生活困窮者への支援の権限はどこにあるのか
[2008年12月25日(Thu)]
役所を理解するのに重要なのは、権限がどこにあって、どのようなものに対し、どのぐらいあるのかということです。
しかし、それが複雑になると、誰も解らなくなり、機能不全や、たらい回しが発生します。
これが典型的な例です。
<失業>廃モーテルの部屋無料提供に市「待った」愛知・岡崎
(毎日新聞 - 12月24日 15:11)
愛知県岡崎市山綱町にある廃業したモーテルの所有者の女性(41)が、失業して住む場所を失ったブラジル人にモーテルの部屋を住居として無料で提供したところ、市建築指導課が「都市計画法違反にあたる」と指摘していたことが23日分かった。モーテルには県内外から在日ブラジル人の5家族計19人が移り住んでおり、女性は「市の指摘に従えば、寒空の下に彼らを放り出すことになる」と困惑している。
市によると、モーテルがある地域は1970年11月に、開発を制限する市街化調整区域に指定された。住宅として使うには用途変更の許可が必要だが、所有者側から申請はない。ただ、申請があっても都市計画法上の用途変更の要件に適合せず、許可するのは難しいという。
モーテルは3年前に廃業した。外国人労働者たちの窮状を知った所有者の女性は今月に入って部屋の提供を始めた。食料や家具は近隣のブラジル人や日本人が持ち寄り、入居した家族に提供している。一方、廃モーテルに人が出入りしていることを不安に感じる住民もいるため、所有者側は28日に地元の集会所で、住民らを対象に現状と経緯を説明するという。
妻と子供2人の4人で入居したブラジル人男性のウォルテル・ビトレッティ・アモロゾさん(22)は9月末に愛知県東郷町の自動車部品工場を解雇され、貯金がつきて今月16日にモーテルに移った。現在は日雇いのアルバイトをしており「ブラジルへの渡航費がたまるまではここにいたい」と話している。
岡崎市建築指導課は「法令上は入居できないと所有者に伝えた。ただ生活困窮者への支援という側面もあり、国には特例を認める措置も検討してほしい」と話す。国土交通省都市計画課は「法令上、許可は難しいが、弾力的な運用も可能だ。個別の事案は、許可権者の市が総合的に判断してほしい」と話している。【中村かさね、秋山信一】
とはいえ、この記事がたらい回し的な結論のようになった原因はというと、取材のツッコミが足りないこともあると思います。
失業者が家を失うことで、路上生活となった場合、それに対応する部署への取材が必要なのではないかと思う。
岡崎市建築指導課と国土交通省都市計画課は、建物のハードや、法律に基づく用途についての話しか出来ないわけで、この問題の原因は「解雇により家を失った人がいる」という生活困窮者の支援という厚生面の問題です。
「解雇により家を失った人がいる」という問題について対応するための部署に取材をして始めて、議会など立法が動かないといけないなどの話になる。
「解雇により家を失った人がいる」という問題について、権限を持つ人が誰だかわからないようになっていたり、権限を持つ人が自分の仕事だと気が付かなかったり、必要な権限がなかったりするから、結果として困った人が放置されてしまい、見かねた人が手をさしのべたら、たまたま、それが違法だったという話で。
その違法の部分だけでその法律に関する人だけを取材して記事にするから、問題の根底に届かず「役所はたらい回しにするだけ」というイメージだけを読者に植え付ける。
紙面の都合で言い足りないのかも知れないのですが。
このままでは、役人のモチベーションを下げるだけで、いい結果に繋がりにくいような気が・・・。
この記事を書くのなら、引き続き、生活困窮者への支援についての権限のある部署への取材をお願いします。
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しかし、それが複雑になると、誰も解らなくなり、機能不全や、たらい回しが発生します。
これが典型的な例です。
<失業>廃モーテルの部屋無料提供に市「待った」愛知・岡崎
(毎日新聞 - 12月24日 15:11)
愛知県岡崎市山綱町にある廃業したモーテルの所有者の女性(41)が、失業して住む場所を失ったブラジル人にモーテルの部屋を住居として無料で提供したところ、市建築指導課が「都市計画法違反にあたる」と指摘していたことが23日分かった。モーテルには県内外から在日ブラジル人の5家族計19人が移り住んでおり、女性は「市の指摘に従えば、寒空の下に彼らを放り出すことになる」と困惑している。
市によると、モーテルがある地域は1970年11月に、開発を制限する市街化調整区域に指定された。住宅として使うには用途変更の許可が必要だが、所有者側から申請はない。ただ、申請があっても都市計画法上の用途変更の要件に適合せず、許可するのは難しいという。
モーテルは3年前に廃業した。外国人労働者たちの窮状を知った所有者の女性は今月に入って部屋の提供を始めた。食料や家具は近隣のブラジル人や日本人が持ち寄り、入居した家族に提供している。一方、廃モーテルに人が出入りしていることを不安に感じる住民もいるため、所有者側は28日に地元の集会所で、住民らを対象に現状と経緯を説明するという。
妻と子供2人の4人で入居したブラジル人男性のウォルテル・ビトレッティ・アモロゾさん(22)は9月末に愛知県東郷町の自動車部品工場を解雇され、貯金がつきて今月16日にモーテルに移った。現在は日雇いのアルバイトをしており「ブラジルへの渡航費がたまるまではここにいたい」と話している。
岡崎市建築指導課は「法令上は入居できないと所有者に伝えた。ただ生活困窮者への支援という側面もあり、国には特例を認める措置も検討してほしい」と話す。国土交通省都市計画課は「法令上、許可は難しいが、弾力的な運用も可能だ。個別の事案は、許可権者の市が総合的に判断してほしい」と話している。【中村かさね、秋山信一】
とはいえ、この記事がたらい回し的な結論のようになった原因はというと、取材のツッコミが足りないこともあると思います。
失業者が家を失うことで、路上生活となった場合、それに対応する部署への取材が必要なのではないかと思う。
岡崎市建築指導課と国土交通省都市計画課は、建物のハードや、法律に基づく用途についての話しか出来ないわけで、この問題の原因は「解雇により家を失った人がいる」という生活困窮者の支援という厚生面の問題です。
「解雇により家を失った人がいる」という問題について対応するための部署に取材をして始めて、議会など立法が動かないといけないなどの話になる。
「解雇により家を失った人がいる」という問題について、権限を持つ人が誰だかわからないようになっていたり、権限を持つ人が自分の仕事だと気が付かなかったり、必要な権限がなかったりするから、結果として困った人が放置されてしまい、見かねた人が手をさしのべたら、たまたま、それが違法だったという話で。
その違法の部分だけでその法律に関する人だけを取材して記事にするから、問題の根底に届かず「役所はたらい回しにするだけ」というイメージだけを読者に植え付ける。
紙面の都合で言い足りないのかも知れないのですが。
このままでは、役人のモチベーションを下げるだけで、いい結果に繋がりにくいような気が・・・。
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