新書 イスラーム化する世界 [2013年06月24日(Mon)]
大川玲子 (著)
「イスラーム化する世界: グローバリゼーション時代の宗教」 平凡社新書 ¥ 798 これは、伝統的なイスラム教の世界を紹介する本ではない。 女性の権利を訴えるイスラム教の女性たちや、南アフリカのアパルトヘイトの中で、新しい道を探そうとしたイスラム教の人たちなど、同時代を生きる現代の中で、イスラム教がいかに対応しようとしているか、そのリアルな状況を伝えている。 イスラム教への見方が大きく変わる1冊に感銘を受けた。【KB】 序章──グローバリゼーションのなかのイスラーム イスラームの内側からグローバリゼーションを問い直す 「分かりにくい」イスラームを超えて I イスラームとコーラン(クルアーン) 1 クルアーン成立の背景 アッラーと預言者ムハンマド/クルアーンの誕生 2 聖典解釈の歴史──伝承主義から近代的解釈へ 近代以前の伝承中心の解釈/近代以降の解釈の多様化/クルアーン諸学 II アメリカ人「フェミニスト」の模索──アミナ・ワドゥード 1 アフリカ系アメリカ人としての差別と改宗 アメリカの黒人差別/ワドゥードの半生 2 男女平等の視点によるクルアーン解釈 伝統的解釈方法論の否定/男性中心・アラブ中心主義への批判 ラフマーンの「二重運動」理論/「個人見解」の導入/対等な男女関係の構築を求めて 人類共通の源としてのナフス(魂)/人間の価値基準としてのタクワー(畏れ) タクワーと平等/「クルアーン的ユートピア」実現のために 現代的諸問題の検討──「一夫多妻制」と「男性の権威」 ワドゥード解釈の意義と限界 III アパルトヘイト解決への道──ファリド・イサク 1 南アフリカの人種差別とイスラーム 「アパルトヘイトと貧困の犠牲者」/「解放の神学」へ 2 「他者」(キリスト教徒)との共存をクルアーンに読む 伝統を踏まえ新しい解釈学へ/「クフル(不信仰)」の再解釈をめぐって 他宗教徒との親和的連帯のために/タクワーと人類への責任 IV イスラーム主義への回帰──ビラール・フィリップス 1 カリブ海からカナダ、そして中東へ 改宗者の行方/イスラーム主義説教師への道 2 伝統主義的なクルアーン解釈の継承 逐語解釈への回帰/伝統の覆いに隠された革新 タウバ(悔い改め)の条件/タクワーと人種問題 V 西洋社会との協調──フェトフッラー・ギュレン 1 トルコが生んだ世界的市民運動家 理念とその半生/世俗主義と宗教の狭間で 2 自己を律し、他宗教との対話を追求するクルアーン解釈 クルアーンの内的意味の追求/心の病と不信仰をめぐって 人生哲学/タクワー解釈──いかに生きるか 啓典の民──ユダヤ教徒やキリスト教徒との架け橋 おわりに──クルアーン解釈の今 イスラーム社会における限界──アブー・ザイド亡命事件 マイノリティ・ムスリムの貢献 あとがき 関連年表/参考文献/人名索引 |
Posted by
大阪手をつなぐ育成会
at 00:35