカメをさすことが多い。例歌を次に載せておきます。
【歌】 志賀(しか)の海人(あま)は 海布(め)刈り塩焼き 暇(いとま)なみ くしげの小櫛(をぐし) 取りも見なくに (巻三・278)
【口語訳】 志賀の海女は 海藻を刈り 塩を焼き 暇がないので 櫛を手に取っても見ないことよ

 貴布禰(きふね)神社(北九州市小倉北区城内)の万葉歌碑
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【歌】 豊国の 企救(きく)の長浜 行き暮らし 日の暮れ行けば 妹をしぞ思ふ (巻十二・3219)
【口語訳】 豊国の 企救の長浜を 行き続け 日が暮れてしまうと 妻の事ばかり思っている 


【2日目】唐泊(からどまり)、綿積神社、能古島
 唐泊(福岡市西区宮浦)唐泊地域漁村センター前の万葉歌碑
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 遣新羅使人歌6首(巻十五・3668〜73)
大君の 遠の朝廷(みかど)と 思へれど 日(け)長くしあれば 恋ひにけるかも
旅にあれど 夜は火灯し 居る我を 闇にや妹が 恋ひつつあるらむ
韓亭 能許の浦波 立たぬ日は あれども家に 恋ひぬ日はなし
ぬばたまの 夜渡る月に あらませば 家なる妹に 逢ひて来(こ)ましを
ひさかたの 月は照りたり 暇(いとま)なく 海人(あま)のいざりは 灯し合へり見ゆ
風吹けば 沖つ白波 恐(かしこ)みと 能許の泊まりに あまた夜(よ)そ寝(ぬ)る 

 東林寺万葉歌碑(福岡市西区宮浦)
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【歌】 韓亭 能許の浦波 立たぬ日は あれども家に 恋ひぬ日はなし (巻十五・3670)
【口語訳】 韓亭(からとまり) 能許(のこ)の浦波が 立たない日は あっても家を 恋い慕わない日とてない

 綿積(わたつみ)神社内「万葉の里公園」の万葉歌碑2基(糸島市志摩井船越)
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【歌】 草枕 旅を苦しみ 恋ひ居れば 可也の山辺に さ雄鹿鳴くも (巻十五・3674)
【口語訳】 (草枕) 旅の苦しさに 家を恋い偲んでいると 可也の山辺でも 雄鹿が鳴いている 
 可也山
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 2基目の歌碑(旋頭歌)
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【歌】 梓弓 引津の辺なる なのりその花 摘むまでに 逢はざらめやも なのりその花
(巻七・1279)
【口語訳】 (梓弓) 引津の辺りの 勿告藻(なのりそ)の花よ 摘む頃までに 逢わないことがあろうか それまでは人に勿告藻(なのりそ)の花よ
「なのりそ」は海藻の名でホンダワラ。ここでは同音の打ち明けてはいけない意の「ナ告リソ」の意味で用いられている(ホンダワラには花は無いが、気泡がついているのを花と見たか)。

 神社傍の海岸でホンダワラを見つけました。
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 能古島の万葉歌碑2基
能古島アイランドパーク(也良崎の万葉歌碑)
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【歌】 沖つ鳥 鴨といふ船の 帰り来ば 也良の防人 早く告げこそ (巻十六・3866)
【口語訳】 (沖つ鳥) 鴨という名の船が 帰って来たら 也良の崎の防人よ すぐに知らせてくれ 
 也良崎の復元された烽火台(写真左、中央の島は志賀島)
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 能古博物館敷地内の万葉歌碑
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【歌】 風吹けば 沖つ白波 恐(かしこ)みと 能許(のこ)の泊まりに あまた夜そ寝る (巻十五・3673)
【口語訳】 風が吹くので 沖の白波を 恐れて 能許の泊りで 幾夜も寝ている

【3日目】観世音寺、太宰府天満宮、太宰府市役所、大宰府政庁跡、大宰府メモリアルパーク、水城跡東門
 観世音寺
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 万葉歌碑
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【歌】 しらぬひ 筑紫の綿は 身に着けて いまだは着ねど 暖(あたた)けく見ゆ (巻三・336 沙弥満誓)
【口語訳】 (しらぬひ) 筑紫の綿は 肌にじかに 着てみたわけでないが 暖かそうに見える

 太宰府天満宮の万葉歌碑
 ここでも新型コロナウイルスによる観光客減によるのか、参拝者はかなりすくなかった。
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 旅人の万葉歌碑
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【歌】 我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れくるかも (巻五・822)
【口語訳】 わが園に 梅の花が散る (ひさかたの) 天から雪が 流れてくるのだろうか
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 筑前介佐氏子首(さじこのおびと)の万葉歌碑
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【歌】 万代に 年は来経(きふ)とも 梅の花 絶ゆることなく 咲き渡るべし (巻五・830)
【口語訳】 千万年 年は過ぎても 梅の花は 絶えることなく 咲き続けることでしょう 


 太宰府市役所 山上憶良の万葉歌碑
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【歌】 春されば まづ咲くやどの 梅の花 ひとり見つつや 春日暮らさむ (巻五・818)
【口語訳】 春になると まず咲く家の 梅の花を ひとり見ながら 春の日を暮らすことか

 大宰府政庁跡の旅人の万葉歌碑2基
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【歌】 やすみしし 我が大君の 食す国は 大和もここも 同じとそ思ふ (巻六・956)
【口語訳】 (やすみしし) わが大君の 治めていらっしゃる国は 大和もここも 同じだと思います

 坂本信幸先生揮毫の旅人の万葉歌碑
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【歌】 余能奈可波 牟奈之伎母乃等 志流等伎子 伊与余麻須万須 加奈之可利家理 (巻⒌・793)
【読み下し文】 世の中は 空しきものと 知る時し いよよますます 悲しかりけり
【口語訳】 世の中は 空しいものだと 思い知った今こそ いよいよ益々 悲しく思われることです

 九州国立博物館敷地内の旅人の万葉歌碑
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【歌】 ここにありて 筑紫やいづち 白雲の たなびく山の 方にしあるらし (巻四・574)
【口語訳】 ここからだと 筑紫はどちらの方角だろう 白雲の たなびいているあの山の 邦楽であろうか

 大宰府メモリアルパーク内の万葉歌碑(日本挽歌、坂本信幸先生揮毫)
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【歌】 大君の 遠の朝廷と しらぬひ 筑紫の国に 泣く子なす 慕ひ来まして 息だにも いまだ休めず 年月も いまだあらねば 心ゆも 思はぬ間に うちなびき 臥(こ)やしぬれ 言はむすべ せむすべ知らに 石木(いはき)をも 問ひ放(さ)け知らず 家ならば かたちはあらむを 恨めしき 妹の命の 我をばも いかにせよとか にほ鳥の 二人並び居(ゐ) 語らひし 心そむきて 家離(いへざか)りいます

 水城跡東門前広場の万葉歌碑(太宰府市国分) 碑面には右から次の2首
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【歌】 凡(おほ)ならば かもかもせむを 恐(かしこ)みと 振りたき袖を 忍びてあるかも (巻六・965 娘子 字を児島)
【口語訳】 普通の方なら どうなりともしますが 恐れ多かろうと 振りたい袖も こらえております
【歌】 ますらをと 思へる我や 水茎の 水城の上に 涙拭(のご)はむ (巻六・968 大伴旅人)
【口語訳】 ますらおと 思うわたしが (水茎の) 水城(みずき)の上で 涙を拭くことか

 水城大堤碑(写真右は水城の土塁)
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Posted by katakago at 18:21
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