NPOの統合・合併による効果と日本のNPOセクターへの示唆 [2011年10月18日(Tue)]
NPOの統合・合併は、現在のNPOセクターにおけるテーマとしてはかなり重要度の高いものだと思いますが、興味深い事例がありましたのでご紹介します。
ケンタッキー州に拠点を置くパフォーミングアーツの2団体、ケンタッキー・オペラ(Kentucky Opera)とルイビル・オーケストラ(Louisville Orchestra)は、ステップ・バイ・ステップでの統合・合併により、組織運営の効率化に効果を出しているようです。その秘訣は、完全な統合・合併ではなく、事務管理的な業務を部分的に統合・合併するというものです。 具体的には、共有スペースをレンタルし、両者の事務作業を共同で行う運営に変更することから始めました。そのうえで、通信設備、チケットオフィス、受付、マーケティング、ファイナンスなどの機能を統合していったのです。 実はこの2団体は、3年前に統合・合併について議論をしたことがありましたが、当時は断念したという経緯があるそうです。こういった経緯を踏まえ、いきなり組織同士の統合・合併を行うのではなく、小さなステップからスタートしたことが奏功した訳です。 日本でも、大半のNPOは慢性的なリソース不足にあえぎ、組織のサステナビリティが危機的状況にありますが、オフィススペースや事務作業の共有、助成金の共同申請、共同管理プロジェクトなど、統合・合併といった本格的なものではないまでも、組織運営の効率化をアップさせる方法はありますね。 また、話の次元は違いますが、「自分たちは他のNPOと○○が違う」というアピールをする前に、本当に差別化ができているのか、そしてその差別化の先にある効果、つまり社会的なインパクトをもたらす力があるのかどうかを今一度問い直し、ミッション達成のための合併・統合についても検討してみる必要があるのではないかと思います。NPO団体数も4万を超え、今後、日本のNPOに問われるのは『効果』と『効率』です。 【2011/10/02 THE CHRONICLE OF PHILANTHROPY記事参照】 Tweet マネジメントの記事一覧へ≫≫≫ NPO|ファンドレイジング|ボランティア|寄付|社会的起業|CSR|ソーシャル・マーケティング|マネジメント|パートナーシップ|教育|メディア|まちづくり|公共政策 |