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イヌビエ [2011年07月24日(Sun)]

 今年造成の蓮池にイヌビエが生えていました。ヒエは万葉歌に二首詠まれています(原文は稗・比要と表記)。
【歌】 打つ田に 稗はしあまた ありと言へど 選らえし我そ 夜ひとり寝る (J-2476)
【口語訳】 田んぼに 稗はまだたくさん 残っているというのに よりによって抜き捨てられた私は 夜な夜なをただ独り寝ている (『萬葉集着注』より)
 この歌は、7/13の「ノキシノブ」で紹介した歌と同様、寄物陳思歌(物を媒介にして自己の恋情を述べる歌)で、柿本人麻呂歌集から採られています。かって(筆者の子供のころ)炎天下での水田の草取り(這いつくばってヒエを抜く)は大変な作業でした(近年は、有効な除草剤が開発されこのような光景を見ることもなくなりましたが)。田んぼのヒエを抜くという農作業の体験に即して歌が詠まれています。『萬葉集全歌講義』には、「人々がみなよき伴侶を得て夜を過ごしているのに、共に夜を過ごす人を得ることができず一人寝をすることになった男のやりきれない思いが、稲田の中で抜き取られる運命になった稗に自分をたとえている」とあります。この歌は、個人の創作歌というよりは、歌垣の場で集団で謡われた歌とみられています。類歌に、
【歌】 水を多み 上田に種蒔き 稗を多み 選らえし業そ 我がひとり寝る (K-2999)
【口語訳】 雨続きで 山田に籾を蒔いたら 稗が多くて 抜き捨てられたようなものだ 私が独り寝するのは
があります。
Posted by katakago at 10:15
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