『Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス』 東京ドーム 5.10[2023年05月10日(Wed)]
スイーツ×スイーツ×スイーツ
Sweets×Sweets×Sweets
東京スイーツ、全国のスイーツ、人気スイーツから
新発見スイーツまで紹介する、
おすすめスイーツガイド
Mr.Children
30th Anniversary Tour
半世紀へのエントランス
30年の節目の日を迎えたこの日、東京の中心は鮮やかな晴天が広がっていて、ほのかに暑いくらいだった。
穏やかともとれる、何かが起こる予感もさせる、様々な“想い”が交差していた東京ドーム。
いきなり余談で申し訳ないが、この日は音楽なんて流さない埼玉県のある駅のホームでも、Mr.Childrenの曲がBGMのように流れていた。
それ位、特別だったのかもしれない。
直近である2020年、『SOUNDTRACKS』の発売に際したツアーは、世界的に蔓延したウィルスの影響により一切組まれず、2019年『Dome Tour 2019 Against All GRAVITY』以来のツアーとなった。
30年という年月が物語るようなファンの顔ぶれ、誰もが期待と不安を抱きながら、この日を待っていたに違いない。
東京ドームのエントランスを入り客席に向かうと、あの時と変わらない巨大なステージセットが目に飛び込み、会場を流れるメンバーが選曲したという邦洋様々な曲に刺激され、「さぁ、どんなショーが行われるのだろう」と胸がアツくなる。
〜開演〜
お馴染みのオープニング映像。
『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』ツアーに似た、これまでの作品のジャケット、MVやライヴの映像が散りばめられた映像が流れ、30年の集大成のような演出がなされていた。
そこから、30周年ベストアルバムのプロモーション映像に登場するタワーのエントランスに入っていく。
可動式の大型スクリーンが開かれ、その先には…
爽快感溢れるイントロのギターサウンドが迎えてくれる「Brand new planet」。
30周年から50周年へ、真新しい世界へと連れていくよ、とでも言わんばかりのウェルカムソングのプレゼント。
ここからMr.Childrenの“宇宙”が始まる。
続くは「youthful days」。
「覚えてますか?思い出しました?この感じ!みんなとの再会を、ライブの再開を、首を長くして待ってました!さぁここから始めるよ!僕らがMr.Childrenです!!カモン!!」とのMCで、一気に会場のサイレントなボルテージは上がっていく。
2018年発表の『重力と呼吸』以来、ライヴを盛り上げるべく随所に登場する「海にて、心は裸になりたがる」では、Vo.桜井は縦横無尽に駆け回り、Gt.田原とBa.中川もステージギリギリまで来てオーディエンスを刺激。
1年半の鬱憤を晴らすかのように、5万人の熱は上がっていく。
「もっともっとぶちあがって、もっともっと楽しんで、もっともっと自由に!」とVo.桜井が煽る煽る!
加速度を増すように演奏されたのは「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」。
誰もが知る初期の突き抜けたラブソングだ。
サビでのドーン️という大きな花火の特効で会場の緊張が一気に解放された。
「30年前の今日!Mr.Childrenがデビューしました!」
大きな節目の割に、思いの外淡々と進む記念日を祝すMC。
受け手として、「確かにお祝いの日ではあるが、10年先、20年先への通過点なんだな」と感じさせるMCであった。
サビ部分のソロを伸びやかに歌うVo.桜井の歌声から始まった「innocent world」。
50歳を過ぎての円熟味、またこの数年のトレーニングが活かされたニューボイスに酔いしれる。
Gt.田原が考案したイントロはいつの日も褪せずにインパクトを残してくる。
メンバーは20代、初期の頃の切ない失恋を歌った「Over」。
まるで四畳半の小さな部屋で紡がれるような、とてもパーソナルでいて、多くの男性が抱いてきた悲しげな歌詞と、それを乗り越えようという前向きなメロディーに一抹の懐かしさを感じる。
勝手な解釈の1つではあるが、「Over」で喪失感を得た男が、現在地の正しさを問うような「Any」。
そして2000年代一番と言っても過言ではないだろうかと思われる珠玉のバラード「くるみ」。
美しい旋律に、ポイントで響く力強いバンドサウンド、ロックバンドには珍しい切なさを増すアコーディオンを効果的に使った高い音楽性。
この日はハーモニカがそれを増長させる。
そこに、発する言葉が全て金言になるVo.桜井が紡ぐ歌詞、それを最高レベル且つ唯一の表現力をもって切なく強く彼は歌う。
この連続技は、人生において自分の“今”に迷い悩んだ経験のある人なら涙無くして聴けないのではないだろうか。
「僕ら」とはMr.Childrenだけではなく、Mr.Childrenに関わる全ての人々、皆の音、皆の平和を祈る「僕らの音」から「タガタメ」。
環境問題や世界情勢が不安定を極め、バンドとしてもそれと対峙することが多かった2000年代前半〜中盤、ダイナミックな音圧と圧倒的スケール感、切れ味鋭い歌詞に言葉を失ってしまう。
一つのハイライトになったように思う、続く「Documentary film」。
コロナ禍で発表された『SOUNDTRACKS』のリード曲であろうこの曲は、アルバム全体として意識されている“死”に対して、最も切なく美しく表現された曲だ。
ビョークやジャミロクワイの作品を手掛けてきたサイモン・ヘイルのストリングス・ブラスアレンジは、今までに無かった低音が瞬間的に感情を込み上げさせる。
ある人にとっては恋人、ある人にとっては親、ある人にとっては子供、リスナーそれぞれの視点で違う捉え方の出来るソングライティングは桜井和寿の真骨頂で、これを生で聴きたかった人は多かったのではないだろうか。
そして一旦リセットするかのように始まった「DANCING SHOES」。
これも『SOUNDTRACKS』収録のため、Mr.Childrenのコンサートでは初披露(「B'z presents UNITE #01」では披露)。
ベースの低音が心地好い「DANCING SHOES」に続くのは、機械音がチャレンジングな印象を受けた「ロックンロールは生きている」、そして「ニシエヒガシエ」とMr.Childrenロックの骨太さを遺憾なく発揮。
炎の特効も過去に類を見ないレベルで会場を熱気に包む。
田原はギター、中川はベース、ジェンはドラムを激しくアツく刻む。
桜井は年を重ねて尚進化しているような感覚を覚えさせるくらいに、縦横無尽に走り、跳び、叫ぶ。
後半に向けて更なるギアチェンジをオーディエンスに要求する。
ロックパート締めくくりは、発表以来13年に渡り演奏され、Mr.Childrenのライヴシーンでは欠かせないものとなっている「Worlds end」。
初めて演奏されたのもドームツアー。
否応なく高揚させるスピード感と隙が全く無いただただ“カッコいい”音を追求したようなメロディー、桜井アレンジの効いた歌は、「終わりなき旅」同様に毎回進化を続けている。
「皆さんの記憶、愛情、想いをいっぱいいっぱい吸い取って、大きくなってもらいたいです。」とのショートMCは挟んで登場したのが新曲「永遠」。
2015年以来となる小林武史をプロデューサーに迎えての楽曲となり、「生きろ」の大陸的スケール感に対し、日本の原風景を感じられるようなMr.Childrenサウンドが出来上がった。
若い頃、数多のラブソングをヒットさせてきた彼らが、もはや自分の子供世代が主人公の物語に対して贈る曲、ある種の冒険と表現されるような想いで書いた曲は、初々しいキラキラに満ち、反面切ないという誰もが経験してきた、あるいはしている、王道的なラブソングになっている。
そして面白いのがこの次。
「others」というアルコール飲料のCMソング。
不倫を思わせるようなディテールを描いた歌詞に、アダルトなメロディー。
夢見心地な全体像から、その夢から放たれていくようなアウトロ。
若者のラブソングから大人のラブソングへのバトン。
セクシーなムードが東京ドームに広がった。
誰もが反応してしまうのではないかと思われるイントロから始まる、Mr.Children史上最も売れた大ボス的楽曲「Tomorrow never knows」。
「果てしない闇の向こうに oh oh 手を伸ばそう
癒えることない痛みなら いっそ 引き連れて」
30年の歴史の中で、軸として歌っていることは変わらない。
2009年からライヴの盛り上げに一役買っていて、当時、この東京ドームで、デビュー前のそのアツい歌声を披露したナオト・インティライミ。
間奏部分のVo.桜井パートを任された彼は、堂々と歌いきり、Mr.Childrenファンを虜にした、「fanfare」。
切ない要素など無いはずなのに、イントロのメロディーが、流行り言葉で言えば“エモく”聴こえる「エソラ」。
カラフルなテープが発射され、絵空事を絵に描いたような(?)キレイな光景が広がる。
雨の日はこれで上を向こう。
本編ラストはやはりこの曲。
Mr.Childrenにとってはファンが、ファンにとってはMr.Childrenの音楽が、存在がこれ、「GIFT」。
ライヴアレンジが際立つこの曲は、常に新しいアレンジで楽しませてくれるし、鼓舞してくれる。
「ここにいるあなた、あなたたち、ここにいないあなたたちに、この曲を歌わせてください。」とのMCから演奏されたのが「Your Song」。
バンドサウンドではなくVo.桜井和寿の弾き語りver.。
原曲は骨格がしっかりしていて、キラキラ感もあり、とても充実感を得られるアレンジになっているが、今回はシンプルな構成で、じっくりと伝えたいこと、「君じゃなきゃ」と伝えてくれた気がした。
30周年記念日を締めくくる最後の曲、「生きろ」。
Gt.田原は「ついに来たな」「今後のMr.Childrenにとって特別な、大切なものになることは間違いない」、Dr.ジェンは「この先の軸となる」と語るように、令和版「終わりなき旅」だと個人的には感じている。
作詞を担当するVo.桜井は、苦難の中でも、泥にまみれても傷付いても、その分強くなって生きていくという力強いメッセージが込められた「生きろ」制作に至ってまで、最初は「日頃からメッセージ的なものを抱えて生きているわけじゃない」と言い放つ。
この日も披露された「タガタメ」や「くるみ」収録のアルバム『シフクノオト』リリースの際に「何も言いたいことなんて無いんだ」と言い放った、あの時の精神性と変わらないまま、維持されている。
しかし、制作段階で引っ張り出されてきた言葉の数々は、彼の根底にある、自分や世の中に対するメッセージを強く感じる、これが桜井ライティングの妙である。
圧巻の音と歌を、生で感じると、明日からの生きる気力は沸き上がってくる。
〜終演〜
終演後、メンバーは全方位のオーディエンスに対して挨拶にまわるのだが、その折、スクリーンに映されたのが
「10年先も 20年先も 君と生きれたらいいな
2022 5.10 Mr.Children 30th Anniversary 」
の文字だった。
これは、メンバーも事前に知らされておらず、スタッフから全ての“Mr.Children”に対してのメッセージであった。
Mr.Childrenのコンサートは、こういったメンバーの意図以外のことはなかなかなされない中で、このサプライズには会場全体が感動の瞬間を迎えていた。
次回は、6月12日に開催された横浜公演のレポートする。
1.Brand new planet
2.youthful days
3.海にて、心は裸になりたがる
4.シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜
5.innocent world
6.Over
7.Any
8.くるみ
9.僕らの音
10.タガタメ
11.Documentary film
12.DANCING SHOES
13.ロックンロールは生きている
14.ニシエヒガシエ
15.Worlds end
16.永遠
17.others
18.Tomorrow never knows
19.fanfare
20.エソラ
21.GIFT
encore
22.Your Song
23.生きろ
END ROLL (優しい歌〜Simple)
スイーツ×スイーツ×スイーツ
Sweets×Sweets×Sweets
by Tatsuya Umezawa
(080-2023-8050、be_hero_in_shifukunoworld0728@yahoo.co.jp)



