NHKBS1 世界のドキュメンタリー
シリーズ 育てる 食べる 味わう
大量生産、大量消費というのが、食をめぐる流通システムでもあります。
こうしたメインの流れが何を生んでいるのか。食を考えるそれぞれの物語です。
10月22日から4夜連続で放送中です【KB】
トラック・ファーム〜走る野菜畑の冒険〜
2013年10月22日火曜深夜午前 0時00分〜0時50分
「♪不況続きで金がない・・・。そうだ、トラックで野菜を育てよう♪」
荷台に特殊なシートと土を敷き詰め、種を蒔けば、トラック・ファームのできあがり。大都市ニューヨークをトラックで走り回り、荷台で育てた野菜を販売するというユニークな小規模農園を手がけながら、食糧問題と向き合う人びとに出会う。
ブルックリンのはずれにある公設の野球場は、地域の若者たちの手で野菜畑に作り変えられた。ダグアウトで新鮮野菜の即売会も行われる。
マンハッタンでは、窓際につるしたペットボトルで野菜を育てるウィンドウ・ファームプロジェクトが進行中。室内で小さく、安くできる菜園として注目されている。
スタテン島には、ボート・ファームが出現。平底船が、ある女性の手によって自給自足の居住空間に生まれ変わった。
アニメーションをバックに、二人組のミュージシャンによる歌とギターで番組が進行。楽しい演出で食糧の自給問題を考えるきっかけを与えてくれるエコ・ロードムービー。
原題:Truck Farm
制作:WickedDelicateFilms (アメリカ 2011年)
Love MEATender(ラブ ミートエンダー)〜どれだけ肉を食べ続けるのか〜
2013年10月23日 水曜深夜午前 0時00分〜0時50分
この数十年に作られた肉の大量生産・大量消費のシステムは、家畜を単なる商品へとおとしめ、資源の枯渇や温暖化など様々な問題を加速させている。
ベルギーでは、一人が生涯に消費する肉の平均量は、鶏891羽、豚42頭、牛5頭、羊7頭、七面鳥43羽、うさぎ24匹分にも上るという。1950年頃、先進国の肉の年間消費量は一人約50キロだったが、2050年には90億人に達するといわれる世界人口の平均消費量がひとり当たり約90キロになると推測する専門家もいる。
需要増大に応えるため、1960年代、畜産の大規模化・集約化が進展。家畜をより早く大きく育てるため、狭い場所に押し込め、多くの飼料や化学薬品をつぎ込むようになった。近年では、新興国の経済発展で肉の需要がさらに増加する中で、打撃を受けているのが、ブラジルのアマゾンだ。熱帯雨林が切り拓かれ、牧場や飼料の生産に使われている。運搬のための燃料も合わせると、世界の温室効果ガスの18%が、食肉生産によるものだとFAOは試算する。
長年、家畜の命と関わりながらその恩恵を受けてきた私たち。産業化した食肉生産から脱却し、健康的に生産された少量の肉を選ぶことが、これからの社会の選択ではないのか?肉の大量消費が生む課題を見つめる。
原題:LoveMEATender
制作:AT-Production R.T.B.F (ベルギー 2011年)
わが子を“生食(ローフード)”で育てたい〜ある母子の選択〜
2013年10月24日 木曜深夜午前 0時00分〜0時50分
5歳のときから生野菜、果物、ナッツなどの加熱調理していないものしか食べていない、14歳のトム。彼の母親が、肉や魚、卵、乳製品はもちろん、野菜でさえも、加熱した食べ物はすべて健康を害すると信じ、食生活を制限しているのだ。
ある医者は14歳にしては身長が低いトムにはたんぱく質やカルシウムが欠如していると指摘し、彼を栄養失調と診断。さらに児童福祉審議会は、アフリカの欠食児童たちと同じように成長が阻害されているとして、裁判所の指導をあおいだ。
トムは母親に強いられているわけではないと証言するが、裁判官はトムの処遇を児童福祉審議会に委ねるという判決を下す。
セカンド・オピニオンを求めた母親は、医師に魚を食べさせるよう勧められるが、水銀による汚染が懸念される魚を息子に食べさせるつもりはないという。
母親が息子の健康のためにと信念を貫こうとする一方で、菜食を続ければ通常の食事をした場合より12センチも身長が低くなると言われ、思春期のトムの心は揺れる。
原題:Rawer
制作:BasaltFilm (オランダ 2012年)
味覚の科学
2013年10月25日 金曜深夜午前 0時00分〜0時50分
味覚は人間の感覚の中でもっとも密接に快感と関係しているが、そのメカニズムは解明されていない。
番組は、味覚研究の最前線を取材し、私たちはどのように「おいしさ」を感じているのかを解説。さらに、そのメカニズムを利用して、“おいしいけど不健康”な現代の食べ物を“健康的でおいしく感じる”食べ物に変えるという試みを探る。
人間が感じる味覚とは、甘味、塩味、酸味、苦味そして旨味。このうち、生まれてすぐに発達するもっとも重要な味覚は甘味だという。赤ちゃんにとって、成長に必要な高カロリーを意味するからだ。また、子どものころ嫌いだったピーマンが食べられるようになるのは、大人になると苦味の感覚が鈍くなるからだという。
味覚と同じぐらい重要なのが嗅覚。香りの情報が脳に送られると、味を感じるのと同じ部位が反応する。実際の糖分ではなく、香りを利用して甘さを感じさせることは可能なのだろうか。ある研究家は、100人の被験者が甘味を強く感じたトマトの香り成分を分析し、実際の甘さではなく香り成分の混合が砂糖と同じ効果をもたらしていることを発見。つまり、香りを使って糖分が少ないスイーツや飲料が作られる日も近い・・・?
原題:The Truth About Taste
制作:BBC (イギリス 2013年)