航空会社のクラス分けについての歴史、現状が詳細に
杉浦 一機 (著)
「空の上の格差社会: 賢いビジネスクラスの選び方」 (平凡社新書)
840円(税抜き)
航空旅行が本格的に庶民に身近なものとなったのは巨大ジェット旅客機の登場から。そのとき、下位クラスを設定するクラス分けは空の大衆化に大きな役割を果たした。しかし今、エコノミー・ビジネス・ファーストと3つにわかれたクラスは、その格差を増大させている。一方では高級ホテル並みの居住空間、他方では立ち乗り式シートで荷物並み。どんな事情がこの状況をもたらしたのか。航空クラス分けの歴史と今、そして明日を描き出す。
詳しい目次です
はじめに
序章 客室から見た旅客機の歴史
運を天に任せていた空の旅/最初は客室などなかった/視界の利かない夜は飛ばない
大洋横断に飛行艇が活躍/優雅だった飛行艇の旅/与圧されていなかった客室
機内食の始まりはサンドウィッチ/船を手本にした航空
ランク分けが少なくなった鉄道/革命的変化だったジェット化
機内レイアウトは簡単に変えられる/搭乗クラスと異なる「運賃クラス」
将来はいくつのクラスになるのか
コラム=サービスに付きまとう「お色気」
part I│国際線──空の大衆化、そして格差拡大
1 「その他大勢」の〈エコノミークラス〉
最初の呼称は「ツーリストクラス」/飛行機の発達がYクラスを拡大
ジェット機でYクラスが主役に/メンツをかけた「サンドウィッチ戦争」
タダ酒で切り込んだSQ/ジャンボで庶民が飛行機に乗れた
円高の恩恵を享受できなかった日本人/格安券退治に登場した「正規割引」
Yクラス内でも格差が拡大/ヴァージンの当初案は「下層民クラス」
軽視されるYクラス/「格差なし」の燃油サーチャージ
LCCとの争奪戦になったYクラス客/狭くなるヒップスペース
LCCは付帯収入で稼ぐ/体重が運賃に連動するサモア航空
アジア人は「高く」とも広さを求める/エコノミー席の改善に乗り出したキャリア
将来は「立ち席」が実現か
2 強豪エアラインの激戦区〈ビジネスクラス〉
団体客からの分離/シートで差別化したパンナム/当初は運賃の割増はなかった
「フルフラット」が常識に/多彩な魅力を加味する日系
「フルフラット」にもさまざまな仕様あり/激しくなる「機内食戦争」
地上での戦いは「ラウンジ」で/ビジネスクラスは将来にわたって不動の地位
3 何が「プレミアム」なのか──〈PYクラス〉
不景気が生んだ新たな「中間クラス」/ビジネス路線のみでの設置
四クラス制を実現させた超大型機/充実に躍起になるエアライン
重要になるエンタメ設備/理解しにくいクラスの名称
将来は新クラスではなく「新シート」扱いにすべき
4 存続が危ぶまれる〈ファーストクラス〉
少なくなった設置キャリア/「我がまま」を叶えるサービス
インテリアの豪華さで驚かせたJAL/狭い「ファースト」に苦しんだコンコルド
ANAも「ファースト」込みの三クラスで参入/成功しない「豪華」エアライン
維持するキャリアはさらに豪華に/ファーストにも割引運賃
将来は超音速ビジネス機か、NYまで二時間の宇宙飛行機
コラム=各クラス別で高評価のエアラインは?
part II│国内線──モノクラスから階級社会へ
1 窮余の一策で生まれた「空のグリーン席」
第三ラウンドを迎える上級クラスの戦い
モノクラスが当たり前だった時代/「空のグリーン席」登場
2 格段に充実した上級クラス、シート
JASの放ったポテンヒット/〈クラスJ〉で復活、「手軽な上級シート」
上位客獲得に成果を上げたANA/SKYも当初に上級クラス
国内にファーストを導入/LCCの影響で期待の高まる上級シート
大手は上級クラスを一層強化/始まった鉄道〈グランクラス〉との戦い
将来は鉄道も三クラス制へ
おわりに
参考資料
どうぞ【KB】