マーケティング戦略によるグッドウィルの売上増加 [2008年11月16日(Sun)]
心身障害者やホームレス、教育や就労の機会に恵まれない人々に、教育、トレーニング、キャリア・サービスを提供するNPO、Goodwill Industries Internationalが運営するGoodwill(グッドウィル)ストアでは、この数か月、米国の他の小売店での売上が減少するなか、ひとり気を吐き売上を伸ばしているようです。
2008年1〜8月の間、2,200以上にものぼる米国とカナダのGoodwillストアでは、昨年の同時期と比べ7%ほど売上を増やしたそうです。どうやら、単なる中古品を販売するショップという一般の認知を変えることに成功したことが勝因のようです。 例えば、ワシントンD.C.地域のストアでは、ファッションショーやブログを活用したバーゲン情報の提供などのプロモーション活動を行っています。私もブログを拝見しましたが、商品画像も掲載されており、シンプルで分かりやすいサイトです。この他にも、インディアナ中央地域では、広告業務を広告会社に外注したり、サンフランシスコ地域では、Joe Boxerの創設者、Nicholas Grahamとコラボレーションし、着古された衣服を元に、“William Good”というブランド名で新しいラインナップを展開しています。 2,200のストアは、Goodwill Industries Internationalが規定するガイドラインに従い運営を行なっていますが、各地域のストアのマネジメントや運営は分権化されており、地域に根づいた168の“メンバー・エージェンシー”が協力しています。この仕組みにより、個々の地域の特色を反映したストア・プロモーションやファンドレイジング活動を行うことが可能になっています。上述のインディアナ中央地域のケースでは、Young & Laramoreというエージェンシーが協力し、Goodwillは、単に使いふるされた見すぼらしい中古品を扱うショップではなく、Wal-Mart(ウォル・マート)の競合としてポジショニングし直したのです。慈善活動を行いたいという人々をストアに集客するという仕組みを築きあげているようです。 ブランディング、ポジショニング、プロモーション、WEBの活用、コラボレーションなど、本事例には、NPOが学ぶべきマーケティング要素が満載ですね。 NPOとマーケティング。私の個人的なライフワークでもあります。マーケティングへの理解と積極的な導入が日本のNPOにも必要な時代になりましたね。 【2008/10/31 The New York Times記事参照】 ソーシャル・マーケティングの記事一覧へ≫≫≫ NPO|ファンドレイジング|ボランティア|寄付|社会的起業|CSR|ソーシャル・マーケティング|マネジメント|パートナーシップ|教育|メディア|まちづくり|公共政策 |