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国際生物多様性年クロージングイベント [2010年12月24日(Fri)]

この2010年は、国連の定めた生物多様性年です。今年10月には名古屋で開催されたCOP10が注目を集め、今までになく「生物多様性」という言葉が飛び交う1年となりました。
その2010年もあと数日で終わりです。国際生物多様性年の締めを務めるクロージングイベントが12月18日・19日、金沢で行われました。
18日は各国代表や国連機関関係者らの参加による記念式典など公式の行事でしたが、19日には一般公開の「地球いきもの広場」が同時開催されました。
会場では金沢大学、JICA北陸、いしかわ自然学校、春蘭の里実行委員会など県内での保全や地域問題に取り組む団体が、展示を行いました。

地球いきもの広場



私達は体験・展示ブースで、奥能登での保全活動を紹介する資料を持参して参加しました。今回、私達が紹介したのは奥能登でのビオトープによる保全活動です。

石川県は、県土の6割を里山が占める自然豊かな地域です。ゲンゴロウ・トンボ・カエルなど身近なものとして、日本人に親しまれてきた生き物の多くは、里山に棲んでいます。一方で、今日の過疎高齢化による里山の放棄は相次ぎ、またエネルギー事情や食料事情の変化は人々の暮らしを一変させ、里山は荒廃の一途を辿りました。
こうした里山と保全の問題に取り組む為に、私達は奥能登の耕作放棄地からビオトープ水田を創出しました。


創出したビオトープにはゲンゴロウ・トンボ・カエル、水生植物など貴重な里山の生き物が多数定着し、ビオトープは一定の効果を挙げました。一方で、多くのビオトープはボランティアを中心に運営されており、このビオトープも例外ではありません。この効果を持続させる為には、ボランティアだけでは限界があります。

そこで私達は、ボランティアだけに頼らずビオトープによる保全活動を継続する為の取り組みを考えました。その取り組みの一環として、今年はビオトープの一部にクワイを植えつけ、12月に収穫を行いました。
クワイ

クワイは水田雑草であるオモダカの栽培品種です。「芽が出る」ことから茎塊が縁起物としておせち料理の煮物などに利用されることから、特に11〜12月に市場に出回ります。全国的には広島県福山市、埼玉県越谷市などが有名です。石川県では羽咋市神子原が産地として知られ、更に加賀野菜15品目の1つともされています。
クワイやオモダカなど、内部がスポンジ状の茎は大型ゲンゴロウ類の産卵場所として利用されます。そこで、クワイの栽培による大型ゲンゴロウの保全と作物収穫による一石二鳥効果が、今回のクワイ栽培の狙いです。
クワイによる保全を視覚的に訴える意味も込め、会場には水槽を置いて生きたゲンゴロウを展示し、更に前日に収穫したばかりのクワイを用意しました。今では滅多に見ることのないゲンゴロウに足を止めて下さる方も大勢いました。更に、私達の保全の取り組みへの寄付を募り、応じて下さった方には袋詰めにしたクワイをお持ち帰りして頂きました。お陰様で寄付は16170円集まり、クワイも全て配ることが出来ました。
試行錯誤しながら初の試みということもあり、今回のクワイの収穫量は100個程度と決して多いものではありませんが、今後も私達は更にクワイの栽培を続け、更に放牧の場として、または地域住民らによる観察会の場として、ビオトープの積極的な活用を推進しています。今後はクワイを始めとしたビオトープの保全と持続的利用を軌道に乗せ、地域に貢献することが私達の目指すところです。


「国際生物多様性年」と定められた2010年は間もなく終わります。
しかし保全と環境問題に対する取り組みは未だ発展途上であり、まだ何も終わっていません。私達は2011年も更に里山保全の問題に取り組んでいきたいと願っております。

では皆様もどうか、良いお年を。