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鈴木重雄の遺稿『失われた歳月』の再刊への動きが始まった [2012年04月27日(Fri)]

『失われた歳月』上下巻の再刊を願う思いは、すでにこのブログにも書いた。

出版元である皓星社の再刊に弾みをつけるために、有志による支援活動が、関西FIWCの「むすびの家」を中心に始まった。鈴木重雄の故郷、宮城県気仙沼の唐桑は、昨年3月11日の大震災と津波で大きな被害を受け、その復旧に震災直後から、FIWCの「むすびの家」に連なる人々が入っている。まさに「むすび」の歴史が再現している。
鈴木重雄は1912年生まれ。生誕100年にあたる今年に是非とも再刊が果たせるようにと願って、支援要請の趣意書の概要を紹介しておこう。

鈴木重雄生誕100周年/社会福祉法人洗心会35周年
『失われた歳月』再刊を願って

■3・11東日本大震災が発生したとき、唐桑町(気仙沼市)はどういう状況にあるのかをいちばん心配しました。唐桑は、鈴木重雄さんの故郷で、最後に命をかけて設立した社会福祉法人洗心会の関連の方たちが住む町だったからです。やっと連絡がつき無事が確認できて、ただちにフレンズ国際労働キャンプ(FIWC)は復旧支援のワークキャンプに駆けつけました。若い人たちがつけたキャンプのスローガンは「鈴木重雄の唐桑を元気にしよう」でした。
■鈴木重雄さんは1912年4月に生まれ、今年は生誕100周年の年にあたります。大学在学中にハンセン病にかかり国立療養所長島愛生園で28年の闘病生活を送った鈴木さんは、FIWCの「交流(むすび)の家」建設運動に全面的な協力をされて、後に、ハンセン病の歴史で有り得べからざる故郷での町長選挙に立候補するという奇跡を起こしました。僅差で敗れたあと、社会福祉法人洗心会の設立に邁進し、知的障害者施設高松園の開所の直前に他界されました。
■かつて、鈴木さんとともに活動したFIWCのメンバー、およびたくさんの後輩たちが、津波で壊滅的被害をうけた唐桑にかけつけた昨年は、出会いから50年近い歳月が流れていたのでした。この稀有な絆の出発点となった鈴木重雄を最もよく語るのは彼自身の自伝をおいて他にありません。
■鈴木重雄さんの自伝『失われた歳月』(著者名・田中文雄=園内名、皓星社)は、ある医師があずかっていた自伝原稿に加えて、あらたに唐桑の自宅で発見された原稿をあわせて、2500枚にもおよぶ原稿を2005年に発行したものです。1部から5部までが自伝、6部が愛生園の機関誌「愛生」等に発表した原稿で構成されていて、上下2巻あわせて1100頁の大著です。
■鈴木重雄を知る、日本のハンセン病の歴史を知る、たいへん貴重な記録であります。大著ではありますが、読み始めると、数奇なる人生を歩んだ鈴木さんの生き方に時を忘れて引き込まれていきます。
■ご承知のように、この手の本はそんなに売れるわけではありません。たくさんの出版社が出版を断ってきたなかで、最後に引き受けたのが皓星社で、歴史的社会的意義を評価し出版を決断したことに頭が下がります。申し添えれば、皓星社は『ハンセン病文学全集全10巻』(昨年完結)刊行(出版梓会新聞社学芸文化賞受賞)という偉業をなしとげた出版社です。
■鈴木さんの本は現在絶版状態で、再刊を望む声があちこちから聞こえてきますが、出版社としては、ある程度の販売の見通しがたたないことには第二刷はむつかしいとのことです。
■この機会に再刊を実現いたしたく、みなさまに呼びかけをいたします。この本をぜひ購入していただきたく、カンパを募ります。ある程度の見通しをたてて出版社に刊行を依頼したいと考えていますので、カンパ予約をお願いいたします。目標は150口(一口8000円)です。すでに第一刷を購入されている方は知人友人にお薦めください。目標数に達して刊行が決まり次第お知らせしますので、その時にお送りする振込用紙で再刊支援カンパをお支払いください。
■同封のハガキにて予約申込みをいただきますようお願いいたします。

『失われた歳月』上巻・下巻 田中文雄(鈴木重雄の園内名)著、皓星社発行
  A5判 上巻508頁 下巻626頁 上巻3500円+税175円、下巻3500円+税175円

●カンパ予約申込ハガキの送付先:〒614-8375八幡市男山弓岡1-B18-105 湯浅方
(*同封のハガキにてお送りください)      NPO法人むすびの家「失われた歳月」係
   ●ハガキ締め切り:2012年5月末日
●カンパ振込先:後日、振り込み用紙をお送りします。刊行決定後お支払いください。
●カンパ:1口8000円(『失われた歳月』上巻下巻1セットをお送りします。含送料)
(2口以上の方は、口数以下の希望セット数を記入ください)
●お問合せ先:NPO法人むすびの家/フレンズ国際労働キャンプ(FIWC)関西
                 〒631-0042奈良市大倭町2-33 0742-44-0776
                     あるいは 湯浅 進 090-3862-6369
<交流(むすび)の家HP http://musubi.news.coocan.jp

『失われた歳月』再刊 呼びかけ人:NPO法人むすびの家(理事長・湯浅 進)
賛同人:上田政子(島根県藤楓協会理事・元愛生園看護婦長・松江市)、小野寺 学(社会福祉法人洗心会理事長・気仙沼市)、門屋和子(ハンセン病問題に関わる長野県民の会代表・上田市)、亀谷壽一(社会福祉法人洗心会元理事長・気仙沼市)、木村聖哉(『むすびの家物語』著者・東京都)、佐渡裟智子(ハンセン病詩歌音読ボランティア・生駒郡)、佐藤祐子(横浜市健康福祉局・横浜市)、高山和彦(社会福祉法人同愛会理事長・横浜市)、鶴見俊輔(哲学者・京都市)、徳永 進(野の花診療所・医師エッセイスト・鳥取市)、中島 健(大倭紫陽花邑・奈良市)、馬場康彦(社会福祉法人洗心会専務理事・気仙沼市)、原田僚太郎(NGO「家=JIA」代表・中華人民共和国)、虫賀宗博(論楽社主宰・京都市)、森元美代治(NPO法人IDEA JAPAN理事長・清瀬市)、矢野 清(NPO法人りんご会地域活動センター「りんごの木」施設長・横浜市)、薮本雅子(元日本テレビアナウンサー・ハンセン病国賠訴訟裁判取材記者・東京都)、山口和子(笹川記念保健協力財団理事・川崎市)、湯浅 洋(元国際らい学会会長・京都市)、<五十音順>
今村忠生(NPO法人むすびの家名誉理事)、長澤俊夫(交流[むすび]の家建築総監督・唐桑町長選挙応援隊)、青谷善雄・柳川義雄・矢部 顕(NPO法人むすびの家理事・唐桑町長選挙応援隊)
2012年3月18日

          *          *          *

――人生には偶然のことがあります。私が小学生のおそらく4年生の頃だったと思う。同級生の豊田くんの郊外の家に遊びに行ったとき、商大予科生だった鈴木さんと会いました。その後、彼はハンセン病にかかり、自分の名を消して一個のハンセン病患者として長島愛生園に身をよせました。私はそこを訪れるなかで、20年ぶりに鈴木さんと会いました。こうして付き合いが生まれ、やがて彼は社会復帰して、故郷で選挙に立ち会う巡りあわせとなりました。私の家に、彼の関係していた水産会社のマグロをもってきてくれたこともあり、家族とも会いました。ハンセン病患者の快復と社会復帰にたちあうことができたのは、私にとって光のある人生の部分です。その時間を鈴木重雄さんと共有したことは、いま振り返ってみてうれしい記憶として残っています。――鶴見俊輔(社会福祉法人洗心会30周年記念メッセージより)

「エリート学生から一転発病。苦悩を抱いての放浪から、長島愛生園での再生までの数奇な青春の記録」。――『失われた歳月』上巻表紙帯より――

「長島愛生園の療友たちのリーダーとして第二の人生。完治し、社会復帰しての活躍。人間の可能性を示す人生の記録」――『失われた歳月』下巻表紙帯より――


Posted by Blue Sky at 00:23