JDDネットをはじめ日本の障害者団体はこの数年間、国連・障害者権利条約(2006年5月発効)にもとづく国内法の整備を求め、そのことにより障害のある人の権利保障、施策の前進を図ることを目指してきています。
障害者基本法が6月16日、衆議院で可決され、参議院に送られました。全会一致での可決なので、順当に進めば参議院でも全会一致で解決され、このままの内容で成立すると予想されます。
これまでは「障害者の福祉の増進」を目的としていたのに対し、改正法案は障害者の基本的人権を明記し、その理念にもとづいて「障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」を実現することが掲げられました。
「障害」のとらえかたについて、これまでの心身の状態のみのとらえかたでなく、障害者の社会参加を阻む社会状況(社会的障壁)によって障害がうみ出される、と定義を見直したことは大きな変化で、「社会性の障害」である発達障害の理解と支援を進める力になると判断できます。
「障害を理由とした差別の禁止」について、「必要かつ合理的な配慮がなされなければならない」という規定を新設し、「合理的配慮」を行わないのは差別に当たると明確に規定されました。
「どこで誰と生活するか」や、意思疎通の手段、医療・介護について「可能な限り」という限定がつけられ、生活権の保障まで踏み込めなかった点は、今後の課題として残されている問題と受け止めています。
一歩前進を励みに、社会の「理解と支援」が進むよう、発達障害のある人たちの支援委関わる私たちも微力を尽くしていきましょう。