発達障害を自立支援法の対象にすることを明記―改正原案が報道されました [2009年02月26日(Thu)]
共同通信が、障害者自立支援法の改正案原案を配信しました。宮城県では、「河北新報」の夕刊に記事が配信されました。
すべての障害福祉サービスの自己負担について、批判が強い利用量に基づく「応益負担」から、所得に応じた「応能負担」原則に、原案は「見直す」としています。ただし、「実際の負担額は変わらない見通しだ」と報道されています。「施設の報酬を日額制から元の月額制に戻して、施設の減収をなくしてほしい」という要望も、未解決のままのようです。「応益負担の廃止」と「報酬日額制の廃止」を求める声を背景に、すでにJDFなどから「さらなる改正が必要」とする指摘があります。 発達障害に関わって、とくに注目される点は、社会保障審議会障害者部会の報告に盛り込まれたとおり、「発達障害を法の対象にすることを明記」することです。日本発達障害ネットワークが強く要望してきたことで、実現することは歓迎すべきことだと受け止めています。 その際、発達障害の認定および当事者と保護者の相談・支援が、すべての地域で適正に行われるようにする必要があります。 また、現在の障害者自立支援法では、三障害のそれぞれについてサービス利用を保障する手帳が交付されていることを前提に、障害程度区分を行い、それぞれの障害の重度によって利用できるサービス量に上限を設けています。発達障害をもつ人にも手帳を交付するのかどうか、交付するとしたらどのように交付するのか、障害程度区分が可能なのかどうか、区分するとしたらどのように行うのか、そのための専門職をどのように確保するのかなど、施策を具体化し、推進する新たな努力が投げかけられます。 私たち当事者団体も、関係行政機関、研究者・支援者の方々との協力・共同をいっそう発展させなければならないだろうと、受け止めています。 注目した点は、サービス利用計画の作成や調整を行う拠点として、市町村に「基幹相談支援センター」を設置する方向が出されていることです。 現在の障害者福祉施策は、基礎自治体である市町村が基幹的なサービスを提供する考え方にたっています。しかし、宮城県の発達障害者相談センター「えくぼ」に、開所から二年間で一件の相談もない町が2つあります。保健、保育等の場に発達障害の知識と情報が普及しているのかどうかが心配で、市町村間に対応の格差が生じているのが現状です。 自立支援法にもとづく障害者支援のセンターであれば、施策の対象に含まれることになる発達障害について、その判定や発達障害に関わる相談・支援の役割を果たすよう、私たちは求めていくことになります。発達障害についての知見を有する専門職が配置されること、市町村で保健、福祉、保育、幼児教育、教育などの各分野との連携が構築され、市町村間の格差も解消されてていくことを期待したいところです。 現在は、発達障害の相談支援センターは、都道府県と政令市だけに設置が義務付けられています。一般市町村に、発達障害の相談支援機関が設置されていけば、都道府県の相談支援センターは、市町村の相談支援機関のスーパーバイズ機能や専門職の育成・支援を担う方向に、役割が発展的に変わっていくことが考えられます。 市町村の「基幹相談支援センター」が、どのような機能を果たす機関として構想され、展開されていくのかに、注目してみたいと思います。 |