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9月17日(土)羽咋見学 [2011年09月21日(Wed)]

9月17日(土)、いきものマイスターの講義として羽咋市の取り組みを見学してきましたので報告します。

能登半島の付け根部分に位置する羽咋市は現在、JAはくいと共同で自然栽培実践塾という講座を開き、外国産農産物にも負けない強い競争力を持つ安心・安全の国産無農薬農産物の生産を目指しています。また、羽咋市東部の富山県との県境付近に位置する神子原という中山間地区では、地域の棚田で収穫されるブランド米「神子原米」がローマ法王にも献上された米として一躍有名になったように、羽咋市は地域を挙げて農業による地域活性化に取り組み、広く注目を集めています。今回はいきものマイスターとして、農業という地域資源活用の実例について、お話を伺うことになりました。

この日はMRO(北陸放送)による「こどもみらいキャンペーン」という取り組みにより、親子19組による稲刈り体験「里山自然塾in神子原」 がありました。まずは神子原の稲刈り体験参加者に混じり、神子原の取り組みについてのお話を聞きます。

お話が終わり、親子19組は稲刈り体験へと出発します。この日の為に金沢など外部からやって来たようですが、台風が迫ったせいか、この日は結構な雨模様。ちょっと大変そうです。

体験参加者は稲刈りですが、私達は羽咋市農林水産課課長補佐の高野誠鮮氏から、羽咋市の現在の取り組みについてお話を伺います。高野氏は羽咋市の地域おこしの仕掛け人ともいうべき人物です。高野氏は神子原米のブランド化、農村と大学生の交流事業「烏帽子親制度」、地域の農家による直売所「神子の里」、他県からの12家族35名の移住促進などの実例を交え、市役所やJAに頼らない地域おこしと農業活性化の展望について、詳しくお話をして下さいました。更に、高野氏は現在の取り組みを羽咋だけではなく能登全域に広げたいとの展望を示されました。受講生からの質問に対しても、高野氏は1つ1つ真剣な回答を寄せてくれます。

高野氏との意見交換も終わり、昼食の後は自然栽培実践塾による自然栽培の水田を見学します。この実践水田は現在、自然栽培実践塾による稲作を実験的に行っている水田で、羽咋市や隣の宝達志水町を合わせて数箇所存在しています。実践水田では基本的に無農薬・無肥料を旨としており、実践塾の講師を務める木村秋則氏によれば、自然の力を利用すると共に、収量増加を目指す農法でもあります。

まずは神子原の実践水田へ行きます。場所は、今回の会場である神子原の集会所から歩いて10分ほどの圃場内にあります。管理するのは、農業を志す羽咋市農林水産課の職員です。現在、いきものマイスター受講生の研究課題として、羽咋市と宝達志水町の実践水田4箇所に棲む生き物を観察して自然栽培による生物多様性への影響を調べていますが、特にこの神子原の水田は他の水田に比べ種類・数共に多くの生き物が見られます。収穫が近いことから既に水は抜かれていましたが、この水田ではツブゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウ、ゴマフガムシ、ミズカマキリなど豊富な水生昆虫が見られる他、アマガエルやトノサマガエルなどのカエル類、ギンヤンマやショウジョウトンボ、シオカラトンボ、キイトトンボ、オオイトトンボなどのトンボ類が多く見られます。豊かな里山が広がる神子原という地域の自然の豊かさと、自然栽培がこうした生き物を育んでいるのかもしれません。


次に神子原を出て沿岸部の千路町へ向かいます。千路町には羽咋市西岸沿岸部の潟湖である邑知潟の近隣を埋め立てた圃場が広がります。神子原と異なり平野部の水田ですが、近隣には眉丈台地という野山が広がります。水田ではクモ類やカエル類が多く見られる他、シオカラトンボやノシメトンボなどの中型トンボがよく見られます。この日は天気に恵まれませんでしたが、ノシメトンボを見ることが出来ました。



実践水田の見学を終え、この日の見学は解散です。羽咋には他にも、地域の美味しい野菜や工芸品を販売する神子原の直売所「神子の里」、更には神子原に隣接する菅池地区には自家製のカレーやコーヒーがとても美味しい神音カフェ など、見所は尽きません。今回はいきものマイスターの講義として伺いましたが、休日にフラッと訪れるのもお奨めですよ。