講演会「猪名川上流域の遺跡」 [2016年12月28日(Wed)]
![]() 先日(12/25)、「新発見 猪名川上流域の遺跡ー新名神高速道路調査成果から―」と題して、講演会とミニシンポジウムが開催され(於 川西市中央公民館)、聴講しました。 写真は「ヤマト政権成立時における猪名川ルートの重要性」と題して基調講演される福永伸哉先生(大阪大学大学院教授)。4世紀〜6世紀にかけて、猪名川流域とその近傍(長尾山丘陵、池田、待兼山丘陵、豊中台地、猪名野)には多数の首長墓が存在し、ヤマト政権はこれらの勢力と連携して、摂津から北上して日本海に至る南北ルート(半島から鉄を入手する経路として)を開拓していた可能性について触れられた。考古学的知見では、猪名川流域で突線鈕式銅鐸が多く出土しており(川西市の栄根遺跡からは1mを超える銅鐸が出土)、同じ形式のものが北近畿の由良川や円山川流域からも見つかっているとのことです。そこでこれらの地域は弥生時代後期から既に交流があったのではないかとみられています。今後、これらの中間にあたる丹波地方などでも銅鐸が発見されるか注目されます。 新名神高速道路建設に伴う発掘調査は、(公財)兵庫県まちづくり技術センターにより続けられてきており、2年前にも途中経過の報告が川西市で行われています。調査地区が川西市北部と猪名川町にまたがることより、今回は両市の教育委員会の共催で開催されました。 調査報告で興味があった点は、 ・猪名川町の広根遺跡西側の観音寺遺跡から石器(刃器、石鏃)が出土(猪名川町最古の人類の痕跡)・・・報告は別府洋二氏 ・石道才谷・堂ノ後遺跡が奈良時代に存在した官営牧場の「畦野牧」の可能性について・・・報告は久保弘幸氏(前回報告記事にも掲載) シンポジウムに参加された方々 ![]() 2年前の講演会の記事は、 https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/893 福永先生の関連講演の記事は、 https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/676 |
Posted by
katakago
at 19:34