非寄付者が寄付をしない理由とファンドレイジング戦略立案のヒント [2012年04月26日(Thu)]
グレイ・マター・リサーチ(Grey Matter Research)が行った調査結果によると、米国では、寄付をしない大半の人びとが、寄付は富裕層がするべきもので、自分たちがするものではないと思っているようです。また、大半のNPOが社会問題を解決していない、事務管理費などのコストに寄付金が回り過ぎているなどと感じています。 この調査は、過去12ヶ月の間にNPO(※教会や礼拝堂等は除く)に寄付をしていない458人の成人を対象としています。 「自分たちのような境遇にある人ではなく、お金をたくさん持っている人が寄付をしたりNPOを支援したりするべき」という問いかけに対して、81%(45%は強く同意、36%はある程度同意)が同意しています。さらに詳細にみると、2万ドル以下の所得レベルの非寄付者のうち、61%が強く同意している一方、10万ドル以上の所得を持つ層ではわずか16%が同意しているに過ぎません。また、属性としては、35歳以下の層、政治的にリベラルな層がこの見解に同意する傾向があるようです。 「自分がNPOに対して行っている支援は、社会問題の解決に寄与していない」という質問に対しては、非寄付者のうち、40%が同意しています(10%は強く同意、29%はある程度同意)。 この他にも、下記のとおり、非寄付者はNPOに対する多くの不満や懸念を持っています。 ■NPOが、引いてしまうくらい寄付を求めてくる(61%) ■NPOへ寄付しても、事務管理費などに多くが使われるかもしれない(58%) ■大半のNPOは、短期的な解決策を提供するだけで、根本的な社会問題の解決に寄与していない(57%) 一方で、非寄付者の83%は、十分なお金を持っていれば寄付ができたのにと、NPOを支援したい気持ちも持っています。思っているだけでなく、実際に、非寄付者の37%は何かしらの慈善活動に関わっており、協会等で寄付(20%)やボランティア(19%)を行っていたり、15%は、過去12ヶ月の間にNPOでボランティアを行っています。 寄付をしない人だけを対象とした調査はあまり見かけることがないだけに、この調査結果にはNPOやファンドレイザーが認識するべきヒントが多く含まれていますね。寄付をしてくれている人からの声を拾い集めるのも重要ですが、今後、支援者の裾野を拡大していくためには、寄付をしていない人たちの声にもっと耳を傾けるべきですね。日本でも、この点を深堀した調査結果などが出てくると有難いものです。 【2012/04/23 FundRaising Success記事参照】 Tweet 寄付の記事一覧へ≫≫≫ NPO|ファンドレイジング|ボランティア|寄付|社会的起業|CSR|ソーシャル・マーケティング|マネジメント|パートナーシップ|教育|メディア|まちづくり|公共政策 |