新書 「青春の上方落語」 [2014年04月16日(Wed)]
著者は、笑福亭鶴瓶 桂南光
桂文珍 桂ざこば 桂福團治 笑福亭仁鶴 小佐田定雄[編] NHK出版新書 「青春の上方落語」820円(税抜き) 上方を代表する6人の噺家たち。彼らはいかに芸を究めたのか?修行時代の秘話やしくじり話、東京落語とは異なる上方独自の魅力、「四天王」(松鶴、文枝、米朝、春團治)の素顔、「笑い」の最前線で体験した芸談、現代の若者論まで。飄々とした話しぶりの背後から、「芸を教える/教えられる」とはどういうことかが生き生きと浮かび上がる。上方発・人生指南! 第一章「どんなにどつかれても、おやっさんに付いていこう思いましたよ」――笑福亭鶴瓶師匠 第二章「古典には知恵と工夫が入ってる、崩したらアカン」――桂南光師匠 第三章「落語はコミュニケーション中心にできている」――桂文珍師匠 第四章「一時間叱られっぱなし、すごい稽古でしたわ」――桂ざこば師匠 第五章「落語は額縁芸能、決まった型の中で掘り下げる」――桂福團治師匠 第六章「技術ではない、人間の持っているものが伝わるんや」――笑福亭仁鶴師匠 戦後何回かのブームを経て、今なお幅広い層を魅する上方落語。本書では、現在の上方落語を代表する6人の噺家に、一人一章分でそれぞれ江戸落語とは異なる上方独自の魅力、師弟関係、修業時代の秘話・しくじり話、芸への情熱、若手(若者)への苦言とアドバイスなどを語ってもらった。インタビューと編者は、落語作家の小佐田定雄さん。 6人それぞれ、戦後の上方落語を支えた四天王(松鶴、文枝、米朝、春團治)の直接・間接の弟子筋にあたる。それぞれ異なる稽古風景の活写をとおして、四天王の素顔から「芸を教える/教えられる」とはどういうことかまでが生き生きと浮かび上がる。 修業時代に師・松鶴の気風の良さに感動した鶴瓶師匠は、「どんなにどつかれても、おやっさん(松鶴)に付いていこう思いましたよ」と振り返る。ざこば師匠によれば、師・米朝の指導は「一時間叱られっぱなし、すごい稽古でしたわ」。 また、芸によって培われた独特の人生観も。福團治師匠が重視するのは、何より人間関係の「つながりの筋」。彼の師・春團治の口ぐせは「人が売り物にしているネタはその人に許可を得て、習いに行ってからやれ」。演目を勝手に暗記した弟子は即、破門になったという。仁鶴師匠によれば落語とは「技術ではない、人間の持っているものが伝わるんや」。 南光師匠は古典落語を崩してパロディにするような傾向に苦言を呈し、「古典には大勢の人の知恵と工夫が入っている。勝手に崩してはアカン」。文珍師匠は修業時代に料亭で「太鼓持ち」の練習をし、旦那衆に「かわいがって」もらうコツをつかんだ。そこから、「落語は会話だけで成立する芸、何より空気を的確に読むコミュニケーション力が重要」。人の気を読むのが下手な若手芸人、そしてネット時代の若者を戒める。 それぞれの飄々とした話しぶりの背後から、上方落語の豊穣な世界が浮かび上がってくる。人生指南としても読める待望の一冊。(NHK出版 大場 旦) お薦めです。【KB】 |
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大阪手をつなぐ育成会
at 00:28