今回はあるところから聞いた、少しビジネス的な話題です。
M&Aと聞くと大企業のやることだとお考えの方も多いと思います。
M&Aとは、買収や合併、その類似の手法を含む組織再編全般のことを指しますが、最近では中小企業同士のM&Aも多くなってきています。
そして、その数は今後もっと増えていくと思われます。
なぜか?
事例を交えて考えてみましょう。
中小企業経営者のA社長の場合
(1)若くして東京に出てきたたたき上げで現在65歳。
(2)息子と娘が一人ずついる。子供に良い教育を受けさせたおかげで息子は医者に
なった。娘は一流大学を出て、既に嫁に行っている。
(3)一緒にやってきた5才年下の専務がいる。
完璧ではないが経験・能力とも信頼している。
(4)従業員が30名ほどいて、平均年齢は40歳手前彼らにも家族がいて、時折会社
全体の行事で集まることもある。
(5)会社には1億円の借入があり、自分が連帯保証をしている。
(6)株はすべて自分が保有している。
相続税が心配で、以前顧問税理士に評価してもらったら株価2億円と言われた。
(7)事業は、新興の元気の良いライバル会社が出てきて衰退しつつある。
珍しくない中小企業経営者像です。
さて問題です。
A社長が引退するにはどのような方法があるでしょうか?
一般的には次のような方法が思いつきます。
★息子への社長交代
しかし、今回息子さんはお医者さんです。(実際、成功した経営者のご子息は高学歴で、家業とは別の道を歩まれているケースが多いようです)
息子さんは、小さい頃からかわいがってくれた専務や従業員がいる会社のことは気にはなるものの、自分が継ぐことは難しいと思っています。
また、A社長自身、慣れない事業で借金を背負わせて息子を下り坂の会社に入れるのは避けたいと思っています。
★専務への社長交代
専務はやっても良いと言ってくれました。経験・能力も信頼できます。ではお願いできるか?
通常できません。
なぜなら、銀行が1億円の連帯保証を専務に引き継がせることを拒否してきます。
また、専務が2億円の株式を買取ることは難しいと考えられます。
ではいっそのこと廃業するか?
30人の従業員とその家族のことを考えるととてもできません。
そんなとき、新興の元気の良いライバル会社へのM&Aでうまくいくケースがあります。
もちろん、M&A後の社風の違い等の心配はありますが、これなら、皆がハッピーになる可能性が残ります。
社長も事業の心配がなくなり、相続も現金で備えることができます。
現在このようなM&Aの仲介をする会社が大きく業績を伸ばしているそうです。
ちょうど結婚紹介会社のような立ち位置なのですが、震災があった3月にも、例月と変わらず30件近いマッチングが完了したということでした。
M&Aを事業拡大の一手段とすることは、中小企業間でも今後当たり前になると思います。
ではNPO法人はどうでしょうか?
NPO法人は社会貢献的公益活動の他に、収益事業「33業種」(物品 販売業 、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、放送業、運送業、倉庫業、請負業、印 刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場 業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権 提供業の33種)を、本来の社会貢献的公益活動の目的を超えない限り行うことができると定められています。
このことは、定款に記載した業務に限定した収益活動しか展開できない株式会社なんかに比較して、圧倒的に多くの事業(っていうかほぼ全部)を展開してもよいということなのです。しかも自動付帯です。
ただNPO法人は、収益を構成員に分配してはいけないというのが条件ですので、配当のある株式などは当然なく、収益は公益事業に寄付しなければならず、借入も難しいのです。
社会貢献的公益事業の合併や協働なども活発化し、より住みやすい世の中になっていくと良いな、と思います。