14日からの会期中ほぼ毎日雨が降るという、岡山らしくない天候の中、最終日は台風の接近のなかで行われました。
特別な演奏会
◤音楽会「トウヤマタケオと阿部海太郎のイマジナリー楽団」
トウヤマタケオさんはソロでも活動されていますが、様々なアーティストとのコラボレーションによる作品を作られていてその声と音色は多くのミュージシャンのの尊敬を集めている音楽家。
蜷川幸雄さんの作品音楽を多数手がけてきた阿部海太郎さん。
今年も4本の作品を手がけ、少し落ち着いたところで長島に来てくださいました。
二人の作った舞台は、広く深く楽器が配置された不思議な空間。
会場の端と端には小さなスピーカーが配置され、ラジオの音が流れています。
これはきっとこの島を歩いた時に最初に気づく”違和感”
この島の特色です。
ハンセン病の後遺症で視力障害になった方たち、長い間、介助がつくことなく、1人で島の中を移動しなければなりませんでした。
ハンセン病の後遺症で視力障害になった方たち、長い間、介助がつくことなく、1人で島の中を移動しなければなりませんでした。
そこで、どこにいるかが把握できるように、島内のあちこちにスピーカーが配置され一日中鳴っているのです。
とても静かな島に流れるラジオの音。
それは視力障害の方たちのガイド。
今回イマジナリー楽団で背中を追ったのは「青い鳥楽団」、視力障害者の方たちの楽団でした。
楽団を作った近藤さんは、手の感覚もなくなっていたので、舌と唇で点字を覚え、楽譜を書いて楽団を作られました。
ハーモニカはその特性上、転調するには持ち変える必要があります。
目の見えない楽団のメンバーにそれは難しく、時間がかかります。
それをクリアして複雑な曲も吹けるように、板とボルトで特性のハーモニカが作られました。
それをクリアして複雑な曲も吹けるように、板とボルトで特性のハーモニカが作られました。
制作の過程で、当時の音源を聴きながらハーモニカを練習する二人。
その演奏技術の高さに舌をまき、その熱意に圧倒されながら追いかけていく。
前日のリハーサル時に旗を探してくれた学芸員の田村さんが木箱を持ってきてくれました。この中に、当時「青い鳥楽団」の方たちの使われていたハーモニカと、この装置が入っていたのです。
二人がハーモニカで演奏されていた時に海太郎さんの左手にあったのがそのハーモニカです。
二人のオリジナルの楽曲と、青い鳥楽団のオリジナル曲、レパートリーで綴られた音楽会。
「青い鳥行進曲」、近藤さんの作曲された「鶴島哀歌」が歌われると、会場に来られていた島の方の声が重なっていきます。
曲が進んでいくと、その声はこどもの高い声と言葉とも言えない対話を始め、それもこの音楽会の音になって行きます。
1時間の公演はこの島の時や音をほんのすこし集めて紡いだものでしょう。
でも、言語を越えた対話が会場に起こっていました。
でも、言語を越えた対話が会場に起こっていました。
台風の迫る中、公演後歴史館に足を向けられた人も多くいらっしゃったとのこと。
私たちはエンターテイメントを通して対話が生まれることを願い、このイベントを手探りで進めてきましたが、多くの人の熱意と思いが集まり、思っていた以上の変化が、来場者のみなさんや、アーティストの皆さん、そして、長島で働く方々の中にも観ることができました。
引き続き、来年に向けて、丁寧に育んで行きたいと考えております。
ぜひ、また晴れた長島へ足を向けてみてください。
また、来年の開催を楽しみにしてくださいね。
青い鳥楽団を紹介されているページがありますのでぜひ御覧ください。
【People+】近藤宏一と青い鳥楽団 佐々木松雄さんの思い出とともに
【People+】近藤宏一と青い鳥楽団 佐々木松雄さんの思い出とともに








