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2018年02月01日

idea2月号二言三言「地域におけるスポーツコミュニティのありかたを考える」こぼれ話

idea(こちら)に掲載できなかったお話を「こぼれ話」としてご紹介します。

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車いすラグビー元日本代表監督 岩渕 典仁 さん


○日本と海外の考え方や価値観の違い

【岩渕】競技は、選手が持つ力とスタッフの力が組み合わさってできているものではあるんですが、その背景には国の支援が必要だし、そのためには国民の理解も大切です。私自身、ずっと日本にいたら気づかなかったことなんですが、それまで自分の中で捉えていた教育や福祉、スポーツ運動の常識が海外では違っていたというか。日本として素晴らしいものもあるけども、足りないことや価値観がまだまだ違うと思うような仕組みがあったんです。具体的に言うと、日本では海外に比べて障がい者スポーツにあまり目を向けないというか。北欧やヨーロッパや欧米では、子どもも一般の人も障がいをもつ人も同じようにスポーツをやるものだと捉えていて、「その人たちに支援してあげよう」ではなく「バリアを外してあげるような仕組みをつくっていこう」という考え方をもっているんです。日本とは考え方の前提が違っていたし、そういうのを目のあたりにして自分はすごく影響を受けました。
【小野寺】代表監督をしている時、本職は監督ではなかったですよね?

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【岩渕】はい、代表監督をしていた時私は厚生労働省の職員でしたが、監督の仕事に理解はされていました。でも海外では違います。海外の選手もスタッフもその国の代表ですから、それが本職の仕事なんです。日本では東京オリンピックが決まってから国が大きく動き出し、厚生労働省で行っていたものを文部科学省がやることになったり、スポーツ庁ができたり。選手やスタッフは、国からの支援だけではなく“企業からの支援も受けられる”という海外のスタンダードなルールに変わってきています。企業は収益を上げることだけではなく、社会的責任(CSR)があり、企業が支援することで企業の理解や大きなビジョンを理解してもらいます。将来を考えるとすごく素晴らしい方向に変わってきていると思いますよ。

○idea2月号の二言三言はこちらです。

2017年10月25日

idea11月号二言三言「一関市の魅力と造形教育」こぼれ話

ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」としてご紹介します。

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造形おじさん(幼児造形指導員)菅原順一さん


◎毎月の施設での造形遊び

【菅原】今年の春から一関の子ども達の学童保育所で造形あそびが始まり、その季節に合わせて子どもたちといろんなものを作って遊んでいます。今月はハロウィン、オバケカボチャや蜘蛛の巣で室内を飾り、部屋中ハロウィンムード。

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【菅原】吉田恵子さんとは「新垣勉 おしゃべりコンサート」からお付き合いが始まり、それに関連したことをお手伝いしていますが、今年からはさらに吉田さんが関わっている千厩町の「宅老所」で造形遊びをやることになり月1回通っています。幼児の造形指導は、老人でも障がい者でも基本は同じで、自分でモノを作り出す世界は楽しいわけです。

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【小野寺】では、今は2か所の施設で造形を行っているんですか?
【菅原】うん。学童は最初、月1回のだったけど月2回にしてほしいと言われ、今では月に2回行くことになり、地域の子どもたちの夏休み造形や、大東町の学童施設での造形あそびや〜次々に予定が詰まって「幸せな田舎暮らしのご隠居生活」はどこへやら…ちっともスローライフじゃなくなってきた(笑)


◎障がいをもつ子と関わり気づいたこと

【小野寺】実は我々のところも障がい者支援をしてるんですよ。事業所は市役所の近くで、元あった角掛小児科さんの建物をそのままお借りしてやっています。主に自閉症とか知的障害の子なんですが、うちの方は子どもから大人まで受け入れられる体制ができていて、就学前の子ども達の療育もやっていますし、小学生の放課後デイサービスもやっています。
【菅原】清明支援学校もだけど、一関では障がいを持っている方の施設が結構数多くありますよね。
【小野寺】我々の目的は「障がいを持っている子達を支えていく」とか「家族だけだと負担が大きいので、地域や皆で支えられるまちをつくる」なんですが、まちづくりの一環としてやっているのは福祉の現場だけでは広がらないからなんです。こうやって地域づくりに関わりながら障がい者の方達と健常者の方達の橋渡しをするような形をとっていかないと、どうも理解が得られないというか。自閉症などをもっている子達が敬遠されてしまうんじゃなくて、なんとなく「この子自閉症かもしれない」とか、そういう気づきをつくっていかなきゃいけないということで街づくりも行っているんですね。
【菅原】保育科の学生達は養護施設や児童施設に実習があり、僕も実習指導で施設に伺い、そこの園長先生にお話を聞くんだけど、障がい児施設などでは、現場を経験しない限り解らないことがたくさんあることに気づかされる。これは先日の話なのですが、「マジックの線に沿ってハサミで切ってね」と言ったときに、健常児であればすぐに切り始めるけど、障がいを持った子の場合、「線の真ん中を切るのか、外側を切るのか内側を切るのか〜」と質問が出た。これは、指導の側では予測しない質問で、現場を経験して初めてわかること。「どこでもいいんだけどさ、じゃあ真ん中切りな」と言うと線の真ん中を丁寧に丁寧にはみ出さないように切って行く。当然時間がかかる、そういう子がクラスに一人いると、クラス指導をする先生にとっては、次に進むときに足手まといになる。皆作業が終わっているのに一人だけなかなか終わらない。一事が万事、時間の流れが違う子を普通クラスで指導するのは無理ということになる。
その子の側からすれば「先生が言う通りに一生懸命やっている」わけで、この一生懸命さは悪いことじゃない、「時計の速さが違う」だけなのに、それを障がいと言っていいのか?と思っちゃうよね。
【小野寺】人によっては個性と言いますよね。
【菅原】そういう子達と付き合う時、もう何十年も同じような仕事をしていて、今まで私が気づけなかったことを気づかさせてくれる機会になる。


◎子どもから高齢者までが楽しめる造形遊び

【菅原】折込チラシの紙を切って、折って、ホチキスで止めるだけでこんなものが作れるんだよ。

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【菅原】(写真の物を目線の高さから指先で前に押し出すように飛ばすと、くるくると回転しながら飛ぶ)
【小野寺】おぉぉー、すごい!
【菅原】おもしろいでしょ。単純な作りなのに、意外性のある飛び方をする、しかも制作時間3分。
【菅原】「宅老所」の皆さんと一緒に造形遊びをするんだけど、こういうモノを作って遊べることに気づくと、孫たちに高いお金を出しておもちゃを買ってあげるんじゃなくて、身近な材料で子どもたちと一緒に作って遊べるおじいちゃん・おばあちゃんになるよね。子どもたち自身が、自分の知恵で「遊びを創り出せる子育て」はとても大事です。そのためにも周りにいる大人たちが、子どもと遊ぶ知恵や工夫が必要になるわけです。
 近所の子どもたちが来たとき、こんなもの作って遊んだ。

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【小野寺】材料は画用紙と爪楊枝ですか?
【菅原】幼児の造形は子どもの身の回りにある材料で作れることが原則。ハガキなど同じ形の長方形が二つある場合は、交差させると正方形になる。2枚重ねで切ると正方形が2つできる。それに対角線を引くと中心点がわかる。千枚通しで穴あけ、紙の間にスチロールチップを挟んでそこに爪楊枝をさして、正方形をずらすと8角形ができるよね。それで駒ができる。羽根にキラキラを貼るとミラクルな駒ができるんだ。こういうものは工夫の仕方でいくらでもできるわけよ。
【小野寺】なるほど!おもしろいですね〜
【菅原】子どもでも失敗しないで作れるにはどうしたらいいか、作り方を色々と考えるんだ。良いアイデアは多くの場合、飲み屋さんで閃いたりするんだよ(笑)改善を繰り返せばやがていいものになる。幼児たちとの30年の経験は貴重な宝物なんだ。
【小野寺】いやあ、すごいですね。


◎一関文化センターの彫塑作品

【小野寺】菅原さんの作品が一関文化センターの中に飾られているとお聞きしましたが?

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一関文化センターに飾られてある菅原さんが作った彫塑作品

【菅原】私は山形大学教育学部の美術科に通っていましたが、その時は先生になるつもりは全くなく、そこで絵を描いたり彫刻をしたりしていました。大学3年生の時、山形県展に出品した作品が県の最高賞となり、国画会にも出品するようになったのです。大学卒業の時に、彫刻の全身像は持ち帰っても置き場所もなく、壊そうと思っていた矢先に一関市から作品寄贈の話をいただき、一関文化センターの中に飾られることになったのです。
【小野寺】これは大学生の頃に造った作品だったんですね。
【菅原】そうです。もう50年前の作品だけど、今だに飾ってくれてる。石膏に着色なので、震災の時によく壊れなかったなと思います。


◎東京に自慢したい一関図書館

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【菅原】ここに来てもう一つ感動したのは新しくなった一関市図書館。僕が一関にいた頃は木造の図書館だった。
【小野寺】昔は川沿いに建ってましたよね。僕も利用してました。
【菅原】一関に来てみたら「いやあよくできている」と思った。都会では、図書館などは、ともすると民間委託にされがちで、ツタヤに任せたりしがちです。
【小野寺】そうですね。
【菅原】ツタヤに任せると1階を売り場、2階を図書館にしていて、売り場にある最新の本は2階には置かない。だって、置いたら本が売れなくなっちゃうから。面積は大きいけど図書館機能をもっているスペースは狭いから、棚の高い所にも本を収めることになる。上にあるものはイスを使わなきゃならないから不便。貸出頻度が高い本は残し、低い本はどんどん削っていく。学芸員がきちんとしたかたちでいないから、本の選定のしかたもテーマ性がなく、その図書館の中の企画力も弱くなっていく。重要な郷土資料とか、昔の市の議会記録だとかは見る人が限られているからどんどん縮小されていく。でも一関図書館では、棚の高さが手の届く範囲に作られ、分類と必要な本の選び方が考え抜かれていて選定されていて、新刊本がすぐ入る。郷土資料や市のデータが揃っていて、貸出システムもすごく楽。コンセプトがすごくいいよね。公的施設が街の中心街にまとまってあり、人間が住む街のキャパシティというのはやはり、適正規模がありそうな気がするな。
【小野寺】深いですね、そこは。
【菅原】だから公的責任でやるべきものを民間委託にしてしまうと、結局、文化をダメにしてしまうことになりがち、教育関係部門や福祉部門は自治体がちゃんと責任負う必要がある。
【小野寺】そうですよね、最近の流行としては民間に委ねすぎるというところですよね。自分達のまちとしての教育行政とか、社会教育行政をどう維持していこうかというところは、図書館の蔵書とかコンセプトじゃないですか。
【菅原】その時々に合わせて特別展示コーナーを作っているのもスゴイ!終戦の時期になると、一関図書館はちゃんと一関が爆撃された時の資料とか本を揃え、子供の絵本からも関係ある平和図書を並べてて企画をつくる。あれは学芸員が偉いよ、すごく。
だから東京から来た仲間たちを、必ず一関図書館に案内するんだ。
一関に転居して2年、田舎はそれなりにおもしろい。都会ではありえないことがさまざまな人たちの努力で、生活を豊かにしている。スバラシイ!

2016年11月01日

idea11月号二言三言「一人ひとりの自己実現ができる地域へ」こぼれ話


ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」としてご紹介します。


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◎若者とお寺がもつポテンシャル
【佐藤】お寺マルシェを準備する時に心掛けていたことは、自分は口を出さないということです。実質的には若い子たちに任せて、自分は地元の人達との調整や不足なものを運ぶという裏方に徹しました。そうすることで、若い子達が自分達のやりたいようにできるんじゃないかと期待したんです。そしたら、やはり環境さえ提供してあげれば、若い人達はやれる力やアイデア、ネットワークは十分にあると思いました。自分が裏方に徹することで、若い人たちのポテンシャルを感じられたし、お寺がもつポテンシャルも感じました。
【小野寺】お寺がもつポテンシャルとは何でしょうか?
【佐藤】お寺はもともと人の集う場所として設計されているので、広い駐車場があるし、人の動線がはっきりしているし、トイレもあります。つまり、人が集まっても何も困らない環境なんですよ。だから、お寺という場をどう利用してもらえるかということだけでもまだまだ未開拓の価値があるなと。
【小野寺】昔のように地域の人たちがお寺に集まるという原点回帰なんだろうけども、それが現代風にアレンジされているのが良規さんらしさだと思います。

◎始まる前から失敗を恐れないこと
【小野寺】地域のワークショップで、「この地域に住み続けたいですか?」という質問を地域の方にしたことがありました。すると「住み続けたい」と言う人と、「行くところがないから住まなければならない」という人と、「今さら引っ越すことができない。長男だから住まわざるを得ない」という人がいました。住みたいから住むというよりは、どちらかというとしがらみがあって住まなければならないという回答の方が多いんですよね。それもわからなくはないじゃないですか。でも、住み続ける中で自分がやりたいことを我慢するのではなく、地域で解放していくという考え方が大事なのかなと良規さんを見ていて思いました。
【佐藤】正に、僕が地域イノベーターと名乗っている趣旨はそこにあります。僕は震災で津波に遭い生きて帰って来られた時、「人に何を言われるか」とか「しがらみ」なんていうものは、心の底からどうでもいいと思いました。「あんなことやろうとしてバカじゃないの」「恥ずかしくないの」なんていう人の意見は、本当にどうでもいいんですよ。それよりも、「やりたいことをやらなかった」とか、「やらずに終わってしまった」とか、自分を出さないで一生終わるということの方がダメだと思います。
 僕はあちこちで色々なことをしていますが、当然その中ではうまくいったものとうまくいかなかったものがあります。でも、失敗したら「こうしたら失敗するんだ」ってわかるだけ。要は学ぶだけですから、意外と失敗しても恥ずかしくないですよ。
 でも、普通は失敗を恐れますよね。僕が「お寺マルシェします」と言っても、地域の方は「そんなことをして、誰も来なかったらどうするの?」って言うんですよ。気持ちはわかります。実際は500〜600人来たんですが、仮にそれが5〜10人だったとしても、やらないことからしたらすごいと思いませんか?
【小野寺】そうですね。

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たくさんの若者が集まった「お寺マルシェ」


【佐藤】失敗は別に恥じることはないんですよ。そこから学んで、違うやり方に変えるというだけで。
実際にやってみると、「頑張ってるね!」って思った以上に褒められますよ。思ったより世間は温かいし、皆今までと違う活動に期待してくれているのかなって。だから、何でもいいからまずはやってみることかなと思います。最近、僕はそういう活動を応援する側に回りたいなと思っています。例えば、「こんな人に頼めばこんなことができるよ」という情報提供だったり、会場にお寺を使ってもらう場の提供だったり。
【小野寺】つなぎ役ということですね。

◎ゼロからイチをつくる
【佐藤】あとは想定外なことをやりたいですね。マルシェは最近想定内になってきたから、逆に止めようかなと思っています。僕が主催しなくても、あちこちで主催されるようになってので、僕は違うことをしたいなと。
【小野寺】その気持ちよくわかります。
【佐藤】「ゼロ・イチ」か「イチ・ヒャク」なら、僕は「ゼロ・イチ」の方が好きというか。
【小野寺】たぶん、我々は「ゼロからイチ」なんだと思います。ないものをつくっていかなきゃなと思っています。そこに似たようなものが出てくればバトンタッチしてもいいし、専門的にやってくれるところにハンドオーバーすればいいかなって。ゼロからイチを生めば、続いてくる人は必ずいるわけですよ。
 それが今まで目立ってなかった既存のところがやってくるという風習があって、やっと最近市民レベルの活発な動きが出てきたのが感じられてきています。
【佐藤】本当にそうですね。一関は行政主催のイベントが多いですが、行政を待たず市民でやればいいと思います。わからないことがあればノウハウがあるところに聞けばいいだけですから。とにかく何かをすることで、地域が盛り上がることがすごく価値あることだと思います。

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【小野寺】市民レベルの活動は、「自分達が一番都合のよいようにやる」ことが大事ですよね。行政ではなく自分達の目線が大事だし、そこを有機的に繋げるコーディネート役も大事です。
【佐藤】そうですね。まちづくりは「うまくいかなかったらどうしよう」とか「喧嘩になったらどうしよう」って、始める前から心配しても意味ないですから。まずやってみて、そこに問題が生まれたら対処するという進め方でよいと思います。繰り返すようだけど、そこに恥ずかしさはありませんよ。
【小野寺】それはすごく大事なキーワードですよね。

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2016年05月25日

idea6月号二言三言「学童『くまの子クラブ』の運営と地域づくり」こぼれ話

ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」としてご紹介します。

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対談者 放課後児童クラブくまの子クラブ 運営委員長 熊谷まき子さん
聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺 浩樹


◎くまの子クラブをやってみて感じる 「よかったこと」 と 「課題」
【小野寺】くまの子クラブをやっていて、よかったな、課題だなと思うことはありますか?
【熊谷】あります。やってよかったのは、私が若返って楽しんでいることですね。68歳なんですがまだ動けるから、子ども達と一緒に取っ組み合いできるかな〜なんて考えたりね。 課題は、私が年をとっていった時に、この学童をどうしようかということですね。あとは、任せます。

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子ども達が通う くまの子クラブさんの施設(外観)


◎どこの児童クラブでも、やりたいことはきっとたくさん
【熊谷】私は元気に遊ぶ、運動する、外に出させるってことをよくします。前にはボルダリング施設に行って遊んだりしたしました。
【小野寺】いや〜、すごいと思いましたよ。
【熊谷】冬は、4年生以上の子が参加できるリーダー研修をやってます。萩荘の知勝院に一泊したりして、リーダーの自覚を持たせる感じでやってますよ。お父さんお母さんも協力してくれます。どこの施設も同じように助成金が出ているので、私達のようにできると思いますが。
【小野寺】決まりきった器ではなくて、熊谷さん自身の想いがあって始めたことが、そういうことに繋がってますよね。よそは行政から用意された受け皿があって、その受け皿の中でしかやっていないから自由さもないんですよね。
【熊谷】働いている人も給料をもらっていればいいという状態でずっときたんですよね。ただ、そこを一歩出て何かやろうとすると、運営委員さんの許可が必要なのだろうと思います。
【小野寺】やりたいこともできなくなってきてるんでしょうか。
【熊谷】多分、働いている人達はやりたいことがいっぱいあると思うんですよ。それを活かしてあげればいいんだと思います。旧一関市内にお仕事に来て40〜50分かけて家に帰る方もいるし、仕事は5時の定時で終わるわけでもないし、家におじいちゃんおばあちゃんがいない家だって結構あるわけじゃないですか。すると、学童だって7時〜8時までやってほしい人もいるんじゃないかなと思うんですよ。
厳美と舞川は、必要にかられたお父さんお母さんが必至になって動いて、私も協力して、個人経営の学童をつくったんですよ。そこは指定管理にはなってません。
【小野寺】そうなんですね〜。
【熊谷】地域には口うるさい方がいて、そして学童そのものをきちんとわかっていないんですよね。全国学童保育連絡協議会というものがあるんですけど、一関市では入っていないんですよ。入ってるのはくまの子クラブだけですよ。だから、本当に市役所経営で守られていたんだと思います。
【小野寺】自分達で経営の中身やクオリティを伸ばしていこうという気はなかったんですね。
【熊谷】うん。学童で預ってもらってるからそれでいいって。それをなるだけ、うちではお父さんお母さんも巻き込もうと思って、父母会に運営に入ってもらいました。
【小野寺】そうですよね。父母会が主体となって運営しているということですもんね。
【熊谷】だって自分の子どもだからさ〜
【小野寺】そうですよね。自分の子ども預けるんだから、任せるだけじゃなくてちゃんと経営とか運営の部分に口を出して良い環境をつくらなきゃいけないということですもんね。

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◎中高生も 「帰って来れる場所」 である
【小野寺】8年間くまの子クラブをやっていて、卒業生も出てくると、「戻ってくる場所」にもなるんですよね、ここが。
【熊谷】だと思って、オープンにしてますけどね〜。毎日中学生が「ただいま」ってここに帰ってくるんだもん。
おやつを食べて帰りますよ。
【小野寺】えっ中学生がですか?
【熊谷】中学一年生がね。高校生もそうですよ。
【小野寺】すごいな〜!
【熊谷】結局、今兄弟が少ないじゃないですか。一人っことか。小学生は、中高生をお兄さん、お姉さんみたいにしてくっついてますよ。取っ組み合いもするし。今日はこれからお誕生会をしますが、全部6年生が仕切ってやってくれるんで。6年生にお任せみたいな。
【小野寺】やはり主体性とか、責任を預けるって大事ですよね。それをやらせないから積極的じゃないし、消極的だしやらされ感たっぷりになっちゃうんですよね。
【熊谷】6年生になったらやってもらいます。これもうちの特別なんですけど、6年生になったら卒業旅行をやるんです。今までは東京見物だったんですけど、今年は女の子たちの強い希望でディズニーランドに一泊することにしました。翌日は、明治座で志村けんさんのバカ殿様の公演を見る予定です。
【小野寺】くまの子クラブの卒業旅行ですよね。ほかじゃ、そういうことはできないんじゃないでしょうか。
【熊谷】運営委員長が区長さんとかだと、そこまで責任とれないですものね。ここでは私が委員長をやっているので、私が全面的に責任を負うということで連れて行きます。東京に行ったことがない子なんかは、カルチャーショックを感じるようですよ。
【小野寺】そういうの大事ですよね。


◎一関で起きているDVについて

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【小野寺】DVの状況はどういう風に見えますか?一関にはシェルターがありませんよね。
【熊谷】市ではどこかにコソっと匿まってくれるんですよね。でも、そこに民生委員さんが来て、ちょこちょこ市に報告するんですよ。結婚するわけじゃないけど、手伝いで男の人を呼んだりだとか、彼氏ができたとか、それを市に報告されると、補助金が打ち切られるんですよ。
【小野寺】なるほど。
【熊谷】せっかくDVから逃れて落ち着いた生活を始めようとしているのにね。男の人からお金を受け取っているわけじゃない、付き合っているわけでもなく、ただ来ているだけなんだけど。余計なこと言わなきゃいいのにね(笑)でも、旦那はどこからか情報を知ってやってくるんだよね。
【小野寺】知らないうちにバレちゃうんですよね。
【熊谷】それで、お母さんの自動車をボコボコにして帰っていったなんてこともあるからね。
【小野寺】ええー!?
【熊谷】そうするとまた逃げなくちゃならないじゃないですか。一関には母子寮がないし、市では匿う場所を変えてくれますよ。子どもは学区外の学校に通えるようにしたりね。
【小野寺】児童相談所と、福祉課と、民生委員さんと、連携がとれていないんでしょうか?
【熊谷】とれてないです。横の繋がりはないと思います。
【小野寺】本来、そういうところは横の連携をしないと、守るべき人を守れないと思いますけどね。
【熊谷】結局は親の元に返すのが一番なんだけど、私達はそこまで入っていけないので。


◎赤ちゃんに抵抗力・免疫力をつけるには

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【小野寺】うちも9か月の娘がいるんですが、今ちょうど覚え盛りで、物を舐めたりします。何ごとも経験だから、汚くもあるんだけどもバイキンが入ってもいいやって。少しぐらい舐めさせてもいいやって言ってるんです。
【熊谷】小児科の先生は、「お父さんお母さんは、赤ちゃんにいっぱいチュッチュしてください」って言ってましたよ。要するに、親の細菌を体に入れて免疫をつくっておかないと、大人になってから色々な障がいが出てきますよって。よくお父さんお母さんの虫歯菌がどうだとか言うけど、お父さんお母さんが赤ちゃんにチュってするのが、赤ちゃんに細菌を入れる一番の近道なんだそうです。それを全部殺菌消毒して抗体がないまま大人になると、力がない子になってしまうそうですよ。
【小野寺】スキンシップとコミュニケーションですね。

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2016年04月25日

idea5月号二言三言「子育て世代が考える地域づくり」こぼれ話

ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」として紹介します。

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対談者 興田地区振興会    地域協働推進員 千田秀明さん(左)
    舞川地域課題対策協議会  同上   吉田真梨子さん(右)
聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺 浩樹 

◎手ごたえを感じた出来事
【小野寺】着任して半年くらい経ちますが、地域協働推進員(以下「推進員」)として手ごたえを感じたことはありますか?
【千田】そうですね〜、今年の2月に秋田の稲村先生を講師に行ったワークショップ(まちづくり講演会)は、主に子育て世代の若い方に案内を送るという主旨だったんですが、フェイスブックで公表したら、他地域からも「興田の住民じゃないけど参加していいですか」というコメントがきたので「大丈夫ですよ」とお返事しました。
 当時、広い会場が市・県民税の申告相談で使われていたため、ワークショップは別の狭い部屋で無理やり行ったので、人が溢れちゃって。当初は40名くらいを想定してたんですが、実際はスタッフを含め56名になりました。想定外のことでしたが嬉しかったです。ちょっと皆の意識が変わったのかなって。

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2016年2月13日に行われた「まちづくり講演会」の様子
(興田地区振興会さんのフェイスブックより転載)

【小野寺】あれは確かに手ごたえがありましたよね。興田がこんなに熱くなったのはビックリでした。吉田さんはいかがですか?
【吉田】私は推進員になった当時はとても不安だったんですが、最近、やる道筋が見えてきました。この前のワークショップには沢山の方が集まってくれて、皆が意見を言っているのを見るのがすごく楽しくて。これからは、もっと盛り上がってほしいなと期待しています。
【小野寺】舞川は、年に一回必ず「自治公民館大会」という、18行政区を集めて講演会や勉強会を舞川地域課題対策協議会(以下「課題協」)主催で行ってるんですけれども、その参加率がすごく高いんですよ。各行政区から10名以上の方が集まるので、合計すると全体で180人くらいの方が集まるんです。そういう意識がある地域です。
最近、地域づくり計画の策定委員会を置いて、委員さんに会議に来てもらってるんですが、委員の方達が課題意識をもってくる方が多くなったかなと、それがつい最近の大きな変化と感じています。

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2015年2月22日に行われた「第34回舞川地区自治公民館大会」の様子

【吉田】自治公民館大会のことを知らない若い方もおりますが、今回は、各行政区から若い人を必ず3名は参加してもらいましょうと、こっちから呼びかけてみました。実際に参加してみると「こんなことやってたんだな」って感想があって、そこからワークショップへの参加にも繋がったんです。小野寺さんの講演を聞いて「ワークショップに参加する」って言ってくれた方もいたんですよ。
【小野寺】そうでしたか!二人とも変化や気づきはあると思うんですよ。興田は7年前から入っていて、もともと意識の高い人達が多いなあと思うことがあったんですけれども、ここ最近になって、興田地区振興会の方々はすごく前向きになりましたよね。今まではどちらかというと「うちの自治会が〜」という小さい単位での考え方だったんだけど「興田が〜」というようになってきたなと思います。発言の主語が「興田が」に変わったのはすごい変化だなと思っているので、推進員さんが来て安心している感じはあると思いますね。この間の2月の勉強会での手ごたえ、住民感情の高まりでしょうね。やはり自分達も変わっていかなければならないし、参加していかなければならないというのが見えてきたから「行こうか」ってなってきたのが本当に顕著に出たんだと思います。他地域の方が「興田の人達が何かやっているようだから行ってみよう」と感心を持たれるのはよいことですよね。
 どっちにしても人が少なくなってきているので、興田でやっていることに舞川の方が行ってみたっていいし、舞川でやっていることに興田の方が行ってみてもいいし、そこは人の交流を生んでいかなきゃいけないですよね。できない理由を探すよりは、どうしたらできるかを考える必要があって、興田とか舞川とか地域の壁は関係なく交流していただければおもしろいんだろうなって。2月の講演会は正にそうでしたね。大原から来たり、東山から来たりだとか。

◎地元ゆえのやりにくさ
【小野寺】地元ゆえのやりにくさってないですか?
【千田】まだそこまで深みに入っていないので、これから見えていくのかもしれません。
それぞれ皆さんが一人で考えてモンモンとしていることは、ワークショップとかの場で解決できると思います。
皆さん立派な考えを持っているのに、そこが上手く噛み合っていなかったりするので、それをうまく同じ方向に向いていけばいいのかなと思います。皆否定的なワケじゃなくて、考えや方向性が違うだけなので。そこだと思うんですよ。
【小野寺】さすがだな〜!どうですか、吉田さんは地元ゆえにやりにくいと思うことはありますか?
【吉田】最初はやりやすいと思っていました。顔も知っているし地域にも入りやすいと思っていたんですが、「この人はああいう人だ」とか、人に対しての先入観が強かったので、そういうやりにくさを感じたこともありましたね。でも人に対しての感情うんぬんは、断ち切っていかなければなりませんね。
【小野寺】それは大事ですよね。発言と人は切り離さなきゃならないから。人と発言を対(つい)にしてしまうと、人の批判にしかならないから。せっかくよいことを言っていても「この人はいつもあ〜やっていじめるんだよね」、という先入観で判断してしまいますからね。

◎これからやってみたいこと
【小野寺】お互いに、何かしてみたいことはありますか?
【吉田】交流事業をしてみたいですね。
【千田】まだ点と点での協働体の動きなので、隣だからとか、そういうのじゃなくて、飛び石的にでも何かしらの事業ができればと思います。
【吉田】旧市内だったら、毎月推進員の情報交換会をやっているんですが、人数が少ないので、全域でやればいいのになって思います。舞川は興田に似たところがあるので、そういうところとの情報交換をしたいと思いました。
【千田】定期的に意見交換・情報交換する機会がないと、うちにだけ籠ってしまいますよね。ノウハウとか進め方とか情報を仕入れて、お互いに切磋琢磨できればと思いますので。
【小野寺】開催してほしいなと思いますし、こっちからも担当課にプッシュしておきます。
【千田】旧市町村ではなく、全地域のエリアで。堅苦しくなくざっくばらんな感じでやりたいですね。
【小野寺】こういうワークショップはよかったけど、これは失敗したとか。
【千田】そういうのをぜひね。


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2016年01月25日

idea2月号二言三言「一関市の防災活動と地域づくり」 こぼれ話

ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」として紹介します。

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一関市消防本部 (本部HPより)


◎火山への対応はどうなっていますか。
・昨年の御嶽山、今年の口永良部島など火山の噴火が相次いでいます。全国110の活火山のうち、栗駒山(須川岳)は気象庁が常時観測している全国47火山の一つになっています。
・岩手県では、岩手山、秋田駒ヶ岳も対象で、地震計、空振計、傾斜計、望遠カメラなどで気象庁が24時間監視しています。
・気象庁でデータを解析し、毎月火山活動に関する診断結果が盛岡気象台を通じて報告されています。須川岳の状況は現在平穏に経過していて、噴火の兆候は見られません。
・登山者の安全対策として、ヘルメットの貸し出し、注意喚起のためのリーフレット配布、ホームページでの情報提供などを行っています。
・今年3月には栗駒山の火山防災協議会を岩手県、宮城県、秋田県の3県と関係する市町村、気象台、国土交通省などの関係機関と作り、火山防災のマップ作りや避難計画の作成などを協議しています。

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◎消防団の役割をお聞かせください。
 ・消防団の特性として3つ上げられます。
・一つは地域密着性で、団員は現場の近くに居住し仕事場も近くて地域を良く知っている。
・二つは要員動員力で、一度に多数の団員が現場に駆けつけられる。
・三つは即時対応力で、居住地や勤務場所からすぐに現場に駆けつけられる。
・このことにより、火災はもとより水害、地震などの災害に対応しています。そして、日ごろから対応できるように訓練もし、警戒活動にもあたっています。
・地域の防災は消防団抜きには考えられないのです。
・「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が平成25年12月に施行されました。この法律の趣旨は、地域の中で消防団が中核になって地域の防災力の向上を図ることで、地域のリーダーとしての活動を私達は期待しています。

◎防災マップを作る地域が増えてきました。
・消防署で行っているDIG(Disaster Imagination Game災害図上訓練の一手法)という手法が同じかと思います。
・地域の地図を大きく作り、10人くらいのグループでマジックペンやシールを使い、避難経路、消防車両が入れない道路、古い住宅などを地図にマーカーします。

◎一関市の自主防では藤沢町徳田24区が有名ですが、同様の取り組みをしている所はあるのでしょうか。
・徳田24区では実際に災害が発生したとの想定で、自主防の中で救助や消火活動も行っています。ただ単に自主防だけでなく、地元消防団も含めて活動し、自主防会長さんが指示して訓練しています。
・避難所開設など趣向を変えて活動している所は市内には何カ所かあります。
・消防署では避難所運営訓練を毎年行っています。公共施設に1泊しての訓練で、初対面の人達の話し合いで班長や役割分担を決め、その中でルール作りをして避難所をどのように運営していくかを実際に経験していただいています。

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一関市消防本部の管轄図(本部HPより)


今回は消防長室での取材でした。部屋には纏(まとい)の飾りが置かれていました。
纏は、江戸時代の町火消の道具で、これは消防署のシンボルなのかと思いました。

一関市の消防団員数、充足率が岩手県ナンバーワン! これはすごいことです。
市民の意識の高さそして消防署の日頃の対応がこのような形に現れたのだろうと思いました。

日夜、市民の安全安心な暮らしを見守る消防署の様子を知る取材となりました。

2015年12月25日

idea1月号二言三言「一関市の商工業と地域づくり」こぼれ話

ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」として紹介します。

◎一関のIT産業は?
【小野寺】一関市には様々な分野の企業があると思いますがIT分野はどうでしょうか。
【橋】ITだけとなると限られています。ただ、電子部品会社の中ではIT関連の部品に製造をシフトしているところはあります。IT部会を作っている訳ではないですが、電気、電子、通信関連では相当数がIT関連となっています。
【小野寺】純粋な意味でのソフト開発企業はありますか。
【橋】市内ではまだ多くないと思います。
【佐藤】ソフトウェア開発の会社は都会地でもそうですが、出ては引っ込み出てはなくなりが結構ありますね。何十年も続いているのは限られたところだと思います。



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◎地域ブランドそして郷土偉人の顕彰?
【小野寺】地域ブランドの確立というときに、各々にブランド価値を付けていくのか、広く一つ一枚看板を付けるのか、どうなんでしょうか。
【佐藤】両方あっていいと思います。理想を言えば一つのブランドの中でいろいろなジャンル、製品もあっていいと思います。先日、静岡に視察に行ってきましたが、あちらでは徳川家康で統一していて、いろいろなグッズがありました。浜松市の商店街では、ここから天下統一に出たまちだと出世街道と名付けていました。
【小野寺】それは面白いですね。一関にはどんなものが合いますかね。
【佐藤】一関市特に旧一関の考え方ですが、江戸時代には結構優れた人物が出ています。もちろん大槻玄沢もそうですが、その師である建部清庵。清庵は優れたお医者さんであると同時に、「民間備荒録」と言う日本人として初めて飢饉に備える書を書いている。さらに杉田玄白との交流から自分の息子が玄白の養子に入り、それが大槻玄沢を教えている。その玄沢が江戸の蘭学を広める役割を果たしています。もちろん高野長英も学んでいます。清庵の場合には、農商工連携、商品開発、教育などいろいろなブランドにも使えると思っています。清庵に学んで一関が特色ある製品を生み出すと同時に若い人たちにふるさとを誇りにしてほしいと思っています。故郷に誇りを持たないと人材は育ちません。
ふるさとが大切ということでは、浜松市出身の方の話があります。浜松は市街も海面から6m程度で三陸津波級ではひとたまりもありません。それでは我がふるさとは困る、防潮提を造れと、何と1社で300億円も寄付した人がいるそうです。防潮堤の工事現場を見学しましたが、予算は310億円で、寄付の300億円と商工会議所が商工業者から10億集めたそうです。経済規模の違いはあるが、ふるさとは大切に思うとこうした思い切ったことをする人もいるわけです。
一関を離れてよそに出る人が多いことは仕方ないことです。それにしてもやっぱり一関は良いところで俺のふるさとと胸張って外で活躍できるようにしたいですね。方法としてはいろいろな方法があるでしょうが、その一つとして過去の偉人の業績を顕彰してあげることもあると思います。
【小野寺】一関は誰か一人と絞れないですね。
【佐藤】誰か一人をフォーカスして育て上げることから始め、次に移っていくのでいいと思います。
【小野寺】コンクリート博士の阿部美樹志先生もいますね。
【佐藤】明治の近代国家は一関が基礎になっていると言えるわけです。阿部博士なくしては鉄筋コンクリートが成り立たなかった。また、近代国家として認められるためは近代国語辞書が必要なのだそうです。なぜかと言えば、条約を結ぶときに翻訳が正しいということを諸外国が認める科学的根拠に基づく辞書が必要だからです。大槻博士の言海は近代国語辞書の第1号です。
そうすると、ソフトの近代化は大槻文彦博士、ハードの近代化は阿部美樹志博士。どちらも一関を抜きでは語れないわけです。その文彦博士を育てた玄沢、その師の建部清庵と学問の事跡の流れは続くのです。


 今回の取材は、佐藤会頭さんが会長を務める「世嬉の一」で行いました。
 平日の午前の時間帯でしたが、お客さんがたくさんいました。





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取材には、一関商工会議所常務理事の橋宏之さんも同席されました。高橋さんからは一関市の商工業の現状について、話していただきました。全体的には商工業ともに停滞気味とのことでした。

さて、佐藤会頭さんですが、就任されて約3か月。
話はとてもエネルギッシュで、様々な分野にも話が及んでいきました。取材終盤には一関市の偉人、大槻玄沢、大槻文彦、建部清庵、阿部美樹志の話となり、淀みなく話される姿に圧倒されました。
 大槻家の系図 大槻玄梁―長男/玄沢−二男/磐渓―三男/文彦 
 玄沢の師が建部清庵 そして清庵と交流のあった杉田玄白 玄沢は玄白から蘭方医学を学ぶ。
 このような関係を話の中から掴むことができました。

 浜松市の300億円寄付の話にも圧倒され、終始圧倒された取材でした。

2015年09月24日

idea9月号二言三言「オープン1年を迎えた一関図書館」こぼれ話

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(一関図書館のホームページより転載)


ideaに掲載できなかったお話を「こぼれ話」として紹介します。
対談者は、一関市立一関図書館館長の小野寺篤さんです。

○1年間の課題としてどんなことがありますか。
◎・駐車場は194台分あります。一関文化センターとの共用となっており、文化センターの行事がある場合、現在のスペースだけでは足りなくなり来たけれど止められなかったとお叱りも受けます。図書館と文化センターとの利用者を分けることは現実的には難しいですし、スペースを広げることは地域的に難しいわけです。込みそうな時にはフェイスブックでのお知らせをしています。


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一関図書館のフェイスブック



・1年間やってみて感じることは、図書館に対する思いやイメージが人それぞれあるということです。子どもの声を気にする人もいます。高校生が自習に来ると自習に来るところではないないと言う人もいます。一関図書館はこういう図書館です、一関図書館のコンセプトとしてこうしています、とお話しさせていただいています。
・開館して何カ月間は多かったのですが、1年経ってきて最近は落ち着いてきていてそのような話はあまり聞かなくなってきたように思います。
○地域のワークショップでは、子供の声と高齢者の声が混じる場を作れという意見が出てきます。図書館はまさにそうなりそうな場かとも思ったりしますが、静かにする場所となると違いますね。
◎・図書館でのマナーがまだ不十分だと思います。これは子供たちだけではありません。
・本を破るとか切り取って帰る人がいます。特集記事の連載部分が切り取られるなどの例もあります。他人に迷惑をかけない公共のマナーを守って他に迷惑をかけないで利用して欲しいと思います。コピーサービスもあるので必要な部分はコピーしたり手書きしたりして欲しいものです。
・水濡れも多いです。例えば、コーヒーやお茶をこぼすことも結構多く、書籍は一回濡らしてしまうと紙が波打って貸し出しできなくなります。サンルームと読書テラスでは飲食はできますがその他の場所はお断りしています。
・基本的には図書館は飲食できない所です。しかし、大きい施設で長い時間過ごす方もいますので場所を決めて許可しています。特に借りて行って自宅で汚してしまう例が多いようです。



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(一関図書館のFacebookより転載)



○高校生の利用も多いと思いますが、利用の仕方はどうですか。
◎・慣れてきたように思います。どの場所が使い勝手が良いかと分かってきたようで最近は落ち着いてきています。特に夏休みや試験期間中は混みます。
・駅周辺で高校生が放課後に集まる場所は、図書館、なのはなプラザ、駅東口交流センターの3つに分かれているようです。
・一般の方は本を読んだり調べものをしたりしますが、中高生は友達とおしゃべりしてしまいます。こちらは管理する立場なので注意すべき時にはその都度していますが、規模が広いので定期的な巡回まではできていません。

 今回の二言三言は一関図書館長さんのお話でした。
開館して1年が過ぎた一関図書館。実はオープンの日に図書館に足を運び、館内の広さと明るさに驚き、そしてまた、スーパーみたいにカートまで置いてあることにビックリでした。旧館と比べるのは野暮ですね。
そして、館内に漂うコーヒーの香りが…。香りの元をたどれば1階のカフェ「ジャーナル」さん。名前からして本屋さんらしいですね。 


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カフェジャーナルICHINOSEKI
(一関図書館のホームページより転載)



小野寺館長さんからは、新図書館の特色、中央図書館の役割とサービスの統一、図書館ボランティア、課題や今後の取り組みなどについて話していただきました。お話の中で公共マナーについて触れられましたが、マナーを守って気持ちよく利用したいものです。
各地の公立図書館で、雑誌などから写真や記事を切り取ったり、専門書に蛍光ペンで線を引いたりするなど、図書を傷つける行為が増加しており、 中には、閲覧室で堂々と雑誌を切り取り、職員から注意されると「どうしていけないの」と反論する人もいる話を聞いたことがあります。これは明らかに犯罪行為ですね。
私事ですが、以前ある図書館から推理小説を借りて読み始めたら、「こいつが犯人だ」と書き込まれていたことがありましたが、これも良くないですね。

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2014年12月03日

魅力ある地域農業の姿を描く

こちらでは、idea12月号に掲載した「魅力ある地域農業の姿を描く」で、JAいわて平泉の組合長である鈴木さん、いちのせき市民活動センターの小野寺センター長が対談した記事のこぼれ話をご紹介します。まだ紙面をご覧になっていない方はこちらからどうぞ。

〜idea12月号「二言三言」の要約〜
JAいわて平泉が目指す「黄金の郷づくり」の基本的な考え方は、「農家所得を上げる」ことです。農家所得を上げるためには、一次産業だけではなく、六次産業化や輸出を視野に入れた経営を行っていくこと、そのために地元企業さんとの連携や、商業・工業との連携が大切だということ、農業離れする方や、新たに農業を始めたいという若者の応援・支援をし、「魅力ある農業」を目指していくお話を紙面ではご紹介していただきました。

1.「守り」から「攻め」の姿勢へ〜ノウハウをもつ人を育てる〜


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鈴木組合長さん


【小野寺】それでは、農家所得を上げるために、六次産業化や輸出を視野に入れた経営を行う他に、どんなことを行いたいと思っていますか?
【鈴木】あとはやはり、ノウハウをもつ人の育成ですね。私達が国から求められている「農協改革」というのは、ただ一時産品として売るのではなく、もっと幅広く企業と提携し、付加をつけた商品づくりをしなければ、地方の農業は続けられないということで、政府は農業の事業を倍増しようとしています。それを企業に任せると言ったって、大企業ならできるかもしれませんが、下の方に来た個々の農業ではちょっと難しいです。
 今の農家所得の実態からすれば、農業は魅力ある収入源というより「親から受け継いだ土地を荒らしてはいけない」という守りの姿勢で後継してきたんですよね。
【小野寺】守りの姿勢ですよね。これからは、ちょっと変わっていかなければ。
【鈴木】守りから攻めの姿勢に変わるには、ただモノを作ることだけではなく、農産物の付加価値を高めていかなければならない。農協は、そのための「司令塔」になるのが本当の姿なのではないかと思います。
【小野寺】農協さんには司令塔となり、農業に携わる方々の背中をいっぱい押していただきたいなって思います。

2.農業との触れ合いの場づくりと子どもへの食育
【鈴木】これからの農閑期には、「園芸だよ!全員集合」という催物を予定しています。これは、新しく収入をつくりたい方、あるいはこれから園芸に挑戦してみたい方等、少しでも興味がある方に参加してもらうイベントです。実際に、この企画をきっかけに農業・園芸を始めた方もいます。
 農協では、農家だけではなく一般の方々にもそういった情報発信をしていかなければならないと思っています。

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【鈴木】農業は、農地を見ただけでは誰が何をしているのかがわかりませんからね。毎日給食を食べる小学生が、「牛を見たことがない」とか、「玉子ってどうやって生まれるの?」と言います。お米や農産物が作られる過程を知ってもらう食育教育も含めて、農協が情報を伝えていきたいと思います。
 最近の園芸農家の中には、近所に住む主婦の方々に、昼間の空いた時間だけ園芸を手伝ってもらっている家もあるんですよ。年間契約を交わして、労働者として一定の時間のみ手伝ってもらっているようです。
【小野寺】多様な参加を求めるというように、農業のあり方に変わってきているんですね。今は「結いの崩壊」なんて言われていますが、農業って結いの原点なんですよね。田んぼや畑仕事をしながら世間話をするのが、良い井戸端会議の場なんですよね。閉鎖的な農業ではなく、開かれた農業を行うことで、趣味の園芸から「ちょっとお手伝いに行ってみようかな」となってくると思います。入口が広いと参加しやすくなってくるのかなと思います。

3.消費者からもらう大きな「気づき」

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JAいわて平泉さんのフェイスブックより転載


【鈴木】消費者の意見は一番大切です。農協では「ずっとこの方法で行ってきた」という固定概念があるので、お祭り等の催物の際に、直接消費者の立場から「こうした方がいいんじゃないか?」と言われたり、一緒に活動する中でいただく意見は一番ピンときます。
【小野寺】僕が若い農業者と話した時にも、「対面販売が一番自分達の勉強になる」と話していました。
お客さん達が自分のつくった商品を手にとって買ってくれた時がガッツポーズをするし、対面販売をしている時は商品を自分で説明できないとお客さんが買ってくれないというのを身に染みて感じたと。だから、コミュニケーション力、営業力というか、農家として黙々と商品をつくるだけではなく、しゃべるということもできないと駄目だねという話をしました。

4.農業の転換期〜水田から園芸への移行計画〜

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【小野寺】今まで培ってきた農協の歴史もありながら、時代が変わってきたのでちょっと転換をしていかなければならない。農協さんもそうですが、今地域全体が時代の転換期だと思うんです。部落においても色々な課題があり、昔のようなやり方のままでは駄目なんだということで、方向転換の時期にきているんだと思います。農協さんの中にある部会は、組織のあり方等の見直しは行っているんですか?
【鈴木】今の農協の各種部会(畜産・園芸・花)では、女性部や若い方々のグループがつくられています。若者のセンスだけで様々な企画を行うという組織の姿に変わってきていますね。
一方、米を専業で作っている方々は、自分で米を売らざるを得ない程の面積をもっている方ばかりなので、「米部会で話し合わなくても、自分で売り方を決める」という考えがあるようです。西磐井と東磐井の地域を比べても、米農家に違いがあります。東は西の7分の1の面積の田んぼしかないんですよね。

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【小野寺】第三遊水地辺りだと、2町歩・3町歩って結構あるんですけどね。室根とか大東とかでは中山間地なので、一人の面積が1町歩あるだけで多い方なんですよね。
【鈴木】しかし、育苗施設は個々で行えるくらい整っています。東は農協の営農経済センターごとに育苗センターがありますし、両磐では多少規模に違いがあります。西ではナスをやっているように、東ではトマト、キュウリ、ピーマンが中心であり、それが平均して作られています。ところが西には、田を一気に畑作に変えられる意識があるかどうかということになると、そうではありませんよね。
ですから農協では、これからの水田に対して園芸の団地を造るという構想を立てています。今の米の値段では全然採算がとれませんから、それを地域力の高い園芸にシフトしていきたい。ハウスを全て農協が提供し、そこで地主の方々が園芸を行うなら実行しますと。トマト団地も室根と川崎に造る考えでいます。これからの農業は、一つの所で、米・野菜・花等、多角的にモノづくりができる形を作っていかなければならないと思っています。資本は農協で出し、農家に貸し出し、経営は地域の方々で行ってもらう。農協、普及センターや市役所の農林部と一体になり支援し、「こんな風にすれば上手くいくよ」という成功例を一つつくりたいと思っています。一度に変わるのは難しいので、まずはその場に来て見てもらい、仲間作りから始めていただいてもいいんです。


5.商業の始まりは農畜産物を売る「市」

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―10月24日行われた千厩商工祭の様子―
JAいわて平泉さんのフェイスブックより転載



【小野寺】千厩の農商工祭のように、他の地域でも行ってもいいと思いますよね。
【鈴木】千厩の農商工祭の場合は、工業の方々が行っていることを生産工程から展示し紹介していますし、
商業の方々は「いつもお世話になっているので」と感謝セールを行ったりしています。私はそういった地域全体の祭りごとをやっていく必要があると思います。「忙しいからなあ」と嫌がられることもありますけどね(笑)。
【小野寺】でも昔は、「市」という場があり、それが商業の始まりですし、商業や工業との連携って大事だなと思います。いつの時代か、時代が進んできた中で縦割りになってきたんですよね。ちょっと昔に戻りつつ、良い物をつくりましょうという時代に変わってきたんだろうと思います。


6.協同組合の歴史

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JAいわて平泉本店


【小野寺】今の農協さんの形ができあがるまでには、どんな歴史があったんですか?
【鈴木】明治時代は貧富の差が甚だしく、お金を借りるために組合をつくりました。そして、明治35年に産業組合法ができてからは「産業組合」になり、大正・昭和の戦時中に「農業会」という政府の下請け機関に変わります。さらに、昭和23年に新しい民主国家としての形をつくるために「協同組合」がつくられました。協同組合の中には農協の他に、生協、漁協、森林組合等もありますが、その中でも農業協同組合のボリュームが一番大きかったので、今もこのような形で続いております。


7.農家所得向上への取り組み


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【鈴木】「農業協同組合の中だけでは運営できないのではないか」というのが農業改革であり国の提言です。この改革をJAいわて平泉ではどう進めるかという話し合いを行い、来年5月には計画を整理したいと思っています。
 その柱になるのは、「農家所得を上げるにはどうするか」。そのために農協はどう変わり、農家へどうサポートするか。全農だけではなくもっと幅広く、色々な形で売っていく道路をつくっていく。そうじゃないと農家も納得しないのではないかと思います。場合によっては企業と提携することも必要ですが、できるだけ地方の企業と行いたい。そういったことで、やはり商工の連携の形をとっていく必要があるということです。


8.千厩支店の2階を地域に開放


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【鈴木】もう一つは、少子化問題です。学校が統廃合し、集落でも様々な課題で出てきています。しかし人口が減っても、人と人との触れ合いの場はなくさないようにと、今年11月に開店した千厩支店の2階に100名〜150名が収容できる研修室を置きました。地域の方に開放し、朝から夜まで好きなように出入りしていただけるようにと。
【小野寺】それはすごいですね。
【鈴木】支店の統廃合はすごく簡単ですが、そこから地域が錆びれていくんですよね。農協は地域の皆様に利用していただいた中身で運営を行っていますし、農協から地域を壊さないということが大切だと思っています。
【小野寺】農協さんの支店が農業を行っている方の拠点なんですね。そこで説明会があれば勉強会もあり、人材育成の場にもなり、たまには寄り合いがあったりという所では、簡単に支店統廃合と言っちゃいけないですよね。

本日は貴重なお話を聞かせて頂き、どうもありがとうございました!

2014年07月17日

第1回 二言三言「一関市が目指す協働のまちづくりとは」


こちらでは、idea6月号に掲載した、「第1回 二言三言― 一関市が目指す協働のまちづくりとは ―」で、一関市長である勝部修さん、いちのせき市民活動センターの小野寺センター長が対談した記事のこぼれ話です。
紙面に載せられなかった部分を、ブログにてご紹介いたします。
まだ紙面をご覧になっていない方は、こちらからどうぞ。


■協働におけるNPOと企業の存在力

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【小野寺】協働というと、自治会や民区など基礎コミニティ、ちょっとサイズを大きく考えた小学校単位や公民館単位の地域と行政のイメージが強いですが、地域協働を進めていくうえで、地域を支える主体のひとつとしてNPOの存在感もあると感じています。一関市のNPO法人は、30法人あり、その内20法人が人の雇用をしています。岩手県内で約450法人あるが、約7割が職員雇用しているというのは、県内でも多い方だと思っています。一関のNPO法人はちゃんと職業として成り立っているということも強みなのではないかと感じています。協働のまちづくりの中で、市長は、NPOの存在はどのように感じていますか?

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【市長】非常に大きい存在だと感じています。自治会とか住民組織は、ある程度、行政の方でその方向性をつくり示して動いてきたというところがある。地域を運営(経営)していこうという観点からみて、必ずしも本来の意味には沿わないところもあるかもしれない。そのような歴史的な背景もある。けれども、現に今はそれが中心となって動いているし、そういう自治会組織が住民の代表する組織としてあるとすれば、NPOと言うのは行政区でもない、自治会組織でもない、本当に地域の中に、縦割りでない横軸として、存在するものだと感じている。地域経営という観点からすれば、かなり核となる経営主体に近い存在だろうと思います。NPOはこれから相当大きな核になると感じています。地域経営主体としてね。あとは、これからNPOもグッと伸びていくと思う。市内には企業NPOはあるの?

【小野寺】無いです。市民NPOです。

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【市長】私はこれから、企業、本来の企業活動としてではなく地域に存在する企業として、地域の一員として地域貢献をする企業体という形での関わり方、この部分とNPOの部分は今まで地域の方々が、鮮明には意識していなかった部分だと思う。そこが今後かなり大きくクローズアップされるのではないかと感じますね。そことのつながりを大事にしていきたいと思います。

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【小野寺】市内の企業も当センターの情報誌で毎月取材させていただいていますが、「あっ、そんなこともしているんだ」ということがたくさんあります。企業の地域活動は、あまりよそに知られていなく、もっとオープンにすべきではないかと感じていました。企業NPOとして、地域との連携活動が増えてくれればいいなと思っていますし、すでに十分やっているところもあるので、経済活動以外でも地域づくりの主体として存在価値があるなと感じています。地域づくりの主体としては、コミュニティ、NPO、企業と行政の4者だと思うので上手く連携の仕組み、協働の仕組みを作って行かなければと感じています。市長から頂いた言葉をまとめていくと、とてもいいメッセージになるいのかなと思います。

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【市長】私が県の職員だった時代に、ある業務をどうしようかなと思った時に、NPOが手を上げることがなかった。

【小野寺】昔のように行政の受け皿感覚のNPOは少なくなってきました。10年ひと昔と言いますが、NPOは行政の委託や受け皿団体が多かったのですが、自分たちのミッションに必要な事業でないと手を挙げなくなってきていて、YES・NOが、はっきりと言えるようなNPOが増え、活動のクオリティが高くなってきていると感じています。



■協働のまちづくりで高まる地域の力
  行政に求められるコーディネート力とは


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【小野寺】あっそうだ!!短くていいので最後に・・・市長になられてから一関のまちづくりがどういう風に変わったと感じていますか?僕個人が感じていることは、協働のまちづくりと掲げ、地域住民、基礎コミニティが活発になってきていると思います。ハードでの大きな変化はなくても、人、マンパワーが強みを発揮しているような。

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【市長】それはそうですね。その一つに元気な地域づくり事業は大きな要因になっているだろうと思うんです。地域の方々に決めてもらって、その使い方も地域の人達に任せるからという手法を取り入れた。やり方は、地域、地域で違うと思う。それでいいんです。それが面白い。行政がそこで何をするかというと、コーディネートですね。来年この地域と一緒にやってみるといいのではないでしょうか?というアドバイスも必要になってくるのではないでしょうか。そういったことができるような行政になっていく必要があるでしょう。行政側が持っている、得意分野かどうかわかりませんが、少なくとも職員はさまざまな事例は知っているはずです。

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【小野寺】大事なのは場作りと、コーディネート力ですよね。説明責任を果たすのも、どういう場を作り、その場の中に、うまく人を取り込めるかどうかですからね。場ができたあとに、理解につながるから、場作りが大事だと思うんですよね。行政はコーディネートが得意分野だと思っているので、協働の手法も行政が、コーディネート役になれていることが、将来的な期待が大きく見えるのではないかと思います。こういったことも考えるようになったのも上手く施策がかみあってきたからかなと感じています。ので、今後とも、元気事業を始めとして、ゆくゆくは交付金で協働体がしっかり考える地域になっていってもらえればいいなと思います。

【市長】そして、自ら情報収集するところまで行けばこれはしめたものですよ。

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【小野寺】ゆくゆくはちゃんと地域経営を考えられる地域になるという事が求められているのでしょう。僕ら市民活動センターも来年10年になるので、地域経営ができる地域を育めるような支援をしていきたいなと思っています。

【市長】是非、期待しております。お願いします。