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「イスラエルによるジェノサイド」 岡真理さん [2023年10月28日(Sat)]



 IWJ代表の岩上安身さんからのメールを転載します。
2023,10,23に早稲田大学で行われた緊急学習会について。

〜〜〜〜〜

 10月7日に、ハマスがイスラエルに奇襲攻撃をかけ、イスラエルが猛烈な報復攻撃に出ています。ガザ地区に住むパレスチナ人の犠牲者は7000人を超えました。国際社会からも、イスラエルがやっていることは、虐殺であり、民族浄化だという批判が高まっています。

 IWJは、10月23日に早稲田大学で行われた、早稲田大学文学学術院の岡真理教授の講演を取材しました。この講演は、学生有志が主催したもので、動画は主催者が撮影配信していますので、我々はペン取材に徹しました。

 「地上戦がいつ起こるかではなく、今私達が目にしている事態が、すでにジェノサイドである」、「『私達は知らなかった』の言い訳は成り立たない」と語る、岡教授の言葉をぜひお読みください。

 日本のテレビを見ていても、何が起きているのか、真実はまったくわかりません。相変わらずハマスを「テロリスト」扱いにするだけで、ハマスの暴力とイスラエル軍の暴力を同等のレベルで対置する欺瞞的報道、というよりもプロパガンダを続けています。

 岡教授の講演を聴き、あるいは読めば、ハマス・イスラエル戦争の真相と実態がひしひしと伝わってくるはずです。

 岡教授の講演取材記事は、後日IWJサイトでも、公開する予定です。その際は、貴重な図版や写真を入れて公開しますので、ぜひ、二度御覧になってください! 拡散もお願いします!

 今回の号外は、公共性に鑑みて、非会員版もフルオープンとしました。非会員の方々も、ぜひともこれを機会にIWJへの会員登録をお願いします!

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 パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突が続き、ガザ地区の人道危機が叫ばれる中で、2023年10月23日、早稲田大学文学学術院教授、京都大学名誉教授の岡真理氏による緊急セミナーが、東京都新宿区の早稲田大学で開催された。

 岡教授の専門は、現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界フェミニズム思想研究。セミナーの主催は<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会。セミナーには、オンラインと会場あわせて2000名以上の参加申し込みがあったという。

 セミナーで岡教授は、ガザについて「私達は知らなかった」の言い訳は成り立たない、ジェノサイドは今起きているとして、問題の本質を抉り出していった。我々の無関心や忘却が、次の虐殺を作り出してきたと明確に言いきった。

 岡教授は、パレスチナ問題の歴史的根源を辿り、国際社会がホローストの罪をパレスチナ人を犠牲にして贖(あがな)い、今もイスラエルに賛同することによって、暴力を行使し続けているという、根本的な構造を明らかにする。

 そして日本も含めて、本来必要な「政治的解決」を避け、人道援助だけを行うことですませるのは、ガザの封鎖や占領の「共犯」に他ならないと断じるのである。

 詳しくは、ぜひ記事本文を御覧いただきたい!

 なお岡教授は、岩上安身のインタビューに、これまで繰り返しご登場いただいている。

※「今度は、日本がガザを殺す立場になる」日本とイスラエルの協調姿勢を糾弾、「暴力の根源」を探り解決を見出す必要性 〜京都大学教授・岡真理氏に岩上安身が聞く〜岩上安身によるインタビュー 第514回 ゲスト 岡真理氏 2015.1.26(IWJ)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/227872

※【第165-169号】岩上安身のIWJ特報!何よりガザ封鎖解除を 尊厳ある生への戦い〜京都大学教授・岡真理氏インタビュー 2014.9.30(IWJ)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/172310

 またIWJでは、直前の10月20日に京都大学で行われた岡教授による「緊急学習会『ガザとは何か』」を中継した。こちらの動画も、多くの方々に関心をもってご視聴いただいている。公益性に鑑み、少なくとも1ヶ月はフルオープンとするので、あわせて御覧いただき、ぜひ、多くの方々に拡散し、広めていただきたい。IWJのYouTubeチャンネルのMovieIwjへの登録、そしてIWJの会員登録をお願い申し上げる。

※「『地上戦が起きたら』じゃない!『暴力の連鎖』でも『憎しみの連鎖』でもない!今起きてることが既にジェノサイドだ」〜10.20 「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇:岡真理 早稲田大学大学院文学研究科教授
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519239

【目次】
■「私達は知らなかった」の言い訳は成り立たない
■「今起きているジェノサイド」「軍事攻撃は何度も繰り返されてきた」
■「忘却が次の虐殺を準備する」
■「広島がジェノサイドなら、2014年のガザもジェノサイドだ」
■非暴力で訴えても世界が耳を貸さないなら、銃を取る以外にどのような方法があったのか?
■ガザとは「巨大な実験場」である
■「人間を非人間化する言葉」に呼応する無差別爆撃の中で
■企業メディアはハマスを悪魔化し、報復攻撃の正当化に奉仕している
■民間人人質化は戦争犯罪だが、解放のための武力抵抗は国際法上「正当」
■「ホロコーストをパレスチナ人殺戮に利用するな」と声を上げるユダヤ人
■国際社会はホローストをパレスチナ人で贖(あがな)い、今もその暴力を行使し続ける
■人道援助だけやるのは封鎖や占領の「共犯」、必要なのは「政治的解決」


【本文】

■「私達は知らなかった」の言い訳は成り立たない

 セミナー冒頭で、岡教授の提案で黙祷がささげられた。

 それは、「(今回の攻撃が開始された)10月7日以降ではなく、(イスラエル建国の)75年前からでもなく、80年前に、ホロコーストで犠牲になった人達、故郷に帰ったが虐殺された人達、パレスチナに来てユダヤ国家建設の戦いに加わり、亡くなった人達、そしてそのユダヤ国家建設による民族浄化によって亡くなった人達、あるいは難民となった後、イスラエルによる占領地などで亡くなった人達すべて」を思ってのものだった。

 岡教授は「もう本当に言葉がありません」と語り始めた。

 初めに、京都の学習会で、ヨルダン川西岸地区出身の女性が語った「パレスチナ人が祖国を喪失して75年、ガザとヨルダン川西岸が軍事占領されて50年、ガザが完全封鎖されて17年目に入るにもかかわらず、いまだに『パレスチナ人が犠牲者だ』ということを説明しなければならないことは、horrify(ぞっとする)」という言葉を紹介した。彼女のガザ出身の友人の家族、親族は60名が亡くなったという。

 岡教授は、「私達は知らないわけではない」「ホロコーストのように、終わった後でドイツ人が『知らなかった』と言ったような、言い訳は成り立たない」「今何が起きているのか、テレビで目の前でそれを見て、世界が注視している中で起きているこのことに、どういう言葉で語ったらいいのか、本当に分からない」と述べた。「そういう言葉がない中で準備したので、今日の話は断片的、断章的で、体系立っていないかもしれない」。

 そう断ったうえで、パレスチナ問題をめぐり、重大かつ広範で詳細な話題が展開されていった。本記事でご紹介するのは、その概要である。

■「今、目前で起きているジェノサイド」「軍事攻撃は何度も繰り返されてきた」

 岡教授は「今起きていることは、ジェノサイド条約(※IWJ注1)に照らしてジェノサイドだ」と断じた。その上で、「ガザとは何か」と問いかけた。

(※IWJ注1)ジェノサイド条約:岡教授が強調したのは以下の第二条である。「第二条 この条約では、集団殺害とは、国民的、人種的、民族的又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意図をもつて行われた次の行為のいずれをも意味する。(a)集団構成員を殺すこと。(b)集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること。(c)全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること。」(データベース「世界と日本」)
https://worldjpn.net/documents/texts/mt/19481209.T1J.html

 「完全封鎖されてからのガザに対するイスラエルによる軍事攻撃は、今回が初めてではなく、これまで何度も繰り返されてきた」という。

 2008年12月〜2009年1月の22日間攻撃では、パレスチナ側の死者は1400人以上にのぼった。封鎖されていて、逃げ場がないガザに、連日連夜、陸海空からミサイルや砲弾、白燐弾(人の肌に付くと骨に達するまで焼き尽くす)までもが投じられた。

 岡教授は、その時の模様を、ガザの大学の知人からのメールで知らされた。知人から送られた写真には「下半身がちぎれ落ちた、白燐弾で真っ黒に炭となった赤ちゃん」や「瓦礫の中に女の子の首だけが落ちた様子」等もあったといい、岡教授は一部の画像をプロジェクターで見せた。「人間性の底が抜けたような出来事だった」「人間にこんなことができるなんて」と思ったという。

■「忘却が次の虐殺を準備する」

 この2009年の停戦後の報告会等で、岡教授は、韓国の文冨軾(ムンブシク)氏が光州事件等の記憶を辿った著書『失われた記憶を求めて』(現代企画室)の中の言葉、「忘却が次の虐殺を準備する」を繰り返し引用したという。岡氏は言う。「私達はガザの後にいるのでなく、次のガザの前にいるんだ」「この出来事を忘れたら、私たちはその忘却によって、次のガザへの道を整えているのだ」。

 停戦後にまとめられた国連の報告書は、「ガザ側・イスラエル側双方に戦争犯罪があった」と認め、賛成多数で可決された。しかし、米国とイスラエルは反対票を投じ、日本は棄権し、イスラエルの戦争責任への説明責任は問われなかったという。

 その後の、2012年11月の8日間の攻撃、2014年7月の51日間の攻撃による惨状やイスラエルの国際法違反等について、岡教授は、破壊された街の映像等を交えながら、詳細に語った。しかし、停戦するその度に、「世界はガザの事を忘れた」。

■「広島がジェノサイドなら、2014年のガザもジェノサイドだ」

 岡教授によれば、2014年の攻撃によるガザの死者2200人は、「人口比で言えば日本での15万人に相当し、広島の原爆で1945年12月までに亡くなった15万人に匹敵する」という。「核兵器は使われてないが、この時使われた火薬を換算すると、広島型原爆と同等」であり、「広島がジェノサイドなら、2014年のガザもジェノサイドということだ」。

 この頃から、自殺を最大のタブーとするイスラム社会のガザで、自殺者が出るようになったとされる。

 2018年の「ナクバ(※IWJ注2)」70年目に行われた、難民の帰還やガザ封鎖解除等を主張するデモ「帰還の大行進」では、ほとんどが非暴力だったにも関わらず、イスラエル軍の攻撃により、死者150人、負傷者1万人以上、うち医療従事者1500人、子ども1849人が出たという。

 しかも、国際法違反のバタフライブリット(弾からナイフ状のものが飛び出る)やダムダム弾(命中すると破裂し、傷を拡大)等で、若者の足を狙い、切断を余儀なくさせ、一生障害を負わせる戦略がとられた。

(※IWJ注2)ナクバ:アラビア語で「大厄災、大惨事」。1948年にパレスチナ人の社会と祖国が破壊され、大多数のパレスチナ人が恒久的に退去を余儀なくされた出来事を指す。イギリス委任統治領パレスチナの78%がイスラエルとして宣言され、70万人のパレスチナ人が追放、500以上のパレスチナ人の村落がイスラエル軍に破壊された。

 しかし、こうした事実を、日本の主流メディアが、当時行われた米大使館のエルサレムへの移転のニュースの「刺身のつま」的扱いしかしなかったことを、岡教授は厳しく批判した。「イスラエルが東エルサレムを併合し、そこを首都としていること自体が国際法違反であり、そのエルサレムに大使館を移転することも国際法違反である。そのことをきちんと報道することはなかった」。

■非暴力で訴えても世界が耳を貸さないなら、銃を取る以外にどのような方法があったのか?

 さらに2021年、15日間の攻撃があった。2014年の攻撃以降の兵器の進化は凄まじいもので、2014年の攻撃が「のどかに感じられるほど」だったという。そして停戦する。

 岡教授は、私たちは、こうして「忘却」を繰り返すことで、「ジェノサイドへの道を整えてきた」と断じた。「メディアも、市民社会も、攻撃が続いて建物が破壊され、人が大量に殺されている時だけ注目し、報道するが、ひとたび停戦すれば忘れてしまう」「しかし、ガザの人々の生を圧殺する封鎖は依然続いている」。

 そして「パレスチナ人だけが苦しんでいる限り、イスラエルがどれだけ戦争犯罪を犯そうと、世界は歯牙にもかけない」と厳しく指摘。「私には、この『恥知らずの忘却』と虐殺の繰り返しが、今ガザで起きている、このジェノサイドをもたらしたとしか思えない」と、メディアと市民社会の責任を批判するとともに、「この批判は私自身にも向けられている。恥知らずなのは私自身だ」と述べた。

 岡教授は問いかける。「教えてください。非暴力で訴えても、世界が耳を貸さないのだとしたら、銃を取る以外に、ガザの人達に、他にどのような方法があったのでしょうか。これは反語疑問ではありません。純粋な疑問です。教えてください」。

■ガザとは「巨大な実験場」である

 続けて岡教授は、「ガザとは何か」と問いかけた。それは、様々な意味で「巨大な実験場」だという。

 「イスラエルの最新式兵器の性能を実戦で実験する所」であり、「大規模攻撃を仕掛ければ、世界のニュースが放映してくれる、実演のショーケース」。そして「新兵器の開発で、用済みになってしまう古い兵器の在庫を一掃する便利な場所」である。

 「100万人以上の難民達を閉じ込めて、50年以上占領下に置き、16年以上完全封鎖して、食料も水も医薬品も、人間がかろうじて生きていくだけで精一杯という程度しか与えないでいたら、人間はどうなるのか」「その社会はどうなるのか、何が起こるのかという実験場」。岡教授は、蔓延する自殺や感染症など、その実態を詳細に語った。

 「150万以上の人間を狭いガザに閉じ込めて、経済基盤を破壊して、命をつなぐのがやっとという状況にとどめ置いて、何年かに一度、大規模に殺戮し、そういうことを16年間続けた時、世界はどうするのか?という実験場」。

 「わかったこと。世界は何もしない。ガザでパレスチナ人が、生きながらの死を生きようが死のうが、世界は何の痛痒も感じない」

 「彼らが殺されている時だけ、顔をしかめて見せるだけ」。

■「人間を非人間化する言葉」に呼応する無差別爆撃の中で

 文学を専門とする岡教授は、今私達が何よりも必要とするのは「文学の言葉」だという。

 「ハマース(岡教授は原語に則して発音)を、民間人を残忍に殺戮する血に飢えたテロリストのように表象する言葉が溢れている」。イスラエル大統領がハマスを「ヒューマンモンスター、人間の姿をした化け物」と呼び、イスラエル軍の司令官が、パレスチナ人を「ヒューマンアニマル、人間の姿をした獣」と呼ぶ、「人間を非人間化する言葉」に呼応するように、「パレスチナ人の命など一顧だにする必要がないかのような」無差別の爆撃が進行している。

 「地上戦がいつ起こるかではなく、今私達が目にしている事態が、すでにジェノサイドである」。

 「ハマースたちを非人間化する言葉が氾濫する中で、パレスチナ人が人間であるということを理解するために、私たちは文学の言葉を必要とする。文学は人間にヒューマニティを取り戻させる。その時ヒューマニティを取り戻すのは、私達のほうだ」「言葉とヒューマニティは、何人(なんぴと)の人間性も否定されない世界のための闘いにおける、私たちの武器である」と岡教授は語った。

■企業メディアはハマスを悪魔化し、報復攻撃の正当化に奉仕している

 岡教授は「歴史とは何か?」「私達は、歴史を本当に学んでいるのか?」と問いかけた。

 関東大震災の朝鮮人虐殺を小池百合子東京都知事等が否定する動きや、米同時多発テロを契機に米国が引き起こしたアフガニスタンやイラク等への侵攻が大量の難民と死者を生み出したことなどを挙げながら、「現在の企業メディアの報道に、そうした直近の歴史に対する批判的認識がどれだけ反映されているか?」と指摘した。「むしろハマスを悪魔化し、非人間化し、イスラエルがガザに対して報復する攻撃の正当化に積極的に奉仕している」と厳しく批判した。

 「80年前、大本営発表を唱和して戦争に加担したことみ対する戦後の反省は、当時の民主化の時流に乗った単なるポーズに過ぎなかったのか」。

 そして、歴史的文脈を無視して「暴力の連鎖、憎しみの連鎖」という言葉を使うメディアや人物は信頼できない、それが試金石になると指摘した。

■民間人人質化は戦争犯罪だが、解放のための武力抵抗は国際法上「正当」

 また、岡教授は、今回のハマスの攻撃では、最初にイスラエルの軍事基地を占拠したことを指摘し、「占領下にある者たちが、占領からの解放のために、占領軍に対して武力を用いて抵抗することは、国際法上、正当な抵抗権の行使」だと述べた。しかし「民間人への攻撃や人質化は戦争犯罪であり、国際法違反であり、裁かれるべきだ」とも指摘した。

 しかし、「だからといって、占領下のパレスチナ人が、イスラエルによる占領からの解放を求めて戦うこと自体が違法化されるわけではない」と改めて釘を差した。「手段が誤ったからといって、目的自体が全否定されるわけではない」。

 その上で、イスラエルが自国兵士とハマスの戦闘中の基地に爆撃したというイスラエルの司令官による証言や、パレスチナの人質となり解放されたイスラエル女性が「パレスチナの戦闘員は自分たちを人道的に扱った」「人質達を殺したのはイスラエル軍」だと語った、イスラエル国営放送で流された証言などを紹介した。

■「ホロコーストをパレスチナ人殺戮に利用するな」と声を上げるユダヤ人

 岡教授は「ハマスとは何か?」と聞かれるが、誤った問いだと述べた。PFLP(パレスチナ人民解放戦線)が「コミュニズムを掲げた、民族解放運動」だったと同様に、ハマスは「イスラム主義を掲げる、占領からの民族解放の運動体」であると説明し、複雑な話ではないとした。

 むしろ問うべきは「イスラエルとは何か?」であるとして、イスラエルが、ユダヤ人であることやホロコーストの犠牲者を大義名分に、パレスチナへの迫害を続けてきたことに疑問を呈した。

 そして、米国のユダヤ系市民の団体が停戦を求めて、米連邦議会を500人が占拠し、300人が逮捕された例をあげた。

※ユダヤ系団体が停戦求め米議会周辺でデモ、300人逮捕 イスラエル・ハマス戦争(BBC、2023年10月20日)
https://www.bbc.com/japanese/67166087

 岡教授は、彼らユダヤ系市民達がイスラエルに対して、「お前たちが行っている犯罪を、ユダヤ人という私達の名前によって行うな。そして自分たちの肉親や親族、愛する者が殺されたホロコーストの記憶を、パレスチナ人を殺戮することの正当化に利用するな。それはホロコーストの死者たちに対する冒涜だ」と抗議したことを指摘し。世界で多くの良心的なユダヤ人が、ユダヤ教の教えにもとづいて声をあげていると述べた

■国際社会はホローストをパレスチナ人で贖(あがな)い、今もその暴力を行使し続ける!

 岡教授は、歴史的なユダヤ人差別からの解放のために、ユダヤ人がマジョリティの国家をパレスチナに作るという「シオニズム」の誕生から、第二次大戦後の国際連合総会での、イスラエル建国のためのパレスチナ分割案可決へ至る流れを跡付けた。

 その際、実は国連総会での可決前に、アドホック(特別)委員会が、分割案は「国連憲章違反」であり「アラブ国家は経済的に持続不可能」「欧州で起きたホロコーストの代償をパレスチナに支払わせるのは政治的に不正」と結論付けていたことを指摘した。

 米国務省さえ分割案に反対していたという。しかし、米トルーマン大統領の鶴の一声によって特別委で可決、総会にかけられ、米ソの多数派工作で可決された。

 しかも、国連の分割案ではイスラエルの人口の4割を占めることになっていたアラブ人を、イスラエルの初代首相となるダヴィド・ベン=グリオンの元、ユダヤ民兵組織やイスラエル軍が虐殺・排除していった。それが「ナクバ」である。イスラエルは、ユダヤ人至上主義国家を作るために、パレスチナ人の暴力的な民族浄化の上に作られたのである。

 同年の世界人権宣言で「人は全て自国に帰る権利を有する」と謳われ、国連総会決議で「パレスチナ難民は即時帰還の権利があり、帰還しない場合は故郷に残した財産をイスラエルが補償するように」と採択されたが、「75年経っても(帰還も補償も)実現していない」と岡教授は指摘した。

 こうした経緯を踏まえて、岡教授は、「イスラエルが、ムスリムに対するヨーロッパ人のレイシズムにもとづく植民地的侵略によって作られた」という点を強調した。そして、その際の「暴力的な民族浄化が、形を変えて現在まで続いている」と指摘した。

 すなわち、「国際社会(西洋諸国)は、ヨーロッパ・キリスト教社会の歴史的ユダヤ人差別と近代の反ユダヤ主義、その頂点としてのホローストの罪を、パレスチナ人を犠牲にして贖(あがな)った」「そして今もイスラエルの攻撃を、米国もEU5か国も賛同することで、その暴力を行使し続けている」と喝破したのである。

■人道援助だけを行うのは封鎖や占領の「共犯」、必要なのは「政治的解決」!

 その上で、「パレスチナ人に対するイスラエルのアパルトヘイト」を明記したアムネスティの指摘等を紹介し、「イスラエルはアパルトヘイト国家である」と断じた。しかし、この人権侵害を告発するパレスチナの人権団体は、イスラエル政府によってテロリスト団体に指定されているという。善悪の判断基準が、イスラエルのシオニストの間では、完全に転倒している。

 そして岡教授が強調したのは、これは「占領」「アパルトヘイト」「難民の帰還」という「政治的問題」であるということだ。植民地支配されている国の独立が「政治的解決」を必要とする「政治的問題」であるのと同じく、「政治的問題」である。

 しかし、「イスラエルは、人道問題を作り出すことによって『人道問題』にすり替えている」と岡教授は指摘した。ガザは「天井のない監獄」と言われるが、10月7日以降のガザは「絶滅収容所」に他ならず、こんな状況になれば人道支援せざるを得ない。日本も10億円の人道支援を決めた。

 だが、政治的解決を放っておいて、人道援助だけしても、次の攻撃で破壊される。今生きていくには支援が必要だが、単に人道援助だけをやっているのは、封鎖や占領に対する「共犯」だと、岡教授は厳しく指摘した。だから、「政治的解決」をしなければならないのだと。

 岡教授は、最後に以下の2人の言葉で締めくくった。

 「私たちは、パレスチナ人が解放されない限り、私たち(南アフリカ)の自由が完成しないことをよく分かっている」(第8代南アフリカ共和国大統領/ネルソン・マンデラ)

 「地獄とは人々が苦しんでいるところのことではない。人が苦しんでいるのを、誰も見ようとしないところのことだ」(イスラム中世の神秘主義思想家/マンスール・アル=ハッラージュ)

 レクチャー終了後は、参加者との質疑応答が行われた。

 本セミナーの動画は、以下の主催者チャンネルで御覧いただける。ぜひ、学生有志の会のチャンネルも、御覧いただきたい。

※ガザを知る緊急セミナー ガザ 人間の恥としての(2023年10月23日)(〈パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会)
https://www.youtube.com/watch?v=-baPSQIgcGc

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