静岡県が、全国初の発達障害者向けの高校開設へ [2011年02月07日(Mon)]
「中日新聞」が2月4日、以下のような記事を掲載しました
静岡県は、発達障害がある生徒の教育を目的にした高校の開設を目指す。準備段階として、閉校になった県西部の高校の校舎で今秋、モデル事業を始める。発達障害者に対する支援教育は中学校までで途切れてしまうのが現状で、高校に進学しても不登校になったり、中退するケースが多い。これら生徒を継続支援するのが目的で、文部科学省の担当者は「発達障害者を対象にした高校の開設は、全国でも聞いたことがない」と話す。 秋からモデル事業 モデル事業の対象になるのは、中学で特別支援学級に在籍した生徒や、高校になじめず退学したり、不登校になった生徒ら。 他人とのかかわりが苦手な発達障害者に配慮し、通信制が基本。対人関係の対応を学ぶ専門家のカウンセリングや、農業、陶芸などの実習体験を取り入れ、自立して社会参加する能力を身につけてもらう。 2011年度は、保護者のニーズや、特別支援教育に関わる教員、医療関係者の意見を踏まえつつ、数十人規模で試行的にスタート。効果を検証しながら、13年ごろの高校開校を目指す。 知的な遅れを伴わない発達障害者は現行制度では、小中学校に設けられた特別支援学級などで教育が受けられるが、高校にはそうした学級がなく、知的障害者らが対象の特別支援学校の高等部にも入学できない。 文科省の全国的な抽出調査(08年度)によると、高校進学者の2・2%が発達障害者ら。毎年2%前後の生徒が中退しており、この中に発達障害者も多く含まれるとみられる。 発達障害の生徒を専門的に受け入れる高校の開設を求める声は、保護者らの間で強まっており、09年の静岡県議会12月定例会で、岩瀬護県議が設置を提案。川勝平太知事は「適応できず退学した生徒が再チャレンジできる仕組みが必要」と答弁していた。 今回のモデル事業について、安倍徹・県教育長は「生徒の特性に応じながら、孤立する子どもが社会とつながりを持てるよう取り組みたい」と話している。 杉山登志郎・浜松医科大特任教授(児童青年期精神医学)の話 診断を受けないまま高等教育を受けている発達障害者は非常に多く、彼らの事象のとらえ方の特性を考慮して長所を伸ばす作業と、社会的な谷間を埋める作業の両方が必要だ。早急に取り組まなければならない問題で、静岡県の取り組みは評価できる。 |