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Mr.Children tour 2023/24 miss you  東京国際フォーラム ホールA 1月14日[2024年08月07日(Wed)]
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コロナ禍終盤の2022年、Mr.Childrenは30周年を迎えた。

60万人の心を熱狂させたツアーから1年、彼らは新しい一歩を踏み出した。
その第1作目がアルバム『miss you』。
2022年12月に映画『Mr.Children 「GIFT for you」』が公開された以外は主だった動きが無かった中、突如として発表された21枚目のオリジナルアルバムだった。

オール未発表新曲、オールノンタイアップという内容はMr.Children史上初めてで、Vo.桜井本人も「自分に近い音楽」、「自分自身が声になって、音楽になったような作品」と評している。
また、「今までは期待されていることに応えるというか、こういうのを聴きたいだろうなとか、どこかそれを狙っていたり、コントロールしたりしていた」として、今回はそれが全く無いアルバムであり、「“Mr.Children”としての役割とかそういったものを全く背負っていない」し、「世の中に出していいのか、どうなのか悩むくらいの物だった」ようだ。

それはある意味、商業音楽とは一線を画すとてもパーソナルな作品なのかもしれない。
私小説のような、日記のような。


ここでは、2023年9月から2024年3月までの半年間に渡って行われた、ホールツアーの東京公演2日目の模様をリポートする。



近年Mr.Childrenはごく少数キャパの会場と大規模会場の両輪でツアーを開催しているが、このアルバムツアーにあたり、ホールをチョイスする辺り、このアルバムの特殊性や意味合いを表現しているように感じる。

初めましてのファンやドーム・スタジアムでのお祭り感溢れるといった感じではなく、「こんなの作ったんだ」と友人に気兼ね無く聴かせるようなセットリストになっている。

筆者はホールでのMr.Childrenは初めてで、やはりアリーナ以上の会場に比べるとかなりこじんまりしていると感じた。

小さいステージに、楽器セットと向かって右隅に木が1本だけ配置されている。
派手なオープニングは無く、比較的淡々とした雰囲気で、メンバーがステージに登場。
シングル曲なのに前回ツアーでは披露されなかった「Birthday」からスタート。
31歳となったMr.Childrenの誕生である。
続く「青いリンゴ」〜「名もなき詩」と爽やかなナンバーで僕らを歓迎してくれた。
50代を迎えても、音楽に対するマインドは若さを失っていない。
そして「Fifty’s map 〜おとなの地図」。
『miss you』における「ケモノミチ」と並んでリード曲の1つであるこの曲では、Vo.桜井の音楽観、ひいてはMr.Childrenの音楽に多大な影響を与えている尾崎豊の曲をオマージュしている。
こちらも爽やかなメロディーは変わらないのだが、50代を迎えた彼らの憂いや悟り、そして人生というものの多くを分かってきたような、でもそうでもないような、だからこその少しの希望が表現されている。

また、若かりし頃の“自由”の概念と、大人になった今考える概念に変化も見える。
若かりし頃は、どこにでも転がっていて自分が探し求めるかどうかで、探し方が分からないから必死で探し続けて、手に入れたのか入れてないのか答えすら見つからないものだが、齢50でその時期はとっくに過ぎ、ふと気付けば自由というものは手に出来るようなものではなく、魔法のように意図しない所でかかっているのではないかと思いつつも、そうじゃないだろ!と思い直す、未だに旅の途中なんだなと思わせる内容になっている。

「口がすべって」でも、相変わらず自分の生活も世界情勢も変わらないけど、受容していこうという悟りが見える。
シンプルにストレートに「君に会いたい」と思いを綴る「常套句」は、今ツアーでは演奏されなかったアルバム1曲目の「I miss you」に繋がりを感じる。


ここからは『miss you』パート。
「Are you sleeping well without me?」の気だるい雰囲気が心地好く響けば、ハンドクラップにラテンテイストを感じる「LOST」、1000%シングルには出来ない攻めた面白い曲だが必聴の「アート=神の見えざる手」。
Mr.Childrenは雨を愛に変えるスキルがある。
「雨の日のパレード」も、愛する誰かと一緒なら、人生の素敵な1ページとして記憶される。

ちょっと恐いのは「Party is over」と「We have no time」。
パーティーというのは、人生だったり音楽活動のことを指しているようにも思える。
be over(終わり)にrestartするにはWe have no timeと歌っており、未練が無い訳ではない、でも向かう場所が分からない(もうやりきった?)、でもいつの日も胸に暖かな炎は感じているしスキルは健在、でも…といった葛藤が見える。
やはり50歳を過ぎたことが大きく影響しているのか、いやでも偉大な先輩方は60歳になっても70歳になっても精力的に活動している。
『半世紀へのエントランス』の通り、40年50年と活動を続けるにあたり、やはりこの作品を経ることは彼らにとって大きな意味を持つのかもしれない。

「ケモノミチ」では、良くも悪くも人間(自分達を含む)は時代に翻弄される弱さと強さを描きながら、君のためだけに歌うよ、とここまでの『miss you』パートを総括する形になっている。
前半はアコースティックギターとストリングスと少しのコーラス、後半はそれにドラムが加わるという比較的シンプルな構成で、全体的に不安感を感じつつも集中力の高いまま終わる。


冒頭に述べたように、今作は比較的個人的な作品に近く、それが風景描写や歌詞に色濃く出ていたり、実験的な音使いも多い。

ニュース見ながらコーヒーを溢し気に入りのシャツを汚したり、仕事終わりのビールと飼い犬だけが僕を待っているとか、子供の飛び蹴りがミゾオチに決まったりムカついたり…。
選ぶフレーズも口語表現も多く、そこも楽しめる要素だ。
また、「アート=神の見えざる手」のダンサブルなリズムに攻めに攻めた歌詞、「We have no time」のバグのような打ち込み音も、二度目になるが必聴なのだ。


さてここからはファンなら馴染み深い過去のシングルとアルバム曲。
「pieces」の美しく切ないメロディーが一気に会場を包み込めば、女性的なラブソングの「放たれる」でそれを畳み込む。
「幻聴」からは明転するように世界観を変え、「声」、「Your Song」とファンを喜ばせるナンバーが続いた。

一息つくとここで珍しい演出が。
2015年に対バンで共演し、今作中の「deja-vu」と「おはよう」ではピアノとコーラスで参加したシンガーソングライターの小谷美紗子さんがゲスト出演。
Mr.Childrenのコンサートには、女性アーティストのサポートが極めて良く合う。
特にこの2曲は優しいメロディーで穏やかな幸せを歌う曲なので、彼女のピアノが優しく寄り添っていた。


アンコールでは、「優しい歌」の弾き語り、そして「The song of praise」から「祈り 〜涙の軌道」と、人生を賛美するようなナンバーで締めくくった。



やはり規模的に小さいこともあり、スタジアムバンドとしての大掛かりな演出は無く、淡々と音楽を届けるスタイルで、落ち着いて堪能出来るものであった。

また、Vo.桜井をはじめ、メンバーの日々の葛藤や思いを垣間見れる2時間半だったかと思う。

「常套句」や「放たれる」、「The song of praise」に「祈り 〜涙の軌道」といった、シングルもしくはそれに近い立ち位置でもあまり演奏されない曲を聴けたのも、価値ある時間だった。

何万人を熱狂させるドーム・スタジアムでもチカラを発揮出来、数千人に対しても寄り添える音楽を届けられるのも、日本屈指のバンドである所以だ。


現在アリーナツアーの真っ最中。
規模を少し拡大した彼らが、どんなパフォーマンスを魅せてくれるのか、本当に楽しみである。



1.Birthday
2.青いリンゴ
3.名もなき詩
4.Fifty’s map 〜おとなの地図
5.口がすべって
6.常套句
7.Are you sleeping well without me?
8.LOST
9.アート=神の見えざる手
10.雨の日のパレード
11.Party is over
12.We have no time
13.ケモノミチ
14.pieces
15.放たれる
16.幻聴
17.声
18.Your Song
19.deja-vu
20.おはよう
Encore
21.優しい歌 弾き語り
22.The song of praise
23.祈り 〜涙の軌道

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by Tatsuya Umezawa
(080-2023-8050、be_hero_in_shifukunoworld0728@yahoo.co.jp)
Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス 6.12 日産スタジアム[2024年08月06日(Tue)]
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Mr.Children

30th Anniversary Tour


半世紀へのエントランス

       

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2022年5月10日に東京ドームで30周年を迎えたMr.Childrenの旅の序章は続いている。

舞台をスタジアムに移した第2幕。
ここでは6月12日の横浜公演(横浜国際総合競技場(日産スタジアム))をレポートする。


ここでMr.Childrenがコンサートを行うのは、2004年の“シフクノオト”ツアー以来6回目となる。

ドームツアーでは、30周年をお祝いする意味合いが強く感じられたが、この開放的なスタジアムツアーでは、ドームツアーと基本的な構成は踏襲しながらも、数曲の変更と追加で7万人に過去・現在・未来の新しいMr.Childrenを提示した。
そう、エントランスを開けたその先を予見させるように。



そのオープニングで演奏されたのはなんと「終わりなき旅」。

これには誰もが驚いたであろう。
それこそ2004年のシフクノオトツアーでオープニングを飾ったこの曲、以降は大トリで各コンサートを締める大事な役割を果たしてきたものを、今か今かと待ちわびている7万人に最初にサーブされたのだ。
声を出せない環境下にも関わらず、会場にいた筆者は、オーディエンスの拍手にどよめきと大歓声を感じた。
いや、皆思わず唸ったのかもしれない。
Mr.Childrenの旅は終わらないぞ、と誓う3度の「終わりなき旅」のシャウト。

立て続けに大ヒット曲で一気にMr.Childrenワールドに誘う「名もなき詩」。
近年のコンサートにおいて、パーティーの盛り上げ役に躍り出てきた「海にて、心は裸になりたがる」。
「心の中で叫んで!」と呼びかけながら、Vo.桜井が花道を通りセンターステージに向かう。
Mr.Childrenの90年代の代表曲は数知れず。
「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」で恋に翻弄され、「innocent world」で人生に翻弄される。
人間の細かい心情を描く彼らの音楽は、この日も僕らの心を捉えて健在。
花火の特効で興奮状態は上昇。


少しテンションを落ち着けて披露されたのが「彩り」。
リリースされて15年、相変わらず混沌とした世の中で変わらない価値観、環境問題に戦争、そしてコロナでの世の中のストップ状態からの「ただいま」「おかえり」の心の中でのシンガロング。
「口笛」はやはりMr.Childrenの中でも珠玉のラブソング。
一般的には目立たないこの曲は、ファンクラブではトップの人気を誇る曲だ。

デビュー前から演奏されていた「車の中でかくれてキスをしよう」。
ここでGt.田原健一、サポートのSUNNYがセンターステージへ。
壮大なアレンジがドデカいスタジアムを包み込む。
Mr.Childrenは30年以上前に既に、このスタジアムバンドの原型を持ち合わせていた。
このスタジアムで初めてコンサートが開催された18年前に生み出された「Sign」、当時は大トリを飾ったこの曲では、Ba.中川とDr.鈴木(JEN)もセンターステージへ。
よりファンに近く、今までより心に届くようにと、届いてくれるといいな、と。


優しいラブソングに続いて、Mr.Children史上最も社会的メッセージが強いこの曲を持ってこられるのが、彼らのキャリアの真の強みだろう。
「タガタメ」。

筆者は現在36歳。
ソングライティングを担当している桜井は制作当時32歳か33歳。
Mr.Childrenのおかげで、同世代に比べて社会問題に目を向けるレベルは高いと自負しているが、32歳という年齢で、根底にとてつもなく力強い意志と批評と提言を持ち、かといって、肩肘を張る訳でもなく高尚過ぎもしないライティング、到底他は真似出来ない。
小林武史とMr.Childrenのアレンジの壮大さも見物だ。


続いて「Documentary film」〜「DANCING SHOES」。
ツアーが行われなかった最新オリジナルアルバムからの2曲。
ドームツアーに続いて「Documentary film」はハイライトだろう。
穏やかに始まる歌い出しからサビの盛り上がり、スタジアムに響くバンドとストリングスサウンド、Mr.Childrenロックここにあり。


毎回演奏される度に一つの注目になる「LOVE はじめました」では、満を持して長谷部を起用、「フェイク」〜「ニシエヒガシエ」とダークロック3連発から、JENのドラムが圧倒的疾走感溢れる「Worlds end」。

短いMCの後、雰囲気はガラリと変わり「永遠」と「others」。
「永遠」はファンなら予想通りの美しいメロディーがスタジアムに鳴り響き、「others」は狭い部屋から壮大なロングアウトロに至るストーリーと音がスタジアムにも映えた。


半世紀へのエントランスも終盤。
「Tomorrow never knows」でスタートするや否や、「光の射す方へ」では音に合わせた花火の特効でテンション再上昇。
やはりこの2曲はスタジアムに合う。
「fanfare」では銀テープが発射され夜空は煌めきを増すと音もキラキラカラフルな「エソラ」へと続く。


「GIFT」。
「本当にラッキーなバンドです。誰かに言われました、Mr.Childrenって音楽に愛されてるんじゃないかって。何より、皆さんにこうして愛してもらえてると実感します。本当にありがとうございます。」
運と実力を兼ね備えた稀有なバンドとして、日本音楽史上に色濃く刻まれ続けるであろうバンドのボーカルの言葉には、見る者の目から落ちるものがあった。

本編終了。

アンコールでは満を持しての登場という感じ、何故ドームツアーでは演奏されなかったのか、「HANABI」。

そしてドームツアー同様、「生きろ」が大トリを務めた。


〜終演〜

個人的に、やはりMr.Childrenはスタジアムバンドだなと再確認した。

30年のキャリアを持つこのバンドは、様々なテーマと音楽性を生み出しながら成長してきた。
パーソナルなシチュエーションから世界にすら発信出来るメッセージを持ち合わせた曲まで数多存在する。
オーディエンスに対して、感動と圧倒的インパクトを残せるバンドは数少ない。

近年は、Vo.桜井のボイストレーニングや海外エンジニアの起用等、新たなチャレンジもしている。

40周年、50周年、その先へと期待は膨らむばかりだ。





1.終わりなき旅
2.名もなき詩
3.海にて、心は裸になりたがる
4.シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜
〈S.MC〉
5.innocent world
6.彩り
〈MC〉
7.口笛
8.車の中でかくれてキスをしよう
9.Sign
10.タガタメ
11.Documentary film
12.DANCING SHOES
13.LOVE はじめました
14.フェイク
15.ニシエヒガシエ
16.Worlds end
〈S.MC〉
17.永遠
18.others
19.Tomorrow never knows
20.光の射す方へ
21.fanfare
22.エソラ
〈S.MC〉
23.GIFT
〈アンコール〉
24.HANABI
〈MC〉
25.生きろ



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by Tatsuya Umezawa
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『Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス』 東京ドーム 5.10[2023年05月10日(Wed)]



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Mr.Children

30th Anniversary Tour


半世紀へのエントランス



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30年の節目の日を迎えたこの日、東京の中心は鮮やかな晴天が広がっていて、ほのかに暑いくらいだった。

穏やかともとれる、何かが起こる予感もさせる、様々な“想い”が交差していた東京ドーム。

いきなり余談で申し訳ないが、この日は音楽なんて流さない埼玉県のある駅のホームでも、Mr.Childrenの曲がBGMのように流れていた。
それ位、特別だったのかもしれない。


直近である2020年、『SOUNDTRACKS』の発売に際したツアーは、世界的に蔓延したウィルスの影響により一切組まれず、2019年『Dome Tour 2019 Against All GRAVITY』以来のツアーとなった。

30年という年月が物語るようなファンの顔ぶれ、誰もが期待と不安を抱きながら、この日を待っていたに違いない。

東京ドームのエントランスを入り客席に向かうと、あの時と変わらない巨大なステージセットが目に飛び込み、会場を流れるメンバーが選曲したという邦洋様々な曲に刺激され、「さぁ、どんなショーが行われるのだろう」と胸がアツくなる。



〜開演〜

お馴染みのオープニング映像。
『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』ツアーに似た、これまでの作品のジャケット、MVやライヴの映像が散りばめられた映像が流れ、30年の集大成のような演出がなされていた。

そこから、30周年ベストアルバムのプロモーション映像に登場するタワーのエントランスに入っていく。

可動式の大型スクリーンが開かれ、その先には…

爽快感溢れるイントロのギターサウンドが迎えてくれる「Brand new planet」。
30周年から50周年へ、真新しい世界へと連れていくよ、とでも言わんばかりのウェルカムソングのプレゼント。

ここからMr.Childrenの“宇宙”が始まる。

続くは「youthful days」。
「覚えてますか?思い出しました?この感じ!みんなとの再会を、ライブの再開を、首を長くして待ってました!さぁここから始めるよ!僕らがMr.Childrenです!!カモン!!」とのMCで、一気に会場のサイレントなボルテージは上がっていく。

2018年発表の『重力と呼吸』以来、ライヴを盛り上げるべく随所に登場する「海にて、心は裸になりたがる」では、Vo.桜井は縦横無尽に駆け回り、Gt.田原とBa.中川もステージギリギリまで来てオーディエンスを刺激。
1年半の鬱憤を晴らすかのように、5万人の熱は上がっていく。
「もっともっとぶちあがって、もっともっと楽しんで、もっともっと自由に!」とVo.桜井が煽る煽る!
加速度を増すように演奏されたのは「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」。
誰もが知る初期の突き抜けたラブソングだ。
サビでのドーン️という大きな花火の特効で会場の緊張が一気に解放された。



「30年前の今日!Mr.Childrenがデビューしました!」



大きな節目の割に、思いの外淡々と進む記念日を祝すMC。
受け手として、「確かにお祝いの日ではあるが、10年先、20年先への通過点なんだな」と感じさせるMCであった。

サビ部分のソロを伸びやかに歌うVo.桜井の歌声から始まった「innocent world」。
50歳を過ぎての円熟味、またこの数年のトレーニングが活かされたニューボイスに酔いしれる。
Gt.田原が考案したイントロはいつの日も褪せずにインパクトを残してくる。

メンバーは20代、初期の頃の切ない失恋を歌った「Over」。
まるで四畳半の小さな部屋で紡がれるような、とてもパーソナルでいて、多くの男性が抱いてきた悲しげな歌詞と、それを乗り越えようという前向きなメロディーに一抹の懐かしさを感じる。

勝手な解釈の1つではあるが、「Over」で喪失感を得た男が、現在地の正しさを問うような「Any」。
そして2000年代一番と言っても過言ではないだろうかと思われる珠玉のバラード「くるみ」。
美しい旋律に、ポイントで響く力強いバンドサウンド、ロックバンドには珍しい切なさを増すアコーディオンを効果的に使った高い音楽性。
この日はハーモニカがそれを増長させる。
そこに、発する言葉が全て金言になるVo.桜井が紡ぐ歌詞、それを最高レベル且つ唯一の表現力をもって切なく強く彼は歌う。

この連続技は、人生において自分の“今”に迷い悩んだ経験のある人なら涙無くして聴けないのではないだろうか。

「僕ら」とはMr.Childrenだけではなく、Mr.Childrenに関わる全ての人々、皆の音、皆の平和を祈る「僕らの音」から「タガタメ」。
環境問題や世界情勢が不安定を極め、バンドとしてもそれと対峙することが多かった2000年代前半〜中盤、ダイナミックな音圧と圧倒的スケール感、切れ味鋭い歌詞に言葉を失ってしまう。


一つのハイライトになったように思う、続く「Documentary film」。
コロナ禍で発表された『SOUNDTRACKS』のリード曲であろうこの曲は、アルバム全体として意識されている“死”に対して、最も切なく美しく表現された曲だ。

ビョークやジャミロクワイの作品を手掛けてきたサイモン・ヘイルのストリングス・ブラスアレンジは、今までに無かった低音が瞬間的に感情を込み上げさせる。

ある人にとっては恋人、ある人にとっては親、ある人にとっては子供、リスナーそれぞれの視点で違う捉え方の出来るソングライティングは桜井和寿の真骨頂で、これを生で聴きたかった人は多かったのではないだろうか。



そして一旦リセットするかのように始まった「DANCING SHOES」。
これも『SOUNDTRACKS』収録のため、Mr.Childrenのコンサートでは初披露(「B'z presents UNITE #01」では披露)。
ベースの低音が心地好い「DANCING SHOES」に続くのは、機械音がチャレンジングな印象を受けた「ロックンロールは生きている」、そして「ニシエヒガシエ」とMr.Childrenロックの骨太さを遺憾なく発揮。
炎の特効も過去に類を見ないレベルで会場を熱気に包む。
田原はギター、中川はベース、ジェンはドラムを激しくアツく刻む。
桜井は年を重ねて尚進化しているような感覚を覚えさせるくらいに、縦横無尽に走り、跳び、叫ぶ。
後半に向けて更なるギアチェンジをオーディエンスに要求する。

ロックパート締めくくりは、発表以来13年に渡り演奏され、Mr.Childrenのライヴシーンでは欠かせないものとなっている「Worlds end」。
初めて演奏されたのもドームツアー。

否応なく高揚させるスピード感と隙が全く無いただただ“カッコいい”音を追求したようなメロディー、桜井アレンジの効いた歌は、「終わりなき旅」同様に毎回進化を続けている。




「皆さんの記憶、愛情、想いをいっぱいいっぱい吸い取って、大きくなってもらいたいです。」とのショートMCは挟んで登場したのが新曲「永遠」。

2015年以来となる小林武史をプロデューサーに迎えての楽曲となり、「生きろ」の大陸的スケール感に対し、日本の原風景を感じられるようなMr.Childrenサウンドが出来上がった。
若い頃、数多のラブソングをヒットさせてきた彼らが、もはや自分の子供世代が主人公の物語に対して贈る曲、ある種の冒険と表現されるような想いで書いた曲は、初々しいキラキラに満ち、反面切ないという誰もが経験してきた、あるいはしている、王道的なラブソングになっている。

そして面白いのがこの次。
「others」というアルコール飲料のCMソング。
不倫を思わせるようなディテールを描いた歌詞に、アダルトなメロディー。
夢見心地な全体像から、その夢から放たれていくようなアウトロ。
若者のラブソングから大人のラブソングへのバトン。
セクシーなムードが東京ドームに広がった。

誰もが反応してしまうのではないかと思われるイントロから始まる、Mr.Children史上最も売れた大ボス的楽曲「Tomorrow never knows」。

「果てしない闇の向こうに oh oh 手を伸ばそう
癒えることない痛みなら いっそ 引き連れて」

30年の歴史の中で、軸として歌っていることは変わらない。


2009年からライヴの盛り上げに一役買っていて、当時、この東京ドームで、デビュー前のそのアツい歌声を披露したナオト・インティライミ。
間奏部分のVo.桜井パートを任された彼は、堂々と歌いきり、Mr.Childrenファンを虜にした、「fanfare」。
切ない要素など無いはずなのに、イントロのメロディーが、流行り言葉で言えば“エモく”聴こえる「エソラ」。
カラフルなテープが発射され、絵空事を絵に描いたような(?)キレイな光景が広がる。
雨の日はこれで上を向こう。

本編ラストはやはりこの曲。
Mr.Childrenにとってはファンが、ファンにとってはMr.Childrenの音楽が、存在がこれ、「GIFT」。
ライヴアレンジが際立つこの曲は、常に新しいアレンジで楽しませてくれるし、鼓舞してくれる。

「ここにいるあなた、あなたたち、ここにいないあなたたちに、この曲を歌わせてください。」とのMCから演奏されたのが「Your Song」。
バンドサウンドではなくVo.桜井和寿の弾き語りver.。
原曲は骨格がしっかりしていて、キラキラ感もあり、とても充実感を得られるアレンジになっているが、今回はシンプルな構成で、じっくりと伝えたいこと、「君じゃなきゃ」と伝えてくれた気がした。



30周年記念日を締めくくる最後の曲、「生きろ」。

Gt.田原は「ついに来たな」「今後のMr.Childrenにとって特別な、大切なものになることは間違いない」、Dr.ジェンは「この先の軸となる」と語るように、令和版「終わりなき旅」だと個人的には感じている。

作詞を担当するVo.桜井は、苦難の中でも、泥にまみれても傷付いても、その分強くなって生きていくという力強いメッセージが込められた「生きろ」制作に至ってまで、最初は「日頃からメッセージ的なものを抱えて生きているわけじゃない」と言い放つ。
この日も披露された「タガタメ」や「くるみ」収録のアルバム『シフクノオト』リリースの際に「何も言いたいことなんて無いんだ」と言い放った、あの時の精神性と変わらないまま、維持されている。
しかし、制作段階で引っ張り出されてきた言葉の数々は、彼の根底にある、自分や世の中に対するメッセージを強く感じる、これが桜井ライティングの妙である。

圧巻の音と歌を、生で感じると、明日からの生きる気力は沸き上がってくる。


〜終演〜

終演後、メンバーは全方位のオーディエンスに対して挨拶にまわるのだが、その折、スクリーンに映されたのが
「10年先も 20年先も 君と生きれたらいいな
2022 5.10 Mr.Children 30th Anniversary 」
の文字だった。
これは、メンバーも事前に知らされておらず、スタッフから全ての“Mr.Children”に対してのメッセージであった。
Mr.Childrenのコンサートは、こういったメンバーの意図以外のことはなかなかなされない中で、このサプライズには会場全体が感動の瞬間を迎えていた。



次回は、6月12日に開催された横浜公演のレポートする。



1.Brand new planet
2.youthful days
3.海にて、心は裸になりたがる
4.シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜
5.innocent world
6.Over
7.Any
8.くるみ
9.僕らの音
10.タガタメ
11.Documentary film
12.DANCING SHOES
13.ロックンロールは生きている
14.ニシエヒガシエ
15.Worlds end
16.永遠
17.others
18.Tomorrow never knows
19.fanfare
20.エソラ
21.GIFT

encore
22.Your Song
23.生きろ

END ROLL (優しい歌〜Simple)


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【Mr.Children Tour 2018-2019 重力と呼吸】[2019年03月08日(Fri)]
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Mr.Children
Tour 2018-2019
重力と呼吸



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25周年である2017年、延べ70万人を動員し大々的に全国ツアーを敢行したMr.Children。

新たな一歩となる26年目の2018年。
10月3日に発売された19枚目のオリジナルアルバム『重力と呼吸』を引っ提げ、直後の10月6日よりアリーナツアーが行われた。
そして年をまたいで2019年2月2日、初の海外公演である台湾 台北アリーナでゴールを迎えた「Mr.Children Tour 2018-2019 重力と呼吸」。
ここでは、昨年11月18日に開催されたさいたまスーパーアリーナ公演の模様をレポート。


「Mr.Childrenを聴いて音楽をはじめました」と言う後輩ミュージシャンを圧倒するような音を作った、とVo.桜井和寿の豪語からスタートしたこの『重力と呼吸』プロジェクト。

2010年発表の『SENSE』に似た、本人達の映像媒体露出がほとんど無い形でのプロモーション、収録曲数10曲という少なく且つ48分と短く、さらに特典ナシの1種販売にも関わらず、CD不況・配信主流の現代において40万枚を売り上げ、発売後3週連続1位を記録した。

桜井和寿の言葉を具現化するような覚悟と熱、自信を帯びたこの作品は、26年目からのMr.Childrenの姿と共に我々を圧倒した。


2018年11月18日 埼玉

秋晴れのちょっと肌寒い日、さいたま新都心はMr.Childrenファンで溢れていた。
コンサートの構成自体はシンプルだった。
イントロダクションを始めとする映像はかつてない程短く、より音への追求が強かった。

アルバム『重力と呼吸』より最新曲である「SINGLES」でスタートし「Monster」〜「himawari」と重厚感のあるナンバーを立て続けに披露。

桜井和寿を先頭に、田原健一・中川敬輔・鈴木英哉の26年目の情熱でキックオフした印象。
今回新たに加わったのが、ドラマ『べっぴんさん』で音楽を担当されていた世武裕子。
Mr.Childrenとはお馴染みのSUNNYとのダブルキーボード“サニー&セビー”が織り成す分厚い鍵盤陣。
ピアノ×ストリングス×バンドの極上Mr.Childrenロックを名刺代わりに、続く「幻聴」では会場を一体にするコール&レスポンス。

そして発表から10年の月日を経て、もはや2010年代の“HOME”的な楽曲になりつつある「HANABI」。
ドラマ・映画効果もあり、配信解禁から1年以上ランクインするなど、若いファンからのMr.Children認知度も上げた代表作だが、その心地好いメロディーと安心感は相変わらずのもの。

そして9月のPrelive(これも初の試み)では披露されなかった、アリーナにはよく似合う2000年代のMr.Childrenファンが特に心酔する「もう一度…もう一度…」と失った人の大きさをこれでもかと感じさせられる「NOT FOUND」から、悲しきラブソング「忘れ得ぬ人」へ。

「女性が歌うことをイメージして作った」という桜井和寿のMCから始まった「花 -Memento-Mori-」。
憂いに満ちたアコースティックアレンジから、徐々にギター・オルガン・リズム隊と重なっていくアレンジはライヴならではのもの。

「addiction」〜「Dance Dance Dance」とダンサブルなナンバーを挟み、一気に雰囲気が180度変化する「ハル」。
元々美しい、桜が舞うような幻想的なイメージを想起させるメロディーが、木管が印象的なオーケストレーションと世武裕子のピアノでより情感たっぷりに仕上がっている。

傷だらけの美しさ、とでも形容すべきか、メロディーの力強い美しさとミクロ目線でもマクロ目線でもメッセージ性の強い歌詞に息を飲む「and I love you」を壮大にアリーナ全体に響かせると、無垢な美しさを持つ「しるし」。

様々な“Mr.Childrenの美”を魅せると、アップテンポなナンバーをいくつか繰り出す。

「海にて、心は裸になりたがる」。
初聴でパンク感もあるか?と思うような、Mr.Childrenにしては意外だな、これが若手バンドへの宣戦布告かな?とも思うようなこの曲だが、ここからがMr.Children。
陣地外っぽくも感じる曲調をも、やはり自らのものにしてしまう。

そういう点からも、桜井和寿のコメントにあった「Mr.Childrenを目指してバンド始めましたという若いバンドが、目指さなくなるくらい圧倒的なアルバム」を象徴する曲でもあるように思える。

「擬態」に「Worlds end」と続き、docomoのCMでは未発表曲としてワンフレーズのみの披露で話題になった「皮膚呼吸」で本編を締め括った。『重力と呼吸』の中でも重要な2曲を残して…


アンコールを待つ観客の手拍子から、ピアノの繊細なフレーズで始まる「here comes my love」。
Bメロからギターが加わり一気にロック色を強め、一旦ピアノで落ち着きを見せつつも、再びギターとドラムでサビに向けて羽ばたく準備をすると、サビで一気に大海原へ放たれるような壮大な曲で、CD音源でも十分にスケールの大きさを感じるのだが、目の前で聴くことで10倍にも20倍にもなるこのスケール感は、このバンド編成でこそ伝えられるものだった。

アンコール2曲目もまたスケールの大きい「風と星とメビウスの輪」。
海から宇宙にステージを移し、だけど歌っていることは地に足の着いた人間同士の繋がりと希望を描いた曲で2つの世界観を魅せてくれると、この季節になるとよく曲が浮かぶというMCから「秋がくれた切符」。

しっとりと着地すると、『重力と呼吸』のリード曲であり、26年目から次のフェーズまでのMr.Childrenを象徴するであろう「Your Song」。

「ワン トゥー!」のジェンのカウントから桜井和寿の咆哮で始まるという遊び心ある意欲作。
ただ、描かれる世界は過去のMr.Childrenの良さを見失わず、新しい音の追求を見せており、未完である彼らの足音の一つであると感じさせた。

「(音を)肉体に憑依させて出力している」との桜井和寿の表現からも、初めての面白いスクリーン演出がありながらも、より音楽的コミュニケーションに没入している感の伝わる全体構成は、より洗練された音を聴かせてくれた。



今ツアー、Mr.Childrenとして初めてとなる海外単独公演である台北でのコンサートが組み込まれていた。
追加曲として「Tomorrow never knows」,「抱きしめたい」,「innocent world」,「Sign」,「終わりなき旅」というベストな布陣。
日本からの観客は少なめで台湾のファンが多かったとのことで、素敵な2日間になっていたら日本人としても幸せだ。

春には「Dome Tour 2019 “Against All GRAVITY”」が開催される。
秋からは“呼吸”のツアーもあるのか?と期待は増していくばかりだが、音楽業界が飽和し偏りばかりが目立つ現代において、日本の音楽の王道として純粋に音楽を追求してほしい。

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1.SINGLES
2.Monster
3.himawari
4.幻聴
5.HANABI
6.NOT FOUND
7.忘れ得ぬ人
8.花 -Memento-Mori-
9.addiction
10.Dance Dance Dance
11.ハル
12.and I love you
13.しるし
14.海にて、心は裸になりたがる
15.擬態
16.Worlds end
17.皮膚呼吸

encore
18.here comes my love
19.風と星とメビウスの輪
20.秋がくれた切符
21.Your Song





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by Tatsuya Umezawa
(080-2023-8050、be_hero_in_shifukunoworld0728@yahoo.co.jp)
『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』[2017年09月10日(Sun)]
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Mr.Children
DOME & STADIUM TOUR 2017
Thanksgiving 25

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2017年。
Mr.Childrenにとっては25周年イヤーとなる今年、2016年4月〜11月の長丁場で敢行された初のホールツアー『Hall Tour 2016 虹』の流れで『Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ』を今春に開催。
これは25周年を迎えるにあたって「今までやったことのないことを…」とのメンバーの考えから、過去にあまり類を見ない、1公演あたり数千人収容という小規模でのツアーであった。

大規模な仕掛けもなく、Mr.Childrenとサポートミュージシャンで編成されたバンド“ヒカリノアトリエ”の生音のみでの演奏をコンセプトに、アットホームな雰囲気でコアな曲を中心に披露された。

ツアーファイナルから僅か1ヶ月後、いよいよ25周年イヤーを盛大に“感謝”する『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』がナゴヤドームからスタートし、そして昨日、熊本県民総合運動公園陸上競技場でゴールを迎えた。

ここでは、今ツアー最大規模となった、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)公演の内容を中心にレポートする。


2015年の『Mr.Children Stadium Tour 2015 未完』以来の日産スタジアム公演になるが、当日は真夏の暑さが心地好い快晴の空で、2年前の全身びしょ濡れになった超豪雨が懐かしく思えた。

今回初めての試みであるフォトスポット設置やフードブース、開演前のブラスバンドによるMr.Childrenメドレー演奏が会場を回り、観客を楽しませる。
また、東京ドーム公演では警備員による入場案内にMr.Childrenの曲の歌詞等が盛り込まれ、観客の気分を煽っていた。
お祭りムード満点だ。


17:00

オープニング映像が流れ始める。
通常なら、ツアータイトル、ひいてはアルバムの内容に則したメタファー的な映像が流れるところ、今回はデビューからこの25年間を振り返り今に辿り着くような、Mr.Childrenが寄り添ってきた観客それぞれの人生をプレイバックするような映像でアプローチしていく。

そして待ちに待ったメンバーが登場した瞬間、7万の観客の「ワー!!」とも「キャー!!」ともならない歓声が鳴り響いた。
「CENTER OF UNIVERSE」から始まる感謝祭に、この場所が日本の音楽の真ん中であると、Mr.Childrenがこれからも日本の音楽の中心を担っていくとの主張を思わせた。
バンド編成は“ヒカリノアトリエ”。
生音を基調に、スタジアムならではの爆発や紙テープなど大規模な演出がお祭り感を盛り上げる。

「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」〜「名もなき詩」〜「GIFT」〜「Sign」と90年代の大ヒット曲から00年代の名曲を、「出し惜しみを一切しない」と宣言した桜井和寿の言葉が象徴するように惜しげもなく披露し、スタートからMr.Childrenの25年間を彩ってくれた観客に最高のGIFTを届けた。
「名もなき詩」の7万人のシンガロングには、キャリアの長さと影響力の強さを感じざるを得なかった。

続いて、「まだ始まって5曲しかやってないですけど、せっかちな僕らはもっとみんなの内側に、深いところまで入り込んで、近付きたいんです。」との桜井の言葉で、センターステージに移動。
最新曲「ヒカリノアトリエ」からデビュー曲「君がいた夏」と一気に時代を遡り、タイムマシンに乗っているかのよう。
スタジアムのスケール感が最大限に活かされる「innocent world」と「Tomorrow never knows」では観客をこれでもかと圧倒。

あまり演奏されることはないが、もし自分が作詞作曲した曲が自分と違う人格を持っていたとして、その曲がMr.Childrenに向けて歌いたい歌、と桜井が表現したこの曲が続く。
穏やかでありそれが貴重であると日常の幸せを歌う「Simple」で落ち着きを取り戻させると、海外の通販番組風にリーゼントのカツラを売る映像や海外アニメ風の映像で始まった極めて珍しい選曲であり、日本屈指のシンガー桜井和寿を差し置いて、リーゼントのカツラを被りズイッとフザケた歌声を披露したJEN作曲の「思春期の夏〜君との恋が今も牧場に〜」で観客を失笑…いや、爆笑と喝采を呼んだかと思うと、180度空気を変える「365日」。

言わずと知れた、今となっては2010年代を代表するラブソングである。
この降り幅の広さこそ、Mr.Childrenが25年の歳月を経てもなお、人々の心を掴んで離さない所以ではないだろうか。

時に明るく、時に悲しく、時に怒りに満ち、そして慈悲の心を忘れない。
人間の喜怒哀楽全ての感情を受け入れてくれる稀有なバンド、それがMr.Childrenなんだと再確認させてくれる。

続いて、ドームツアーには無かった「HANABI」。
2008年の発表から9年経った今、ドラマ効果もあり再度注目を浴びているこの曲だが、サビの「もう一回 もう一回」のリフレインは、ファンでなくても多くの人が歌える国民的歌詞に成長しているように感じる。
Mr.Childrenがもう一回やろうとしている、音楽のド真ん中になり得る楽曲であるようにも。

まだ夏は続く。
もの凄い暑さに見舞われた夏の心情を歌った「1999年、夏、沖縄」で感謝を伝える。

1999年、ノストラダムスの大予言による世界の滅亡を引き合いに出し、やりたい事だけやって滅亡したらラッキーだなんて考えていたら、滅亡もせず2002年を迎える。
2002年はMr.Childrenにとって10周年イヤー、その年を回顧する。
当時はまだひねくれた考え方で、「10周年おめでとう」と言ってくれる人たちも、いずれはいなくなり、離れていくんだろうと思っていた、と。
でもその後あっという間に25年、「すぐに離れていってしまうと思っていた、僕らの音楽を聴いてくれる人、ライブに足を運んでくれる人、未だにこんなにたくさんいてくれて、それは心から感謝だし、嬉しいし、幸せに思ってます。」と桜井和寿。
しかし、いつまで音楽活動を続けていけるのかと不安にも思う様子。
同世代のミュージシャンや友達が病気になったり、亡くなってしまったり、だからこそ…「今こうやって、演奏している時間、みんなとこうして、Mr.Childrenとしていられる時間を心から嬉しく、愛おしく感じています。
そして、10周年の時とまた違った意味で1日1日を、1曲1曲を、1つ1つのフレーズを大事に過ごしていきたいと思っています。
本当に今日はみなさんどうもありがとう。」

きちんと言葉にして、もちろん音楽でも、“伝える”ことを真面目にやってきたMr.Childrenの最大限の感謝だった。


2014年に決意表明をした「足音 〜Be Strong」でMr.ChildrenがMr.Childrenらしく存在し続けていると現状確認をし、そしてまだまだ走り続けるよと「ランニングハイ」、「ニシエヒガシエ」でアツいロックをかます。
15周年イヤー発表のアルバム『HOME』から「ポケットカスタネット」を経て、このツアーの最大の見所の一つ「himawari」。

桜井「次の曲、今一番僕らが聴いてほしい曲をやりたいと思います。
優しいんだけど、激しくて、まっすぐなんだけど、ねじまがっていて、醜いんだけど、美しい・・・そんな相反する要素が、想いがこの曲には、歌の中に注がれています。
今日はこの曲でみんなをやっつけにきました。」

暗がりに咲く向日葵だから意味がある。
そしてやがて陽を浴びる向日葵。
Mr.Childrenらしい絶望と希望が表現されているが、タイアップされているタイプの映画主題歌には珍しいロックサウンドが胸をぶち抜き、小林武史イズムを引き継いでいるストリングスの絶妙な美しさに心揺さぶられ、メンバー各々の音や情熱が感情を爆発させる。
この集中力の高さに涙する。
正にやっつけられる。
新しい名曲の誕生だった。

そのアツさを引き継いだ「掌」では、抜群の相性を見せる桜井和寿とSUNNYの掛け合いで観客を魅了する。
本編終盤は「Dance Dance Dance」〜「fanfare」〜「エソラ」とアンコールに向けて観客を煽りに煽り、再びテンションを上げにかかる。


そして熱の覚めやらない内にアンコールは始まった。
15年前の知る人ぞ知る名曲。
当時、桜井和寿が小脳梗塞に倒れファンは肝を冷やした。
17歳だった自分も、週刊誌の電車吊り広告で初めて知るが、復帰までは強い不安を覚えた。
そして正にこの曲のタイトルが示すようだった、「蘇生」。
以来、多くのツアーで披露されているこの曲だが、「何度でも生まれ変われるんだ」というシンプルながら力強いメッセージを放つ、これもまた人生を語れるだけのポテンシャルを持つMr.Childrenの本質を表現しているような重要な一曲に思えて仕方がない。
25年間の感謝を伝えるのには粋なタイミングの選曲であった。

そして『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』を締め括る曲として最もふさわしい曲、「終わりなき旅」。
Mr.Children25年のキャリアの中で、この曲ほどまでにファンやそれ以外の人々を救い、愛され、常に進化を遂げ続けている曲は他に見当たらない。
Mr.Childrenとそのスタッフがファンに贈りたい、ファンにとってはMr.Childrenから一番受け取りたいメッセージだったのではないか。

終演


音が鳴り止んだ時、日はどっぷりと沈み、空の暗さとスタジアムの明るさが混ざりあった至福の空間で、気持ちのいい火照りと興奮の残り香を味わいながら思うのは、25年を経てもなお貪欲に新しい価値観を追求し創造し、4人は強く結びつき誠実に音楽に向き合い、情熱の炎を絶やさないMr.Childrenの旅を、我々は見続けていきたい。
見続けていく。と。

「明日からも頑張ってー!」
この桜井さんの言葉に、どれだけの人が救われているか。
Mr.Children、ありがとう。

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≪セットリスト≫
1. CENTER OF UNIVERSE
2. シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜
3. 名もなき詩
4. GIFT
5. Sign
6. ヒカリノアトリエ
7. 君がいた夏
8. innocent world
9. Tomorrow never knows
10. Simple
11.思春期の夏〜君との恋が今も牧場に〜
12. 365日
13. HANABI
14. 1999年、夏、沖縄
15. 足音 〜Be Strong
16. ランニングハイ
17. ニシエヒガシエ
18. ポケット カスタネット
19. himawari
20. 掌
21. Dance Dance Dance
22. fanfare
23. エソラ
<ENCORE>
1. overture
2. 蘇生
3. 終わりなき旅

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by Tatsuya Umezawa
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【「Mr.Children REFLECTION」LIVE FILM】[2015年02月28日(Sat)]
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【「Mr.Children REFLECTION」LIVE FILM】

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2014年秋に敢行された、Mr.Children初のファンクラブ限定ツアーである「Mr.Children FATHER&MOTHER 21周年祭ファンクラブツアー」札幌公演の模様を劇場公開した本作品。
Mr.Childrenとして「Split the Difference」以来約4年半ぶりの劇場作品。

ライヴの模様とドキュメンタリーを混ぜたもので、レコーディング中の7つの未発表曲と現在では発売後となる3つの新曲を中心にした16曲の構成となっており、Mr.Childrenの「現在」と「未来」を正に初期衝動で体感出来るものになっている。

そんな初期衝動の熱を保ったまま書く。

とにかくまず感じたのは、メンバー4人が楽しそうに演奏しているということ。
アーティストと観客の一体感とはよく言うものだが、今回ほどMr.Childrenの4人の一体感を強く感じた瞬間はあまりない。
メンバーが互いに信頼し合っていて、Mr.Childrenを大事にしている感じである。
今までに無かったかと言われたらそうではないが、はっきりと見て分かるのはそうそう無かった。
それはまるで、高校生が初めて音楽で一体になった感覚に酔いしれるようなものに近いかもしれない。



ライヴハウスということもあり、アリーナやドーム,スタジアムといった大掛かりな仕掛けや演出,照明もない。
さらにはステージも狭いため、いつもなら縦横無尽に駆け抜ける桜井さんも動きは少ない。
この事からも、よりシンプルに音楽だけを届ける雰囲気に、観客は通常とは異なった熱気があった。
時折聞こえる観客の声にも機敏な対応を見せる桜井さん。
そんな観客の反応も、バンドをよりモチベーティブに前進させる要因なのかもしれない。

〜「今までのMr.Children」と「これからのMr.Children」〜

前半冒頭は90年代の『Everything(It's you)』,『旅人』,『名もなき詩』。
「今までのMr.Children」として披露された3曲は言わずもがな、完成度の高い時代を彩った名曲だった。
ここで注目は、キーボード&コーラスとして久々にSUNNYが呼ばれたことだ。
Mr.Childrenのツアー帯同は「TOUR 2005 "I LOVE U"」以来で、4人の音に心地よく寄り添うキーボード、桜井さんの声を立てるようなコーラスには心酔する。

続いて披露された「これからのMr.Children」。
『Melody』,『fight club』,『斜陽』,『蜘蛛の糸』は何も奇をてらっていないタイトル通り、映画にインスパイアされた人間を歌った曲があったり、文芸作品を模した曲があったりと、遊び心も忘れない。
『Melody』は『エソラ』や『Marshmallow day』に通じるような、毎日のルーティンで色褪せてしまっている日常をキラキラ輝かせるようなナンバー。
『fight club』と『斜陽』は、男の憧れや哀愁が漂う大人な作品。
大人な…といえば『蜘蛛の糸』。
タイトルからは想像もつかない儚くも美しい大人の恋の歌。
『旅人』で「隣人」を「愛人」に変えて歌ったのは、これにも繋がるのか。
僕にはまだ理解出来ません。

相変わらず韻の踏み方が秀逸な『I can make it』、『放たれる』では女性の心の内を歌う。
桜井さんの日替わりチョイス『花 -Memento-Mori-』を挟み、『進化論』では生物の遺伝子レベルの話から、親から子へ引き継がれる願いや望みを表現。

〜「きいてほしい。きこえてほしい。これが僕らの、あたらしい足音」〜

ドラマ「信長協奏曲」の主題歌として起用された『足音 〜Be Strong』。
Mr.Childrenの新たな出発を示唆するようなこの曲は、プロデュースをメンバー4人で行った初めての作品。
何度も何度も作り直したというこの作品は、Mr.Childrenらしいロックとストリングスが上手く重なり合ったメロディーに、聴き手の数だけ解釈がある、桜井和寿特有の歌詞のド真ん中を行くような、「今までのMr.Children」と「これからのMr.Children」の中間のような作品。

本編最後に届けられた『幻聴』。
『蘇生』のような後半への盛り上がりが、未来への希望を示してくれる。

アンコールでは、珍しくファンクラブでこんなアンケートを取った「好きな曲ランキング1位」の『口笛』。

そして、僕としてはこれこそMr.Childrenを象徴するような曲ではないかと思う『未完』。
「発展途上中のバンドでありたい」という桜井さんの言葉にもあるように、バンド名のMr.とChildrenを表現している。
潔いメロディーと矢継ぎ早に繰り出される歌詞に新しさを感じた。

締めくくりは、恐らくファンクラブへの甘えで選んだであろう『独り言』。

〜ツアーの意義〜

前述の通り、半分近くが未発表曲。
Mr.Childrenのコンサートの良さの一つとして、作り手が見えている景色と聴き手が見る景色を共有するところにある。
そのため、僕もそうだが、既に聴いている曲と自分の心を重ね合わせて共有していく過去のものとは違い、ファーストコンタクトでいかに心が動くかを試された。

結果的には、過去のライヴに比べてよりスリリングな展開で新しいワクワク感を覚えた。
より純粋に新鮮に受け止められた。
歌詞を理解しようというところから臨んでしまったが、当然初めて耳にするので理解しきれない。
途中から五感で感じるスタンスにシフトしたが、普段はCDやテレビ等を通して手にする感覚を、劇場の音響空間で手にする感覚はインパクトが強く、圧倒された。
とだけ書くと、環境の問題で、曲自体はそれ程でもないんじゃ?と邪推されかねないから続けて書くが、攻めてる。だいぶ攻めてる。
未発表曲の多くがバンドサウンドが強く(雰囲気としてはASIAN KUNG-FU GENERATIONやBUMP OF CHICKENに似ているが、桜井さんの声で全てMr.Childrenの色になる)、ここのところ強かったストリングス色は薄まった印象で、何か憧れを追いかけるように、泥臭くカッコいい。
歌詞の乗せ方も意表を突かれる。
進化している度合いが今までとちょっと違う。
ただ、再度言うが、これは未完成の曲をツアーを通じながらブラッシュアップしていく作業だ。
実際、ギターの田原さんは公演毎にフレーズを変えるなど、実験しながら作っている。
音源化された時にどんな変貌を遂げているのか、期待は高まるばかり。

冒頭で「現在」と「未来」に触れたが、これは過去からの脱却だったり全く違ったMr.Childrenを表現する、というよりは、楽曲としては過去を踏襲しながらも新しい(といったら語弊があるような気もするが)、よりMr.Childrenらしい方向に進みたいといった印象を受けた。

「リリースがあって、ツアーがあってという、いつも通りのやり方ではない新しい伝え方」(今回の映画公開に際しての桜井さんの発言)の桜井さんの言葉に象徴されるように、例えば発表の方法として、常に新しいものや形を模索していることは間違いない。
3月から始まる全国ツアー最終日に最新アルバムを発売するというのも、過去には例を見ない。
ましてや木曜日発売というのも、もはや商業的な意図は捨てている。

今までよく揶揄するように言われてきた「Mr.Childrenって桜井さんのためのバンドじゃん」という言葉を覆すように、ベース中川さんは「今まではね、もしかしたら言わずもがなの部分で、自然とお互いに遠慮してバランス取りつつ、みたいな感覚もあったのかもしれなくて。でも今はあまりそういうのを…」、ギター田原さんは今までにない強い語気で「やりたいことは山ほどありますよ、僕らの場合は。」と語っていた。

そこから、メンバー全員がアグレッシブに音楽に、そしてMr.Childrenに向き合っている姿が見えた。

今回、斬新な発想から生まれたツアーは、ファンのREFLECTIONから、自信と甘え(良い意味で)に満ち溢れた、Mr.Childrenとファンの絆を確かめるような、温もりを感じたライヴだった。

1.『Everything(It's you)』
2.『旅人』
3.『名もなき詩』
4.『Melody』
5.『FIGHT CLUB』
6.『斜陽』
7.『蜘蛛の糸』
8.『I Can Make It』
9.『放たれる』
10.『花 -Memento-Mori-』
11.『進化論』
12.『足音 〜 Be Strong』
13.『幻聴』

-ENCORE-

14.『口笛』
15.『未完』
16.『独り言』

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Mr.Children[(an imitation) blood orange]Tour さいたまスーパーアリーナ 12月29日レポート[2012年12月31日(Mon)]
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Mr.Children
[(an imitation) blood orange]Tour

CM・映画のタイアップに始まり、デビュー20 周年記念日にはベストアルバムの発売、久しぶりのTV出演、全国ツアーとあらゆるシーンでその活動を見ることができた2012年のMr.Children。

そんなアニバーサリーイヤーを締めくくるコンサートが、12月29日、埼玉で行われた。

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オペラが微かに鳴る開演前。六角形の小さめのスクリーンが約20台配置されたステージ。

ハート20周年アニバーサリーイヤー ラストコンサートハート

突然暗転し…といったものではなく、穏やかに開演を迎える。

「What is love?」「Who are you?」「Who am I?」今ツアーのテーマなのだろうか?人間として根本に問いかけるような言葉が映し出された。

少々長めのオープニングアニメーションが流れ、将棋倒しの最後に「マントを着た人物絵柄」,「死神のような絵柄」が表れ一曲目、情緒的なメロディーの“過去と未来と交信する男”に繋がる。

今ツアー、特筆すべきはその演出のユニークさ。
将棋倒しの最後に現れたカードに描かれたマントを着た男に扮して、突如として現れた桜井さん。それをイミテーションした2体のマントを着た男の人形。 曲中その3人が向かい合わせの状態でステージが回り、最後には桜井さんが消えるというイリュージョンを見せた。

今までにないこの演出には誰もが度肝を抜かれたようだ。

続く“LOVEはじめました”では、SUPERMARKET FANTASYツアー以来定着した花道の先端部分から桜井さんが登場するというイリュージョンを見せると、歌詞にある「中田」を「香川」に変えたり、「愛してる」を「会いたい」に変え、最新アルバムに収録されている“常套句”を彷彿とさせるなど会場を盛り上げることに余念はな い。

最初のMCでは「僕らにとっても今年最後のライヴになるので、最高に気持ちよく締めくくりたい。皆さんにとっても今年一番思い出深いハッピーな一日だったと思えるような一日にしたい。」と20周年アニバーサリーイヤーのラストコンサートを楽しもうという空気でオーディエンスと一体化した。

“靴ひも”,“マーマレード・キッス”といったあまりライヴでは披露されない所謂レア曲を挟み、“抱きしめたい”では歌詞を12月アレンジして楽しませる。

このアルバム制作にあたっての情熱をぶつけるべく購入したというオレンジ色のギター。マニキュアで描かれた爽やかで情熱的かつ冷酷さが混ぜられた絵は、グッズにもなっているが、なんとも鮮やか。桜井さん曰く、「女性の体に塗る道具で描くというエロス」がたまらない一本だ。そんなギターに詰め込んだ思いと、自分の音楽制作への思いがリンクしていることも改めて実感したようだ。

そんなギターの情熱を遺憾なく発揮するように演奏された“Surrender”。なんとギター・田原さんがコーラスを務めるというサプライズ。いつも寡黙な男が発する声は、重厚であり衝撃的。誰もが陶酔しただろう。

2000年代新旧の楽曲が多く披露された今回、最新曲“常套句”はライヴでは初披露となったが、CD音源と違った厚みを見せる意外性も飛び出し、「君に会いたい」という純粋にして心の奥で一番願っているありふれた言葉をこれでもかというくらい感受性豊かに表現した。

スペード田原健一の魅力を遺憾なく発揮スペード

そして一つ目の会場の大興奮の瞬間は訪れた。
“fanfare”で盛り上がった雰囲気のままメンバー紹介。
ここでも初めての試みが。
ここは本編そのまま(記憶の限り)でお送りします。
桜井「fanfare、みんながものすげー勇ましい勇者に見えました!では、みんなに負けないように、カッコいいとこ見せられるように、メンバー紹介します!
キーボード…音の司令塔・小林武史! ドラムス…マグマのような熱い起伏、そして顔で 歌うドラマー・鈴木英哉!静かな低音のメロディーメーカー…ベース・中川 敬輔!ギター…響きと音の求道者・田原健一!」

田原「紹介します。誰よりも音楽を愛する天才、ボーカル・桜井和寿。」

お分かりだと思うが、あの田原さんが桜井さんを紹介するという一幕。この感動はどう表現したら伝わるだろうか。この日一番とも言える大歓声が日本最大のアリーナに轟いた。

ダイヤMr.Childrenが示す光ダイヤ

このツアーの特徴の一つに先述した六角形の映像モニターがある。そのモニターを窓に見立てイミテーションの窓と題し、我々は空や海中、宇宙と世界中をひとしきり空想旅。そしてここさいたまスーパーアリーナ周辺の景色が映し出される。「時に現実や日常はきれいなものじゃないかもしれない。でも角度や見方を変えてみると、そんな日常も輝いてきらめいて見えることもある。」

イミテーションの窓を通じて感じてくれとは言っていたが、僕には「僕らはMr.Children(Mr.Childrenの音楽)という窓から世界を見て、光を見出だす。普段生活する日常は殺風景で無機質に見えてしまうけど、角度や見方を変えてみると輝いてきらめいて見えることもある。」そう捉えられた。

“イミテーションの木”に続いて演奏されたのは、今回の実は核心的役割を担っているのではないかと捉えている“かぞえうた”。後に続く“Happy Song”も物語っているように、『光』を表現したいのではないかと感じた。

“かぞえうた”は震災復興支援として発表された楽曲ではあるが、一歩引いて見ると、誰にも起こりうる悲劇に対して歌っているともとれる。

そんな悲劇の中からも、光や希望を見つけ出す力があるんだ、どんな夜も明けて朝はまた来る、そんなことを伝えたいのではないかと感じた。そんな光を、Mr.Childrenを通じて見てくれたら、そんな思いがあるのではと。

“hypnosis”,“Tomorrow never knows”と重厚な作品を披露すると、もはや定番の人気曲“エソラ”、そして甘い思いが一気にスピードアップする、魔法にかかったような“Marshmallow day”が勢いよく飛び出した。

アンコールでは、8年前の秀作『シフクノオト』からの選曲“天頂バス”と人生のテーマソン グ“HERO”。

そして、この1曲だけのために導入したという花道先端に仕込まれた、床下からグーンと上がってくるドラムセット。これから演奏される曲で今年のMr.Childrenは最後。

近代化していくコンサート事情の中でも「ひと肌のぬくもりを感じて帰っていただきたい。外は寒いからあったかい感じで帰れるようなほのぼのとした曲をやりたいと思います。メンバー、そして歌を歌う人、どうか間違えないように、悔いが残らないように、素晴らしい演奏をみなさんにお聞かせして終われるように!」とのMCから“空風の帰り道”。

鳴り止んだ時の会場を包む、Mr.Childrenへのオーディエンスの鳴り止まないあたたかい拍手。20年という大きな区切りを迎えた日本を代表するバンドを象徴するような、そんな喝采。

そんなMr.Childrenが全体を通して示したのは、前向きな“光”や“希望”だったのではないだろうか。Mr.Childrenはリスナーを通じて光を、リスナーもMr.Childrenを通じて光を見出だしてほしい。そんな思いが垣間見れた。



いつの日もいつの時代も人々を励まし、癒し、導くMr.Children。
21年目からもそれは変わらない魅力である。これからの10年がどんな光を見せてくれるか、注目していきたい。



[(an imitation) blood orange] Tourセットリスト

01.過去と未来と交信する男
02.LOVEはじめました
03.Worlds end
04.End of the day
MC
05.靴ひも
06.マーマレード・キッス
07.抱きしめたい
MC
08.Surrender
09.Pink〜奇妙な夢
10.常套句
11.pieces
12.CENTER OF UNIVERSE
13.fanfare
MC
14.イミテーションの木
15.かぞえうた
16.Happy Song
17.hypnosis
18.Tomorrow never knows
19.エソラ
20.Mashmarrow day

ENCORE
21.天頂バス
22.HERO
MC
23.空風の帰り道






スイーツ×スイーツ×スイーツ
        Sweets×Sweets×Sweets

by Tatsuya Umezawa
(080-2023-8050、be_hero_in_shifukunoworld0728@yahoo.co.jp)
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