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ひとり親支援から思うこと [2015年10月26日(Mon)]
「ひとり親を救え!プロジェクト」の一連の議論を見て思ったことを、女性の立場として、書きました。私は結婚してないし子どももいないけれど、私の大事な友人にもシングルマザーは少なくなくないです。その中で思ったこと。

■離婚という選択肢がやっと出てきた

日本は、そもそも、女性は経済的な問題から離婚できなかった。それが、少しずつ、女性が活躍するようになり、離婚・シングルマザーという選択をする人が出てきた。それは、とても困難な道であっても、自分の生き方を選ぼうと、または子どものために不利を承知で選んだ人もいる。私は、同じ女性として、このような話を聞くたびに、その決断に敬意の気持ちを抱いた。

■決断に至った想いを丁寧にあつかえているか

私の知るシングルマザーの多くは誇りを持って生きている。また、誇りをもって生きていきたいと思っている。それを、「かわいそうだから支援しよう」というのは、(善意であっても)彼女たちに対して失礼であるし、その決断に至った想いを踏みにじっているようにも感じる。

シングルマザーが抱えている本質的な困難さは、女性が誰もが潜在的に抱えている不安と同じである。つまり、シングルマザーが活躍できる環境こそ、真に女性が活躍できる社会なのではないか。前に一歩踏み出した女性が、「離婚したら生きていけない」と思うような社会、結局男性に頼って生きることを選択せざるを得ない社会は、絶望的であり、女性にとって自由の無い社会である。彼女たちの目線から社会を問い直すことが、多くの女性が活躍でき、安心して出産の準備ができる社会ではないだろうか。

■シングルマザーが抱える不安は女性共通のもの

3人に1人が離婚し(シングルマザーはマイノリティーと言えるだろうか?)、シングルマザーの2人に1人が生活が困窮しているというのは、事実である。その状況を戦略的にアピールすることは社会変革のためにも必要かもしれないが、一歩間違えると、「私はこんな風にはなりたくない。子どもを産むなんてリスクが大きすぎる。とりあえず、まだやめておこう」とならないだろうか。

@ シングルマザーの多くは自分の選択に誇りを持っている。
A 彼女たちの抱える困難さは、本質的に【女性誰もが】潜在的に感じている不安である。


それを、一歩一歩解決していくことが、女性が真に活躍し、安心して出産できる社会という、少子化対策にもつながるのではないだろうか。

■当事者の気持ちに気づくことのむつかしさ

この件については、私は当事者ではない。

東日本大震災のボランティアのとき「可哀そうがらないで欲しい。自分がみじめになるから。」と現地のお母さんから言われたこと。元ホームレスの方から「支援という言葉は差別だ」と言われたこと。夜回りで路上生活者におにぎりを渡そうとしたら怒られたこと。

これらは、みんな共通していて、当事者ではない私が良かれと思った、些細な行為や言葉が相手を傷つけていたということである。自分が無意識に持っている価値観を押し付けていた。でも、言ってくださったことに本当に感謝している。言われなかったら、当事者じゃない私は気づけない。だから、自分の考えは間違っているかもしれないと常に考え、ちゃんと「声」を聞く姿勢をもつことが大事なんだと思う。

そして、社会的に弱者か否かは関係なく、それぞれが自分の生き方があり、誇りを持っている。その気持ちは、尊重されなければならないと強く思う。

少年法改正から思うこと [2015年10月11日(Sun)]
●少年法改正

少年法は2000年以降3回改正
・2000年・・刑事罰の対象となる年齢が16歳以上から14歳以上に引き下げ
・2007年・・少年院送致の下限年齢が14歳以上からおおむね12歳に引き下げ
・2014年・・刑期の上限引き上げ。検察官が立ち会う事件の範囲拡大。

少年法改正の背景には「少年犯罪が凶悪化している」という申し立てが影響していることが推測される。しかし、実際には、殺人罪で検挙された少年(14-19歳)の数は、1961年448人、2000年105人、2012年48人(犯罪白書)。少年全体の数が減っているとしても、大分減っていると言えるのではないだろうか。

●印象に強い事件と国民感情

一方、印象に強い事件も続いている。
神戸連続児童殺傷事件(1997年)、西鉄バスジャック事件(2000年)、長崎男児誘拐殺人事件(2003年)、山口女子高専生殺害事件(2006年)など、少年による重大事件が発生したことによる国民感情。2007年の改正以降も、石巻3人殺傷事件(2010年)など。

これらは、厳罰化で防げるものなのだろうか。

「構築主義の社会学では「何らかの状態を社会問題と定義し、それへの対処を求めるからこそ、その状態が社会問題として構築される」と考える。つまり、だれかが社会的な問題であり、解決すべきだと申し立て、それを行政や議会が取り上げたり、マスコミが取り上げて世論が形成されたりすることで社会的問題が誕生するのである。そのため、誤って社会的問題と認知されることが起こりうるし、逆に問題が発生していても見過ごされてしまうこともある。」
(日本のソーシャルビジネス 日本政策金融公庫総合研究所)

少年非行の動向〜犯罪白書より [2015年10月11日(Sun)]
●少年非行の動向

・少年による刑法犯の検挙人員は、平成16年から毎年減少している。
・少年犯罪は、成人犯罪と比べ、共犯率が高い。(強盗58.1%、恐喝51.5%、詐欺31.9%)
・家庭内暴力は増加傾向にあり、平成25年には過去最高の1806件。(うち中学生が最も多く805人)。被害者は母親が59%、父親、兄弟姉妹がいずれも8.5%。
・いじめに起因する補導人員は、昭和63年以降は横ばいだったものの、平成24年からは増加傾向となっている。
・平成25年犯罪少年の検察庁新規受理者を年齢別に罪名でみてみると、年少少年(14歳以上16歳未満)は窃盗が約6割、中間少年(16歳以上18歳未満)は窃盗が4.5割、年長少年(18歳以上20歳未満)は、自動車運転過失致死等が約4割。
・少年鑑別所への入所人数は、平成16年以降減少傾向。年齢別構成比は、中間少年が一番多い。しかし、男女別に見てみると、男子は年少少年が増加傾向にある。また、女子は、以前から年少少年の構成比が高い。

●女性の覚せい剤取締法違反の多さ

・少年鑑別所の非行名構成比を見ると、女子の特徴として、年長少年の覚せい剤取締法違反が17.4%と目立って高くなっている。(男子は0.8%)
・これが、少年院となると、女子の年長少年の覚せい剤取締法違反が37.5%となっており、最も多い非行名となっている。次が傷害、暴行。

●少年院入院者が置かれている環境

・男女とも半分以上が、不良集団との関係なし
・最近10年間では、保護者が実母のみである者の構成比が上昇傾向にある。逆に、実父母である者の構成比は低下傾向にある。(実母子家庭の比率は、男女とも約4割)
(犯罪白書 平成26年度版より)

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【鑑別所】少年を社会から隔離した上での矯正教育が必要か否かを判断する施設。
【少年院】鑑別結果などから「社会生活での更生は難しい」と判断された場合に送致される矯正施設。
 ☆刑罰ではなく、少年に健全な社会復帰をさせるための”矯正教育”を受けさせる施設
【少年刑務所】少年審判の結果、保護処分(保護観察や少年院送致など)よりも懲役や禁固などの刑罰を科すことほうがふさわしいと判断され、刑事裁判にかけられ実刑となった場合に収容される施設
なぜ遊びが大事なのか〜「社会学がわかる辞典」 [2015年10月06日(Tue)]
■「なぜ遊びが大事なのか」→ 遊びには資質が必要

遊びは、人生に必要な不可欠の資質がベースになっている。

@競争の遊び・・スポーツ、将棋、クイズ ★闘争本能
A偶然性の遊び・・じゃんけん、さいころ遊び ★決断力や胆力
B模倣の遊び・・ものまね、ごっこ遊び、積み木 ★模倣本能
Cめまいの遊び・・ぶらんこ、ジェットコースター ★不快感に耐える忍耐力

 
闘争本能がなければ勝負の場面で敗北してしまったり、決断力がなければチャンスを逃し、模倣本能がなければ社会化されず、忍耐力がなければ何かを達成することはできない。

トランプのような偶然性による遊びからは、決断力だけでなく、不運を享受する覚悟が生まれる。ごっこ遊びなど模倣の遊びからは、想像力が発達する。また、めまいの遊びからは、不愉快さを敢えて楽しもうという不敵な精神が発達する。また、「勝っておごらず、負けても悔やまず」というおおらかな人生態度も学ぶ。

現代の遊びは「商品化」された、お金がかかるものになっている。また、現代のおもちゃは、規格品で、子どもにとって創意工夫の余地が非常に少なく、ただ行為を消費するだけのものになっている。遊びにお金をかけず、手作りのものであれば、かわりに工夫が生まれるものである。

遊びは、人生に必要な資質をムダづかいしつつ、それを鍛錬する場となる。大人になってみて、こうした資質を自分はもてているだろうか。また、これは、子どもにとって、遊ぶことがいかに大事かも示している。勉強ももちろん大事だけれど、より生きる力になるのは、こちらではないだろうか。大人も子どもも、もっと遊ぼう。
(社会学がわかる辞典 遊びの社会学を読んで)
孤独や退屈は、実は、人間にとってとても重要な時間 〜「社会学がわかる辞典」の孤独の社会学を読んで [2015年10月05日(Mon)]
孤独や退屈は良くないものだと言われるけれど、実は、人間にとってとても重要な時間。

@リラックスした時間で、自分と向き合うためには孤独になる必要がある。
A退屈な時間をもったとき、自分で自分を楽しませる探索と工夫が始まる。


@自分と会話するということは、人間が成長するために不可欠の行為であり、そこで、自分が身に着けてきた知識や経験がたばねられ、編成しなおされる→たえず「新しい自分」が出来上がる。孤独を遠ざけると、「自分」をもつことができない。

A真の自発的な経験はそうして生まれる。

しかし、現代人は、マスメディア(TV、ネット、ゲーム)によって、孤独で退屈なのに、それを感じることが出来ないという状況に置かれている。今の子どもは生まれたときから、このような環境にいる。その結果、どうなるかというと、「孤独に耐えられない大人」になることが予測される。スマートフォンを手放せない症状は、赤ちゃんがハンカチがないと泣き出すことに似ているのかもしれない。こうして、自分と向き合うことを奪われ続けると、当然、「自分」もほとんど形成されることがない。「自分」がないから経験は経験にならず、動物的な刺激レベルで生きていかざるを得ない。

こういう時代だからこそ、意識して、「孤独」と「退屈」をつくる必要がある。

(「社会学がわかる辞典」の孤独の社会学を読んで)
CSR48 オルタナコラムに寄稿しました〜起業家サポーターが支える三陸漁業の振興イベント [2015年10月03日(Sat)]
■CSR48 オルタナコラムに寄稿しました

先週参加した、石巻の若手漁師さんと東京の生活者を繋げる「FISHERMAN BBQ」の取材記事を書きました。フィッシャーマンジャパンは、漁師さんとヤフーの共同事業。情熱をもってサポートしてるのは、Yahoo!JapanのCSRだけでなく、企業出身の素敵な3人の起業家。その関係から、感じたことを書きました。


起業家サポーターが支える三陸漁業の振興イベント
http://www.alterna.co.jp/16369


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