Mr.Children tour 2023/24 miss you
東京国際フォーラム ホールA 1月14日[2024年08月07日(Wed)]
スイーツ×スイーツ×スイーツ
Sweets×Sweets×Sweets
東京スイーツ、全国のスイーツ、人気スイーツから
新発見スイーツまで紹介する、
おすすめスイーツガイド
コロナ禍終盤の2022年、Mr.Childrenは30周年を迎えた。
60万人の心を熱狂させたツアーから1年、彼らは新しい一歩を踏み出した。
その第1作目がアルバム『miss you』。
2022年12月に映画『Mr.Children 「GIFT for you」』が公開された以外は主だった動きが無かった中、突如として発表された21枚目のオリジナルアルバムだった。
オール未発表新曲、オールノンタイアップという内容はMr.Children史上初めてで、Vo.桜井本人も「自分に近い音楽」、「自分自身が声になって、音楽になったような作品」と評している。
また、「今までは期待されていることに応えるというか、こういうのを聴きたいだろうなとか、どこかそれを狙っていたり、コントロールしたりしていた」として、今回はそれが全く無いアルバムであり、「“Mr.Children”としての役割とかそういったものを全く背負っていない」し、「世の中に出していいのか、どうなのか悩むくらいの物だった」ようだ。
それはある意味、商業音楽とは一線を画すとてもパーソナルな作品なのかもしれない。
私小説のような、日記のような。
ここでは、2023年9月から2024年3月までの半年間に渡って行われた、ホールツアーの東京公演2日目の模様をリポートする。
近年Mr.Childrenはごく少数キャパの会場と大規模会場の両輪でツアーを開催しているが、このアルバムツアーにあたり、ホールをチョイスする辺り、このアルバムの特殊性や意味合いを表現しているように感じる。
初めましてのファンやドーム・スタジアムでのお祭り感溢れるといった感じではなく、「こんなの作ったんだ」と友人に気兼ね無く聴かせるようなセットリストになっている。
筆者はホールでのMr.Childrenは初めてで、やはりアリーナ以上の会場に比べるとかなりこじんまりしていると感じた。
小さいステージに、楽器セットと向かって右隅に木が1本だけ配置されている。
派手なオープニングは無く、比較的淡々とした雰囲気で、メンバーがステージに登場。
シングル曲なのに前回ツアーでは披露されなかった「Birthday」からスタート。
31歳となったMr.Childrenの誕生である。
続く「青いリンゴ」〜「名もなき詩」と爽やかなナンバーで僕らを歓迎してくれた。
50代を迎えても、音楽に対するマインドは若さを失っていない。
そして「Fifty’s map 〜おとなの地図」。
『miss you』における「ケモノミチ」と並んでリード曲の1つであるこの曲では、Vo.桜井の音楽観、ひいてはMr.Childrenの音楽に多大な影響を与えている尾崎豊の曲をオマージュしている。
こちらも爽やかなメロディーは変わらないのだが、50代を迎えた彼らの憂いや悟り、そして人生というものの多くを分かってきたような、でもそうでもないような、だからこその少しの希望が表現されている。
また、若かりし頃の“自由”の概念と、大人になった今考える概念に変化も見える。
若かりし頃は、どこにでも転がっていて自分が探し求めるかどうかで、探し方が分からないから必死で探し続けて、手に入れたのか入れてないのか答えすら見つからないものだが、齢50でその時期はとっくに過ぎ、ふと気付けば自由というものは手に出来るようなものではなく、魔法のように意図しない所でかかっているのではないかと思いつつも、そうじゃないだろ!と思い直す、未だに旅の途中なんだなと思わせる内容になっている。
「口がすべって」でも、相変わらず自分の生活も世界情勢も変わらないけど、受容していこうという悟りが見える。
シンプルにストレートに「君に会いたい」と思いを綴る「常套句」は、今ツアーでは演奏されなかったアルバム1曲目の「I miss you」に繋がりを感じる。
ここからは『miss you』パート。
「Are you sleeping well without me?」の気だるい雰囲気が心地好く響けば、ハンドクラップにラテンテイストを感じる「LOST」、1000%シングルには出来ない攻めた面白い曲だが必聴の「アート=神の見えざる手」。
Mr.Childrenは雨を愛に変えるスキルがある。
「雨の日のパレード」も、愛する誰かと一緒なら、人生の素敵な1ページとして記憶される。
ちょっと恐いのは「Party is over」と「We have no time」。
パーティーというのは、人生だったり音楽活動のことを指しているようにも思える。
be over(終わり)にrestartするにはWe have no timeと歌っており、未練が無い訳ではない、でも向かう場所が分からない(もうやりきった?)、でもいつの日も胸に暖かな炎は感じているしスキルは健在、でも…といった葛藤が見える。
やはり50歳を過ぎたことが大きく影響しているのか、いやでも偉大な先輩方は60歳になっても70歳になっても精力的に活動している。
『半世紀へのエントランス』の通り、40年50年と活動を続けるにあたり、やはりこの作品を経ることは彼らにとって大きな意味を持つのかもしれない。
「ケモノミチ」では、良くも悪くも人間(自分達を含む)は時代に翻弄される弱さと強さを描きながら、君のためだけに歌うよ、とここまでの『miss you』パートを総括する形になっている。
前半はアコースティックギターとストリングスと少しのコーラス、後半はそれにドラムが加わるという比較的シンプルな構成で、全体的に不安感を感じつつも集中力の高いまま終わる。
冒頭に述べたように、今作は比較的個人的な作品に近く、それが風景描写や歌詞に色濃く出ていたり、実験的な音使いも多い。
ニュース見ながらコーヒーを溢し気に入りのシャツを汚したり、仕事終わりのビールと飼い犬だけが僕を待っているとか、子供の飛び蹴りがミゾオチに決まったりムカついたり…。
選ぶフレーズも口語表現も多く、そこも楽しめる要素だ。
また、「アート=神の見えざる手」のダンサブルなリズムに攻めに攻めた歌詞、「We have no time」のバグのような打ち込み音も、二度目になるが必聴なのだ。
さてここからはファンなら馴染み深い過去のシングルとアルバム曲。
「pieces」の美しく切ないメロディーが一気に会場を包み込めば、女性的なラブソングの「放たれる」でそれを畳み込む。
「幻聴」からは明転するように世界観を変え、「声」、「Your Song」とファンを喜ばせるナンバーが続いた。
一息つくとここで珍しい演出が。
2015年に対バンで共演し、今作中の「deja-vu」と「おはよう」ではピアノとコーラスで参加したシンガーソングライターの小谷美紗子さんがゲスト出演。
Mr.Childrenのコンサートには、女性アーティストのサポートが極めて良く合う。
特にこの2曲は優しいメロディーで穏やかな幸せを歌う曲なので、彼女のピアノが優しく寄り添っていた。
アンコールでは、「優しい歌」の弾き語り、そして「The song of praise」から「祈り 〜涙の軌道」と、人生を賛美するようなナンバーで締めくくった。
やはり規模的に小さいこともあり、スタジアムバンドとしての大掛かりな演出は無く、淡々と音楽を届けるスタイルで、落ち着いて堪能出来るものであった。
また、Vo.桜井をはじめ、メンバーの日々の葛藤や思いを垣間見れる2時間半だったかと思う。
「常套句」や「放たれる」、「The song of praise」に「祈り 〜涙の軌道」といった、シングルもしくはそれに近い立ち位置でもあまり演奏されない曲を聴けたのも、価値ある時間だった。
何万人を熱狂させるドーム・スタジアムでもチカラを発揮出来、数千人に対しても寄り添える音楽を届けられるのも、日本屈指のバンドである所以だ。
現在アリーナツアーの真っ最中。
規模を少し拡大した彼らが、どんなパフォーマンスを魅せてくれるのか、本当に楽しみである。
1.Birthday
2.青いリンゴ
3.名もなき詩
4.Fifty’s map 〜おとなの地図
5.口がすべって
6.常套句
7.Are you sleeping well without me?
8.LOST
9.アート=神の見えざる手
10.雨の日のパレード
11.Party is over
12.We have no time
13.ケモノミチ
14.pieces
15.放たれる
16.幻聴
17.声
18.Your Song
19.deja-vu
20.おはよう
Encore
21.優しい歌 弾き語り
22.The song of praise
23.祈り 〜涙の軌道
スイーツ×スイーツ×スイーツ
Sweets×Sweets×Sweets
by Tatsuya Umezawa
(080-2023-8050、be_hero_in_shifukunoworld0728@yahoo.co.jp)
Sweets×Sweets×Sweets
東京スイーツ、全国のスイーツ、人気スイーツから
新発見スイーツまで紹介する、
おすすめスイーツガイド
コロナ禍終盤の2022年、Mr.Childrenは30周年を迎えた。
60万人の心を熱狂させたツアーから1年、彼らは新しい一歩を踏み出した。
その第1作目がアルバム『miss you』。
2022年12月に映画『Mr.Children 「GIFT for you」』が公開された以外は主だった動きが無かった中、突如として発表された21枚目のオリジナルアルバムだった。
オール未発表新曲、オールノンタイアップという内容はMr.Children史上初めてで、Vo.桜井本人も「自分に近い音楽」、「自分自身が声になって、音楽になったような作品」と評している。
また、「今までは期待されていることに応えるというか、こういうのを聴きたいだろうなとか、どこかそれを狙っていたり、コントロールしたりしていた」として、今回はそれが全く無いアルバムであり、「“Mr.Children”としての役割とかそういったものを全く背負っていない」し、「世の中に出していいのか、どうなのか悩むくらいの物だった」ようだ。
それはある意味、商業音楽とは一線を画すとてもパーソナルな作品なのかもしれない。
私小説のような、日記のような。
ここでは、2023年9月から2024年3月までの半年間に渡って行われた、ホールツアーの東京公演2日目の模様をリポートする。
近年Mr.Childrenはごく少数キャパの会場と大規模会場の両輪でツアーを開催しているが、このアルバムツアーにあたり、ホールをチョイスする辺り、このアルバムの特殊性や意味合いを表現しているように感じる。
初めましてのファンやドーム・スタジアムでのお祭り感溢れるといった感じではなく、「こんなの作ったんだ」と友人に気兼ね無く聴かせるようなセットリストになっている。
筆者はホールでのMr.Childrenは初めてで、やはりアリーナ以上の会場に比べるとかなりこじんまりしていると感じた。
小さいステージに、楽器セットと向かって右隅に木が1本だけ配置されている。
派手なオープニングは無く、比較的淡々とした雰囲気で、メンバーがステージに登場。
シングル曲なのに前回ツアーでは披露されなかった「Birthday」からスタート。
31歳となったMr.Childrenの誕生である。
続く「青いリンゴ」〜「名もなき詩」と爽やかなナンバーで僕らを歓迎してくれた。
50代を迎えても、音楽に対するマインドは若さを失っていない。
そして「Fifty’s map 〜おとなの地図」。
『miss you』における「ケモノミチ」と並んでリード曲の1つであるこの曲では、Vo.桜井の音楽観、ひいてはMr.Childrenの音楽に多大な影響を与えている尾崎豊の曲をオマージュしている。
こちらも爽やかなメロディーは変わらないのだが、50代を迎えた彼らの憂いや悟り、そして人生というものの多くを分かってきたような、でもそうでもないような、だからこその少しの希望が表現されている。
また、若かりし頃の“自由”の概念と、大人になった今考える概念に変化も見える。
若かりし頃は、どこにでも転がっていて自分が探し求めるかどうかで、探し方が分からないから必死で探し続けて、手に入れたのか入れてないのか答えすら見つからないものだが、齢50でその時期はとっくに過ぎ、ふと気付けば自由というものは手に出来るようなものではなく、魔法のように意図しない所でかかっているのではないかと思いつつも、そうじゃないだろ!と思い直す、未だに旅の途中なんだなと思わせる内容になっている。
「口がすべって」でも、相変わらず自分の生活も世界情勢も変わらないけど、受容していこうという悟りが見える。
シンプルにストレートに「君に会いたい」と思いを綴る「常套句」は、今ツアーでは演奏されなかったアルバム1曲目の「I miss you」に繋がりを感じる。
ここからは『miss you』パート。
「Are you sleeping well without me?」の気だるい雰囲気が心地好く響けば、ハンドクラップにラテンテイストを感じる「LOST」、1000%シングルには出来ない攻めた面白い曲だが必聴の「アート=神の見えざる手」。
Mr.Childrenは雨を愛に変えるスキルがある。
「雨の日のパレード」も、愛する誰かと一緒なら、人生の素敵な1ページとして記憶される。
ちょっと恐いのは「Party is over」と「We have no time」。
パーティーというのは、人生だったり音楽活動のことを指しているようにも思える。
be over(終わり)にrestartするにはWe have no timeと歌っており、未練が無い訳ではない、でも向かう場所が分からない(もうやりきった?)、でもいつの日も胸に暖かな炎は感じているしスキルは健在、でも…といった葛藤が見える。
やはり50歳を過ぎたことが大きく影響しているのか、いやでも偉大な先輩方は60歳になっても70歳になっても精力的に活動している。
『半世紀へのエントランス』の通り、40年50年と活動を続けるにあたり、やはりこの作品を経ることは彼らにとって大きな意味を持つのかもしれない。
「ケモノミチ」では、良くも悪くも人間(自分達を含む)は時代に翻弄される弱さと強さを描きながら、君のためだけに歌うよ、とここまでの『miss you』パートを総括する形になっている。
前半はアコースティックギターとストリングスと少しのコーラス、後半はそれにドラムが加わるという比較的シンプルな構成で、全体的に不安感を感じつつも集中力の高いまま終わる。
冒頭に述べたように、今作は比較的個人的な作品に近く、それが風景描写や歌詞に色濃く出ていたり、実験的な音使いも多い。
ニュース見ながらコーヒーを溢し気に入りのシャツを汚したり、仕事終わりのビールと飼い犬だけが僕を待っているとか、子供の飛び蹴りがミゾオチに決まったりムカついたり…。
選ぶフレーズも口語表現も多く、そこも楽しめる要素だ。
また、「アート=神の見えざる手」のダンサブルなリズムに攻めに攻めた歌詞、「We have no time」のバグのような打ち込み音も、二度目になるが必聴なのだ。
さてここからはファンなら馴染み深い過去のシングルとアルバム曲。
「pieces」の美しく切ないメロディーが一気に会場を包み込めば、女性的なラブソングの「放たれる」でそれを畳み込む。
「幻聴」からは明転するように世界観を変え、「声」、「Your Song」とファンを喜ばせるナンバーが続いた。
一息つくとここで珍しい演出が。
2015年に対バンで共演し、今作中の「deja-vu」と「おはよう」ではピアノとコーラスで参加したシンガーソングライターの小谷美紗子さんがゲスト出演。
Mr.Childrenのコンサートには、女性アーティストのサポートが極めて良く合う。
特にこの2曲は優しいメロディーで穏やかな幸せを歌う曲なので、彼女のピアノが優しく寄り添っていた。
アンコールでは、「優しい歌」の弾き語り、そして「The song of praise」から「祈り 〜涙の軌道」と、人生を賛美するようなナンバーで締めくくった。
やはり規模的に小さいこともあり、スタジアムバンドとしての大掛かりな演出は無く、淡々と音楽を届けるスタイルで、落ち着いて堪能出来るものであった。
また、Vo.桜井をはじめ、メンバーの日々の葛藤や思いを垣間見れる2時間半だったかと思う。
「常套句」や「放たれる」、「The song of praise」に「祈り 〜涙の軌道」といった、シングルもしくはそれに近い立ち位置でもあまり演奏されない曲を聴けたのも、価値ある時間だった。
何万人を熱狂させるドーム・スタジアムでもチカラを発揮出来、数千人に対しても寄り添える音楽を届けられるのも、日本屈指のバンドである所以だ。
現在アリーナツアーの真っ最中。
規模を少し拡大した彼らが、どんなパフォーマンスを魅せてくれるのか、本当に楽しみである。
1.Birthday
2.青いリンゴ
3.名もなき詩
4.Fifty’s map 〜おとなの地図
5.口がすべって
6.常套句
7.Are you sleeping well without me?
8.LOST
9.アート=神の見えざる手
10.雨の日のパレード
11.Party is over
12.We have no time
13.ケモノミチ
14.pieces
15.放たれる
16.幻聴
17.声
18.Your Song
19.deja-vu
20.おはよう
Encore
21.優しい歌 弾き語り
22.The song of praise
23.祈り 〜涙の軌道
スイーツ×スイーツ×スイーツ
Sweets×Sweets×Sweets
by Tatsuya Umezawa
(080-2023-8050、be_hero_in_shifukunoworld0728@yahoo.co.jp)



