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山羊が来た [2010年09月02日(Thu)]
NPO法人おらっちゃの里山里海が保全活動を行う、味噌池ビオトープというビオトープがあります。元は放棄水田でしたが2005年よりビオトープとして活用されており、今では大小含めた40以上のビオトープ水田が広がっています。今ではカエルやトンボなど様々な里山生物が見られる、いいビオトープに成長しました。


ビオトープの拡大と成長は嬉しいことですが、大変なのがビオトープの管理です。
最奥部の溜め池から水を引いているのですが、夏の炎天下では浅い場所や水の巡りの悪い場所はすぐカラカラに干上がってしまいます。
特に大変なのが、雑草の管理です。元が水田だったせいか、あっという間に水田雑草でいっぱいになってしまいました。


3月頃に丸裸だったビオトープ水田も、夏にはこの賑わいようです。

こうした植物はそこに棲む生き物にとっての貴重な棲み場所であり、隠れ場所であり、産卵場所であり、餌資源でもあります。多様な生物相を支える上で豊富な植物相はとても重要ですが、増えすぎればビオトープの景観を損ねるばかりか、その植物遺体は堆積物となってビオトープを埋め、過剰な富栄養化を促進してしまいます。増えすぎた植物に覆われたビオトープは光も差さず、植物に埋もれかねません。せっかくの多様な植生も、最後はガマなど強い植物だけが残ります。
管理が滞れば荒廃してしまうのは、ビオトープも水田や雑木林と同じですね。


そこで動物たちの出番です。

まず最初に2頭の牛をビオトープ内に放牧しました。ゆっくり畦を歩いて草を食べてくれます。元が水田だけに、身重な牛にとって畦は決して歩きやすいとはいえませんが、ビオトープ内の端近くまで草を食べ歩いてくれます。2頭共に出産の為に一度ビオトープを離れますが、猛暑の中お役目御苦労様、と労いたいものです。


牛の代役を務めるのが、先日来たばかりの山羊2頭です。

ビオトープの細い畦も、山羊なら難なく歩けるでしょう。連れて来たその日から旺盛な食欲を見せ、僅か1日で自分の周りの草を食べ尽くしてしまいました。頼もしい限りです。
山羊を用いた草管理の試みは現在、広く行われているようですね。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100518-OYT1T00729.htm
http://wiredvision.jp/news/200811/2008112821.html


水田もビオトープも、除草剤を撒いてしまえば楽でしょう、しかしそれでは本末転倒です。自然農法が持て囃される今日ですが、「言うは易く行なうは難し」とはまさにこのことです。
ビオトープは里山管理の大変さを知って貰うには格好の材料です。自然の力を最大限に利用しながら管理を効率よく行おうというのですから、私達のビオトープの試みはとても欲張りなものかもしれませんが、これが上手くいけば新たなビオトープそして里山管理のモデルを示せるでしょう。だから、もっともっと欲張りますよ(笑)。

さて、せっかく来てくれた山羊達です。
草刈りだけではなく、ビオトープの顔になって貰いたいですね。
皆さんも奥能登に立ち寄りの際は、是非このビオトープの新しい顔に会いに来て下さい。