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2015年12月25日

idea1月号二言三言「一関市の商工業と地域づくり」こぼれ話

ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」として紹介します。

◎一関のIT産業は?
【小野寺】一関市には様々な分野の企業があると思いますがIT分野はどうでしょうか。
【橋】ITだけとなると限られています。ただ、電子部品会社の中ではIT関連の部品に製造をシフトしているところはあります。IT部会を作っている訳ではないですが、電気、電子、通信関連では相当数がIT関連となっています。
【小野寺】純粋な意味でのソフト開発企業はありますか。
【橋】市内ではまだ多くないと思います。
【佐藤】ソフトウェア開発の会社は都会地でもそうですが、出ては引っ込み出てはなくなりが結構ありますね。何十年も続いているのは限られたところだと思います。



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◎地域ブランドそして郷土偉人の顕彰?
【小野寺】地域ブランドの確立というときに、各々にブランド価値を付けていくのか、広く一つ一枚看板を付けるのか、どうなんでしょうか。
【佐藤】両方あっていいと思います。理想を言えば一つのブランドの中でいろいろなジャンル、製品もあっていいと思います。先日、静岡に視察に行ってきましたが、あちらでは徳川家康で統一していて、いろいろなグッズがありました。浜松市の商店街では、ここから天下統一に出たまちだと出世街道と名付けていました。
【小野寺】それは面白いですね。一関にはどんなものが合いますかね。
【佐藤】一関市特に旧一関の考え方ですが、江戸時代には結構優れた人物が出ています。もちろん大槻玄沢もそうですが、その師である建部清庵。清庵は優れたお医者さんであると同時に、「民間備荒録」と言う日本人として初めて飢饉に備える書を書いている。さらに杉田玄白との交流から自分の息子が玄白の養子に入り、それが大槻玄沢を教えている。その玄沢が江戸の蘭学を広める役割を果たしています。もちろん高野長英も学んでいます。清庵の場合には、農商工連携、商品開発、教育などいろいろなブランドにも使えると思っています。清庵に学んで一関が特色ある製品を生み出すと同時に若い人たちにふるさとを誇りにしてほしいと思っています。故郷に誇りを持たないと人材は育ちません。
ふるさとが大切ということでは、浜松市出身の方の話があります。浜松は市街も海面から6m程度で三陸津波級ではひとたまりもありません。それでは我がふるさとは困る、防潮提を造れと、何と1社で300億円も寄付した人がいるそうです。防潮堤の工事現場を見学しましたが、予算は310億円で、寄付の300億円と商工会議所が商工業者から10億集めたそうです。経済規模の違いはあるが、ふるさとは大切に思うとこうした思い切ったことをする人もいるわけです。
一関を離れてよそに出る人が多いことは仕方ないことです。それにしてもやっぱり一関は良いところで俺のふるさとと胸張って外で活躍できるようにしたいですね。方法としてはいろいろな方法があるでしょうが、その一つとして過去の偉人の業績を顕彰してあげることもあると思います。
【小野寺】一関は誰か一人と絞れないですね。
【佐藤】誰か一人をフォーカスして育て上げることから始め、次に移っていくのでいいと思います。
【小野寺】コンクリート博士の阿部美樹志先生もいますね。
【佐藤】明治の近代国家は一関が基礎になっていると言えるわけです。阿部博士なくしては鉄筋コンクリートが成り立たなかった。また、近代国家として認められるためは近代国語辞書が必要なのだそうです。なぜかと言えば、条約を結ぶときに翻訳が正しいということを諸外国が認める科学的根拠に基づく辞書が必要だからです。大槻博士の言海は近代国語辞書の第1号です。
そうすると、ソフトの近代化は大槻文彦博士、ハードの近代化は阿部美樹志博士。どちらも一関を抜きでは語れないわけです。その文彦博士を育てた玄沢、その師の建部清庵と学問の事跡の流れは続くのです。


 今回の取材は、佐藤会頭さんが会長を務める「世嬉の一」で行いました。
 平日の午前の時間帯でしたが、お客さんがたくさんいました。





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取材には、一関商工会議所常務理事の橋宏之さんも同席されました。高橋さんからは一関市の商工業の現状について、話していただきました。全体的には商工業ともに停滞気味とのことでした。

さて、佐藤会頭さんですが、就任されて約3か月。
話はとてもエネルギッシュで、様々な分野にも話が及んでいきました。取材終盤には一関市の偉人、大槻玄沢、大槻文彦、建部清庵、阿部美樹志の話となり、淀みなく話される姿に圧倒されました。
 大槻家の系図 大槻玄梁―長男/玄沢−二男/磐渓―三男/文彦 
 玄沢の師が建部清庵 そして清庵と交流のあった杉田玄白 玄沢は玄白から蘭方医学を学ぶ。
 このような関係を話の中から掴むことができました。

 浜松市の300億円寄付の話にも圧倒され、終始圧倒された取材でした。