カシワ [2011年05月09日(Mon)]
カシワの若葉と雄花序の写真です。万葉歌では、「あからがしは」(原文表記は赤柏・安可良我之波など)として詠まれています(集中三首)。 【歌】 印南野の 赤ら柏は 時はあれど 君を我が思ふ 時はさねなし (安宿王 S−4301) 【口語訳】 印南野の 柏の干葉(ひば)は 時の別がありますが 大君を私が敬慕いたしますことは 時の別が全くありません 天平勝宝六年正月七日(754)、天皇(孝謙)・太上天皇(聖武)・皇太后(光明)が、東の常の宮の南大殿にお出ましになって宴を催された時、播磨国の守の安宿王(あすかべのおおきみ)が詠んだ歌。「君」は孝謙天皇をさし(安宿王は天皇のいとこ)、『萬葉集釈注』によれば、「安宿王が、その領内から献上する特産品にこと寄せて、忠節の心の変わらないことを奏上したもの」とある。 「赤ら柏」は、ぶな科の落葉高木の柏の葉を乾燥して赤褐色になったもの。古くはこれに果物や雑肴を盛り、また飯を包むのにも用いたという。『延喜式』によれば、播磨の国は柏の産地であり、その柏が大嘗祭・鎮魂祭などの神事に用いられたという。 |
Posted by
katakago
at 11:18