平成27年度 滋賀県環境教育研究協議会で アイキッズの活動を発表してきました。8月7日(金)
滋賀県では、滋賀県環境学習推進計画に基づいて、生涯にわたって主体的・継続的に
環境学習に取り組み、持続可能な社会づくりに向けて行動できる人づくりを目指しています。
環境教育への取組は、「総合的な学習の時間」をはじめとする学校のカリキュラムの中に、
地域や学校の特色を生かした環境学習を、地域の人々や企業、NPO等と連携しながら
体系的・総合的に進める必要があるとの主旨から、「地域やNPOの活動紹介」のなかで、
今回、アイキッズの活動を発表しました。
発表団体名と内容です。
【発表団体名】→【内容】
@栗見出在家町魚のゆりかご水田協議会 → 琵琶湖と田を往来する魚たち
A草津湖岸 コハクチョウを愛する会 → 琵琶湖の渡り鳥
B山内エコクラブ → 暮らしと水文化、狂言
Cエコアイディアキッズびわ湖 → 琵琶湖の生き物と食文化
Dふるさと「矢倉」風景の記憶絵プロジェクト → 50〜60年前の地域の暮らし・絵解き
アイキッズの活動の紹介をします。
堤えりかです。瀧有伽です。堤まいかです。大谷花です。
毎月一回集まって活動しています。
滋賀の人々は、昔から琵琶湖のめぐみをいただいてきました。
琵琶湖には、たくさんの種類の魚がいて、それぞれの魚に適した
いろいろな調理法があり、おいしくいただいてきました。
アイキッズの活動のめあては、ふるさと滋賀の伝統食づくりを通して、
琵琶湖のめぐみに気づき、琵琶湖を好きになることです。
これは、わたしたちが手作りしたおにぎりです。琵琶湖のめぐみが
いっぱいつまっています。ここでみなさんに問題です。
どんな琵琶湖のめぐみがつまっているか、具は何かわかりますか?
答えを言います。琵琶湖のめぐみは、魚と米と水です。
おにぎりの具は、世界中で琵琶湖にしか住んでいない固有種のビワマスです。
アイキッズは、ただの料理クラブではありません。
こだわっているのは、食材を手に入れることから始め「人と人とのつながり」を
大切にすることです。
料理の材料になる魚、米、野菜、調味料は、実際に産地を訪ねて手に入れます。
その時、作っている人からもお話を聞いて、食材のことや食材に対する思いを伺います。
また、料理を作るときにも、郷土料理の専門家や漁師さんなどに教わりながら一緒に
つくることにしています。
では、「アメノイオご飯」作りを紹介します。
産地に行き、集めた材料で作った「アメノイオご飯」は、たくさんの人の思いも
つまっていておいしかったです。
次は、滋賀の伝統食でも一番有名な「なれずし」づくりです。
完全手作りにこだわっているので、魚を捕るところから体験します。
まず、漁師さんを訪ね、琵琶湖伝統のえり漁を体験して、魚をとりました。
そして、自分たちで魚をさばいて、うろこや内臓を取りのぞいて、塩につけました。
もう毎年やっているのでみんな魚を扱うのは慣れています。
わたしは、今は中二ですが、小学校2年生のときからアイキッズの活動をしています。
2か月してから、塩からあげてご飯につけました。
つける時にお酒が必要だったので、地元草津の太田酒造という酒蔵を訪ね、
わけてもらいました。
そして、半年たつと、ごはんが発酵してチーズみたいなにおいがする「なれずし」が
できました。
これまで、フナ以外にも、ビワマス、コイ、ブラックバス、ハス、カマツカなど、
10種類ぐらいの琵琶湖の魚をなれずしにしました。
伝統の知恵を取り入れた、新しい郷土料理も考えました。
それが「大豆の丁稚羊羹」です。
ふつうは、羊羹のあんは、あずきを使いますが、滋賀県産の大豆を使い、
大豆あんを作り、丁稚羊羹にしてみました。
味付けにメイプルシロップを入れる工夫をすると、大豆あんのくせがなくなり
とてもおいしかったです。
また、草津の南洋軒の人に教えてもらって草津宿の名物「うばがもち」
づくりもしました。
また、地元の二種類の大豆を使って、みそづくりもしました。
そして、滋賀の伝統の打ち豆汁を作りました。
このように魚だけでなく、地元の野菜や豆も使った料理にもチャレンジ
してきました。
一年間の最後には、お世話になった人を招待して、
なれずしをふるまい感謝パーティーをしています。
このときの会場は、日野の廃校になったかいがけ小学校をお借りしました。
昔、滋賀では、お正月やお祝いごとなどハレの日に、
その家の手作りのなれずしでおもてなしをしていました。
だから、わたしたちもなれずしをお世話になった人たちに食べてもっています。
このようなおもてなしが滋賀の食文化であることを体験しています。
豊かな琵琶湖には、約50種類の魚がいます。うち15種類が固有種です。
昨年、和食が世界遺産に登録されましたが、琵琶湖の湖魚食は、
もう10年以上前に文化財に登録され、その価値が認められています。
滋賀県の人々は昔から、琵琶湖の魚をとって、食べてきました。
それぞれの料理法には、魚をおいしく食べる昔の人の知恵がつまっています。
しかし、今、そんな世界的に見ても例がないほど珍しく、豊かだった湖魚食文化が
失われようとしています。
その原因は、魚が減ったことと、それにともなって魚を食べる人が減ったことです。
琵琶湖の環境は、少しずつ良くなってきて、魚が戻ってきているようです。
でも、湖の魚を食べる人は、どんどん減っているように思います。
滋賀県の名物は?と聞くと、「ふなずし」って答える人は、多いです。
でも、子どもたちの中には、名物だけど食べたことはもちろん、
作ったことも見たこともない子が増えています。
貴重な食文化を残すためには、まず作って食べてみて、おいしいと感じることだと思います。
本当のおいしさを知らないとその価値を理解したり、伝えたりすることはできません。
わたしたちは、活動を通して琵琶湖の魚のおいしさを知り、琵琶湖と食文化の
すばらしさに気づきます。
そのすばらしさをより多くの人に伝えていきたいです。
みんなが琵琶湖のめぐみに気づき、その価値を見直したとき、もっと琵琶湖の環境を
守ろうと行動できるはずです。
大好きな琵琶湖を未来に引き継ぐために、これからも、いろいろな世代の人々と
一緒に活動を続けたいと思います。
アイキッズの取り組みを聞いていただき、ありがとうございました。