引きこもりの家族がいるということ〜「家族を支える」ために企業ができること [2015年11月29日(Sun)]
先日、困難な若者を抱える『「家族を支える」を考える』というテーマで、若者支援の専門家である、株式会社シェアするココロ/NPO法人パノラマの石井正宏さん×引きこもり状態の若者の親を支援している、NPO法人育て上げネット森裕子さんの講演を聞いてきました。
![]() ■家族が「引きこもる」とは 家族が引きこもるとは、どういうことなのでしょうか。今日のお二人のお話をお聞きして、少し要点をまとめてみました。 ・引きこもりは自分で支援機関には行けないので、親へのアプローチが大きな効果を発揮する ・引きこもる=親への反抗(親の期待を壊す)、というケースも少なくない ・20世帯に1世帯くらいの割合で、家の中に引きこもり状態の家族がいる=「家」に帰るしんどさを抱えている人の割合 ・それでも、父親は気晴らしに飲んで帰れる人が多いが、母親は逃げ場がない。 ・育児参加の少ない親(父親)は、自分の子どもを「分身化」しやすい→引きこもりという状態に混乱し、受け入れられない→引きこもりの長期化の要因となる。 ・自分の将来を考えているモードの引きこもりは、ひたすら「待つ」。邪魔をすると、攻撃性が出てくることもある。将来を考えた結果お手上げモードになった時に、初めて手を差し伸べる。しかし、前者と後者のモードの区別は親にはわからないため、専門家の介入が必要。 ・引きこもりになった原因を親のせいにすることで精神状態を保っている子ども。原因が自分(親)の責任であると「受容する」ことと、「言いなりになる」ことは大きく違う。 これを間違えると、親子のパワーバランスが逆転し、親が子どもの顔色をうかがうようになり、パシリ状態となる。また、一旦逆転してしまうと、関係を回復させるのは、とても困難。 ・ネットでの情報収集はむつかしく、信頼性の観点から薦めない。支援団体に置いてある広告物からの情報収集が良い。 ・親へ反発している子どもは家庭内でのキャラを変えられない。なぜなら、それは敗北になるから。→家族以外の支援者が介入することが必要。支援者の前では、素直な子どもに戻れる。 ■引きこもる家族を支えるために、企業ができること 20世帯に1世帯くらいの割合で、家の中に引きこもり状態の家族がいる(町田市の調査)ということは、会社で考えれば、結構な人数になるかもしれません。しかし、多くの方が、自宅に引きこもりがいることは、「恥」と感じ、隠しているそうです。従って、隣に座っている同僚の家庭に引きこもりがいたとしても、知ることはほとんどないのでしょう。 でも、上記のような家庭の様子を考えると、仕事に支障がでてもおかしくないくらい、大変な状況(もしくは大変な状況になる可能性がある)だと思いました。 では、企業がそのような社員のためにできることって、何でしょうか。 ひとつは、NPO育て上げネットが提供している、スカイプを利用した、NPO(専門家)への子育て相談「結」(http://www.onlineyui.jp/)のようなサービスが、会社の福利厚生にあったらよいのではないかと思いました。 ![]() というのも、この半年くらいの間に、何人かの忙しく働くお父さんから、雑談の流れで、子育て不安の話があったのですが、支援機関を紹介したところで、そこに行くというのは、お父さんにとってはハードルが高く(そこまでは、、という)、結局そのままの状態になってしまっていることが気になっていたということがありました。 個人的には、企業の中においては、特に、父親が動きやすい環境をつくることが必要だと感じます。そして、父親にとっては、相談のきっかけが「会社の福利厚生にあったから」という建て前をつくれることも重要なのではと思います。 家の中の話だから、なかなか人には話せなかったりするのだと思います。特に会社の人には知られたくなでしょうから、プライバシーが守られる第三者の支援機関に、会社の休憩時間などを使って、スカイプやメールで連絡できるハードルの低さって潜在的に必要としている方多いんじゃないでしょうか。子育てに限らず、介護などもそうかもしれません。 ![]() マンガでわかる「子どもがひきこもりになりかけたら」 |