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豊能町のミツマタ群生地を訪れて [2024年03月19日(Tue)]
 今日は、「ぶんぶん歩こう会」が企画されたミツマタ(ジンチョウゲ科)の花を見る会に参加して、大阪府豊能町のミツマタ群生地に出かけてきました。ルートは能勢電鉄妙見口駅 → 吉川峠 → トンボ池 → イセコ谷ミツマタ群生地に至るコース(下図は配布された資料より)。
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 ミツマタは植物園にも植えていましたが、昨年枯れてしまい今はブータン大輪ミツマタが残っています。豊能町のミツマタ群生地については、一昨年より裏山の手入れをお願いしている業者の方から話に聞いていましたが、今回「ぶんぶん」のチラシでそこを訪れる企画を見つけ自生しているミツマタの群生を初めて見ることが出来ました。参加者は20名ほどで道中は数名の豊能町観光ボランティアガイドさんに案内していただきました。ミツマタの群生地はここ以外にも数か所あり花は今月中は楽しめそうです。
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 ミツマタの群生を見ながら昼食をとりました。
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 万葉歌に「さきくさ」(原文は三枝と表記)と詠まれている植物は、枝が三つに分かれ早春に開花するミツマタ説が有力とされています。
【歌】 春されば まづ三枝(さきくさ)の 幸(さき)くあらば 後にも逢はむ な恋ひそ我妹(わぎも) (柿本朝臣人麻呂歌集 巻十・1895)
【口語訳】 春になると まず咲くさきくさの 幸くさえあったら あとでも逢えよう そう恋しがるなよおまえ
 春の相聞。上二句の「春されば まづ三枝の」は、第三句の「幸くあらば」を起こす序詞で、『万葉集全歌講義』の解説には、三枝のサキに、動詞「咲く」の連用形「咲き」が掛けられ、さらに「三枝」のサキが同音の反復で第三句の「幸く」に掛けられている、とあります。『万葉集全注』には、「外部の事情で逢えないことがあっても、二人の間では感情の食い違いはなく、相思相愛の仲である。相手が徒に苦しむことがないようにと気遣っている」とあります。「さきくさ」は万葉集中二例で、共に三枝の用字。もう一首(巻五・904)の「三枝の 中にを寝むと」では「中」の枕詞となっています。

 
Posted by katakago at 16:23
カタクリ続報 [2024年03月11日(Mon)]
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 裏山のカタクリの花が咲きました。写真上は午前中に撮影、次の写真は午後に撮影したものです。
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 他の場所でも蕾を付けているものを見つけました。
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 カタクリは万葉歌では「かたかご」として次の一首のみ詠まれています。
【歌】 もののふの 八十娘子(やそをとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花 (大伴家持 巻十九・4143)
【口語訳】 (もののふの) 群れなす乙女が 汲みさざめく 寺井のほとりの かたかごの花よ
 「かたかご」の原文表記は 「堅香子」で、平安時代まではカタカシと読まれその実体は不明でした。鎌倉時代の研究者仙覚(せんがく)が従来の無訓の歌に訓点をほどこし『仙覚抄』を著し、このなかで本歌の題詞「堅香子草花を攀ぢ折る歌」に注目し、カタカゴの読みを提唱し片栗(カタクリ)と考え以後定説となっています。大伴家持が越中赴任時代に詠んだ歌で、この地に来て初めてカタクリの花を見て、その感動が歌になったとみられています。
 北国の群生地では、雪解けとともに落葉樹林の山の斜面一面に花が咲く。
 関西では、兵庫県丹波市氷上町清住で4月上旬にカタクリの群生を見ることが出来ます。以前に訪れた時の記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1353 

 庭の片隅で咲いていたスミレ(スミレ科)
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Posted by katakago at 16:20
カタクリの蕾 [2024年03月08日(Fri)]
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 裏山で、カタクリ(ユリ科)が蕾を付けていました。昨日から、業者の方にも手伝ってもらいながら、下草の刈り取り作業を行っていました。この様子だと明日にも開花しそうです。

 畑では、オキナグサ(キンポウゲ科)も蕾を付けていました(開花は今月下旬ごろか)。
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 果樹園ではオオイヌノフグリ(オオバコ科)の花が咲いています。
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 畑でツクシを見つけました。 
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Posted by katakago at 14:07
木田種重(寂堂万翁元照居士)は俳人でもあった [2024年03月02日(Sat)]
 先祖のひとり、木田種重は大坂の両替商(屋号は鉄屋で当主名は庄左衛門)で、先祖を顕彰する碑文を白隠禅師にお願いして大仙寺(大阪市中央区谷町9丁目)に「木田院碑」を建立しています(宝暦八年、1758)。また、木田院碑も掲載された白隠禅師の漢文語録『荊叢毒蘂』の跋文にも名を載せています。これらの経緯については、9年ほど前に自費出版した『木田家のルーツを尋ねるー石碑の銘文に導かれてー』に記しています。その際、木田院碑の釈読や『荊叢毒蘂』に関して、芳澤勝弘先生には種々ご教示頂きました。
 以前の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/879
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/986
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1060

 先月、その芳澤先生から暫くぶりにメールを頂きました。「俳人木田元照の存在がある」とのことで、関連の論文、馬渕美帆著「白隠慧鶴による英一蝶作品の受容」(『日本美術のつくられ方:佐藤康宏先生の退職によせて』)を添付していただきました。
 その論文の「五、白隠と一蝶画ー江戸の俳人たち、英一蜂との関わり」の中で、木田元照に触れられた個所を一部引用しておきます。
 ここで注目したいのが、白隠の有力信徒の木田元照である。彼は大坂の鉄屋という豪商で、宝暦六年冬に東北への旅の途中で原に滞在し、松蔭寺で白隠に教えを受けた他、白隠の語録『荊叢毒蘂』の存在を知り刊行を企図した。元照は同書の刊行資金の援助を予定していたものの、曲折があったようだが、宝暦八年九月に白隠が元照の先祖を顕彰する碑文を書いており、両者の関係が大きく変わるようなことはなかったようである。白隠研究の側からは意識されていないが、元照は俳人としても著名であり、小野紹簾門の几掌(きしょう)として活動している。元照即ち几掌が白隠に会い、『荊叢毒蘂』刊行を企図したとされる時の東奥行脚の紀行文が、紹簾の八十賀集『うたたね』中にある。
 上記『うたたね』は、『上方俳書集上』(上方藝文叢刊)に掲載されています。

 そのほか、俳人木田几掌に関する文献を検索したところ、大谷篤蔵著『俳林阨焉xに「几掌の禅癖」を見つけました。その冒頭には、「俳人木田几掌、鉄庄こと鉄屋庄左衛門。大坂瓦町の富商で、一炊庵二世。南陽舎。宝暦四年四月、京北野の聖廟で、奉納一日独吟万句を成就して以後万翁と号した」とあります(元照の法号にも「寂堂万翁元照居士」とある)。

 大谷篤蔵著の論文「内山栗斎の俳業」に、天明六年七月十五日 『万翁追悼集』の記載があり、
「すなわち一炊庵万翁(木田几掌)は天明五年八月十一日没(1785)。享年七十四歳。嫡男離仏(木田重寛)は、門生泊帆に追悼集の編纂をさせていたが、同年十一月離仏もまた没する。後次男山トが羽幸と共に編集の事に当たったが羽幸も続いて没したという」。
 『万翁追悼集』は、伊丹市立ミュージアム内の「柿衞文庫」にあることを知り、先日、マイクロフィルムの閲覧をさせてもらいました。
 万翁の辞世句「天なる哉熟柿たまゝにへたはなれ」の病牀での絶筆が模刻されています。
柿衞文庫では、『俳文学大辞典』も含め学芸員の方から丁寧に説明していただきました。
 柿衞文庫の岡田利兵衛(柿衞翁)の胸像と説明パネル
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Posted by katakago at 14:20
ウメに続き春の花が咲き始めました [2024年02月24日(Sat)]
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 裏山では、ウメに続き春の花が咲き始めました。
ヤブツバキやミツマタ、花桃も開花が見られます。

 写真はブータン大輪ミツマタ(ジンチョウゲ科) 
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 花桃(花弁は一重)
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 アケボノアセビ(ツツジ科)も咲き始めました(白花のアセビは来月下旬から4月初めか)。
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 畑に植えているネコヤナギ(ヤナギ科)も芽吹き始めました。
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 バイカオウレンは今も咲いています。 
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Posted by katakago at 11:46
バイカオウレンが開花 [2024年02月16日(Fri)]
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 昨年夏(8月)、高知県立牧野植物園を訪れた際に売店で購入したバイカオウレン(キンポウゲ科)の苗を鉢植で育てていましたが、花を咲かせてくれました。山の半陰地に生える常緑の多年草で、牧野博士は幼いころから裏山に咲くこの花を好んだと言われています(和名は梅の花に似ていることによる)。
 牧野植物園を訪れた際の記事は次のURLに載せています。https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1910


 裏山では今、ウメが今満開です。
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Posted by katakago at 13:47
ウメの花が咲き始めました [2024年01月28日(Sun)]
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 当植物園で栽培している万葉植物で、年が明けて最初に花を見れるのがウメです。畑や裏山に植えているウメの木(種類の異なる白梅)のうち、数株で今年もようやく咲き始めました。白梅(万葉歌のウメは白梅)でも種類によって咲く時期が少しづつ異なります。見ごろとなるのは来月中旬頃かと思われます。
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【歌】 正月(むつき)立ち 春の来たらば かくしこそ 梅を招(を)きつつ 楽しき終(を)へめ (大宰大弐紀卿 巻五・815)
【口語訳】 正月になり 春が来たなら こうやって 毎年梅を迎えて 歓を尽くしましょう
 天平2年正月13日(西暦730年太陽暦の2月8日)、大宰帥大伴旅人卿の邸宅で「梅花の宴」が開催されて、32首の梅の歌が詠まれています。これはその最初に詠まれた歌です。
 例年太宰府市では、この時期(2月8日頃)に「大宰府万葉の会」主催の「梅花の宴」が開催されています。以前、この行事に参加した時の記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1636

 
 紅梅が詠まれるのは平安時代になってからのようですが、裏山には以前から紅梅も数株植えられています。そのひと株でも花が咲き始めました。
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Posted by katakago at 15:02
裏山のモミジの紅葉 [2023年12月10日(Sun)]
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 裏山では、10数年前に植樹した10本以上のイロハモミジ(ムクロジ科)が大きく育ち、その紅葉を楽しませてくれています。

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 万葉歌では、かへるてと詠まれています(その葉の形が蛙の手に似ることより)。
【歌】 我がやどに もみつかへるて 見るごとに 妹をかけつつ 恋ひぬ日はなし (田村大嬢  
 巻八・1623)
【口語訳】 家の庭に 色づいたかえでを 見るたびに あなたのことを 恋しく思わない日はありません
 秋の相聞。大伴田村大嬢が異母妹の坂上大嬢(家持の正妻)に贈った歌。「もみつかへるて」の「もみつ」は紅葉する意(原文は「黄変」と中国六朝の用字)。『新編日本古典文学全集 万葉集』によれば、「妹をかけつつ」のカクは関連する意で、「坂上大嬢がほんのりと赤く輝くような容貌でなので連想したのであろう」とあります。

 実生苗もあちらこちらで育っています。 
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 畑では、小カブやダイコンを収穫できるようになり、タマネギの苗も順調に生育しています。
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 柑橘類では温州ミカンの収穫が終わり、ハッサクが色づいてきました。
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 果樹では、柑橘類の他先月には西条柿を吊るし柿にして、今年は美味しく出来上がりました。
 写真は開始日(11月8日)の様子
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 途中経過(11月23日)の様子
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 中はジューシーでとても甘くなっています(12/6)。
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 この時期、自宅の庭ではツワブキ(キク科)が咲いています。
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Posted by katakago at 13:51
小春日和の裏山で [2023年11月23日(Thu)]
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 裏山のイロハモミジ(ムクロジ科)やイチョウ(イチョウ科)が色づき始めました。
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マユミ(ニシキギ科)、サネカズラ(マツブサ科)、ヤブコウジ(サクラソウ科)、マンリョウ(サクラソウ科)の実も色づいています。 
マユミの実
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マユミが詠まれた万葉歌は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/231

 サネカズラの液果
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サネカズラ(万葉歌ではさなかずら)が詠まれた万葉歌は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/235

 ヤブコウジの実
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ヤブコウジ(万葉歌ではやまたちばな)が詠まれた万葉歌は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/232
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/252

 マンリョウの実
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Posted by katakago at 15:32
ジンジャーの花 [2023年11月04日(Sat)]
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 数年前にジンジャー(ショウガ科)の地下茎を畑に植えていましたが、今年初めて花が咲きました。観賞用に栽培される多年草で、インド・マレーシアが原産。牧野植物図鑑によると日本には安政3年以前に渡来したとのこと。

 果樹園では、柿や柑橘類が色づき始めました。
 西条柿(渋柿) 
焼酎で渋抜きを試みたり、気温が下がれば干し柿作りを予定。
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 ユズ
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 ミカン(品種は宮川早生)
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Posted by katakago at 15:03
コウヤボウキの花 [2023年10月29日(Sun)]
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 裏山に自生しているコウヤボウキ(キク科)の花が咲き始めました。
コウヤボウキの関連記事は、次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/201

 ナンバンギセル(ハマウツボ科)の花(ススキに寄生しています)
以前の株が消えてしまったので種苗会社より新たに購入しました。
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【歌】 道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今更々に 何をか思はむ (巻十・2270)
【口語訳】 道端の 尾花の陰の 思い草のように いまさら何を思い迷いましょうか
以前の記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/175


 マユミ(ニシキギ科)の実も色づき始めました(後一月もすると実がはじけて中から赤い種が花を咲かせたように見えます)。
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Posted by katakago at 14:30
第76回萬葉学会全国大会 公開講演会(10/21)に参加 [2023年10月24日(Tue)]
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 先週末(10/21,22)、第76回萬葉学会が武庫川女子大学中央キャンパスで開催され、21日の公開講演会に参加しました。
 萬葉学会は、萬葉研究者ならびに愛好者は、誰でも申し込みによって会員になれます(年会費は4000円で学会誌『萬葉』を年2回発行)。

 2題の講演のうち、ここでは興味のあった「木簡と万葉集」(演者は阪大文学部教授の市 大樹氏)について触れておきます。
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 木簡は当時の日常を伝える一次史料として歴史学の研究の上で貴重であり、和歌が書かれた木簡も7〜8世紀にかけて各地の遺跡から出土しています。以下、当日の配布資料から関心のあった個所をピックアップしておきます。
 万葉歌と関連する歌木簡の例
・阿佐奈伎尓伎也留之良奈弥々麻久 (石神遺跡 7世紀)
 【歌】 朝なぎに 来寄る白波 見まく欲り 我はすれども 風こそ寄せね (巻七・1391)
・阿佐可夜・・・・・・・・流夜真  (宮町遺跡 8世紀)
 【歌】 安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を 我が思はなくに (巻十六・3807)
・阿支波支乃之多波毛美 (馬場南遺跡 8世紀)
 【歌】 秋萩の 下葉もみちぬ あらたまの 月の経ぬれば 風を疾みかも (巻十一・2205)
 同時代のナマの史料である歌木簡は一字一音で書かれ、『万葉集』は編纂された史料(文学作品)であり、様々な手が加わっている(特に表記について)と考えられています。
 最後の歌に関連して、次のURLでは馬場南遺跡出土の歌木簡についても触れています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/143

 共通する表記の例として
・玉作五十戸俵 (難波宮遺跡 7世紀)
・恵奈五十戸造 阿利麻 (飛鳥池遺跡 7世紀)
 【歌】 ・・・・ しもと取る 五十戸(サト)長が声は 寝屋処(ねやど) まで 来立ち呼ばひぬ ・・・・ (巻五・892)
 【歌】 檀越(だんをち)や 然(しか)もな言ひそ 五十戸(サト)長が 課役徴(はた)らば 汝(いまし)も泣かむ (巻十六・3847)
 「五十戸」は「里」の古表記で、「サト」と訓み、公的には天武十年(681)まで使用された。

 但馬皇女(天武天皇の皇女で万葉歌人でもある)に関わる木簡 (藤原宮典薬寮跡から出土 8世紀)
    多治麻内親王宮政人正八位下陽胡甥
        車前子一升 西辛一両
    受被給薬
        久参四両 右三種 
多治麻内親王(但馬皇女)の宮の政人(家従)の正八位下の陽胡甥が、車前子(おおばこ)、西辛(さいしん)、久参(くじん)の薬物を請求した木簡。
 但馬皇女の歌に、
【歌】 人言を 繁み言痛(こちた)み 己が世に いまだ渡らぬ 朝川渡る (巻二・116)
【口語訳】 人の噂が うるささに これまで渡らなかった 朝の川を渡ることか
この歌の題詞には、但馬皇女が高市皇子の宮に在った時に、ひそかに穂積皇子と関係を結び、そのことがすっかり顕れたので、作られた一首とあります。このような歌を詠んだ但馬皇女が三種の薬を請求していますが、病気はどのようなものであったか興味が持たれます。
 この木簡に関連した以前の記事(和田萃先生の講演)は次のURLの後半に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/520 

これまでの萬葉学会関連記事は次のURLを参照
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/193
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/910
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1174

 武庫川女子大学中央キャンパス構内の万葉歌碑(2019年に武庫川学院創立80周年記念に建立された)
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 歌碑の除幕式関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1585

Posted by katakago at 13:52
アサギマダラ続報(2頭飛来) [2023年10月23日(Mon)]
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 先週(10/17)に続き、今朝、アサギマダラがフジバカマの蜜を吸っているのを見つけました。今日は2頭で、一枚の写真に撮ることが出来ました(以下の写真ではフジバカマの左右に止まっています)。複数の飛来を目にするのは初めてです。

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Posted by katakago at 16:33
地元で久しぶりの秋祭り [2023年10月22日(Sun)]
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 この週末は、コロナで中断していた地元の秋祭り(多太神社の秋季大祭)が久しぶりに開催されました。昨日は、矢問地区のほか新田、平野、東多田の4地区のダンジリや太鼓が合同で多太神社へ宮入りしました(私は当日萬葉学会に出かけて欠席)。
 今日は町内巡行の日で、自治会館前には普段はあまり見かけない地元の方も含め多くの方が集まり、11時から出発式が行われました。お祭りの準備は、宮総代・消防団・自治会などが関わり、中でも消防団のメンバーは、太鼓の乗り子の指導(2週間にわたる連日の練習)をはじめ、当日の太鼓の組み立て作業から担ぎ手の指導を含め、お祭りの牽引役として活躍されています。これからも地元の行事が引き継がれてゆくことを期待しています。

 太鼓に乗る子供たち(小学4年から6年生)の記念撮影
良い思い出になればと思います(私も70年ほど前に太鼓に乗ったことがあります)。
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 出発前の記念撮影
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 町内巡行開始
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 以前の記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/493
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1050
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1311
Posted by katakago at 15:42
裏山のフジバカマにアサギマダラが飛来 [2023年10月17日(Tue)]
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 裏山に植えているフジバカマ(以前に種苗会社から購入した日本の原種とは異なる株ですが)が見ごろとなり、このところ毎日カメラ持参で出かけています。今朝、そのフジバカマにアサギマダラが飛来しているのを見つけ写真に撮れました。
 2019年に飛来したものは、マーキング(石川県宝達山)されていましたが今朝見つけた個体にはマーキングは見られませんでした。

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 以前(2019,2021年)のアサギマダラの関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1594
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1597
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1601
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1606
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1774

Posted by katakago at 13:46
令和5年度「大阪大学感謝の集い」(10/12)に出席 [2023年10月15日(Sun)]
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 先日(10/12)、グランフロント大阪北館(ナレッジキャピタルカンファレンスルームタワーC)で開催された、令和5年度「大阪大学感謝の集い」に出席しました。
 国からの大学交付金が減らされる中、長期的に安定した財政基盤を確立するため、大阪大学では、2009年に「大阪大学未来基金(ゆめ基金、特定基金)」が設置され、受入金額は2023年3月には累計123億円に達したとのことです。私も昨年末、未来を支える学生支援、教育研究支援、国際交流支援、社会連携支援の事業に活用される「ゆめ基金」にささやかな寄付をさせていただきました。
 報告会では、西尾章治郎総長による近況報告と、未来基金の活動報告(金田安史副学長より)及び講演「感染症総合教育研究拠点(CiDER)」が行われました。

 ゆめ基金事業の自主研究奨励事業に応募して行った学生による発表も2件あり、そのうちの「生物着想型重金属イオン吸着高分子の開発」(理学部3年生)は大変興味深く聴かせてもらいました。生物の細胞が重金属を吸収すると、細胞内でメタロチオネイン(MT)という一群の特殊なタンパク質またはペプチドが生成され、重金属イオンはキレート化され解毒される。全てのMTに共通する特徴として、システイン(SH基を含む)含量が極めて高い事が知られており、この知見に基づくカドミニウムイオン吸着高分子に関する研究です。この制度は卒業研究とは別で、2年生の時から行ったそうです(昨年の例では「粘菌の条件付けによる受容器官と学習記憶メカニズムの解析」(医学部医学科)等もある)。
 講演(演者は金田副学長)で紹介された感染症総合教育研究拠点(CiDER)は、2021年から10年間にわたる「日本財団・大阪大学感染症対策プロジェクト」によるもので、日本財団からは2030年度までの10年間で230億円規模の支援が行われるとのことです(基礎研究と異分野融合研究を重視した最先端の感染症研究拠点を目指す)。本年8月には吹田キャンパスに国内外の研究者が感染症に関する研究を進めていくための感染症総合教育研究棟の起工式が行われました(宇宙船地球号をイメージした9階建ての建物のデザインは安藤忠雄氏の監修で2025年2月に完工予定)。
 
 懇親会のテーブルでは同席されていた文学部長さんとお話をする機会があり、在学当時(1964年)教養部で犬養孝先生の万葉集の講義を受講したことや、現在は万葉植物を栽培していることなどを話題にしました。ちなみに、文学部長は私が学部を卒業した年(1968年)のお生まれとのこと、また、現在阪大の文学部には万葉集の研究者はおられないとのことでした(市 大樹先生の「木簡と万葉集」についての研究はあるが)。

  
Posted by katakago at 14:02
ススキの穂(初尾花) [2023年10月11日(Wed)]
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 ススキの穂が日に輝いています。
【歌】 さ雄鹿の 入野のすすき 初尾花 いつしか妹が 手を枕(まくら)かむ (巻十・2277)
【口語訳】 (さ雄鹿の) 入野のすすきの 初尾花のように初々しい娘(こ) いつになったらあの娘の 手を枕にすることだろう
 「さ雄鹿の」は鹿が野に分け入る、の意でかけた「入野」の枕詞で、「初尾花」は穂が出たばかりの尾花で、初々しい女性のたとえとして用いられています(三句までが初々しい女性の比喩的序詞)。

 秋の七草のうち、この時期でも咲いているカワラナデシコやキキョウがみられます(これらの花の最盛期は過ぎてしまっているのですが)。
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 果樹園の片隅で、イヌタデの花が咲いていました。
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 畑の一角では、シロバナサクラタデの群生が見られます。
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 ヒオウギの花が終わった株では、刮ハがはじけて中から黒い球形の種子が見えています。
万葉歌に詠まれている、ぬばたま(原文は野干玉、烏玉、夜干玉などと表記)はこのヒオウギの種とみられています。植物としてのヒオウギやその種子を詠んだ例はなく、全て枕詞(黒・夜・暗・夢などにかかる)として用いられています。例歌は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/170

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 この時期でも花を咲かせている株があります。
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 裏山に植えているカラタチ(ミカン科)の実が色づいています。
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Posted by katakago at 14:40
フジバカマも咲き始めました [2023年10月07日(Sat)]
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 フジバカマ(キク科)の花が咲き始めました。写真は日本の原種と言われているもので、ポットで栽培しています。
フジバカマは山上憶良の「秋野の花を詠む歌二首」の二首目に詠まれ、秋の七草の一つです。関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/173

 裏山に植えたオケラ(キク科)の花も咲いています。
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 万葉歌には、いずれも巻十四の東歌に、うけら(原文は宇家良と表記)として詠まれています。
以前の記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/182
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/476

 アカネ(アカネ科)の花(裏山入り口付近に自生しています)
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 万葉では植物そのものを詠んだ歌は無く、「あかねさす」として茜色に照り映える意で、枕詞(日・昼・紫などにかかる)として用いられています。関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/168
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/452


 イチイガシ(ブナ科)のドングリ  猪名川支流の塩川付近で撮影(裏山に植えた木はまだドングリが生っていません)
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 イチイガシは万葉歌では、いちひ(原文は伊智比と表記)と詠まれており、その歌は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/59

Posted by katakago at 15:53
ミズアオイも咲き始めました [2023年09月17日(Sun)]
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 ポットに植えているミズアオイ(ミズアオイ科)の花が咲き始めました。万葉歌では水葱(なぎ)と詠まれています。水葱が詠まれた歌は、以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1564

 畑でスベリヒユ(スベリヒユ科)の花が咲いています。
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 万葉歌に、いはゐつら(原文は伊波為都良と表記)と詠まれている植物にスベリヒユをあてる説があります。この歌の関連記事は、次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/91

 ハス池の傍でミソハギ(ミソハギ科)の花が未だ咲いています。
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Posted by katakago at 10:15
ヒガンバナが咲き始めました [2023年09月16日(Sat)]
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 先月末から畦の草刈りを行っていましたが、その畦道でヒガンバナ(ヒガンバナ科)が咲き始めました。

 先月訪れた高知県立牧野植物園の展示施設で撮影したヒガンバナの植物画
古名 イチシ(壱師)の花 (マンジュシャゲ、ヒガンバナ) 牧野富太郎冩生 とある
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 ヒガンバナを万葉歌の「壱師の花」にあてる説があります(牧野富太郎他)。関連記事を次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/172 

 果樹園傍でヘクソカズラ(アカネ科)の花を見つけました。
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 ヘクソカズラ(万葉歌では屎葛)が詠まれた歌は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/116

 ヨメナ(キク科)の花も咲いています。
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Posted by katakago at 11:57
秋の訪れ [2023年09月08日(Fri)]
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 昨日は久しぶりに雨が降ってくれて、今日はエアコンもなしで過ごせそうです。午前中の農作業(畦の草刈りなど)も捗りました。
 畑に植えているハギの花が咲き始めました。秋の七草のうち、ハギの傍ではオミナエシやキキョウが未だ咲いています。
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 早生のクリ(品種は丹沢) 
イガの中に栗の実が三つ見えています。万葉歌では「三栗の なか」のように同音の「中」・「那賀」にかかる枕詞としても詠まれています。
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 クリの木の傍でノカンゾウ(ススキノキ科)が今も咲いています。 
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 今春播種したヒオウギ(アヤメ科)がこの時期に花を咲かせています。
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 ニラ(ヒガンバナ科)の花
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 ヒシ’(ミソハギ科)の花
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 コナギ(ミズアオイ科)の花
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Posted by katakago at 11:31
伊丹市の昆陽池公園で [2023年09月07日(Thu)]
 家族の通院のため、車で市立伊丹病院まで出かけたついでに病院近くの昆陽池公園に立ち寄りました。昆陽池は、僧行基によって奈良時代に築造されたと伝えられています。現在は伊丹市によって公園として整備されており、園内の一角には伊丹市昆虫館があります。
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 ふるさと小径で見つけた万葉歌碑(『西本願寺本万葉集』より採字)
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【歌原文】 吾妹児二 猪名野者令見都 名次山 角松原 何時可将示 (高市連黒人 巻三・279)
【読み下し文】 我妹子(わぎもこ)に 猪名野(ゐなの)は見せつ 名次山(なすきやま) 角(つの)の松原 いつか示さむ
【口語訳】 妻に 猪名野は見せた 名次山や 角の松原は いつになったら見せてやれようか
 この歌には地元の地名が詠み込まれています。猪名野は、兵庫県伊丹市を中心に、尼崎市・川西市、さらに大阪府豊中市の一部をも含む猪名川沿いの平野。名次山(なすきやま)は、兵庫県西宮市名次(なつぎ)町の丘陵地帯。

 公園内のふるさと小径には多種類の樹木が植えられています。
 スダジイ(ブナ科)のドングリを見つけることが出来ました。
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 スダジイのドングリは、2年前に昆陽寺まで出かけてやっとの思いで見つけて写真に撮ることが出来、5月刊行の『万葉植物の歌 鑑賞事典』に掲載されています。その折の記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1760

 昆虫館のチョウ温室ではおよそ200種の熱帯・亜熱帯の花木が茂り、⒕種類1000匹のチョウが放されています。展示室や映像ホールもある環境学習施設で、今日は小学生の団体が訪れていました。
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 昆虫館の4階展望台から昆陽池公園を一望できます。
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Posted by katakago at 16:38
高知県立牧野植物園への日帰りツアー参加 [2023年08月24日(Thu)]
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 昨日、旅行会社「おとなび」の企画した「高知県立牧野植物園を訪ねる」日帰りツアーに参加してきました。6年前には、東京都練馬区にある練馬区立牧野記念庭園を訪れたことがあり、それ以来、高知にも機会があれば出かけたいと思っていました。この時の記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1209
 今春から始まったNHKの朝ドラ(らんまん)の人気もあってか、新聞広告にも牧野植物園を訪れるツアーを目にする機会が増えました。参加したツアーは、移動手段は新幹線(新大阪 ー 岡山)と特急南風(岡山 ー 高知)を利用するもので、往復にそれぞれ4時間近くを要しましたが、目的地は植物園のみで園内を150分近く見学できました。但しこの日の午後にはJR特急南風の瀬戸大橋運行が一時見合わせになるほどの大雨で、屋外に植栽された植物の見学は限定され、主に屋内の施設(牧野富太郎記念館本館、展示館、植物研究交流センター、温室)の展示を見学しました。各施設をつなぐ回廊には天井が設けられていたおかげで、その通路の両脇に植えられた牧野富太郎ゆかりの植物を見ることが出来ました。
 牧野富太郎記念館本館内に展示されている書斎(大正14年より亡くなるまで住んだ東京都練馬区大泉の居宅内にあった)
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 バイカオウレンの説明版 (幼少時代、郷里佐川町の生家の裏山に咲くこの花を好んだと言われている)
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 バイカオウレン(花期は12月〜2月)
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 売店でこのポット植え苗が売られていたので一つ買い求めました。花が咲くまでうまく育てられればと思っています。

 ヤマトグサの説明版  (ヤマトグサは牧野富太郎が日本人として初めて日本の植物の学名を発表した記念すべき植物 1884年(明治17年に、高知県吾川郡仁淀川町で発見)
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 ヤマトグサの展示 (学名はTheligonum japonicum Okubo et Makino)
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 ムジナモの説明版 (湖沼などの水中に浮遊する食虫植物 明治23年(1890)に江戸川河川敷で日本で初めて発見)
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 ムジナモの標本(温室内での食虫植物の企画展で)
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 牧野富太郎のムジナモの詳細な植物画(展示施設内で)
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牧野の研究生活を支えた妻壽衛(昭和3年54歳で亡くなった)のために詠んだ句碑
 家守りし 妻の恵や 我が学び
 世の中の あらむかぎりや すゑ子笹
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 昭和2年に仙台で発見した新種のササを和名「スエコザサ」と命名。学名はSasaella ramosa
(Makino) Makino var. suwekoana (Makino) Sad.Suzuki
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Posted by katakago at 11:37
ノカンゾウが咲き始めました。 [2023年08月22日(Tue)]
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 畑で、ノカンゾウ(ススキノキ科)の花が咲き始めました。万葉歌で「忘れ草」と詠まれている植物は、ヤブカンゾウ(花期は6〜7月)やノカンゾウがこれに当たると考えられています。。

 花の時期が終わってしまった蓮池の様子
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 この時期も花を咲かせているハマユウが見られます。
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 種子が出来ているハマユウ
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 まだ咲いているヒオウギも見られます。
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 咲き終わったヒオウギには刮ハが出来ています(秋にはこれがはじけて中に黒い球形の種子が見られます)。
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 キキョウは、初夏に咲き終わった茎を伐り戻しておいたので、また咲き始めています。
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 タカサゴユリは今も畑のあちこちで咲いています。
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Posted by katakago at 12:24
タカサゴユリが咲き始めました [2023年08月07日(Mon)]
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 畑でタカサゴユリが咲き始めました。種が飛散して畑のあちこちで生育しています。
 この時期、ヤマザクラの幹でセミが盛んに鳴いています。
 アブラゼミ 
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 クマゼミ
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 蓮池では花托が目立つ中、まだ花が見られます。
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 畑では、猛暑で雨も降らないなか、オミナエシをはじめミソハギ(ミソハギ科)、キキョウ、カワラナデシコなどの花が咲いています。
 オミナエシとミソハギ(写真手前)
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 キキョウ
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 カワラナデシコ
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Posted by katakago at 09:06
カノコユリが開花 [2023年07月29日(Sat)]
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 裏山に植えているカノコユリが咲き始めました。この時期のユリとしては他に、タカサゴユリが来月半ばころには咲き始めます。

 ひと月近く花を楽しませてくれている蓮池の今朝の様子(来月中旬ごろまで見られるか)。 
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 咲き終わって花托が目立つ中、まだこれから開花するものも見られます。
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Posted by katakago at 10:37
梅雨明けの植物園で [2023年07月21日(Fri)]
 梅雨明けの植物園の様子を載せておきます。
畑の数か所に植えているハマユウが一斉に咲き出しました。
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 蓮池では開花株も増え、このところ毎朝写真を撮りに来る方を見受けます。
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 畑のあちらこちらでオミナエシ(スイカズラ科)が咲いています。
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【歌】 手に取れば 袖さへにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも (巻十・2115)
【口語訳】 手に取ると 袖までも染まる おみなえしが この白露に 散ったら惜しい
 オミナエシは日当たりのよい山野に自生する多年草で、黄色の小さな花が密に集まって傘状に群がり咲く(秋の七草の一つ)。「にほふ」は、その色が周辺にある物にまで反映する意で、オミナエシの鮮やかな黄色の美しさが詠まれています。当時、露は開花を促すものとも、花を散らすものとも考えられていましたが、ここは、咲いている花を傷め散らすものとして詠まれています。
 次の歌のように、をみなへしが枕詞として用いられた例もあります。
【歌】 をみなへし 佐紀沢の辺の ま葛原 いつかも繰りて 我が衣に着む (巻七・1346)
【口語訳】 (をみなへし) 佐紀沢の辺の 葛原は いつになったら手繰り寄せて わたしの衣にして着られることやら
 この歌では、をみなへしは「咲き」の意で、地名の「佐紀沢」のサキにかかる枕詞として用いられています。
 比喩歌で、表の意味は口語訳(葛を収穫して糸にし、それを織って着物にする)のようになりますが、裏の意味は、「ま葛原」を作者(男)が思っている女性に譬えて、早く成長して結婚できるようになって欲しいと解されています(井手至先生)。
Posted by katakago at 17:15
ハマユウが咲き始めました [2023年07月12日(Wed)]
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 畑に植えているハマユウ(ヒガンバナ科)が咲き始めました。
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【歌】 み熊野の 浦の浜木綿(はまゆふ) 百重(ももへ)なす 心は思へど 直(ただ)に逢はぬかも (柿本人麻呂 巻四・496)
【口語訳】 み熊野の 浦の浜木綿のように 百重にも 心では思っているが 直(じか)には逢えないものだね
 持統天皇四年(690)9月13日から24日まで紀伊行幸があり、その折の詠とみられ、四首からなる歌の最初の一首で、『万葉集釈注』によれば、人麻呂が創作して宴で披露した問答歌とみられています。ハマユウは主に暖地の海浜に生えるヒガンバナ科の多年草で、7月中旬から八月中旬にかけて白い花を咲かせます。新宮市三輪崎の孔島(くしま)にはハマユウの群生地が見られ、かつて訪れたことがあります。
 浜木綿のどのような状態によって「百重なす」の序としたかについては、犬養孝著『万葉の旅 中』によれば、「波頭のたとえ、茎が幾重、花が百重などの諸説もあるが、群落自生の実景と歌の心情の表し方を見れば、緑葉の百重としか考えられない」とあります。



Posted by katakago at 17:02
今朝の蓮池で [2023年07月08日(Sat)]
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 蓮池では開花株が増えてきました。
 蓮池の後方ではキキョウ・オミナエシ・ミソハギが咲いています。
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 万葉歌にハスの葉とサトイモの葉が詠まれた歌があります。
【歌】 蓮葉(はちすば)は かくこそあるもの 意吉麻呂(おきまろ)が 家なるものは 芋(うも)の葉にあらし (長忌寸意吉麻呂 巻十六・3826)
【口語訳】 蓮の葉とは こんなものをいうのか さては意吉麻呂の 家にあるのは 里芋の葉だな
 ハスの葉は当時食器の代用として、物を盛るのに用いられていたようです。この歌は、庭の蓮池を眼前にしての宴席で、ハスの大きな葉に食物が盛られているのを見て詠まれた戯笑歌とみられています。
 この歌の解説(『萬葉集釈注』より)は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/106
 比較のために畑で栽培しているサトイモ(サトイモ科)の葉っぱの写真を載せておきます。
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Posted by katakago at 09:38
ヤマユリ(続報) [2023年07月07日(Fri)]
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 ヤマユリは裏山の3ヶ所に植えていますが、いずれの場所でも開花が見られました。花には強い香気があります。
 ヤマユリを基に改良された園芸種はオリエンタル・ハイブリッドとよばれています(例:カサブランカ)。
 万葉集中ユリは11首詠まれています(さ百合が8首、草深百合が2首、姫百合が1首)。
百合が詠まれた例歌は、今年の記事では、ヒメサユリとササユリの記事に載せています(次のURL)。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1882
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1888

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Posted by katakago at 16:26
ヒオウギが咲き始めました [2023年07月05日(Wed)]
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 畑に植えているヒオウギ(アヤメ科)の花が咲き始めました。秋には、花後に形成された刮ハがはじけて、中から黒い球形の種子が見られます。万葉歌に詠まれている「ぬばたま」(原文は野干玉・烏玉・夜干玉などと表記)は、このヒオウギの種と考えられています。

 今春播種したヒオウギ(開花は翌年以降かと思われます)。
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 蓮池では、今朝、今年初めての花が咲きました。
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 間もなく咲きそうな蕾も見られます。
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 裏山では新たにヤマユリの別の株が咲きました。
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Posted by katakago at 13:24
ヤマユリが一輪開花 [2023年07月03日(Mon)]
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 裏山の斜面に植えているヤマユリが一輪咲きました。これから他の数株でも順次開花が見込まれます。この時期、裏山へはやぶ蚊の対策をして出かけなければなりません。

 ハスの花も間もなく咲きそうです(今週中には最初の開花が見られるか)。
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 水槽に栽培しているヒルムシロはいくつか花を付けています。
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Posted by katakago at 08:38
ハスの蕾 [2023年06月27日(Tue)]
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 蓮池では、花芽が伸びてきているのを見つけました。花は来月以降楽しめそうです。

 裏山でもアジサイの傍に植えているヤブカンゾウが咲きました。
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【歌】 忘れ草 我(あ)が下紐に 付けたれど 醜(しこ)の醜草 言(こと)にしありけり (大伴家持 巻四・727)
【口語訳】 忘れ草を 下着の紐に 着けてはみたが 阿保のあほくさ 名ばかりでした
 中国の『文選』(巻第五十三「養生論」)に、「萱草ハ憂ヲ忘レシム」とあり、当時、これを身に付けると憂苦を忘れるという漢籍に基づく俗信があり、ここでは、恋の憂いを忘れるために身に付けてみたが、忘れ草は名ばかりで、恋の苦しさを忘れさせてくれず効果がなかったと詠まれています(これは後に家持の正妻となる坂上大嬢に贈った歌)。

 畑の畦道で、コヒルガオ(ヒルガオ科)が咲いていました。
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 万葉歌の容花(かほばな)をヒルガオにあてる説があります(他にカキツバタ、オモダカ説など)。
【歌】 高円の 野辺のかほ花 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも (大伴家持 巻八・1630)
【口語訳】 高円の 野辺のかお花のように 面影に ちらついて見えてあなたのことは 忘れられない
 「かほ花」は集中4首詠まれており、いずれも女の容貌に擬しているところから、美しい花と考えられ、松田修著『増訂 万葉植物新考』では、ヒルガオ説が採られています。上二句は、下三句に続く比喩の序となっています(『新編日本古典文学全集 萬葉集』)。

 畑ではヒマワリも咲いています。 
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Posted by katakago at 10:28
ベニバナの花が最盛期 [2023年06月26日(Mon)]
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 ベニバナ(キク科)は万葉歌では紅(くれなゐ)と詠まれています。中国南部の呉の地方から渡来した植物の意味で「呉の藍」に由来するとされています。
【歌】 紅(くれなゐ)の 深染めの衣(きぬ) 色深く 染(し)みにしかばか 忘れかねつる (巻十一・2624)
【口語訳】 紅の 濃染(こぞ)めの衣のように 濃い色に 心に沁み込んだせいか 忘れられなくなった
 「寄物陳思歌(きぶつちんしか)」の一首で、自然の物象(この歌では紅)に託して、恋の心情を表現しようとする歌。紅は万葉集中36例あるうち、色名または染色に関わるものが多数です。
 ベニバナの色素は黄色(サフラワーイエロー)と赤色(カルタミン)の2種類があり、紅染めには赤色が用いられます。濃い紅染めには、この染液を何度も取り替えて衣を浸すことから、この歌の「深染めの衣」や、「紅の八入(やしほ)の衣(ころも)」(何度も何度も浸す)(巻十一・2623)など、染色工程を踏まえたとみられる表現があります。
 ベニバナが詠まれた万葉歌の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/81
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1134

 ヤブカンゾウ(ススキノキ科)の花が咲き始めました。万葉歌では萱草(わすれぐさ)と詠まれています。
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 ヒオウギの蕾(開花は来月中旬か)
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 キキョウの花が見頃です。
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 オミナエシとキキョウ
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 ヒルムシロ(ヒルムシロ科)の花が咲いています。
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Posted by katakago at 09:24
コオニユリが開花 [2023年06月25日(Sun)]
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 裏山のコオニユリ(花はオニユリに似るが葉腋にむかごが無い)が予想よりも早く開花しました。ユリは種類が多く、5月のオトメユリ(ヒメサユリ)、6月初めのササユリに次いでの開花です。来月以降は、7月半ばのヤマユリ、8月半ばのカノコユリやタカサゴユリが楽しめそうです。

 ヒヨドリバナ(キク科)の花が咲いていました。
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 ヒヨドリバナやサワヒヨドリにウイルス(ヒヨドリバナ葉脈黄化ウイルス)が感染すると、葉脈が黄色くなって黄葉したように見えることがありますが、この株は健全です。
 葉脈が黄色くなったサワヒヨドリの葉を見て、夏なのに早くも黄葉した(季節に先駆けて黄葉したのはめでたい事)と、万葉歌に詠まれています。
【歌】 この里は 継ぎて霜や置く 夏の野に 我が見し草は もみちたりけり (孝謙天皇 巻十九・4268)
【口語訳】 この里は 年じゅう霜が置くのだろうか 夏の野で わたしが見た草は こんなに色づいていたよ
「継ぎて霜や置く」は、当時、霜は木の葉や草を色づかせると考えられていました。
 この歌の解説は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/52
Posted by katakago at 14:41
スモモを収穫 [2023年06月23日(Fri)]
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 スモモ(バラ科)はその花が万葉歌に詠まれているので裏山や畑に植えています。
 裏山の一株にはいっぱい実が生りました。苗木を植えたのは十数年前ですが、これほどたくさん生ったのは初めてです。昨春、業者に依頼して裏山の整備を行った際、大きな木や竹を伐採し、付近の日当たりがよくなったからかと思われます。実は小ぶりですが、熟すと酸っぱみはほとんどなく甘くなります。先日来より試しに味見をしながら収穫時を探っていました。鳥に食べられる前に、今朝、熟した実を収穫しました。
 畑に植えている二株は別の品種でまだ実は青く、収穫できるのは来月中旬かと思われます。



Posted by katakago at 13:38
ネムノキの花が咲き始めました [2023年06月17日(Sat)]
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 裏山に自生するネムノキは、昨年春に高く伸びた幹を伐採したため今年は花が見られるか気がかりでした。先月から蕾を付けている枝を目にしていたので、来月には咲くのではと、裏山巡回時には気を付けていました。今朝、その花が咲いているのを見つけました。
【歌】 昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ (紀女郎 巻八・1461)
【口語訳】 昼間は咲き 夜は恋いつつ寝るという ねむの花です あるじだけ見るべきでしょうか 戯奴も見なさい
 「合歓木」はネムノキ(マメ科)で、複生する小葉を夜間閉じ合わせて眠る特性から、ネブ・ネブリなどの名がつけられました。「合歓」の字は、その葉が夜に合する性質によって、男女の交合に譬えた漢籍によったものとされています(『新編日本古典文学全集 萬葉集』より)。この歌は、大伴家持に贈った歌で、『萬葉集全注』では、「家持にその花を見に来るように促す形で、共寝を誘う意をにおわしている」とあります。これに対し家持は、「我妹子(わぎもこ)が 形見の合歓木は 花のみに 咲きてけだしく 実にならじかも (あなたに 頂戴したねむは 花ばかり 咲いておそらく 実を結ばないのではないでしょうか)」(巻八・1463) と、やんわり誘いを断っています。この贈答歌は戯れの遊びとみられています。 

 裏山の斜面でツユクサ(ツユクサ科)の花が咲いています(万葉歌では鴨頭草(つきくさ)と詠まれている)。
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【歌】 月草に 衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ (巻七・1339)
【口語訳】 月草で 衣を染めて 摺りたいが 変わりやすい色だと 聞くのがつらい
 比喩歌に分類され、草に寄する17首のうちの1首。「摺る」は、布の上に型紙や型木を当て、その上から刷毛で摺って模様を染め出す捺染(なっせん)の技法(『新編日本古典文学全集 萬葉集』の頭注より)。「月草」はツユクサで、青色の花を咲かせ、その花の汁を摺り染めにしても色が褪せ易いことより、変わりやすい比喩に用いられ、ツユクサが詠まれた9首中6首が「うつろふ」の意で使用されています。「衣色どり摺る」に求婚を受け入れる意を、「うつろふ色」にさめやすく移り気な心を譬えているとみられています(『萬葉集釈注』より)。『新編全集』の頭注には、「結婚しようと思う相手が心変わりしやすい性格の持ち主と聞いて、ためらっている女の歌か」とあります。
 
 これから咲くユリの様子を載せておきます。
 ヤマユリの蕾(開花は来月半ばか)
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 コオニユリの蕾(開花は来月半ばか)
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Posted by katakago at 12:14
ベニバナが一輪開花 [2023年06月16日(Fri)]
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 畑で栽培しているベニバナ(キク科)が一輪開花しました。今年の春に播種したものです。
 万葉歌では、くれなゐ(原文表記は紅・呉藍など)と詠まれています。
【歌】 紅(くれなゐ)の 花にしあらば 衣手(ころもで)に 染め付け持ちて 行くべく思ほゆ (巻十一・2827)
【口語訳】 あなたが紅の 花であったら 衣の袖に 染め付け持って 行きたいほどです
 『新編日本古典文学全集 萬葉集』の頭注には、「地方官などになって任地にある間、部内の女子と親しんでいた男が、別れに際して詠んだ歌か。」とあります。

 早くも秋の七草の多くが咲き始めています。
オミナエシ(スイカズラ科)も咲き始めました。
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 カワラナデシコはこの時期が一番の見頃です。
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 キキョウも次々と花を咲かせています。
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 この時期、ミヤギノハギ(マメ科)が咲いています(9月にもう一度開花)。
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Posted by katakago at 15:38
オカトラノオが咲き始めました [2023年06月12日(Mon)]
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 裏山の斜面では、オカトラノオ(サクラソウ科)の花が咲き始めました。今年は昨年よりも株数が増えてきました。

 一雨ごとにアジサイの花の色が鮮やかになりました(写真は裏山入り口付近)。
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 裏山の斜面に植えたアジサイ
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 ベニガク(アジサイ科) 
周囲のガク片の装飾花は、はじめは白く今はピンク色に変化しています。
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 テイカカズラ(キョウチクトウ科)の花
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Posted by katakago at 11:46
キキョウが咲き始めました [2023年06月04日(Sun)]
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 畑に植えているキキョウ(キキョウ科)が咲き始めました。万葉歌で「あさがほ」と詠まれている植物は、キキョウが相応しいとの説が有力です。
【歌】 朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲き増さりけり (巻十・2104)
【口語訳】 朝顔は 朝露をやどして 咲くと言われているが 夕方の淡い光の中の方が ずっと美しく見えるよ
 キキョウの関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/77
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/389

 裏山では、ササユリの別の株が先月(27日の記事)に続いて咲いています。
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 クララ(マメ科)の花
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 クララは万葉歌には詠まれていませんが、眩草(クララクサ)が省略されたもので、根汁をなめると苦いため目が眩むところからついた名で、漢方では、この根を乾燥して健胃薬とし、また民間では牛馬の皮膚の寄生虫を駆除するのに全草の煎汁が用いられるそうです(松田修著『古典植物事典』より)。
 クララの関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/632
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/520

Posted by katakago at 17:49
ビワを収穫 [2023年06月03日(Sat)]
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 ビワの袋掛けを外して試しに味わうと、充分熟していました。孫が近くに住んでいれば、一緒に収穫作業を楽しめるのですが、今は東京です。そこで午後から半分以上を収穫し、その中で良さそうなものを選んで送ってやりました。残りは明日収穫の予定です。
 来月にはスモモ(品種の異なる数株)の果実を順次収穫できそうです。。



Posted by katakago at 18:26
ヒルムシロ [2023年06月01日(Thu)]
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 NHK朝ドラ「らんまん」の今週の植物のテーマはヒルムシロ(ヒルムシロ科)です。そこで大型バットで栽培している写真を掲載しておきます(花は今月下旬かと思われます)。
 ヒルムシロは、万葉歌(巻十四の東歌)で、たはみづら(原文は多波美豆良と表記)にあてる説があります。
【歌】 安波(あは)をろの をろ田に 生(お)はる たはみづら 引かばぬるぬる 我(あ)を言(こと)な絶え (巻十四・3501)
【口語訳】 安波の峰の 山田に生える たわみづらのように 私が引いたらずるずるとどこまでもついて来て 私との仲を絶やさないでくれ (『萬葉集全注』より)
 『牧野万葉植物図鑑』(北隆館 2022年11月発行)には、水島南平 作のヒルムシロの図版が掲載されています。
 ヒルムシロの花の写真は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/646

 大型バットで個別に植えているジュンサイ(ジュンサイ科)の花が咲いています。 
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 ジュンサイは万葉歌の蓴(ぬなは)とされています。上記『牧野万葉植物図鑑』に図版が掲載されています。揺れ動く女の恋心を 浮葉性多年生水草のジュンサイに譬えた次の歌があります。
【歌】 我(あ)が心 ゆたにたゆたに 浮き蓴(ぬなは) 辺(へ)にも沖にも 寄りかつましじ (巻七・1352)
【口語訳】 わたしの心は ゆったりしたり動揺したりで 浮き蓴(ぬなわ)のように 岸にも沖にも 寄ってしまえそうにない  

 蓮池傍では、ハナショウブの見ごろとなりました。
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Posted by katakago at 15:55
『万葉植物の歌 鑑賞事典 』が完成 [2023年05月30日(Tue)]
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 坂本信幸先生(高岡市万葉歴史館名誉館長、奈良女子大学名誉教授)監修の『万葉植物の歌 鑑賞事典 (カラー版)画像QRコード付』が完成し、今朝、出版社(和泉書院)より著者献本として一部送って頂きました。
 植物が詠まれた万葉歌108首の歌の考察と鑑賞について万葉学者の坂本信幸先生、影山尚之先生(武庫川女子大学教授)、垣見修司先生(同志社大学教授)が分担執筆されました。私は、主に猪名川万葉植物園で撮影した万葉植物の写真と、コラム(万葉植物園の日常から)、「万葉植物一覧」を担当しました。また、坂本信幸先生の「万葉植物とその表現」、植物生態学がご専門の服部保先生(兵庫県立南但馬自然学校学長、兵庫県立大学名誉教授)による「万葉集の植物・植生・景観」の論文も掲載されています。
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 これまで植物園で育ててきた植物の写真がこのような形で役立ち大変うれしく思っています。写真の画像データはQRコードから読み取れるようになっており、歌に詠まれた植物を通して、万葉歌を鑑賞するきっかけになればと思っています。

2023年5月30日 初版第一刷発行
発行所 和泉書院 (電話 06-6771-1467)
定価 本体4000円+税

Posted by katakago at 16:02
ササユリが開花 [2023年05月27日(Sat)]
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 裏山のササユリが今朝開花しました。
【歌】 道の辺の 草深百合の 花笑みに 笑みしがからに 妻と言ふべしや (巻七・1257)
【口語訳】 道ばたの 草深ゆりの 花のように 微笑んだぐらいのことで 妻と言ってよいものでしょうか
 『新編日本古典文学全集 萬葉集』の頭注には、「行きずりに微笑んだぐらいのことで、それを好意の表れと誤解した男への返事」とあります。

 畑のあちらこちらでカワラナデシコ(ナデシコ科)が咲いています。
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 大伴家持が、赴任先の越中で都に残した妻(坂上大嬢)を思い、独り身の寂しさを慰めるために、なでしこの種を蒔き百合を移し植えたと詠んだ歌(次の長歌)があります。左注には閏5月26日とあり、太陽暦の7月⒚日頃詠まれたようです。
【歌】 大君の 遠の朝廷(みかど)と 任(ま)きたまふ 官(つかさ)のまにま み雪降る 越(こし)に下り来 あらたまの 年の五年(いつとせ) しきたへの 手枕(たまくら)まかず 紐解かず 丸寝(まろね)をすれば いぶせみと 心なぐさに なでしこを やどに蒔き生(お)ほし 夏の野の さ百合引き植ゑて 咲く花を い出見るごとに なでしこが その花妻に さ百合花 ゆりも逢はむと 慰むる 心しなくは 天離る 鄙に一日(ひとひ)も あるべくもあれや (巻十八・4113)
【口語訳】 大君の 遠い公吏として 遣わされた 職務に従い 雪の降る 越中に下って来 (あらたまの) 五年の任期間 (しきたへの) 妻の手枕もせず 紐も解かず 丸寝をすると 辛気くさいので 気晴らしに なでしこの種を 庭に蒔き生やし 夏の野の 百合を引き植えて 咲く花を 出て見るたびに なでしこのような 花妻の大嬢(だいじょう)に ゆりの花の ゆりー
後には逢えようと 気を紛らす ことでもなければ (天離る) 鄙に一日でも いられるものか
 「さ百合花 ゆりも逢はむと」のさ百合花は、同音でゆり(後の意)にかかる枕詞。

 3年前に播種したヒオウギ(花は7月中旬ごろ)
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 今春播種したヒオウギ(周囲の草を取り除いたところ発芽していました)
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Posted by katakago at 15:15
裏山のアジサイ [2023年05月25日(Thu)]
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 裏山に植えているアジサイ(アジサイ科)が咲き始めました。
 ヤマアジサイの花
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 ガクアジサイの花
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【歌】 あぢさゐの 八重咲くごとく 八(や)つ代(よ)にを いませ我が背子 見つつ偲はむ (橘諸兄 巻二十・4448)
【口語訳】 あじさいが 八重に咲くように 八代も 長生きしてください君よ 見てはあなたを偲びましょう
 天平勝宝七年(755)5月11日に、左大臣橘諸兄が右大弁丹比国人真人の邸宅を訪れた際の宴席で、主賓の諸兄が詠んだ歌。5月11日は太陽暦の6月28日にあたり、アジサイの花の最盛期であったと思われます。「あぢさゐの 八重咲くごとく」は、アジサイの花の様から八重といい、同音の「八つ代」を導き、八代も長く栄えることの比喩として、主人丹比国人の長寿を祝って詠まれています(『新編日本古典文学全集 萬葉集』より。但し、その頭注では集散花序のアジサイを重弁の意の八重と称するのは不合理とある)。『新潮日本古典集成 万葉集』では花の色が変わると解されて、その口語訳も「あじさいが次々と色どりを変えてま新しく咲くように」となっています。。アジサイは日本原産の植物で、和名のアジサイのアジはアツで集まること、サイは真藍(さあい)の約されたもので、青い花が群れて咲くからといわれています。

 ササユリが間もなく開花しそうです。
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Posted by katakago at 14:08
ハナショウブが咲き始めました [2023年05月22日(Mon)]
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 蓮池の隣では、ハナショウブ(アヤメ科)の花が咲き始めました。これから来月中旬ごろまで花を楽しめそうです。

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 蓮池ではハスの立ち葉が伸びてきました。その間には混植しているアサザ(ミツガシワ科)の花が咲いています。
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 アサザの花
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 アサザ(万葉歌ではあざさ)が詠まれた万葉歌は以前の記事に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/49

 畦道ではチガヤ(イネ科)の穂が見られます。
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チガヤ(万葉歌ではち、つばな)が詠まれた歌は以前の記事に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/352



Posted by katakago at 11:30
サクランボが色づく [2023年05月17日(Wed)]
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 サクランボが色づき始めました。今年はカメムシなどの被害もなく、果実を収穫できそうです。

 果樹園の様子(手前は野菜などを栽培、写真左前方にソラマメ、ジャガイモ)
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 柑橘類の花が咲いています。
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 ポポー(バンレイシ科)の花と幼果
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 アーモンド(バラ科)の果実
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 スモモ(バラ科)の果実
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 カリン(バラ科)の果実
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Posted by katakago at 10:29
ウツギやセンダンの花が咲いています [2023年05月16日(Tue)]
 裏山では、ウツギ(アジサイ科)やセンダン(センダン科)の花が咲いています。
 ウツギの花
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 万葉歌では、卯の花と詠まれています。
【歌】 卯の花も いまだ咲かねば ほととぎす 佐保の山辺に 来鳴きとよもす (大伴家持 巻八・1477)
【口語訳】 卯の花も まだ咲いていないのに ほととぎすは 佐保の山辺に もう来て鳴き立てている
 ホトトギスが思いもかけず卯の花の咲かないうちに、我が住む里にやって来た喜びを詠った歌。「卯の花の いまだ咲かねば」は、当時、卯の花はホトトギスの到来とともに咲くと考えられていたことに基づく表現。同じ家持の作で、卯の花が咲く月(旧暦の四月)の到来という、暦上の季節感によってホトトギスを待つ心を詠んだ歌があります。
【歌】 卯の花の 咲く月立ちぬ ほととぎす 来鳴きとよめよ 含(ふふ)みたりとも (巻十八・4066)
【口語訳】 卯の花の 咲く月が来たぞ ほととぎすよ 来鳴きとよもせ まだ蕾であっても
 万葉集中卯の花が詠まれた24首のうち、18首にホトトギスが詠まれています。

 センダンの花 (万葉歌では「あふち」と詠まれています)
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【歌】 妹が見し 楝(あふち)の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干なくに (山上憶良 巻五・798)
【口語訳】 妻が見た 楝の花は もう散ってしまいそうだ わたしの泣く涙は まだ乾かないのに
 この歌の解説は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/38

 ノイバラ(バラ科)の花も咲いています。
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 クサイチゴ(バラ科)の果実
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Posted by katakago at 09:23
特別講演「東大寺修二会の声明」 [2023年05月14日(Sun)]
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 昨日、フェスティバルホールで「東大寺修二会の声明」特別公演が行われ出かけてきました。寺外での公開は14年ぶりで、東大寺開山良弁(ろうべん)僧正1250年御忌記念として企画されました。参加者は2000人以上で、5月20日には東京の国立劇場でも公演が行われます。
 東大寺の修二会は毎年3月(旧暦2月)に二月堂で営まれる法要で、別火(前行、2/20〜2月末)、本行(3/1〜3/14)の日程で行われます。行法は、11人の練行衆(籠りの僧)が本尊の十一面観音(二月堂には大観音、小観音の二体の本尊)に、日ごろの過ちを懺悔して菩薩の法力を讃え、天下泰安、風雨順時、五穀成就、万民快楽(けらく)を祈って、菩薩の功徳を授かる「十一面観音悔過法要」と言われるものです。この修二会は、東大寺の開山良弁僧正の高弟であった実忠和尚(かしょう)が、天平勝宝四年(752、大仏開眼の年)に始めたもので、以来戦火の中でも休むことなく続けられ、「不退の行法」と言われています(今年で1272回目)。
 以前(2012年)に、二月堂内陣で行われた行法の様子を、外陣で格子越しに見学したことがあります。その時の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/270

 修二会は六時(ろくじ)の行法とも呼ばれ、一日を「日中・日没(にちもつ)・初夜・半夜・後夜(ごや)・晨朝(じんちょう)」の六つの「時(じ)」に分けて悔過作法が行われ、今回の公演では、練行衆しか立ち入れない二月堂内陣の様子を舞台上に再現して、「初夜の悔過作法」、「初夜の大導師作法」、「走り」、「後夜の悔過作法」、「後夜の大導師作法」、「後夜の 咒師(しゅし)作法」、「晨朝の悔過作法」が上演されました。声明は節のついたお経で、11人の練行衆により抑揚をつけて唱えられ、時に鈴や鐘、法螺貝の音も加わって、一種の仏教音楽をなしていると言われています。この度、改めて四時間以上にわたって間近で聴くことが出来ました。




Posted by katakago at 16:24
ヒメサユリ(オトメユリ)が開花 [2023年05月06日(Sat)]
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 裏山には数種類のユリを植えていますが、その中で最初に咲くヒメサユリ(オトメユリ)が開花しました。常陸国の防人歌に、ユリを詠んだ次のような歌があります。
【歌】 筑波嶺(つくはね)の さ百合(ゆる)の花の 夜床(ゆとこ)にも かなしけ妹そ 昼もかなしけ (上丁大舎人部千文 巻二十・4369)
【口語訳】 筑波嶺の さ百合の花のように 夜床でも いとしい妻は 昼間もいとしい

 自生しているエゴノキ(エゴノキ科)も花を咲かせています。万葉歌で「やまぢさ」、「ちさ」と詠まれている植物にエゴノキを当てる説があります。
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【歌】 山ぢさの 白露重み うらぶれて 心に深く 我(あ)が恋止まず (巻十一・2469)
【口語訳】 山ちさがしとどにおいた白露の重さでうなだれるようにうちしおれて、 心の底深く 私の恋は止むことがない
 この歌は、巻十一の寄物陳思歌(物に寄せて思いを陳ぶる歌)に分類され、「山ぢさの白露重み」は「うらぶれて」を起こす序(山ぢさの花に露がいっぱい置いてうなだれしおれている様子が比喩の序)となっています。

 マユミ(ニシキギ科)の花も咲いています。
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Posted by katakago at 14:55
日本植物画倶楽部会報「くさかや」に寄稿 [2023年05月01日(Mon)]
 日本植物画倶楽部と(一財)公園財団との共催で、昨春より全国巡回で開催された「万葉植物画展」は、先月、飛鳥歴史公園(キトラ古墳 四神の館)と犬養万葉記念館での展示を最後に終了しました。この企画で、展示植物画のキャプションと図録で万葉歌の解説を担当させていただいたご縁で、2022年度の会報「くさかや」Vol.31 に寄稿させていただきました。「万葉集を愉しむ〜故地探訪・私設の万葉植物園〜」と題して、万葉集とのかかわりについて述べさせていただきました。
 会報(2023年4月30日発行)の表紙 
「くさかや」は、草茅姫(草をつかさどる女神)の名に由来するとのことです。
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 犬養孝先生との出会い、同好の仲間と万葉故地巡り、手づくりの万葉植物園開設などについて触れています。
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 今月下旬には、和泉書院より、坂本信幸先生監修の『万葉植物の歌 鑑賞事典 (カラー版)』が刊行の予定です。万葉学者の坂本信幸先生・影山尚之先生・垣見修司先生と植物生態学がご専門の服部保先生が執筆され、私は万葉植物の写真(他にコラムと万葉植物一覧)を担当させていただきました。

Posted by katakago at 17:55
水辺の植物も開花 [2023年04月29日(Sat)]
 蓮池傍に植えているカキツバタ(アヤメ科)が咲き始めました。
 花の色は濃紫色や紺色で、外花被片の中央に白い線があります。
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【歌】 我(あれ)のみに かく恋すらむ かきつはた につらふ妹は いかにかあるらむ (巻十・1986)
【口語訳】 わたしだけ こうも恋焦がれているのだろうか かきつばたのように 頬赤らめたあの娘(こ)は どんな気なのだろう (少しは自分の気持ちを察してくれているのであろうか)

 ショウブ(ショウブ科)の花
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 万葉歌では、あやめぐさ(原文は菖蒲草・菖蒲などと表記)として詠まれています。
【歌】 ほととぎす 厭ふ時なし あやめぐさ 蘰にせむ日 こゆ鳴き渡れ (巻十・1955)
【口語訳】 ほととぎすよ 嫌な時などないぞ あやめぐさを 蘰にする日に ここを鳴いて行け
 ショウブは根茎・葉など全体から独特の匂いを発し、これが邪気を払い疫病を除くといわれて、端午の節句に使用されます。「あやめぐさ 蘰にせむ日」は五月五日で、『続日本紀』(天平十九年条)には、太上(元正)天皇が、「五月五日に宮廷に出仕する際、官人が菖蒲を蘰にして来るよう」に詔したことが記されています。ショウブが詠まれた歌は万葉集中十二例あり、そのうち「ほととぎす 待てど来鳴かず あやめぐさ」(巻八・1490)や、「ほととぎす 来鳴く五月の あやめぐさ」(巻十八・4116)など、大伴家持作歌は九首あります。

 水槽で栽培しているアサザ(ミツガシワ科)が早くも開花(写真手前はヒシの葉)
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Posted by katakago at 13:53
薬師寺東塔落慶法要に参列(4/21) [2023年04月22日(Sat)]
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 薬師寺では、国宝の東塔落慶法要が25日まで執り行われています。初日の昨日、参列する機会を得ました(以前に写経と施餓鬼塔婆供養でご縁があり招待状を頂いていました)。
 薬師寺は天武天皇の発願(680年)により、持統天皇によって本尊開眼(697年)、文武天皇の時代に飛鳥の地に堂宇が完成、その後平城遷都(710年)に伴い現在の西の京に移されました。その後兵火で多くの堂塔が失われましたが、その復興は昭和43年から始まった「お写経勧進」によって進められ(現在写経の数は870万巻とのこと)、金堂・西塔・中門・回廊・大講堂などが再建されています。東塔はこれまで被災することなく白鳳時代より創建時の姿を現在に伝えています(三重塔でありながら各重に裳階(もこし)を付ける)。2009年に始められた解体修理を終えてこの度の落慶法要となりました(当初2020年予定がコロナ禍で延期されていた)。
 法要は塔の前に設けられた舞台で執り行われました。会場清めの舞楽(振鉾)から始まり、東塔釈迦四相像の開眼の儀、奉献の儀(献茶・献華)、散華、読経(般若心経・舎利礼文)、奉納舞など、2時間近くの儀式に参加できました(開眼式では導師の動作にあわせて参列者も記念品の筆を持って開眼のしぐさを行ったり、般若心経などのお経を唱和)。
 この日は晴天下であったため、主催者の勧めもあり2000名近くの参列者は、記念品の「てぬぐい」を日よけのために頭にかぶって参列しました。会場内での一連の行事の写真撮影は許可されていましたので、いくつか載せておきます。
 早くも9時過ぎには受付を終え会場に向かう多くの参列者(会式は10時30分)
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 会場清めの舞楽 振鉾(えんぶ)
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 導師 加藤 朝胤(ちょういん)管主による惣礼
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 東塔釈迦四相像の開眼の儀 (参列者もあわせて同じしぐさ)
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 奉献の儀(献華) 池坊 専好 宗匠
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 散華
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 参列した希望者には加藤朝胤 管主との記念写真を撮って頂けました。
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Posted by katakago at 15:09
フジも開花 [2023年04月19日(Wed)]
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 藤はわが国には、フジ(ノダフジ)とヤマフジ(ノフジ)の二種類があり、写真は畑に設えた藤棚に咲くノダフジです。万葉集中に27首詠まれています。
【歌】 恋しけば 形見にせむと 我がやどに 植ゑし藤波 今咲きにけり (山部赤人 巻八・1471)
【口語訳】 恋しくなったら 偲びぐさにしようと思って 家の庭に 植えた藤の花は 今咲き始めた
 「藤波」は、フジの花房が風に揺れる様を波に見立てた歌語(かご)。「形見」は、それを見ることで人を思い起こす縁(よすが)の品のことで、生存する者同士でも用いられた(『萬葉集釈注』)。
 類想歌に、
【歌】 恋しくは 形見せよと 我が背子が 植ゑし秋萩 花咲きにけり (巻十・2119)
こちらは女性の作。

 畑に植えているアマドコロ(キジカクシ科)の花が咲いています(写真手前はセリ科のミツバ)。草姿や花の形は同じキジカクシ科のナルコユリに似ていますが、ナルコユリの茎には稜が無く、アマドコロの茎は6稜の違いがあります。
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 次の万葉歌で、にこ草(原文は似児草と表記)と詠まれている植物に、アマドコロをあてる説があります(他にイノモトソウ科のハコネシダとする説も)。
【歌】 葦垣の 中のにこ草 にこよかに 我と笑(ゑ)まして 人に知らゆな (巻十一・2762)
【口語訳】 葦垣の 中のにこ草の にこやかに 私に笑顔を見せて 二人の仲を人に知られるでないぞ
 「葦垣の 中のにこ草」は、ニコの同音繰り返しで「にこよかに」を起こす序。

 花の終わったオキナグサ(キンポウゲ科) 
痩果(そうか)は花柱が長く伸び、老人の白髪のような白毛を密生させています(和名:翁草、漢名:白頭翁)。
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 畑で、早くもカワラナデシコ(ナデシコ科)の花を咲かせている株を見つけました。
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Posted by katakago at 11:46
ヤマツツジが咲き始めました [2023年04月14日(Fri)]
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 裏山の木々の若葉の鮮やかな季節となりました(花粉や黄砂の心配がなければ過ごし易い季節なのですが)。
 裏山のヤマツツジが咲き始めました。
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 こちらは間もなく開花しそうです。
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【歌】 山越て 遠津(とほつ)の浜の 石(いは)つつじ 我が来るまでに 含(ふふ)みてあり待て (巻七・1188)
【口語訳】 (山越て) 遠津の浜の いわつつじよ 私が帰ってくるまで 蕾のままで待っていておくれ
【歌】 水伝(みなつた)ふ 磯の浦廻の 石(いは)つつじ 茂(も)く咲く道を またも見むかも (巻二・185)
【口語訳】 遣水の 磯辺に植えた いわつつじの 茂り咲くこの道を また見ることがるだろうか(草壁皇子が亡くなった時に柿本人麻呂の挽歌に続いて舎人が詠んだ歌の一首)。
 ツツジが詠まれた別の歌は下記のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/585
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/817

 この時期、裏山に自生するヤマザクラの花が咲いています(写真左奥はユズリハの木)。
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 ヤマザクラの拡大
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 ユズリハの新葉が出ています(写真左後方はアカメガシワ)。
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ユズリハが詠まれた万葉歌は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/251
Posted by katakago at 14:48
ヤマブキの花が見頃です [2023年04月09日(Sun)]
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 裏山のヤマブキ(バラ科)が一斉に咲き見頃となりました。この時期、アセビの花はまだ咲いており、ヤマブキの株元ではクサイチゴ(バラ科)が白い花を咲かせ、シャガ(アヤメ科)の花も咲き始めました。
 八重のヤマブキも咲いています。
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【歌】 かはづ鳴く 神奈備川に 影見えて 今か咲くらむ 山吹の花 (厚見王 巻八・1435)
【口語訳】 蛙の鳴く 神奈備川に 影を映して 今頃咲いていることであろうか 山吹の花が
 『萬葉集全歌講義』には、「この歌の作者は神奈備川から遠く離れた所で、山吹の花が美しい姿を水に映して咲いている様子を想像している」とあります。

 高市皇子の十市皇女(天武天皇の長女、母は額田王)に対する挽歌に、
【歌】 山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく (巻二・158)
【口語訳】 山吹が 咲き匂っている 山清水を 汲みに行きたいが 道が分からないことよ
 上三句「山吹の 立ちよそひたる 山清水」については、『新編日本古典文学全集萬 萬葉集』の頭注に、「死後の世界を意味する中国の『黄泉』の語を意訳して黄色い山吹と清水で表している」とあります。
 左注に、『日本書紀』を引いて、「天武七年(678)四月七日に突然病気になって宮中で亡くなった」とあり、作者の高市皇子は、壬申の乱の時天武軍を指揮し、皇女の夫(大友皇子)を死に追いやった。その高市がこの折なぜ挽歌を詠んだかは分かっていない。大友皇子の敗死によって皇女を不幸にしたとの思いからか(『萬葉集全歌講義』)、あるいは、当時皇女は異母兄の高市と結ばれていたのではないかとする説(『万葉集釈注』・『新潮日本古典集成 萬葉集』)があります。

Posted by katakago at 15:31
ビワの袋掛け [2023年04月04日(Tue)]
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 果樹園のビワの木で、袋掛け作業を行いました(100袋ほど使用)。6月中旬の収穫が楽しみです。

 果樹園では、スモモに続きプルーン、カリン、姫リンゴ、サクランボ、ポポーの花が咲いています。
 プルーンの花は満開です(今年は果実を収穫できるか楽しみです)。
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 カリンの花
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 姫リンゴ(アルプス乙女)の花が咲き始めました。
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 サクランボの花
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 ポポーの花
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Posted by katakago at 13:05
さわらびの 萌え出づる春 [2023年04月01日(Sat)]
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 裏山の斜面で、ワラビ(コバノイシカグマ科)を見つけました。万葉歌で、志貴皇子の次の歌がよく知られています。
【歌】 石(いは)走(ばし)る 垂水の上の さわらびの 萌え出(い)づる春に なりにけるかも (巻八・1418)
【口語訳】 岩の上をほとばしり流れる 垂水のほとりの さわらびが 萌え出る春に なったなあ 
 この歌の解説は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/307

 カラタチ(ミカン科)の花も咲き出しました。
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 カラタチは、巻十六の題詞に「忌部首、数種(くさぐさ)の物を詠む歌一首」とある次の歌に詠まれています(宴などきわめてくだけた集団の場における即興とみられている)。
【歌】 からたちの 茨(うばら)刈り除(そ)け 倉建てむ 屎遠くまれ 櫛造る刀自(とじ)
【口語訳】 からたちの 茨を刈り除いて 倉を建てるのだ 屎は遠くに行ってせい 櫛造りのおばちゃんよ

 ヒトリシズカが一面に花を咲かせています。
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Posted by katakago at 14:34
ヤマナシの花も開花 [2023年03月28日(Tue)]
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 ヤマナシ(バラ科)の花が一斉に咲き始めました。ナシが詠まれた次の万葉歌を載せておきます。
【歌】 梨棗 黍に粟次ぎ 延(は)ふ葛の 後も逢はむと 葵花咲く (巻十六・3834)
【口語訳】 梨(離)棗(早) 黍(君)に粟(逢)と続いて (延ふ葛の) いずれは逢おうと 葵(逢う日)の花が咲く
この歌の関連記事(次のURL)には、『新編日本古典文学全集 萬葉集』の解説を引用しています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/574

 裏山や畑に植えている桜が順次開花しています。以下に、今朝の写真を載せておきます。
 裏山入り口近くに植えている桜は満開です。
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 先月中旬に、裏山の五輪塔跡に植樹したヤマザクラが咲き始めました。
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 裏山の枝垂桜は間もなく咲きそうです。
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 畑のセンダイヤは満開です。
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 畑で最初に咲いたヤマザクラ
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 オオシマザクラも開花(花弁は他のヤマザクラより大きく純白。葉は桜餅に使用されるようです)
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Posted by katakago at 13:41
ヤマブキが咲き始めました [2023年03月25日(Sat)]
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 裏山の数か所にヤマブキ(バラ科)を植えていますが、そのうちの一か所では早くも花が咲き始めています。ヤマブキとスミレが詠まれた歌があります。
【歌】 山吹の 咲きたる野辺の つほすみれ この春の雨に 盛りなりけり (高田女王 巻八・1444)
【口語訳】 山吹が 咲いている野辺の つぼすみれは この春雨の中 今真っ盛りである
 タチツボスミレ
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 スミレ
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 裏山巡回中にタケノコが出ているのを見つけ早速掘り上げました。
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 シュンラン(ラン科)も咲いていました。
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Posted by katakago at 15:36
ヤマザクラの園芸種 センダイヤも開花 [2023年03月23日(Thu)]
 エドヒガンに続き、ヤマザクラも咲き始めました。
【歌】 春雨に 争ひかねて 我がやどの 桜の花は 咲きそめにけり (巻十・1869)
【口語訳】 春雨に 逆らえなくて 家の庭の 桜の花は ほころび始めた
『新編日本古典文学全集 萬葉集』の頭注には、「ここは春雨が桜の花に咲け咲けと催促するのに対して、桜が拒んでいるように擬人的に表現したもの。漢籍に類似表現がある。」とあります。
 写真は今朝雨が降る前に撮影したセンダイヤ(牧野富太郎博士命名のヤマザクラの園芸種)の蕾
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 午後雨の止むのを待って同じ枝を撮影
雨に濡れながらも花が開いていました(花弁は濃いピンク色です)。
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 別のヤマザクラ(品種は不明)も咲き始めました。こちらは花弁の色は白で、開花と同時に新葉も見られます。 
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 昨日掲載のエドヒガンを、猪名川の堤防から遠望した写真も載せておきます。遠くからでも目立つようになりました。 
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Posted by katakago at 17:31
エドヒガンは早くも満開に [2023年03月22日(Wed)]
 裏山の二本のエドヒガンは早くもほぼ満開となりました。明日の天気は雨の予報で、その前の写真を掲載しておきます。
【歌】 あしひきの 山の際(ま)照らす 桜花 この春雨に 散り行かむかも (巻十・1864)
【口語訳】 (あしひきの) 山あいを照らしている 桜花は この春雨に 散り行くことであろうか
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 花の蜜を吸うメジロ
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 今朝裏山で咲いていたカタクリ
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 裏山のヤマブキも間もなく咲きそうです。
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 今朝畑で咲いていたオキナグサ
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 ハナショウブも新葉が伸びてきました。
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Posted by katakago at 15:25
裏山のエドヒガンも開花 [2023年03月19日(Sun)]
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 裏山には13年ほど前にエドヒガンの実生苗を2株移植しましたが、今では大きく育ち今年も花が咲き始めました。これから4月にかけて他のヤマザクラも順次開花するものと思われます。

 裏山のイロハモミジの樹下で、ヒトリシズカ(センリョウ科)の花が咲き始めました。
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ヒトリシズカ、フタリシズカの関連記事は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/30
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/304

 アンズの花は間もなく散ってしまいそうです。
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 スモモは一斉に花を開きました。初夏に果実を収穫するのが楽しみです。
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Posted by katakago at 11:54
春の花 続報 [2023年03月16日(Thu)]
 スモモの花が咲き始めました。スモモは万葉歌に次の一首が詠まれています。
【歌】 我が苑の 李の花か 庭に散る はだれのいまだ 残りたるかも (大伴家持 巻十九・4140)
この歌の解説は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/305
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 一重に続き八重の花桃も咲いています。
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 ツクシの傍でタチツボスミレが咲いていました。
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 畑の数か所でオキナグサが咲いています。
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 裏山のシキミ(マツブサ科)の大木も花を咲かせています。シキミが詠まれた万葉歌は次の一首のみです。
【歌】 奥山の しきみが花の 名のごとや しくしく君に 恋ひ渡りなむ (大原眞人今城 巻二十・4476)
この歌の解説は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/282
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 裏山の斜面ではカタクリが順次咲いています。
写真右の咲き終わった株では刮ハが出来ています。
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 果樹園ではアンズの花が満開です。
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 アーモンドの花も咲いています。
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 裏山の入り口付近ではヒメオドリコソウ(シソ科)の群生が見られます。
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 バイモ(ユリ科)の花も咲き始めました。 
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Posted by katakago at 16:17
春の花が次々と [2023年03月12日(Sun)]
 裏山に植えている花桃(一重)が見ごろとなりました。
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 大伴家持が桃の花を詠んだ次の歌があります。
【歌】 春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子 (巻十九・4139)
【口語訳】 春の園は、まるで一面紅色に照り輝いている、その桃の花の樹の下まで照り映える道に、つと出で立っているおとめよ。(『万葉集全注』より)
この歌の解説については、以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/286

 果樹園では、サクランボ(暖地桜桃)の花が咲き始めました。
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 アンズ(バラ科)も間もなく開花しそうです。
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 ネコヤナギ(カワヤナギ)の花穂 
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Posted by katakago at 16:41
明日香で万葉植物画展 [2023年03月11日(Sat)]
 今月1日から国営飛鳥歴史公園内の「キトラ古墳 四神の館」と「犬養万葉記念館」で開催されている「万葉植物画展〜アートと万葉歌の出逢い〜」展示会に出かけてきました。
 近鉄吉野線の壺阪山駅からキトラ古墳をめざし、「キトラ古墳 四神の館」で観覧したのち、檜隈寺跡 → 高松塚古墳 → 天武・持統天皇陵 → 橘寺 → 犬養万葉記念館 → 豊浦宮跡 → 橿原神宮前駅 のコースを歩きました。
 整備されたキトラ古墳の外観
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 四神の館内の展示(撮影は許可されています)
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 館内には平成22年に取り外された石室内の壁画のレプリカが展示されています。
写真は石室のレプリカ
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 キトラ古墳壁画の写真(南壁 朱雀、北壁 玄武、東壁 青龍、西壁 白虎)
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 「万葉植物画展」会場入り口
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 入り口付近から見た会場内の様子
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 犬養万葉記念館へ行く途中に通り過ぎた天武・持統天皇陵(これまで何度も訪れている)
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 橘寺(写真)まで来ると間もなく犬養万葉記念館へ 
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 犬養万葉記念館で展示会場入り口付近
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 展示会場の様子
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 観覧を終えて橿原神宮前駅に向かう途中、豊浦地区の田んぼの中の一本の木に寄生したヤドリギ(ビャクダン科)を見かけました。 
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 ヤドリギは万葉歌では「ほよ」と詠まれています。
【歌】 あしひきの 山の木末(こぬれ)の ほよ取りて かざしつらくは 千年(ちとせ)寿(ほ)くとそ
(大伴家持 巻十八・4136)
【口語訳】 (あしひきの) 山の梢の ほよを取って 髪に挿したのは 千年の命を祝う気持ちからです
 『新編日本古典文学全集 萬葉集』の頭注には、「冬の間、落葉樹の林の中でこのやどりぎだけが鮮やかな色で茂っているさまに、永遠の命を認めて、信仰の対象とする習俗が、世界各地にある。ここもやどりぎの神秘的呪力を信じてこれを身に付けたのであろう」とあります。


 明日香村では、明日、「飛鳥ハーフマラソン」が開催されます。

Posted by katakago at 17:45
ヤブツバキとアセビ [2023年03月09日(Thu)]
 万葉歌にツバキとアセビが詠まれた歌があります。
【歌】 三諸(みもろ)は 人の守(も)る山 本(もと)辺は あしび花咲き 末(すゑ)辺は 椿花咲く うらぐはし 山そ 泣く子守る山 (巻十三・3222)
【口語訳】 三諸山は、 人々の大切に守っている山だよ。麓にはあしびの花が咲き、頂には椿の花が咲く。美しい山だよ。泣く子を見守るように、人々の見守っている山だよ。
 この歌は、四・七・四・七・四・七・五・三・七の音数律をもち、長歌の末尾が五・三・七で終わるのは古い謡い物に多い形式で、古くから伝承された歌とみられています(『萬葉集全歌講義』より)。三諸は、神の降臨して籠る場所で、明日香の甘南備山とする説、あるいは三輪山とする説がありますが、歌からは特定できません。花咲く春の山を讃える「山ぼめ歌」とみられています。
 裏山の斜面に自生しているヤブツバキ(ツバキ科)が見ごろとなりました。
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 咲き始めたアセビ(ツツジ科)
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 畑に植えている白梅は満開です。
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Posted by katakago at 13:28
カタクリが開花 [2023年03月08日(Wed)]
 5日掲載のカタクリの花が咲きました。
万葉歌には、大伴家持の次の一首のみ詠まれています。歌では「かたかご」と詠まれ、一例しかないものは孤語と称される。
【歌】 もののふの 八十娘子(やそをとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花 (巻十九・4143)
【口語訳】 (もののふの) 群れなす乙女が 汲みさざめく 寺井のほとりの かたかごの花よ

 昨日(3/7)はまだ蕾
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 今朝開花したカタクリ
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 畑で生育しているオキナグサ(キンポウゲ科)の花も開きそうです。
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Posted by katakago at 15:48
カタクリの蕾 [2023年03月05日(Sun)]
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 陽気がよくなり、このところ裏山へはほぼ毎日出かけています。今年はスギやヒノキの花粉の飛散量が多いためマスクの着用は必須です。
 裏山の斜面で蕾を付けたカタクリ(ユリ科)一株を見つけました。今年は例年よりも早く開花しそうです。

 果樹園では、あちらこちらでオオイヌノフグリ(オオバコ科)の花が咲いています。
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 畑ではツクシを1本見つけました。
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Posted by katakago at 14:03
春の訪れ [2023年03月01日(Wed)]
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 このところの陽気で菜の花も満開です。
裏山では、ウメ(写真上)に続いてモモ(一重の花桃、写真下)が咲き始めました。

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 ネコヤナギも芽吹き始めました。 
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 シキミも花を咲かせています。
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 ミツマタ(ブータン大輪ミツマタ)も咲き始めました。
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 畑では、アオサギを見かけるようになりました。
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Posted by katakago at 14:28
畑の樹木剪定を業者に依頼 [2023年02月27日(Mon)]
 昨年は裏山の手入れ(高木の伐採など)を業者にやってもらいましたが、今回は畑に植えた樹木の剪定作業を行ってもらいました。キリ、クヌギ、シダレヤナギ、ハンノキ、タブノキ、スギ、マツ、ケヤキ、ヤマナシなど伸びすぎた枝を切り落とし、スッキリしました。来月下旬にはヤマザクラの花が楽しめそうです。
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 果樹園脇の矢問川堤防法面の草も刈ってもらってスッキリしました。
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 畑で見かけた野鳥
 ヤマガラ 
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 ヒヨドリと思われる
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 イソヒヨドリか?
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Posted by katakago at 16:48
明日香で万葉植物画展 [2023年02月20日(Mon)]
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(チラシ写真は犬養万葉記念館のホームページより)

 日本植物画倶楽部と一般財団法人公園財団主催の「万葉植物画展」は、昨春より全国各地(平城宮跡歴史公園、国営アルプスあづみの公園、国営昭和記念公園、国営武蔵丘陵森林公園)で開催されてきましたが、来月より最後の会場となる明日香村の国営飛鳥歴史公園(キトラ古墳壁画館 四神の館)と犬養万葉記念館で開催されます(4月9日まで)。第一会場のキトラ古墳壁画館 四神の館シアタールームでは59作品、第二会場の犬養万葉記念館では18作品が展示されます。
 私は展示植物画のキャプションと図録で万葉歌の解説を担当させていただきました。昨年の平城宮跡会場にも出かけていますが、久しぶりに明日香路の散策もかねて両会場に出かけてみようと思っています。

Posted by katakago at 16:25
裏山にヤマザクラの苗木を植樹 [2023年02月14日(Tue)]
 一昨年、裏山の五輪塔(木田氏中興塔)を自宅敷地内に移設しましたが、その跡地にヤマザクラの苗木を植樹しました。作業は毎年庭の樹木の剪定をお願いしている業者さんにやって頂きました。これから週2,3回程度の水遣りが必要です。今春花が見られるか楽しみです。

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 裏山では、花の色が薄いピンク色のアケボノアセビ(ツツジ科)が咲き始めました。白い花のアセビはまだ蕾で花の時期は来月下旬ごろかと思われます。
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 「恋する気持ちが奥山のアセビの花のように今や真っ盛り」と詠まれた万葉歌があります。
【歌】 我が背子に 我が恋ふらくは 奥山の あしびの花の 今盛りなり (巻十・1903)

 
Posted by katakago at 14:48
雪が積もりました [2023年01月25日(Wed)]
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 今年になって初めての積雪です(写真は雪が積もった裏山の入り口付近の様子)。
 大雪を豊年の瑞兆として詠まれた万葉歌を載せておきます。天平十八年(746)正月に雪が降り積もり、太上天皇(元正)の御所で雪掻きの奉仕が行われた際に葛井連諸会が詠んだ歌です。
【歌】 新(あらた)しき 年の初めに 豊の稔(とし) しるすとならし 雪の降れるは (巻十七・3925)
【口語訳】 新しい 年の初めに 今年豊作の 前触れをするのでありましょう こんなに雪が降るのは
 この歌の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/527

 大伴家持の次の歌の解説は、以前の記事に載せています。
【歌】 新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと) (巻二十・4516)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/520 

 畑の蓮池も氷が張り雪が積もっていました。 
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 実を付けたタチバナの葉にも雪が積もっていました。
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【歌】 橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝に霜置けど いや常葉(とこは)の木 (聖武天皇 巻六・1009)
【口語訳】 橘は 実まで花まで その葉まで 枝に霜が置いても いよいよ栄える木であるぞ
 この歌の関連記事は以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/269

Posted by katakago at 09:58
白梅が咲き始めました [2023年01月15日(Sun)]
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 2023年の最初の植物園の写真は白梅です。裏山や畑に植えているうちの畑の一株で花が咲き始めました。
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 天平二年正月十三日(西暦730年2月8日)に、大宰府の長官大伴旅人の邸宅で「梅花の宴」が開かれた時に、32首の梅の歌が詠まれています。次にその最初の歌を載せておきます。
【歌】 正月(むつき)立ち 春の来(きた)らば かくしこそ 梅を招(を)きつつ 楽しき終(を)へめ (大弐紀卿 巻五・815)
【歌】 正月になり 春が来たなら こうやって 毎年梅を迎えて 歓を尽くしましょう
「梅花の宴」の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1636

 裏山ではヤブツバキが一輪咲いていました。見頃は来月中旬以降かと思われます。  
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Posted by katakago at 14:58
大坂両替商「鉄屋」関連資料を入手 [2022年12月28日(Wed)]
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 7年ほど前に、『木田家のルーツを尋ねるー石碑の銘文に導かれてー』を自費出版しましたが、その後も先祖に関連する資料を探してきました。この度、思文閣出版古書部のカタログで、天保十四年九月改正大新版「日本持丸長者集」の一枚摺を見つけ購入することが出来ました(東西の大関には鴻池善右衛門と加嶋屋久右衛門)。天保十四年(1843)当時「鉄屋」は鉄屋庄右衛門を名のっていたらしく、その名が行司蘭に記されています(拡大写真)。なお、現物は入手出来ていませんが、同じ年の「大阪持丸長者鑑」(大阪市立中央図書館蔵)にも「二千(単位は両か?)」の項に鉄屋庄右衛門の名があります(筆頭には十万の項に鴻池善右衛門、加嶋屋久右衛門の名)。

 実家に伝わる「木田 中村系図」(正徳元年 1711 作成)には、多田郷木田家から分かれた木田庄右衛門(鉄屋初代)と木田四郎右衛門高吉(初代川崎屋)の名が記されています。いずれも大坂で両替商を営んだ記録が残っています(上記自費出版本参照)。
 天保初年(1830頃)の大坂三郷の町並みを再現した「なにわ大坂ー町家の歳時記」展示に関連して作成された地図「浪花の繁栄ー大阪三郷の商工ー」(原図作成 古賀秀策、解説 大阪くらしの今昔館)に、両替商の鉄屋庄左衛門と川崎屋三右衛門の店の位置を確認できました。東横堀川に架かる思案橋傍に近接して商いを行っていたことが分かります(いずれも十人両替となった時期もある)。
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 「鉄屋」の木田重寛が安永四年(1775)に大仙寺に「涅槃図」を寄進した際、施主が木田知常と連名になっています(下の写真はその箱書き)。その存在を知った2018年当時は、木田知常が如何なる人物か分からなかったのですが、その後、中西顕三氏の『摂州多田塩川氏と畿内戦国物語』に、木田徳蔵知義(川崎屋五代目)に連なる「川崎屋」の一族(徳蔵の子か)であることが分かりました 
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 先の自費出版本で作成した「木田氏関係年表(商家の時代)」にその後得られた知見を追加して改めて下記に整理してみました。
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自費出版本関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1060

Posted by katakago at 15:12
師走の植物園で [2022年12月15日(Thu)]
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 十二月半ばのこの時期にも、裏山でタカサゴユリが一輪咲いていました(紅葉したイロハモミジを背に)。
 自生しているマンリョウ(サクラソウ科)が真っ赤な実を付けています。
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 すっかり葉が落ちたミズメ(カバノキ科)で果穂と雄花序がみられます。
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 果穂
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 雄花序
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 ハンノキ(カバノキ科)の果穂と雄花序(こちらはまだ葉っぱが残っています)。
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 果穂
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 雄花序
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 ハンノキの果穂は、その煎汁に灰汁(あく)や鉄などの媒染剤を加えて褐黄色・褐色・紺黒色などの染料とされたようで、「衣に摺りつ」・「摺れる衣」などと詠まれた歌があります。そのうちの譬喩歌をあげておきます。
【歌】 白菅の 真野の榛原 心ゆも 思はぬ我し 衣に摺りつ (巻七・1354)
【口語訳】 白菅の生い茂る真野の榛の林、その榛を、心底思っているわけでもない私としたことが、衣の摺り染めに使ってしまった。
 口語訳は『萬葉集釈注』に拠りましたが、そこでは、「真野の榛原」を男に、「衣に摺る」にその男と契ったことを譬えた歌で、意に染まない男の妻となったことを悔やむ女の嘆きと解説されています。
Posted by katakago at 15:30
師走に咲くヒマワリ [2022年12月02日(Fri)]
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 師走の畑で、8月下旬に播種したヒマワリが咲いています。夏季は揃って開花しますが、この時期は生育にばらつきがあるためか開花の時期が株毎に異なります。その分長く花を楽しめます。また、切り花にしても長持ちします。
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 先に開花した株では種が出来ています。
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 その他、この時期花が見られるのはノジギクで、カワラナデシコとタカサゴユリがそれぞれ一株づつ今も咲いていました。
 ノジギク
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 カワラナデシコ
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 タカサゴユリ
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Posted by katakago at 14:34
裏山の紅葉 [2022年11月30日(Wed)]
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 裏山では今春の整備の一環で、アラカシ・ヒノキ・クヌギ・コナラなどの大きな木や竹を伐採したため、イロハモミジをはじめ落葉樹の紅葉が際立つようになりました。
 イロハモミジ(ムクロジ科)
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 ケヤキ(ニレ科)
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 イヌビワ(クワ科)
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 サネカズラ(マツブサ科)の液果が赤く色づきました(万葉歌では「さなかづら」と詠まれている)。
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 葉は厚手で光沢があり、落葉しないまま色づき始めました。
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関連万葉歌
【歌】 あしひきの 山さな葛(かづら) 黄変(もみつ)まで 妹に逢はずや 我が恋ひ居らむ (巻十・2296)
【口語訳】 (あしひきの) 山さなかずらが 赤く色づくまでも あの娘に逢わずに 私は恋し続けることよ  
 多くの注釈書では葉が赤く色づくとみられていますが、それほど鮮やかな赤にはなりません。

 
 先週、三番目の孫の七五三のお参りに多田神社に出かけました。平日(学校行事の代休日)であったためゆっくりと参拝できました。健やかに育ってくれることを願っています。
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Posted by katakago at 15:23
ハギの黄葉 [2022年11月20日(Sun)]
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 裏山では、咲き終わった萩の葉も色づき始めました。ハギは万葉集中最も多く詠まれており(141首)、その中で葉の黄葉が詠まれた歌を次に抄出しておきます。「もみち」の原文表記は下線で示しておきます。

【歌】 雲の上に 鳴きつる雁の 寒きなへ 萩の下葉は 黄変(もみちぬる)かも (巻八・1575)
【口語訳】 雲の上で 鳴いた雁の声が ひんやりしていると思ったら 萩の下葉は 色づき始めました
【歌】 我がやどの 萩の下葉は 秋風も いまだ吹かねば かくそ毛美(もみ)てる (大伴家持 巻八・1628)
【口語訳】 家の庭の 萩の下葉は 秋風も まだ吹かないのに こんなに色づいています
【歌】 秋萩の 下葉赤(もみちぬ) あらたまの 月の経ぬれば 風を疾(いた)みかも (巻十・2205)
【口語訳】 秋萩の 下葉が色づいた (あらたまの) 月が改まったので 風が荒いからだろうか
【歌】 秋萩の 下葉の黄葉(もみち) 花に継ぎ 時過ぎ行かば 後恋ひむかも (巻十・2209)
【口語訳】 秋萩の 下葉の色が 花に続いて変わり 時が過ぎていったら あとで懐かしく思われることだろうか
【歌】 さ夜更けて しぐれな降りそ 秋萩の 本葉の黄葉(もみち) 散らまく惜しも (巻十・2215)
【口語訳】 夜が更けて しぐれよ降るな 秋萩の 本葉(もとは)の紅葉(もみじ)が 散ったら惜しい
【歌】 天雲に 雁そ鳴くなる 高円の 萩の下葉は 毛美知(もみち)あへむかも (中臣清麻呂 巻二十・4296)
【口語訳】 天雲に もう雁が鳴いているね 高円の 萩の下葉は 色づきおおせるだろうか 

そのうち、巻十・2205の歌については、次のURLに関連記事を載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/143



Posted by katakago at 17:02
木々の紅葉 [2022年11月08日(Tue)]
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 裏山の木々が色づいてきました。上の写真はイロハモミジ(ムクロジ科)の紅葉。樹種によって赤や黄色に色づいてきます(以下数種の樹木の葉の写真を掲載)。
 万葉歌で、露霜にあって色づいた草や木の葉が「もみち」、「もみちば」と詠まれており、その原文表記のほとんどは「黄葉」となっています。これは以前の記事にも触れているように、中国の六朝から初唐までの用字の導入とみられています(小島憲之著『上代日本文学と中国文学 中』)。
 ヤマハゼ(ウルシ科)の葉 
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 カツラ(カツラ科)の葉
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 ミズメ(カバノキ科)の葉
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 カシワ(ブナ科)の葉
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 クヌギ(ブナ科)の葉
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 3週間ほど前に吊るした干し柿が乾燥してきました。
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 出来上がった干し柿とクリの渋皮煮
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 今夜の皆既月食の様子も載せておきます。
午後7時ごろ
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午後8時過ぎ
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Posted by katakago at 14:31
コウヤボウキの花 [2022年11月02日(Wed)]
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 裏山の手入れをしていた際、コウヤボウキ(キク科)の花が咲いているのを見つけました。万葉歌に「たまばはき」と詠まれている植物がコウヤボウキに当たるとされています。次の二首に詠まれています。
【歌】 玉箒(たまばはき) 刈り来(こ)鎌麻呂 むろの木と 棗が本と かき掃かむため (長忌寸意吉麻呂 巻十六・3830)
この歌については、以前のナツメの記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/163
【歌】 初春の 初子の今日の 玉箒 手に取るからに 揺らく玉の緒 (大伴家持 巻二十・4493)
コウヤボウキが詠まれたこの歌の解説は、以前の記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/201

 白花のフジバカマが咲いています。
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 タカサゴユリが咲いていました。
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 キキョウはこの時期もまだ咲いている株があります。
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 蓮池でアサザが一輪咲いていました。
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Posted by katakago at 14:34
樹木の果実 [2022年10月29日(Sat)]
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 畑に植えているクヌギ(ブナ科)でドングリを見つけました。殻斗(かくと)に堅果が一個の「橿の実」は、万葉歌では「ひとり」の枕詞に詠まれています。
関連の歌は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/291
 イチイガシ(ブナ科)のドングリ
裏山に植えた木はまだ実を付けませんが、近隣の塩川(猪名川の一支流)堤防で撮影しました。
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 キリの果実(卵形体の刮ハで中に種子を含む)
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 翌年に花を咲かせる蕾を付けています。
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 今日の午後、国営昭和記念公園主催の「公園文化の集い ボタニカルアートの世界」にオンラインで参加しました。大場秀章先生の基調講演「万葉集に詠まれた植物と植物画」と山中麻須美氏の「植物画デモンストレーション」を視聴できました。
 講演の中で、下記の点で気になった個所がありアンケートで返信しています。
「かへるて」と詠まれた植物は、黄色く色づくイタヤカエデが相応しいとのことでした。
万葉歌で、秋に樹木や草の葉が赤や黄色に色づくことまたその葉を、「もみつ」(動詞)や「もみち」(名詞)と詠まれ、その原文表記のほとんどは仮名書きを除き、黄変・黄反・黄色(動詞)や黄葉(動詞、名詞)で表されています。この傾向は、中国六朝から初唐までのモミチの用字の傾向と合致し、その文字の導入によると考えられています(小島憲之著『上代日本文学と中国文学 中』)。なお、赤系統の色で表記したものは「紅葉」、「赤葉」が各一例で、動詞「もみつ」を「赤」で表記したものは2例。従って、赤く色づくイロハモミジであっても良いかと思われます(万葉植物画展ではイロハモミジを採用)。

写真は会場に出かけた親戚の方より送ってもらった会場入り口付近の様子(10月30日追加)
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国営昭和記念公園での万葉植物画展は10月30日までで、11月12日からは国営武蔵丘陵森林公園で来年1月15日まで開催予定。
Posted by katakago at 17:46
月下美人の開花 [2022年10月28日(Fri)]
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 今朝、ガラス室内で月下美人が咲いていました。この株は、7月4日にも花を咲かせましたが、この時期の開花は初めてです。夏に開花した花は明け方にはしぼんでしまうのですが、今回は午前中は花が開いていました。
7月の記事は下記のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1828

 蕾を付けているのに気づいてから、写真を撮っていましたので途中経過を載せておきます。
 10月15日の様子
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 10月18日の様子
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 10月23日の様子
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 10月28日
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Posted by katakago at 13:23
桜紅葉(さくらもみじ) [2022年10月21日(Fri)]
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 畑に植えているヤマザクラの葉が紅葉してきました。
秋に樹木や草の葉が赤や黄色に色づくこと、またその葉を万葉歌では「もみち」(名詞)・「もみつ」(動詞)と詠まれています(その原文表記はほとんどが「黄葉」)。
 次の歌は、大伴家持の「世間(よのなか)の無常を悲しぶる歌」の反歌
【歌】 言(こと)問はぬ 木すら春咲き 秋付けば 黄葉(もみち)散(ぢ)らくは 常をなみこそ (巻十九・4161)
【歌】 物を言わない 木さえも春は咲き 秋になると 紅葉して散るのは すべてが無常だからだ (人でない木すら無常なのだから、まして人は・・・)
 「もみち」の表記については以前記事(次のURL)に載せています
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1312

 ヨメナの花が咲いています。
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ヨメナが詠まれた万葉歌は以前の記事に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/107
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/279

 この時期、そのほかフジバカマやタデ類の花が咲いています。
 フジバカマ
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 シロバナサクラタデ
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 イヌタデ
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Posted by katakago at 18:46
西条柿で干し柿つくり [2022年10月18日(Tue)]
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 今年は西条柿(渋柿)がたくさん生りました。一部は樹上で熟柿となりましたが、それ以外は気温が低下した時期を見計らって干し柿にすることにしました。カビが生えるのを抑えるため、皮をむいた後熱湯に漬ける(10数秒ほど)のがコツのようです。80個を処理するのに半日がかりの作業となりました。
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 果樹園の温州ミカン(宮川早生)も色づいてきました。今月末には収穫できそうです。
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この時期、自宅庭のモクセイが芳香を漂わせています。
 キンモクセイ
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 ギンモクセイの花も咲いています(キンモクセイに比べほのかな香り)。
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Posted by katakago at 15:09
オケラの花 [2022年10月01日(Sat)]
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 オケラは山野に自生するキク科の多年草で、10年以上前に裏山の入り口近くに植えた株が今年も花を咲かせています。『万葉集』では、巻十四の東歌に「うけら」として3首詠まれています。
 オケラが詠まれた万葉歌は以前の記事に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/182
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/476

 裏山では、カラタチ(ミカン科)の実が色づいています。
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 カラタチが詠まれた次の万葉歌は以前の記事(下記のURL)に載せています。
【歌】 からたちの 茨(うばら)刈り除(そ)け 倉建てむ 屎遠くまれ 櫛造る刀自(とじ) (忌部首 巻十六・3832)
 巻十六にはこの歌のような機知・諧謔・滑稽の歌(戯笑歌)が集められており、この歌では各句一つずつ、からたち、茨、倉、屎、櫛の五つの物が詠み込まれています。宴会の席など極めて砕けた集団の場での即興歌とみられています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/985
Posted by katakago at 15:55
秋の七草 [2022年09月25日(Sun)]
 朝夕は秋の気配が感じられるようになりました。裏山と畑で秋の七草を探してみました。
 下記の山上憶良の「秋野の花を詠む歌二首」に詠まれています(二首目は五・七・七・五・七・七の六句からなる旋頭歌)。
【歌】 秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種(くさ)の花 (巻八・1537)
【歌】 萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花 (巻八・1538)
 尾花はススキ(イネ科)で、朝顔はいくつかの説がある中、キキョウ(キキョウ科)とする説が有力です。

 ハギ(マメ科)の花(先の台風で花が一部散ってしまった株もありますが)
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 ススキ(イネ科)の穂が出始めました。
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 裏山で見つけたクズ(マメ科)の花(蔓がはびこると厄介な草ですが)
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 カワラナデシコ(ナデシコ科) この時期の開花株は僅かです。
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 オミナエシ(スイカズラ科)は今も咲いています。
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 フジバカマ(キク科)の蕾(開花は来月か)
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 切り戻したキキョウが今も咲いています。
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 ミズアオイは今も咲いています。
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 ヒガンバナに飛来したナミアゲハを見つけました。
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Posted by katakago at 15:38
ヒガンバナが一斉に開花 [2022年09月22日(Thu)]
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 あちらこちらの畦道で、ヒガンバナ(ヒガンバナ科)が一斉に咲き出しました。
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 次の万葉歌に「いちし」(原文は壱師と表記)と詠まれている植物にヒガンバナを当てる説があります(牧野富太郎著『植物知識』)。
【歌】 道の辺の いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ 我が恋妻は (巻十一・2480)
【口語訳】 道のほとりの いちしの花のように はっきりと 人々は知ってしまった 私の恋しく思っている妻の事を
 「いちし」についてはヒガンバナの他にも、クサイチゴ・ギシギシ・イタドリ・エゴノキなど諸説があります。ヒガンバナ以外は白または白系統の花で、「いちしろく」にかかることより、白い花を咲かせる植物が相応しいとする(『新編日本古典文学全集 万葉集』ではクサイチゴ説)のに対し、植物学者の牧野富太郎博士は、「いちしろく」の原文は「灼然」で、燃えるがごとく目覚めるばかりの赤い花が相応しいと考えたようです。
以前の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/172
Posted by katakago at 14:02
秋空にヒマワリの花 [2022年09月12日(Mon)]
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 万葉植物ではありませんが、畑にはヒマワリも植えています。昨年のこぼれ種が発芽したものは、7月に開花しましたが、写真は7月中旬に播種したもので、一斉に咲き出しました。
 晩秋にも花が見られるようにと先月下旬にも播種し、苗が育ってきました(写真左の畝)。
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 畑に植えているヤマザクラの幹でツクツクボウシが鳴いていました(写真に撮れたのはこれが初めて)。
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Posted by katakago at 14:24
ヒガンバナが一輪開花 [2022年09月10日(Sat)]
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 果樹園の片隅で、ヒガンバナ(ヒガンバナ科)が一輪咲いていました。畦道一面に咲くのはもう少し先のようです。

 畑ではノカンゾウの花が今も咲いています。
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 果樹園のサクランボの株元では、ニラの群生が見られました。
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 この時期、秋の七草のうち、オミナエシ・ハギ・キキョウの花が見られます。
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Posted by katakago at 14:04
ミズアオイが開花 [2022年09月08日(Thu)]
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 3年前からポットで育てているミズアオイ(ミズアオイ科)の花がやっと咲き始めました(一年生草本で種が発芽したもの)。これまで8月中旬には花を咲かせていましたが、今年はほぼ一か月遅れの開花です。次の万葉歌(巻十六の物名歌)で、なぎ(原文は水葱と表記)と詠まれている植物がミズアオイに当たるとみられています。
【歌】 醤酢(ひしほす)に 蒜(ひる)搗き合(か)てて 鯛願ふ 我にな見えそ 水葱(なぎ)の羹(あつもの) (長忌寸意吉麻呂 巻十六・3829)
この歌の解説は、ノビルの記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/36

 畑に植えているハギの花が咲き始めました。
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 果樹園で、ニラ(ヒガンバナ科)の花が咲いていました。
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ニラは万葉歌では「みら」と詠まれています。
【歌】 伎波都久の 岡のくくみら 我摘めど 籠にも満たなふ 背なと摘まさね (巻十四・3444)
この歌の関連記事は次のURLに載せています。 
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/162
Posted by katakago at 13:15
秋の味覚 [2022年09月05日(Mon)]
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 9月になり、早朝の農作業時には栗拾いを行っています(品種は早生の「丹沢」)。カキ(品種は「早秋」)も収穫できるようになりました。
 カキは防鳥ネットを被せています。 
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 ポポーの実も生っています。完熟果を採るためにネットの袋掛けをしています。
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 熟すと袋の中に落下
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 写真のクリの木(品種は銀寄)では、今月中旬には栗拾いが出来そうです。
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 極早生の温州ミカン(品種は「日南(ひな)の姫」) 来月初旬には収穫できそうです。
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Posted by katakago at 14:43
ヒオウギの種 [2022年08月31日(Wed)]
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 ヒオウギは花後に形成された刮ハがはじけて、中から黒い球形の種子がみられます。万葉歌に詠まれている「ぬばたま」は、このヒオウギの種子とみられています。80首詠まれているすべてが、枕詞(黒・夜・暗・夢などにかかる)として用いられています。次に、例歌を一つ上げておきます。
【歌】 ぬばたまの 黒髪変はり 白けても 痛き恋には あふ時ありけり (沙弥満誓 巻四・573)
【口語訳】 (ぬばたまの) 黒髪が 白髪に変わっても つらい恋に 出会う時はあるものですね

 畑に植えているヤマナシに実が生っています(今年は数は僅かですが)。
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 この時期目立つ花はオミナエシの群生です。
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 花の時期が終わった蓮池では、花托に種子が出来ています(一部は落下)。
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 畑に置いたポットで栽培している水生植物(コナギ、ヒルムシロ、ヒシ)の花が咲いています。
 コナギ(ミズアオイ科)の花
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 ヒルムシロ(ヒルムシロ科)の花
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 ヒシ(ミソハギ科)の花
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Posted by katakago at 15:36
万葉植物画展(国営昭和記念公園 花みどり文化センターギャラリー) [2022年08月28日(Sun)]
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 「万葉植物画展」の巡回開催のお知らせです。平城宮跡、国営アルプスあづみの公園(本日まで)に続き、来月9月9日より国営昭和記念公園花みどり文化センターギャラリー3で10月30日まで開催されます。主催は、国営昭和記念公園管理センター、一般財団法人公園財団、日本植物画倶楽部で、私(猪名川万葉植物園)は、展示画のキャプションと図録の万葉歌の解説を担当しました。本展示で日本植物画倶楽部の責任者の小西先生によると、図録は好評で増刷されたとのことです。

 万葉植物画展のこれまでの関連記事は次のURLに載せています。
 平城宮跡での開催チラシ
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1786
 図録の紹介記事
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1791
 平城宮跡での講演会(山中麻須美氏)の記事
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1807





Posted by katakago at 13:04
ノカンゾウの花が咲き始めました [2022年08月19日(Fri)]
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 果樹園のクリの木の傍で、ノカンゾウ(ススキノキ科)が咲き始めました。万葉歌で、わすれぐさ(原文は萱草と表記)と詠まれている植物は、ヤブカンゾウやノカンゾウとされています。当時、漢籍(『文選』の「養生論」)に基づき、「わすれぐさ」を下紐に付けると憂苦を忘れるという俗信があり、恋の苦しさから逃れるための具として詠まれた次のような歌があります。
【歌】 忘れ草 我が紐に付く 時となく 思ひ渡れば 生けりともなし (巻十二・3060)
【口語訳】 忘れ草を わたしの紐に付ける 絶え間なく 思い続けていると 人心地もない

 裏山での作業中、キツネノカミソリ(ヒガンバナ科)が花を咲かせているのを見つけました。
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 キキョウは花が終わった後、茎を切り戻しておいてやると写真のように再び花を咲かせてくれます。
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 ハマユウは今も咲いている株がありますが、先に咲いた花には刮ハ(中に種子)が形成されています(写真左)。
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Posted by katakago at 13:49
ヘクソカズラの花 [2022年08月12日(Fri)]
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 裏山で、ヘクソカズラ(アカネ科)の花が咲いているのを見つけました。万葉歌では、くそかづら(原文表記は屎葛)と詠まれています。
【歌】 ざうけふに 延ひおほとれる 屎葛 絶ゆることなく 宮仕へせむ (高宮王 巻十六・3855)
この歌の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/116

 裏山で見かけたヤブラン(クサスギカズラ科)の花
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 ヒヨドリバナ(キク科)の花が咲いていました。
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この個体はウイルス(ヒヨドリバナ葉脈黄化ウイルス)には感染していませんが、関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/52

 裏山で咲いた白カノコユリ
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 自宅庭で見かけたミヤマクワガタ(目にするのはこのブログ開始以来初めて)
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Posted by katakago at 11:14
タカサゴユリが咲き始めました [2022年08月06日(Sat)]
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畑では、黄色いオミナエシの花を背景にタカサゴユリが咲き始めました。
 この時期、カノコユリも咲いています。
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 ハマユウが一斉に花を咲かせています。 
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 ケイトウは今も咲いています。
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 花が咲き終わったヒオウギ(刮ハが形成されています)
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 畑に植えているヤマザクラやケヤキの木の枝でセミが盛んに鳴いています。
万葉歌にもセミが詠まれています(次は遣新羅使人の歌)。この歌の関連記事は次のURL。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/114
【歌】 石(いは)走る 滝もとどろに 鳴く蝉の 声をし聞けば 都し思ほゆ (大石蓑麻呂 巻十五・3617) 
 アブラゼミ
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 クマゼミ
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Posted by katakago at 10:05
ツユクサの花 [2022年07月25日(Mon)]
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 今春、大きな木を伐採して日当たりの良くなった裏山の斜面で、ツユクサ(ツユクサ科)の群生が見られます。万葉歌では、つきくさ(原文表記は鴨頭草)と詠まれています。青色の花を咲かせ、その花の汁を摺り染めにしても色が褪せ易いことより、変わり易い比喩に用いられ、ツユクサが詠まれた9首中6首が「うつろふ」の意で使用されています。
 ツユクサが詠まれた万葉歌の解説は以前の記事(下記のURL)に載せています。
【歌】 月草に 衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ (巻七・1339)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/73
【歌】 朝(あした)咲き 夕(ゆふへ)は消ぬる 月草の 消ぬべき恋も 我はするかも (巻十・2291)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/149
【歌】 月草の うつろひ易く 思へかも 我が思ふ人の 言も告げ来ぬ (巻4・583)
【歌】 百(もも)に千(ち)に 人は言ふとも 月草の うつろふ心 我持ためやも (巻十二・3059)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/383

 裏山の灌木に絡まってナツフジ(マメ科)が咲いていました。
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 万葉歌で、ときじきふぢ(原文は非時藤と表記)と詠まれている植物は、季節外れに咲いたフジとみる説の他、ナツフジとする説もあります。次の歌の関連記事は下記のURL に掲載。
【歌】 我がやどの 時じき藤の めづらしく 今も見てしか 妹が笑まひを (大伴家持 巻八・1627)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/135

 この時期、畑一面にオミナエシの花が咲いています。
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 ハマユウも次々と開花しています。
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 今朝の蓮池の様子(花が咲き終わって花托が目立つようになりました)
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Posted by katakago at 15:43
ヒシの花 [2022年07月15日(Fri)]
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 ヒシ(ミソハギ科)は以前、蓮池に植えたりもしましたが、ハスやアサザの生育が旺盛なため、翌年には見られなくなり、現在は畑の一角に置いた大型バットで栽培しています。今朝、花が咲いているのの気づきました。万葉歌には二首詠まれています。
【歌】 君がため 浮沼(うきぬ)の池の 菱摘むと 我が染めし袖 濡れにけるかも (柿本人麻呂歌集 巻七・1249)
【歌】 豊国の 企救(きく)の池なる 菱の末(うれ)を 摘むとや妹が み袖濡れけむ (巻十六・3876)
 これらの歌の解説は以前のオニビシの記事(次のURL)に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/129

 蓮池の傍らで、セリの花も咲いています。
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セリが詠まれた歌は下記のURLに載せています。
【歌】 あかねさす 昼は田賜(た)びて ぬばたまの 夜の暇(いとま)に 摘める芹これ (葛城王 巻二十・4455)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1141

 畑ではヒオウギ(アヤメ科)の花が真っ盛りです。
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 クリの木の下でも咲いています。
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 ケイトウ(ヒユ科)の花が咲きました。
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 ケイトウは、万葉歌では「からあゐ」と詠まれています。わが国には、染料(韓渡来の藍)として移入され、観賞用にも植栽されていたようです。それぞれの歌の解説は下記のURLに載せています。
【歌】 秋さらば 移しもせむと 我が蒔きし 韓藍の花を 誰か摘みけむ (巻七・1362)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/118
【歌】 恋ふる日の 日(け)長くしあれば 我が苑の 韓藍の花の 色に出(い)でにけり (巻十・2278)
【歌】 我がやどに 韓藍蒔き生(お)ほし 枯れぬとも 懲りずてまたも 蒔かむとそ思ふ (巻三・384)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/147
【歌】 隠(こも)りには 恋ひて死ぬとも み苑生(そのふ)の 韓藍の花の 色に出(い)でめやも (巻十一・2784)
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/405

 万葉植物ではありませんが、ヒマワリも咲いています(昨年のこぼれ種が発芽したもの)。
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Posted by katakago at 14:09
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