須藤先生を偲ぶ「読書は心の養分」 [2023年04月25日(Tue)]
花巻市における図書館立地場所論議を心配しております。
市長派対反市長派に分かれた議会の論議からは利用者への配慮が不足し、10年余にわたる譲りようのない感情に左右される平行線から、市民の分断状況を招くことを心配する。 折角の図書館新設への期待より、次世代に与える影響を心配するものです。 そんな折も折、ふと30年近く続けられた読書会と恩師との出会いに懐かしさを覚え、図書館設置の論議を図書館意義と利用者尊重に変化を期待して書いて見た。 □ 須藤先生を偲ぶ「読書は心の養分」 「一日読まざれば一日衰える」。学問も修養も読書を抜きにしては考えられない、とまで評される読書。森信三・修身教授録読書会との出会いに感謝し、その感慨を紹介する。 読書会は国民教育の父と言われた森信三氏の教えを受けた矢巾町元教育長、須藤佶先生のお世話で25年余に渡る月一回の早朝読書会でした。 修身教授録読本は500ページ余、人間学の要諦を記したものであり80項目。参加者による輪読と、思い思いの感想を語り合う2時間程の心温まる交流の場でした。その原点は、人は出会いによって育まれると言う出会いへの感謝と、自己磨き「自習自得」への気付きでした。 須藤先生は、優しく静かな方でした。しかし、語り口は毅然として、姿勢を正さずには居られないような厳粛さが漂い、且つ爽やかな空間に浸ることができる有難いひと時でした。 学校教育は幼い子どもたちを教えて、その魂を目覚めさすという、まさに人生の土台をつくります。されども教科の予習や復習だけでは事が済みません。己の進むべき道を見つめるためには心を養う良書を読むことが大事だ。偉大な実践家は偉大なる読書家でもあります、つまり心の養分を成す読書として、偉人伝なども示してくれました。 生き方の目標を頭の中でイメージする読書の勧めなど、森信三氏の人間学を余すところなく伝えて呉れようとされる情熱に感動の和に包まれたものです。 我々の読書会はホテルの一室で行われました。開始前の路上ゴミ拾いは心を整える助走の一端だったのかも知れません。さらに須藤先生は実践人でありました。師弟の関係は分からなくても聞く姿勢、質問しないことが良い関係だ。弟子は体験を通じて学ばなければならない。これからの学習は自分の経験から智恵に対する勉強だ。相手を笑わせて大きな口を明けたところに、大事な話をポンと入れてやる。ついぞ釣られて笑い、納得したものでした。 新図書館立地論議も、その目的が人間力形成への道、次世代を育む出会いと学びの場とするならば、集まりやすい所が望ましい。 「時を守り 場を浄め 礼を正す」そんな集いの場、新図書館が出来る日を楽しみに待ちながら、令和2年11月に永久の別れとなった我が恩師に感謝の心を届けたい。 |