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活動実績 [2009年07月28日(Tue)]

支援委員会の活動実績



岩手・宮城内陸地震被災地(栗原市)での活動



2008年に発生した岩手・宮城内陸地震では栗原市の被災者の要望に応えさまざまな支援活動を行ってきました。その概要を紹介します。

その前に、基礎知識。地震発生は、08年6月14日。被災地となった栗原では、09年4月現在で約110世帯、280人が避難生活を余儀なくされています。住宅が被災している世帯もありますが、それよりも土砂災害の危険があるということで、避難指示によって自宅や農地から遙かに離れた場所での避難生活が続いています。このため収入の途が絶たれてしまったことが最大の課題となっています。
被災エリアは、大きく2地区に分かれ、したがって住民団体も「花山震災復興の会「がんばっぺ」」と「くりこま耕英震災復興の会」の2団体があります。

@車座座シンポジウムの開催(08年8月31日)


このシンポは、学会と災害発生直後から支援に入っていた「震災がつなぐ全国ネットワーク」のタイアップによって実現しました。シンポには、花山地区・耕英地区の被災者、栗原市役所、学会からは室崎会長を始め、約10人の会員が参加しました。シンポは、被災者から現状を聞き、課題については、専門分野の会員がアドバイスするという方法をとりました。学会としては、継続的な支援を約束しましたが、その方法が課題として残りました。

A復興アンケート調査への協力(08年12月〜1月)


「くりこま耕英地震復興の会」から地区住民51人を対象にアンケート調査を実施したいという学会に希望があり、アンケート票の設計、集計、分析の支援を行いました。
支援担当は、他の委員に比べ被災地に比較的近い東京に在住し、地元からのご指名もあり、東北弁に堪能な木村委員長が引き受けることになりました。
回答の一部を紹介します。山への帰宅希望に関する質問に対し、約7割の世帯から帰宅を希望するという回答がありました。これを山に生業を持っている世帯だけで見ると、約8割の世帯から帰宅したという回答が寄せられました。

●一部の地域の道路復旧に時間を要しても、役所が帰宅(避難解除)の判断をしたとき、
あなたの考えはどうしますか(○は1つ)
@すぐにでも帰宅したい           (48%)21人  
Aいろいろな安全対策が実施されるなら家族全員で帰宅したい  (20%)9人  
B地域全体が安全になるまで帰宅しない (11%)5人  
C安全対策が実施されても、健康のことがあるので、
家族そろっての帰宅は無理だ        (7%)3人   
D帰宅はすでにあきらめている       (7%)3人       無回答3人  


B復興計画策定への協力(08年1月〜2月)


市が3月末まで復興計画を策定するということからこの復興計画に被災者側の意向も反映してもらおうということになり、2月末まで被災者側(花山地区・耕英地区)の復興計画を策定することになりました。時間もないために支援委員会が計画のフレームを作成、その中を被災者の皆さんが検討して記述するという方法をとりました。
策定作業の打合せは、約1ヶ月間、毎週土曜日の夜に開催され、毎回、木村が出席しました。会議の中で次回まで住民が検討すべき内容は、住民が中心となった集会で議論されました。
完成した計画のタイトルは、「私たちの復興計画−楽しい農山村づくりを目指して−」で、この計画書は市の復興計画を検討する市民検討会にも資料として提出されました。
被災者側がこだわっていた避難生活への支援は、公的支援の中には反映されず、最終的には義援金の配分の中で考慮されました。
両復興の会が作成した復興計画の目次とフレームは次のとおりです。

もくじ

はじめに                                     
1.計画の全体像 2
2.こんな地域にしたい 3
3.帰宅に向けた課題の解決 4
4.将来像実現のための計画 6
5.将来像実現に向けた短期的計画 8
6.復興計画実現のために 8
おわりに



C新潟県中越地震の被災地との交流会の開催(08年3月31日)


避難指示解除後に本格的な復興が始まることから先に被災体験をした住民の声を聞きたいという要望に応え、中越防災安全推進機構の協力を得て新潟県中越地震の大きな被害が出た川口町の住民十数名に栗原に出向いて貰いました。川口町の皆さんからは、震災を契機に地域づくりが活発になったことが報告されました。ただその背景には復興支援員の活躍が大きかったという指摘がありました。
まじめな話の後は、当然アルコール付きの交流会です。食べきれないほどの焼き肉に感謝。翌日は、川口町の皆さんに蕎麦をうって貰いました。手打ち蕎麦はやっぱりうまい。大成功の交流会でした。


C栗原復興市民ファンド


このファンドの創設に支援委員会は直接かかわっていませんが、市民側が策定した復興計画の中にはその必要性がうたわれています。今後の栗原支援にあたって大切なファンドとなることから、ここで紹介します。
NPO法人せんだい・みやぎNPOセンターは花山、栗駒耕英地区支援のために運営する基金「地域貢献サポートファンド みんみん」の中に「栗原復興市民ファンド」を設置しました。
市民の復興のための原資を市民が集めるという取り組みは、国内では初めてのことです。今後はこのような取り組みが増えるかも知れません。
 寄付の振込先は「東北労働金庫本店営業部 普通預金5823126」、口座名義人はNPO法人せんだい・みやぎNPOセンターです。振込者の名前の前に必ず「復興」と書いてくださいということです。
支援委員会としては、PRという形で協力したいと思います。

Posted by 復興支援委員会 at 13:44 | 1. 設立の趣旨 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
委員会の設立 [2009年07月24日(Fri)]

ごあいさつ


復興支援委員会のブログを立ち上げました。

災害大国日本。首都東京ですら、世界の主要都市の中で最も災害リスクが高いと言われています。

大きな災害に見舞われたとき、出来る限りその被害を小さくし、そして出来る限り速やかに元通りの暮らしを取り戻し、社会を回復させることが理想です。

しかし、簡単には「元通りにはならない」ほどの大きな打撃を受けたとき、長期的な視点で「復興」に取組んでゆくことが必要です。

そんなときに、役に立つのは「過去の被災の経験」です。同じことが同じ場所で起きることは希ですが、似たようなことが他の場所で起こるのは、毎年のように繰り返されています。

日本災害復興学会には、日本中の研究者や復興の支援者が会員として登録されています。この会員の経験や知恵を結集して、不幸にも被災してしまった人々、地域の復興のお手伝いをするために、「復興支援委員会」は発足しました。

被災した人々や地域が、よりよい復興に向かうように、出来る限りのお手伝いをしていきたいと考えています。
Posted by 復興支援委員会 at 17:29 | 1. 設立の趣旨 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)