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2016年11月01日

idea11月号二言三言「一人ひとりの自己実現ができる地域へ」こぼれ話


ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」としてご紹介します。


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◎若者とお寺がもつポテンシャル
【佐藤】お寺マルシェを準備する時に心掛けていたことは、自分は口を出さないということです。実質的には若い子たちに任せて、自分は地元の人達との調整や不足なものを運ぶという裏方に徹しました。そうすることで、若い子達が自分達のやりたいようにできるんじゃないかと期待したんです。そしたら、やはり環境さえ提供してあげれば、若い人達はやれる力やアイデア、ネットワークは十分にあると思いました。自分が裏方に徹することで、若い人たちのポテンシャルを感じられたし、お寺がもつポテンシャルも感じました。
【小野寺】お寺がもつポテンシャルとは何でしょうか?
【佐藤】お寺はもともと人の集う場所として設計されているので、広い駐車場があるし、人の動線がはっきりしているし、トイレもあります。つまり、人が集まっても何も困らない環境なんですよ。だから、お寺という場をどう利用してもらえるかということだけでもまだまだ未開拓の価値があるなと。
【小野寺】昔のように地域の人たちがお寺に集まるという原点回帰なんだろうけども、それが現代風にアレンジされているのが良規さんらしさだと思います。

◎始まる前から失敗を恐れないこと
【小野寺】地域のワークショップで、「この地域に住み続けたいですか?」という質問を地域の方にしたことがありました。すると「住み続けたい」と言う人と、「行くところがないから住まなければならない」という人と、「今さら引っ越すことができない。長男だから住まわざるを得ない」という人がいました。住みたいから住むというよりは、どちらかというとしがらみがあって住まなければならないという回答の方が多いんですよね。それもわからなくはないじゃないですか。でも、住み続ける中で自分がやりたいことを我慢するのではなく、地域で解放していくという考え方が大事なのかなと良規さんを見ていて思いました。
【佐藤】正に、僕が地域イノベーターと名乗っている趣旨はそこにあります。僕は震災で津波に遭い生きて帰って来られた時、「人に何を言われるか」とか「しがらみ」なんていうものは、心の底からどうでもいいと思いました。「あんなことやろうとしてバカじゃないの」「恥ずかしくないの」なんていう人の意見は、本当にどうでもいいんですよ。それよりも、「やりたいことをやらなかった」とか、「やらずに終わってしまった」とか、自分を出さないで一生終わるということの方がダメだと思います。
 僕はあちこちで色々なことをしていますが、当然その中ではうまくいったものとうまくいかなかったものがあります。でも、失敗したら「こうしたら失敗するんだ」ってわかるだけ。要は学ぶだけですから、意外と失敗しても恥ずかしくないですよ。
 でも、普通は失敗を恐れますよね。僕が「お寺マルシェします」と言っても、地域の方は「そんなことをして、誰も来なかったらどうするの?」って言うんですよ。気持ちはわかります。実際は500〜600人来たんですが、仮にそれが5〜10人だったとしても、やらないことからしたらすごいと思いませんか?
【小野寺】そうですね。

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たくさんの若者が集まった「お寺マルシェ」


【佐藤】失敗は別に恥じることはないんですよ。そこから学んで、違うやり方に変えるというだけで。
実際にやってみると、「頑張ってるね!」って思った以上に褒められますよ。思ったより世間は温かいし、皆今までと違う活動に期待してくれているのかなって。だから、何でもいいからまずはやってみることかなと思います。最近、僕はそういう活動を応援する側に回りたいなと思っています。例えば、「こんな人に頼めばこんなことができるよ」という情報提供だったり、会場にお寺を使ってもらう場の提供だったり。
【小野寺】つなぎ役ということですね。

◎ゼロからイチをつくる
【佐藤】あとは想定外なことをやりたいですね。マルシェは最近想定内になってきたから、逆に止めようかなと思っています。僕が主催しなくても、あちこちで主催されるようになってので、僕は違うことをしたいなと。
【小野寺】その気持ちよくわかります。
【佐藤】「ゼロ・イチ」か「イチ・ヒャク」なら、僕は「ゼロ・イチ」の方が好きというか。
【小野寺】たぶん、我々は「ゼロからイチ」なんだと思います。ないものをつくっていかなきゃなと思っています。そこに似たようなものが出てくればバトンタッチしてもいいし、専門的にやってくれるところにハンドオーバーすればいいかなって。ゼロからイチを生めば、続いてくる人は必ずいるわけですよ。
 それが今まで目立ってなかった既存のところがやってくるという風習があって、やっと最近市民レベルの活発な動きが出てきたのが感じられてきています。
【佐藤】本当にそうですね。一関は行政主催のイベントが多いですが、行政を待たず市民でやればいいと思います。わからないことがあればノウハウがあるところに聞けばいいだけですから。とにかく何かをすることで、地域が盛り上がることがすごく価値あることだと思います。

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【小野寺】市民レベルの活動は、「自分達が一番都合のよいようにやる」ことが大事ですよね。行政ではなく自分達の目線が大事だし、そこを有機的に繋げるコーディネート役も大事です。
【佐藤】そうですね。まちづくりは「うまくいかなかったらどうしよう」とか「喧嘩になったらどうしよう」って、始める前から心配しても意味ないですから。まずやってみて、そこに問題が生まれたら対処するという進め方でよいと思います。繰り返すようだけど、そこに恥ずかしさはありませんよ。
【小野寺】それはすごく大事なキーワードですよね。

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