「企業の社会責任への取り組みの進化」開催しました!【ソシオ・マネジメント・スクール2015夏季コースより】
[2015年10月01日(Thu)]
「企業の社会責任への取り組みの進化」【CSR15s】
第1日(9月4日(金))
「受動的対応から能動的価値創出へ」、「人権への取り組みをどう進めるか(欧州の市民は何を求めているか)」、「ベスト・プラクティスから学ぶ(第三者意見をどう生かすか)」をテーマとするこのクラスは、大手企業のCSR主管部署の方々に参加いただき、川北からの講義や国内外の先進企業の事例紹介、さらに受講者ご自身による先進企業へのヒアリングの発表を通じて、相互に研鑽していただく連続講座。07年開講の「ステークホルダー・エンゲージメント塾」や「戦略的CSR塾」としてご好評いただいていた講座のスタイルを継承しています。
簡単なオリエンテーションの後、受講者のみなさまから自己紹介やご参加の動機、自社のCSR推進上の課題などをお話しいただきました。

冒頭に川北は、「この講座では『会社に持ち帰ってすぐに着手して欲しいこと』から、『20年後の世界の変化を見すえて、これから準備して欲しいこと』まで、幅広くお伝えするので、自社の誰に、どの話を持ち帰るのかを考えながら聞いて欲しい」、とお話しました。
それから2時間弱にわたって、1990年代初頭以降の欧米や日本の「環境報告書」から「CSRレポート」へのベスト・プラクティスなどを、実際に手に取っていただきながら、今日にいたる背景となる歴史的な経緯を学んでいただきました。


(*「日本財団CANPANプロジェクト」のご協力で、広い会議室を使わせていただいたことで、IIHOEが収蔵する数多くの貴重(で膨大!)な資料(のごくごく一部)をご紹介することが可能になりました。)
社内の環境管理だけでなく、水も、人権も。
市場・事業の国際化から、価値・組織の国際化へ。
欧米の企業には、環境や人権について、80年代からNGOや株主といったステークホルダーとの厳しいやり取りの蓄積がある。
欧州では、企業の社会責任の「最重要課題」は、人権。紛争鉱物や児童労働について、日本企業では十分な確認もしないまま「大丈夫」と思い込んでしまっている事例が見受けられるが、本当に大丈夫だろうか?
また、ISO14000をはじめとする環境マネジメント認証を早期に取得した企業では、「環境への対応も大丈夫」という認識が強いが、世界的には「水」の効率的な利用や保全も、昨今の大きな問題。本当に大丈夫か。日本ではメディアも、環境分野のNGOもほとんど注目していないことは非常に残念。
日本企業にとって、1970年代から80年代は、
日本でつくったモノを海外に売る「市場の国際化」の時代。
ところがプラザ合意(86年)以降の90年代から2000年代は、生産拠点を海外に移転する「事業の国際化」。
モノだけでなく、モノづくり、つまり人の育て方も海外展開が求められた。
しかし2010年代に入って求められているのは「組織・価値の国際化」。
では、あなたの組織は、多様な社会と世界を市場とするために、人の多様性を戦力にできているだろうか、
世界の市民が求める価値に、対応できているだろうか。
1990年代半ばに、世界の2割に迫った日本のGDPは、わずか20年後の今日、わずか6%と、ピークの3分の1にまで落ちた。次の東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には5%台、つまり、前回の東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年と同じ水準にまで落ちてしまうことが避けられない。
つまり今後、日本企業が世界でシェアを守る、売上を伸す、ということは、国内売り上げを守りつつ、海外売上を伸ばすということにほかならない。
求められるのは、拡大ではなく、進化。
予測できる変化には戦略をもって対応を
ほとんどの日本企業は、変化に対して受動的。与えられた義務には対応しようと努力するが、内発的・積極的な進化にはきわめて消極的。しかし「変化への適応」を、積極的・先駆的に進めている会社もある。
環境・社会報告書シンポジウム(2014年)にご登壇くださったセブン&アイホールディングスでは、消費税の増税対応に追われた14年春の時点から、エルニーニョ発生の予測を受けて、冷夏も織り込んだ対応策として、過去のデータの分析などに基づく予測をもとに、「全天候型商品」の拡充を含めた対策を行った結果、冷夏ではなかったものの、台風などによる天候不順を乗り切り、他社の売上が軒並み前年実績割れの中で、前年実績を上回ることができたととのこと。同社の鈴木CEO曰く、「自然現象だからといって、絶対にあきらめるな」。
同様に、すでに十分に予測可能な未来への備えとして大切なのは、ワーク・ライフ・バランスの拡充。日本企業では、未だに子育て支援が中心ですが、今後の人口構造の変化に備えるためには、従業員の保護者の介護と仕事の両立支援が必要なことは明白です。
好不況や為替などの短期変動の予測は難しいですが、潜在成長率など長期の経済変動はもちろん、人口の変動も、気候も変動も、十年単位の大きなトレンドの予測の精度はかなり高い。つまり、少し先のことはかなり正確にわかっているのだから、やれることはやっておく。そうでなければ、戦略とは呼べません。

長い一日の最後には、川北が第三者意見で「全社的なCSRへの取り組みとして世界最高水準」と評価する株式会社デンソーで初代のCSR推進室長を務められた岩原明彦さんをお招きして、「第三者意見をどう生かすか」についてお話しいただきました。
今後は、受講者の重点関心領域に基づき、ベンチマークすべき企業にヒアリングを行い、自社での取り組みの進化のための施策・計画づくりを進めていただきます。
第1日(9月4日(金))
「受動的対応から能動的価値創出へ」、「人権への取り組みをどう進めるか(欧州の市民は何を求めているか)」、「ベスト・プラクティスから学ぶ(第三者意見をどう生かすか)」をテーマとするこのクラスは、大手企業のCSR主管部署の方々に参加いただき、川北からの講義や国内外の先進企業の事例紹介、さらに受講者ご自身による先進企業へのヒアリングの発表を通じて、相互に研鑽していただく連続講座。07年開講の「ステークホルダー・エンゲージメント塾」や「戦略的CSR塾」としてご好評いただいていた講座のスタイルを継承しています。
簡単なオリエンテーションの後、受講者のみなさまから自己紹介やご参加の動機、自社のCSR推進上の課題などをお話しいただきました。

冒頭に川北は、「この講座では『会社に持ち帰ってすぐに着手して欲しいこと』から、『20年後の世界の変化を見すえて、これから準備して欲しいこと』まで、幅広くお伝えするので、自社の誰に、どの話を持ち帰るのかを考えながら聞いて欲しい」、とお話しました。
それから2時間弱にわたって、1990年代初頭以降の欧米や日本の「環境報告書」から「CSRレポート」へのベスト・プラクティスなどを、実際に手に取っていただきながら、今日にいたる背景となる歴史的な経緯を学んでいただきました。


(*「日本財団CANPANプロジェクト」のご協力で、広い会議室を使わせていただいたことで、IIHOEが収蔵する数多くの貴重(で膨大!)な資料(のごくごく一部)をご紹介することが可能になりました。)
社内の環境管理だけでなく、水も、人権も。
市場・事業の国際化から、価値・組織の国際化へ。
欧米の企業には、環境や人権について、80年代からNGOや株主といったステークホルダーとの厳しいやり取りの蓄積がある。
欧州では、企業の社会責任の「最重要課題」は、人権。紛争鉱物や児童労働について、日本企業では十分な確認もしないまま「大丈夫」と思い込んでしまっている事例が見受けられるが、本当に大丈夫だろうか?
また、ISO14000をはじめとする環境マネジメント認証を早期に取得した企業では、「環境への対応も大丈夫」という認識が強いが、世界的には「水」の効率的な利用や保全も、昨今の大きな問題。本当に大丈夫か。日本ではメディアも、環境分野のNGOもほとんど注目していないことは非常に残念。
日本企業にとって、1970年代から80年代は、
日本でつくったモノを海外に売る「市場の国際化」の時代。
ところがプラザ合意(86年)以降の90年代から2000年代は、生産拠点を海外に移転する「事業の国際化」。
モノだけでなく、モノづくり、つまり人の育て方も海外展開が求められた。
しかし2010年代に入って求められているのは「組織・価値の国際化」。
では、あなたの組織は、多様な社会と世界を市場とするために、人の多様性を戦力にできているだろうか、
世界の市民が求める価値に、対応できているだろうか。
1990年代半ばに、世界の2割に迫った日本のGDPは、わずか20年後の今日、わずか6%と、ピークの3分の1にまで落ちた。次の東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には5%台、つまり、前回の東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年と同じ水準にまで落ちてしまうことが避けられない。
つまり今後、日本企業が世界でシェアを守る、売上を伸す、ということは、国内売り上げを守りつつ、海外売上を伸ばすということにほかならない。
求められるのは、拡大ではなく、進化。
予測できる変化には戦略をもって対応を
ほとんどの日本企業は、変化に対して受動的。与えられた義務には対応しようと努力するが、内発的・積極的な進化にはきわめて消極的。しかし「変化への適応」を、積極的・先駆的に進めている会社もある。
環境・社会報告書シンポジウム(2014年)にご登壇くださったセブン&アイホールディングスでは、消費税の増税対応に追われた14年春の時点から、エルニーニョ発生の予測を受けて、冷夏も織り込んだ対応策として、過去のデータの分析などに基づく予測をもとに、「全天候型商品」の拡充を含めた対策を行った結果、冷夏ではなかったものの、台風などによる天候不順を乗り切り、他社の売上が軒並み前年実績割れの中で、前年実績を上回ることができたととのこと。同社の鈴木CEO曰く、「自然現象だからといって、絶対にあきらめるな」。
同様に、すでに十分に予測可能な未来への備えとして大切なのは、ワーク・ライフ・バランスの拡充。日本企業では、未だに子育て支援が中心ですが、今後の人口構造の変化に備えるためには、従業員の保護者の介護と仕事の両立支援が必要なことは明白です。
好不況や為替などの短期変動の予測は難しいですが、潜在成長率など長期の経済変動はもちろん、人口の変動も、気候も変動も、十年単位の大きなトレンドの予測の精度はかなり高い。つまり、少し先のことはかなり正確にわかっているのだから、やれることはやっておく。そうでなければ、戦略とは呼べません。

長い一日の最後には、川北が第三者意見で「全社的なCSRへの取り組みとして世界最高水準」と評価する株式会社デンソーで初代のCSR推進室長を務められた岩原明彦さんをお招きして、「第三者意見をどう生かすか」についてお話しいただきました。
今後は、受講者の重点関心領域に基づき、ベンチマークすべき企業にヒアリングを行い、自社での取り組みの進化のための施策・計画づくりを進めていただきます。