ハマユウ [2011年08月03日(Wed)]
ようやくハマユウ(ひがんばな科)の花が咲きました。写真は7/26(この時は蕾)掲載の株です。今年は例年より開花が遅いようです。 万葉歌には、次の一首のみ詠まれています(原文は浜木綿と表記)。 【歌】 み熊野の 浦の浜木綿 百重なす 心は思へど 直に逢はぬかも (柿本人麻呂 C-496) 【口語訳】 み熊野の 浦の浜木綿のように 百重にも 心では思っているが 直には逢えないものだね 持統四年(690)の9月13日から24日まで、紀伊行幸がありその折の詠と見られています(『萬葉集釈注』)。とすると、この時期花は終わっていたかもしれません。この歌は4首からなる歌の最初のもので、人麻呂が創作し宴で披露した問答歌とみられています(『萬葉集釈注』)。ところで、何が「百重なす」かについて、犬養孝著『万葉の旅』中には、「波頭のたとえ、茎が幾重、花が百重などの諸説もあるが、群落自生の実景と歌の心情の表し方を見れば、緑葉の百重としか考えられない」とあります。この本には、新宮市三輪崎の孔島に自生するハマユウの写真が掲載されています。筆者も夏に二度(1972年、1993年)訪れ、自生しているハマユウの群落を見たことがあります。犬養先生揮毫のこの歌の歌碑が孔島に建立(1974)されています。 当園では、最初の頃裏山の一角にハマユウを植えていましたが、何度か冬に枯らしてしまいました(日中の日当たりが悪い場所であったためか)。ある時は、大阪市住吉区に住んでいる甥が、自宅に植えてあったハマユウの株を運んで来てくれたのですが、それも枯らしてしまい申し訳なく思っています。現在は、場所を分散して三か所の地植えと、念のため鉢植えでも栽培しています。いずれも日当たりのよい場所ですので、枯れてしまうことはありません。これらは、2004年夏に、紀伊万葉旅行(当時、武庫川女子大オープンカレッジの和田嘉寿男先生の講座)に出かけた折、昼食に立ち寄った旅館「黒島」(日高郡由良町衣奈海岸)の庭先にハマユウが沢山植えられており、お願いして秋に種を送ってもらって育てているものです(段ボールにいっぱいの種を送っていただきました)。次の写真は、別の場所に植えているものです。 |
Posted by
katakago
at 10:28