新書 小さな建築 [2013年04月02日(Tue)]
世界的な建築家の柔軟な発想力に触れられる一冊
隈 研吾 (著) 「小さな建築」(岩波新書) ¥ 756 強く合理的で大きなシステムは、大災害の前にもろくも崩れ去る。大きなものに依存する受動的存在ではなく、小さく自立した能動的な存在として、「小さな建築」は人間を世界とつなげる。小さな単位を「積む」、大地に「もたれかかる」、ゆるやかに「織る」、空間を「ふくらます」。斬新な発想から建築の根源を問う。 新書編集部 千葉克彦さんのことば 「震災後、建築をゼロから考え直した」 私たちを取り囲んでいるのは、巨大インフラに依存しきった画一的な「大きな建築」。なぜ、いつからこうなってしまったのでしょうか。 著者はまず、建築の歴史は実は常に人類の悲劇から始まったと説き、「ポジティブな天才が連なる建築史」という見方をくつがえします。「小さなもの」こそ人間と世界をつなぎうるのだという確信から生み出される作品の数々は、こんどは建築そのものに対する私たちの見方をくつがえします。 多数の図版とともに、西洋古典主義建築からモダニズムまでの流れを見渡し、ミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエ、バックミンスター・フラー、黒川紀章、ゴットフリート・ゼンパーらの仕事を参照して、ひとつひとつ建築にとって根源的な問いかけを行い、作品として実現していきます。 震災の中にあって、小さなものこそがリアルなのだ、と思い知らされました。 目次です はじめに―悲劇から始まる建築史 積む 小さな単位 水のレンガ 小さな住宅―ウォーターブランチ 流れ、自立する建築 もたれかかる 強い大地にもたれかかる 生物的建築―アルミと石の「もたれかけ」 蜂の秘密―ハニカムが生み出す空間 織る 木を織る―「千鳥」のミュージアム 雲のような建築―タイルを織る カサ・ペル・トゥッティ―フラードームから傘のドームへ ふくらます フランクフルトのふくらむ茶室 空間を回転し、開く あとがき 図版出典・写真撮影者一覧 【KB】 |
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大阪手をつなぐ育成会
at 00:54