ヘクソカズラ [2011年07月25日(Mon)]
ヘクソカズラは、あかね科の蔓性多年草で、この時期写真のような風鈴状の小花を付け、触れれば悪臭を放ちます。万葉歌には、くそかづら(屎葛と表記)として詠まれています。 【歌】 ざうけふに 延ひおほとれる 屎葛 絶ゆることなく 宮仕へせむ (高宮王 O-3855) 【口語訳】 さいかちに 這い広がった 屎かずらのように 絶えることなく 宮仕えしよう 題詞には、高宮王が数種の物を詠んだ歌二首とあり、これはその一首目の歌です。ここでは、「ざうけふ」、「屎葛」、「宮仕へ」がその数種の物に当たります。ざうけふは、まめ科のサイカチ(落葉高木)で、上三句(ざうけふに 延ひおほとれる 屎葛)は、「絶ゆることなく」を起こす序詞となっています。「絶えず」、「絶ゆることなし」を起こす序詞には、普通は「玉葛」や「葛」が用いられるのに、ここはわざと卑俗な植物を詠みこんでいるのは、物名歌であるとともに戯笑の気持からとみられています。 |
Posted by
katakago
at 15:58