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「セオリー・オブ・チェンジ(ToC)書籍化プロジェクト」に参加しました! [2017年08月22日(Tue)]
今日は、一般社団法人セオリー・オブ・チェンジ・ジャパン(ToCJ)の、社会を変革する事業に取り組む現場の方々を支援するための取り組み「セオリー・オブ・チェンジ(ToC)書籍化プロジェクト」に参加させていただきました。

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◆ToCとは
ToCとは、社会変革を目指すビジネスにとっての事業戦略の"背骨"となるフレームワークのことを指します。営利ビジネスとはちょっと(かなり?)違う背骨が必要なんですね。

この事業を立ち上げた背景には「NPO経営者や中核スタッフの燃え尽き」「経営陣と現場が噛み合わない」という問題意識があったということに、私はすごく共感しました。なんというか、身近で聞いたことある話ですし、自分の将来を考えたときに他人事には思えなかったからです。

「「世の中の為に」「未来をつくる為に」という純粋な動機で始まる事業では、ほぼ全ての仕事が「やった方がいいこと(nice to have)」です。
時に、その善意と情熱から、いつまでに何をどれだけ達成すべきかが不明確になり「あれもこれもやった方がいいので、皆で猛烈に働こう」となりがちです。そして、その挑戦の中で、心身を病み、燃え尽きていってしまう人や組織も、少なくありません。」(代表理事の川端さん)
https://readyfor.jp/projects/theoryofchangejapan


◆今日の会議での気づき
@「誰のための書籍か?」→「現場で働くNPO職員」
そもそもこの書籍を「誰のために」つくるのか、という重要な議論がありました。そこで、ある方が「一番大変な思いをしている人のためじゃないか」→「現場のNPO職員ではないか」と言った意見に、みんなとても納得していたように見えました。CSR担当者やインパクト投資家でもない。ここには、結果論としてつながればいいというご意見です。賛成です。

A短期間のKPI達成だけでなく、団体としての「志」や「倫理観」が見えてくるToCが必要
助成金などの申請書は短期間の社会的事業としてのKPIで判断されがちですが、社会的事業は短期間では見えないその団体の志や使命=信頼への寄付や投資しようとする文化が必要だと思いました。既存の助成金の申請書はロジックモデル(戦術)が中心であり、だから、3年後に助成金が切れたら運営が厳しくなるという現象も起こってくる。ToCのようにもっと長期的で多様なステークホルダーをまじえた戦略をもった団体が今後は評価されるのではないかと思いました。

B社会問題の「予防」という視点
社会的事業の中には「対処型」支援と「予防型」支援とがあると学びました。困ってしまってからの支援が「対処型」であり、困る状態に陥る前に支援するのは「予防型」と言われています。社会的コスト・リスクを抑えるためにも、本来は後者の「予防型」はとても大事かと思いますが、「予防型」はお金になりにくいという課題があります。なぜなら、本来、家族や地域コミュニティなどが担っていたところなので、そこに「お金」が発生するということに抵抗があるのだと思います。でも、「予防」を考えることこそ「社会デザイン」であり、NPO職員のやりがいや希望につながったりするのではないかと思います。ToCは、ここに働きかけられるものだと感じました。

まだまだ、わからないことだらけですが、引き続き勉強していきたいと思いますexclamation×2
「なんでもっと危機的な社会課題に向かい合わないのか?」という問いに対しての答え [2017年08月21日(Mon)]
NPOパノラマの石井さんが、Facebookに投稿していた内容を読んで考えたこと。

私は社会起業家ではないので石井さんとはスタンスが異なるけれど、大学院の研究テーマを考えるときに、同じような自問をしたことがあったことを思い出しました。

社会問題を深堀りしていくと、世界中の危機的な問題が次から次へと出てきて、その中で何に取り組みべきかよくわからなくなってしまった時があって。

そんな時、尊敬する社会起業家の師から「社会問題というのは探して見つけるものではなく【感じるもの】。頭で考えて探し始めたら、いろんな社会問題が自分の目の前をとおりすぎるだけで、飛び込むことなんて出来なくなるよ」と言われました。それを言われて、本当にそのとおりだなぁと。

社会問題とは【感じるもの】なんだと。

感じる」とは「気づく」ことになり、気づいてしまったことを「見て見ぬふりできない」方が社会起業家や活動家とその仲間なのだとすると、それは社会問題の影響度、深刻さなどで優先順位をつけられるものじゃないということなんだろうと思います。

そこには当事者性というか「自身の体験」と「仲間との出逢い」が大きな原動力になっているのだと思いました。
NPOに必要なのは、正義感よりも、「プロ意識」と「ゆるさ」 [2016年02月25日(Thu)]
藤沢烈さんのFacebookへの投稿を読んで思ったこと。

今年、なんとなく心がけようと思っていて言語化できていないことが、これだったのかも。

正義感がなくていいというわけではなく、普段は表に出さず、ゆるさとプロ意識を出せるようにしたい。
正義感や強い問題意識というのは、自分にとってそうであっても、他の人にとっては違うかもしれないという前提をもっていないと、自分の視野も広がらないし、新しいタイプの仲間は出来ないものではないか、というのが、ここ数年の感想。出すべき時に出せばいいのであって、普段はいかに「ふつう」でいられるかを心がけたい。

また、私は今、仕事ではなくボランティア(プロボノ)として活動しているけれど、プロ意識というのは、義務が無いボランティアだからこそ求められる。義務がない仕事に自分がどこまでやるのか、そして、仕事の丁寧さはプロ意識に左右される。ボランティアは、それまで隠れていた自分の本性が見える時でもあったりする。
2/28の草莽塾NPOマーケティングセミナー MVP賞は、「認定NPO法人 国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター」でした! [2015年03月06日(Fri)]
2/28の草莽塾NPOマーケティングセミナー(https://blog.canpan.info/hijichomoku/archive/762) MVP賞は、「認定NPO法人 国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター」(http://www.befrienders-jpn.org/)でした!

■夜を守る電話相談のボランティア

東京自殺防止センターは、自殺を考えている人に感情面のサポートを提供することを目的としたボランティア団体。他にも類似した内容の電話相談を受けている団体もありますが、東京自殺防止センターの特徴は「死にたい」という電話が多く、自殺に特化した相談事業が特長。そのため、一番電話が多い夜の20:00〜翌朝6:00、年中無休で活動をされています。大変なご活動だと思います。

草莽塾での課題は電話相談ボランティアの増員。「死にたい」という声に対して、夜を守る電話相談のボランティアをどのように増やしていくか。精神的にとてもハードな相談ボランティアであるため、ボランティア・支援者がなかなか集まらなく、減少傾向だったそうです。

■草莽塾で取り組んだこと

そのような状況の中、取り組まれていたのが

◆ボランティアとして関われる支援メニューを増やす

◆ボランティア(希望者)との接点を増やす


でした。

これまで、ボランティアの関わり方は、心理的ハードルの高い「電話相談ボランティア」か「寄付」の2つだけだったようでしたが、以下などをこの半年で追加。

@心理的ハードルの低いボランティア<おしごと会>の実施
A寄付の方法を増やす(古本の寄付、クラウドファンディング)
B講演会の開催(アンケートではセンターに関わってみたいことを調査)


おしごと会では、心理的ハードルの低い作業をスタッフと一緒に行うそうです。例えば、おしゃべりをしながら封入作業をし、スタッフ自身から活動内容や実際にやっていることについて聞き、知ってもらうことから始めたそうです。その結果、次のステップへと継続してくれたボランティアさんが3割もいたとのこと。

寄付については、古本の寄付が4か月間で2086冊もあつまり、フリーダイヤル特別相談の資金獲得に向けたクラウドファンディングも142%で達成し、内訳は一般人の寄付者が6割もいたそうです。

半年で、これだけの成果が出るとは、素晴らしいと思いました。

■NPOにとっての成果とは

最後に、プレゼンターの東内さんが、NPOの成果についてお話されていました。

「成果というのは、人に伝えて初めて成果となる。成果をどのように社会に伝えていくか。自分たちだけがわかっていてもだめだということがわかった」

とおっしゃっていたのが印象的でした。これからも応援しています!!
テレマーケティングによるファンドレイジング〜草莽塾セミナー「ファンドレイジングにおけるクロスチャネル・マーケティング」より [2015年03月04日(Wed)]
先日開催した、草莽塾NPOマーケティングセミナー(https://blog.canpan.info/hijichomoku/archive/762)でのトークセッションは、ゲストに認定NPO法人国境なき医師団日本 児玉明文様と公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本 佐藤士文様をお迎えし、「ファンドレイジングにおけるクロスチャネル・マーケティング」について、お話いただきました。

NGO/NPOなどのソーシャルセクターのファンドレイジングで、テレマーケティングが費用対効果が高く有効だというお話が、NGOの特性でもあるファンドレイジングへのアグレッシブさと感じ、印象に残っています。

非営利組織というと、一般の人は営業のイメージがあまり無いようですが、実際は、NGO/NPO存在そのものが営業でありマーケティングであると思います。NGOのファンドレイジング(特に寄付)に対する意識の高さは、国内NPOのスタッフも学べる点があるのでは、と思いました。また、ここが草莽塾の面白いところ(多様な方法でファンドレイジングを実践しているNGO/NPOが混在してグループワークをするので、新しい気づきがある)なのだと、改めて感じました。

■テレマーケティング(アウトバウンド)によるファンドレイジング

・リストにもよりますが、基本的に、テレマーケティングによるファンドレイジングは、費用対効果が高いそうです。営利企業のように、リストを買うのではなく、一度来てくれた人など接点のあった人にアプローチすることが有効。

・団体によっては、トークスクリプトをつくり、きめ細かい対応や、相手の心が動いた瞬間を逃さないようにする方法をナレッジとしてためているそうです。かなり、アグレッシブです。

・アップグレードコール(寄付金額のアップ)と退会者コール(退会した方に再度アプローチをする)はROIが高い。

<課題>
・多チャネルを増やせば増やすほど、チャネル毎の連携(訴求ポイントの整合性)が難しくなる。例えば、Webとチラシ広告の訴求ポイントが一致していなければ、寄付者には響かない。

・リソースの問題。社内のリソースでやらないと(業務委託など)、逆にROIが悪くなるリスクがある。


■70兆円の遺贈・相続財産マーケット

遺贈・相続財産寄付マーケットは約70兆円あるそうです。実際に、寄付をしたいという寄付者からのニーズもあるとのこと。社会問題に効果的に活用するためには、対象者にどう戦略的にアプローチし、どのような体制、制度を構築していく必要があるか考えていく必要があります。

以前、教えていただいた情報ですが、平成21年度時点に存在していた認定NPO法人は127団体で、その年は37件(約2.2億円)の相続寄付があったそうです。37件がすべて別の団体に寄付されたとすると、認定NPO法人の30%が相続寄付の実績がある事になります。認定NPO法人を目指すメリットはありそうですね。


■感想

いずれも大事なのは、自団体への取り組みの関心を持っていただいたこと、共感していただいたことに感謝し、その次のステップとしての選択肢の一つが寄付であるということだと思います。寄付でなくても、ボランティアでも、人(ネットワーク)の紹介でも良いと思いますし。テレマーケティングはそういった機会をつくれるので、そこで、いかにNPO/NGO側が、今後に繋がる縁のバリエーションを提供できるかだと思いました。
Meet the Leaders with 本田哲也(ブルーカレント・ジャパン株式会社 代表取締役)『外資系で学んだ、グローバルで「伝わる力」 〜コミュニケーションのプロに聞く!人を惹きつけるコミュニケーションのコツ〜』に参加してきました! [2015年02月16日(Mon)]
13日に、GAISHIKEI Leaders主催のMeet the Leaders with 本田哲也(ブルーカレント・ジャパン株式会社 代表取締役)『外資系で学んだ、グローバルで「伝わる力」 〜コミュニケーションのプロに聞く!人を惹きつけるコミュニケーションのコツ〜』(http://peatix.com/event/65738)に参加してきました

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イベント主催者 NECレノボ・ジャパングループ コンシューマ事業統括 兼 レノボ・ジャパン(株)専務執行役員 兼 NECパーソナルコンピュータ(株) 取締役執行役員常務 留目真伸さんからのご挨拶


本田さんは、広報・戦略PRのプロでもあり、企業内起業家でもある方。日本は、「広告」偏重であり、「広報」に大きなビジネスチャンスがあると考えたそうです。本田さんのお仕事である、空気づくりを通じて売りたい商品やサービスを「世間の関心」につなげるということや、第三者を使ったマーケティングである「インフルエンサー・マーケティング」のお話などをお聞きすることができました。

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ブルーカレント・ジャパン株式会社 代表取締役 本田哲也さんによる講演


※広告と広報の違い
広告:信頼性が高い場合も低い場合もあるが、コントロールがしやすい。媒体を買う。
広報:信頼性は高いが、コントロールがしにくい。媒体を買わない



◆コミュニケーションの仕事の醍醐味【あきらめるのではなく「明らめる」】

よくわからないものに対峙した時はチャンスそれをわかるようにしていくことが価値。
→最初は見えていなかったクライアントが、徐々にわかっていくようになるプロセスに価値がある。

※「あきらめる」の語源
「あきらめる」とは、仏教用語で「真理を明らかにする」「まだ見えてないモノを明らかにする」というのが本来の意味だそうです。コミュニケーションの仕事は、まさにこういうことなのですね。


また、「思い込み」という大きな罠もあるそうで、「自分は何も見えていない」と思うくらいがちょうど良いというお話が印象的でした。


◆日本的なコミュニケーション「戦略的のらりくらり」

日本人は真面目で、すぐに返事をしなくてはならない、と考えているかもしれないが、【意図的に】、的を得ない、のらりくらりをすることは、時にして有効。(うちの大学院の先生にもいるような...)

議論の風向きが変わったり、自分にとって都合の悪い問題が議論から消えてしまうこともある


◆人を動かすためには

「WHO」が「WHAT」になり、別の「WHO」を動かす
人を動かすためには、【「誰が」言っているか】の工夫をすることが重要。
→第三者を使った、インフルエンサー・マーケティング

「世の中ゴト」→「自分ゴト」対「自分ゴト」→「世の中ゴト」
相手によって、使い分けることができているか。

<「世の中ゴト」→「自分ゴト」>
世界や社会全体の動きから話を切り出し、個人の話にもっていく。男性を動かす時に有効な場合が多い。

<「自分ゴト」→「世の中ゴト」>
個人の話を引き出す(「最近どうですか?」)ところから始めて、世の中全体の話につなげる。女性を動かす時に有効な場合が多い。



◆コミュニケーションの秘訣

1. 「メタ思考」の重要性

仕事の話を、多様な人に共通するユニークな例え話(恋愛、映画など)にすることで、一瞬でコミュニケーションが成立する場合がある。

2. 同調圧力が働く中で、最初に何を言うか

他の人が言っている事を言い方を変えて言っても、印象には残らない。「いや、違うんじゃないですか?」と、早い段階で、あえて逆の事を言うと、「こいつの言う事は聞く価値がある」と考えてもらえる場合がある。

3. 自分は何者か(「オレは◯◯」より、「◯◯といばオレ」)

「私は○○です」ではなく「○○といえば私」と言えるようになることが大切。○○を何にするか、どれだけ狭くできるかで差別化できる。

4. 伝えるためには「ニュアンス」を丁寧に

「流暢」<「明確なメッセージ」<「ニュアンス」

流暢であることより「明確なメッセージ」が大切だが、更に大切なのは、「ニュアンス」。例えば、「何かをやりたい」と言った時に、「できればやりたい」のか、「死んでもやりたい」のかで、相手に伝わるかどうか、自分がやりたいことを実現できるかどうかが変わってくる。

5. 敵は「世の中の関心」

消費者にとって一番関心があるのは、企業の業界シェアではなく、その商品やサービスが「自分の生活や時間にどれだけ近いか」。競合を見るのも大事だけれど、消費者を知ることの大切さを改めて考えました。


◆感想

「流暢」<「明確なメッセージ」<「ニュアンス」のお話は、社会問題解決に向けては、とても重要な要素だと思いました。相手に思いを伝える、心を動かすには、言葉が流暢である必要はあまり無いのかもしれません。一方、自分の強い信念やそれに対する覚悟などを伝えたり、その背景にある本当に困っている人の想いやニーズをしっかり代弁できているかなど【明確なメッセージ】はとても重要です。さらに、周りの人に、当事者へ深い共感をしてもらうためにも、また深刻な状況が起きていることに対して憤りを感じてもらうためにも、どれだけ【ニュアンス】をうまく伝えられるかは大切な要素だと思いました。

そして、「敵は世の中の関心」も、まさに同じだと思いました。社会問題に対して【無関心(傍観者)】が一番の敵というか、手ごわい層なのです。無関心層に関心をもってもらうには、競合を敵視しても仕方ありません。一般の人にとっての、自分の生活や時間に合った中で、意識を向けやすいアプローチや、行動に移せる動機を提供することが大事なのだと思いました。

また、その想いが「伝わった」あとに、「行動にうつしてもらう」にはどうしたらいいか、という質問をさせていただきました。

「社会問題解決には、まさに伝える力は重要だと感じている。また、行動に出せるかどうかについては、ソーシャルセクター等は「call to action(行動のきっかけ、行動を誘引するもの)」の選択肢が少ないのではないか。せっかく想いや必要性が市民に伝わっても、すぐに行動にうつしやすい環境がないと人は動かない。それを、どう作っていけるかも大事なのではないか。」

という趣旨のアドバイス(間違っていたらすみません)をいただきました。確かにその通りです!新しい気づきをいただきました。

そして、やっぱり、最後は、伝えることを【あきらめないこと】に尽きると思います。それは、自分の想いをあきらめないだけでなく、自分たちに期待してくれている人の思いを繋げることもそうです。ひとつひとつの小さな想いを繋げることが、ポジティブな循環を生み出していくのだと思います。地道なことですが、地道なことができなかったら、ダイナミックなこともできないと思います。

とても勉強になったイベントでした!また、参加したいです。

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懇親会の様子


「和魂洋才」が変える日本の空気
〜「コミュニケーション技術後進国」としての日本
本田哲也・ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長
http://diamond.jp/articles/-/59962
人はなぜ寄付をするのか?〜これからの寄付の可能性〜 [2014年10月12日(Sun)]
■日本における寄付文化

人はなぜ寄付をするのか?ここを考える前に、先ず、我が国においての個人寄付の状況を振り返ってみたい。2012年の日本の個人寄付総額の推計は、6931億円となり、15歳以上人口の46.7%の人が寄付を行った。従来、30%前後であった寄付者率が4割超と増加傾向にある。

一方、日本には寄付文化がないとも言われるが、本当にそうであろうか。時代を下ってみると、江戸期においては、「町会所」という組織があり、農作物を共同管理したり、金融機能を有したり、貧困者への支援を行うコミュニティ組織も、主要都市や村落に形成されていった。その運営資金の多くは、寄付や会費(定期的な寄付形態)であったと言われていたり、江戸末期においては、多くの寺子屋の運営は町の皆で寄付を出し合っていた。また、明治維新や奇兵隊など、歴史を動かしてきた組織の運営費用も、寄付と深く結びついている。だとすると、日本の文化に寄付は密着していて、歴史も寄付に動かされてきた一面があると言えるのではないだろうか。

日本の社会を変えることに貢献してきた「寄付」。私は、これからの時代はまた、同じようなお金の動き、もしくは少し進化した形での社会を変えるお金の動き=寄付のかたちが出てくるのではないかと感じている。

■寄付文化が根付かなかった背景

では、このような時代背景があったにも関わらず、現在まで、寄付の文化が根付いてこなかったのは、何故か。それは、国家による公共への依存の期間が長かったせいで、寄付の「成功体験(自己効力感)」と「習慣」がなかったことが要因だと思われる。寄付する側も、志や思いがあって、寄付をするはずである。それが、自分が寄付をしたことによって、「何かが変わった」という成功体験(自己効力感)を得られなかったとすると、そこで気持ちや思いが途切れてしまうのではないだろうか。寄付を体験することで、そのお金で、少しでも社会が良くなったという、小さくても何かしらの成功体験が味わえたら、「社会的リターン」を感じ、寄付が「体験」から「日常」へと変わっていくのではないかと考える。つまり、寄付は慈善的なものだけでなく、我々が主体的に未来を選択する「投票」であり、選択を実現する「投資」の要素を多分に含んでいるのである。

■自己肯定感を感じるための寄付

自分を自分で肯定するために、何が大切かというと、他者に与えることなのかもしれない。お金やモノでなくても良い。気持ちや思いやりでも良い。一方、他者に何かを与えるというのは、人によっては、精神的に重いことも多いかもしれない。例えば、笑顔で挨拶、人にやさしくするなど、感情労働が働く場合である。そういった中で、寄付は一番気軽に、他者に与えることが出来る行為なのかもしれない。そこから、笑顔での挨拶など、少しずつ人に与えるハードルを上げていくこともできるのではないだろうか。寄付は自分によるステップアップを見えやすくし、自己肯定感を蓄積できる。それは、自分に自信とパワーを与えてくれるものだと思う。

また、ビジネスの根幹も、本来は「人に与える」ことであるのだと思う。サービス・商品を使ってもらったことにより、生活が便利になった、人生が豊かになった、楽しい気持ちを味わえたなどの効果。その結果、売上が上がる。営利・非営利組織関係なく、人間の本質には、「他者に役に立ちたい」と思う気持ちがあるのではないだろうか。

■まとめ

「人はなぜ寄付をするのか?」。それは、自分が社会・他者にとって大切(必要)な存在だと知ることができるきっかけになるからではないだろうか。しかし、お付き合いの寄付(つり銭型寄付)では、自分が社会・他者にとって大切な存在だと実感できるという効果は半減するであろう。なぜかというと、ぱっと思いついたときに身近で信用できそうなところに寄付をしても、その後の使途や成果にはそれほど大きな関心をもたないという傾向があるからである。やはり、自分で「社会の何かを変えたい」と考え、投資・投票としての寄付(社会変革型寄付)をしたときに、自分自身、そして社会が変わる寄付・お金に変わるのではないかと、私は考える。

では、我々NPOが、今後心がけなくてはならないことは何か。それは、日本においての一般的な感覚「理念として寄付の重要性はわかるけど、ピンとこない」という多くの人が抱いている感覚を変えていくために、「寄付して、自分が(家族、恋人、従業員、友達)幸せになった」「一緒に夢を実現してゆける気がする」という成功体験を積み重ねていけるような取り組みがテーマとなってくるのではないだろうか。「寄付文化がない」と言って話を終わらせてしまうのは簡単であるが、これからは、「多様なセクターおよび個人で、新しい寄付文化を創り上げていく」という考え・視点が大切になってくるのだと思っている。
Meet the Leaders with 20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン 代表取締役社長 土合朋宏氏に参加してきました! 〜外資系企業経営者からNPOが学べること〜 [2014年09月16日(Tue)]
先日、GAISHIKEI LEADERS(http://gaishikei-leaders.com/)主催の、20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン代表取締役社長 兼 マーケティング本部長 土合朋宏さんの講演&勉強会(http://peatix.com/event/46001)に参加してきました。土合さんは、日本コカ・コーラ時代、世界で初めてライフスタイルの調査チームの立ち上げをされ、その後、カナダドライ、ドクターペッパー、アクエリアス、爽健美茶といったブランドの立て直しや日本茶の綾鷹の開発・立ち上げをされてきたそうです。当時のエピソードなど、大変面白い講演でした。

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土合さんのお話を聞いていて、素敵だなと思ったところ。

・周りの評価ではなく、自分が信じるものを徹底的に。あきらめない。
・自分が変わる(行動する)ことで、周りが変わり、成果まで導く。
・応援されるチカラがある(サポーターが多い)


これは、NPOリーダーや社会事業家とも共通する魅力だと思いました。

■テーマ@ 「崖っぷちをどう乗り切るか」

「崖っぷちをどう乗り切るか」というお話は、社会事業家の方から聞くお話と通じているものが多く、興味深かったです。NPOや社会事業家も、社会から受容されていないことに取り組んでいたり、企業が採算性や効率の問題から取り組まないような事業に取り組んでいるという点では「崖っぷち」の状況と似ていると思います。

1. 周りの評価ではなく、自分が信じるものを。
周りの意見に左右されず、自分が信じるものを徹底的にやる。

2. 決定が下るまであきらめない。やめない。

3. 応援してくれる人を少しづつ増やす

土合さんも、最初は1人だったそうです。(負けている人の味方になってくれる人はいない)。でも、あきらめずに努力を重ねることで、自分を応援してくれる人(サポーター)を少しづつ増やしていったとのこと。そのサポーターが今でも、心の支えやモチベーションになっているそうです。

■テーマA 海外の人間と上手に交渉するコツ

ここでのお話は、NPOが企業に提案する際に、企業サイドからよく言われることと似ていることが多かったので、興味深かったです。

1. 論理的に説明する
日本人は、感情的に話す人が多いそうです。確かに、NPOも想いが先走ってしまうことも多いかもと。

2.相手に合わせて、ロジックを変える
・日本人は、前提を省いて説明する人が多い。
・相手の関心に合わせて話しているか。「自分と同じ人間はいない」という前提で話せているか

3. ストーリー立てて、自分の考えをはっきりと伝える

4. 自分のリクエスト(何をして欲しいか)を強く出す

結局、「何をして欲しいのか」が伝えられていない。

5. 意味がぶれない言葉を選び、分かりやすい事例を出す
「共通言語」で議論するために、できる限り多義的な意味を持たない、誰が聞いても同じ意味に解釈できる言葉を選ぶ。考え方がまったく違うという前提に立てば、万国共通の分かりやすい事例を活用するのがよいそうです。言葉がぶれると、理解度も変わり、結果的に結論も異なってくる

■テーマB 結果を出す仕事のやり方

社会的事業は、「そもそもビジネスモデルとして成り立ちづらいけれど、でもとても大事なことなので、なんとか事業化する必要がある」というものだと思うので、成功の確率も低いと思っています。その「成功の率を上げるためには」という視点で、また先行研究の調査や論文を進めるうえでも、参考になるお話でした。

1. 他社の事例など、成功のコアとなったポイント(原理)、エッセンスをためこむ。
自分で経験できることなんて本当に限られているので、他からの成功事例のエッセンスをたくさん自分の中でもっておく。

2. 色々な人の意見をもらう。但し、意見を聞く前に自分の仮説をもっておく
仮説をもつことにより、自分の考えがさまよわない。

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社会事業家100人インタビューの外資系企業バージョンみたいで、とても面白かったです。
そして、土合いさん、素敵な方でした!!社会事業家も外資系企業の経営者も、それぞれ違った魅力がありますね(*^_^*)
NPOマーケティングで社会を変える!『草莽塾』in東京、事務局キックオフでした [2014年08月28日(Thu)]
24日は、NPOマーケティングで社会を変える!『草莽塾』in東京の事務局(2014年度チーム)キックオフでした。

■草莽塾とは

草莽塾(https://www.facebook.com/somojuku)とは、NPOマーケティング研究所(http://www.npomarketing.org/)が主催している、NPOや社会起業家など、公益を目的として活動する非営利団体が、自らの力でマーケティング戦略を策定・実行できるようになることを目的としたマーケティング塾です。

約半年間のプログラムで、ファンドレイジング、サービス・製品の提供拡大、広報力の強化、人的リソースの獲得など、社会を変革するための実践的なマーケティング戦略を学びます。毎回、各団体から2〜3名参加していただくのですが、自団体のマーケティング戦略という実務に直結させながら学べるという点と、異業種のNPO・NGOメンバーがシャッフルされた形式で議論できるという点が面白いと思います。

今年も、多くのNPOからのお申し込みがあり、最終的に6団体に決まりました。去年までとは、ちょっと違うカラーの団体が多いので、楽しみです。

■NPOこそマーケティングが重要

この3年間、自分でNPOの運営に携わっていて、NPOの組織運営=マーケティングであるということを感じています。NPOは、自分たちの周りの個人・団体から共感を得ることで、ボランティアさんに来ていただけるようになったり、寄付・寄贈いただいたり、企業と連携できるようになったりしますよね。

そのためには、こちらから働き掛けていく必要があると思いますが、企業のように戦略的にターゲットに効果的に働きかけができているNPOは少ないと思います。(私の所属するNPO含め)。想いが大きい分、目の前の困っている方々の支援を優先し、戦略は後回しになってしまうことも多いように思えます。

自分たちの活動が「社会に良いことをする」という範囲でやるのであれば、そこまでやらなくてもいいのかもしれませんが、「社会を変える!」という成果に結び付けた活動にするためには、社会を変える計画・そのためのマーケティングは必須だと思います。

とは言っても、日常業務をしながら、じゃあ今日からマーケティング業務をプラスαでできるかというと、結構厳しいというのがあると思うので、草莽塾に入って、やらざるを得ない状況をつくってしまう→習慣化する、というのがオススメです(笑)。そのためには、団体内でしっかりコンセンサスをとる必要もあるので、そのプロセスも組織強化につながるのではと思います。

■地域(総働)のマーケティング

また、最近思うのが、これからは、「個々のNPOが評価される時代」から「地域の中のコンソーシアム(総働)が評価される時代」になるのではないかと思っています。

その中で、地域(総働)のマーケティングというものに、個人的に関心があります。その「地域の考え方」をどうやって外部の人に伝え、共感してもらうのか。その中での、NPOのマーケティング、情報発信、寄付の手法はどうやっていったらいいのか。そんな視点を持ちながら、この半年間、一緒に取り組んでいきたいと思っています。

■塾長の長浜洋二さん

最後に、私が草莽塾に入るきっかけとなったのは、塾長長浜さんに普段からお世話になっているからです。草莽塾は今年で3年目ですが、私は、1年目から最終報告会のお手伝いをさせていただいており、今年は正式な事務局メンバーとして加わらせていただくことになりました。(ちなみに、事務局長の高島さんは、立教大学院 21世紀社会デザイン研究科の3期生です。)

長浜さんは、仕事に対しての姿勢・お人柄的とも、とても素晴らしい方です。本業は富士通にてパソコンやスマートフォンのパーソナル・デバイスに関わるマーケティングのお仕事をされており、まさに、スーパー・パラレルキャリア!営利企業としての目線とNPOの立場としての目線と両方をお持ちなので、とても勉強になることが多いです。


新しい社会貢献のカタチ「アメリカ留学で得た「NPO×マーケティング」という自分のテーマ。NPOを成果が出せる組織へサポートし、日本を良くしたい」長浜洋二さん

http://monju.in/special/20/

マーケティングの勉強だけでなく、長浜さんと一緒に活動できることも、この半年間の楽しみのひとつです!草莽塾の事務局メンバーのみなさん、受講団体のみなさん、これから半年、よろしくお願いいたします<(_ _)>

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NPOは指揮者に依存しない『雅楽型組織』 〜コミュニティ・オーガナイジングがNPOの可能性を広げる〜 [2014年01月17日(Fri)]
■NPOは指揮者に依存しない『雅楽型組織』

以前、知人が「NPOって雅楽型組織なんだね。」と言っていたことがありました。「雅楽型組織ってどういうことですか?」と尋ねると、「オーケストラは指揮者がいるでしょ?雅楽は指揮者がいないよね。指揮者が指示を出して動かすのではなく、メンバーが自分で状況を見て、必要な動きを、必要なタイミングでするってことだよ。こういうメンバーのリーダーシップって、すごいことだよ。」ということをお話されていました。

確かに、私が所属している団体の一つ「NPO法人 Gifter LABO」も、2年半前に代表山崎のビジョンに魅かれ、ばらばらに集まってきた社会人のメンバーが、自然と自分の役割を見つけ、今ではそれぞれが団体内の専門家になっています。性格、職業、年齢も全く違ったメンバーで構成されており、それぞれが個性を発揮しながらも、全体としては、同じビジョンに向かって動いており、一つにまとまっています。

雅楽の話に戻りますが、雅楽で使われる楽器はそれぞれが個性の強い楽器で、一つにまとめて演奏するには、個性を活かせるよう心がけると同時に、極端に主張しないよう「和」も大切にしないといけないようです。しかも「指揮者がいない」状況で、です。

指揮者がいない分、それぞれが、自分の音だけではなく他人の音と全体のバランスを気にし、他人の音に対しても真剣になり、それによって「和」を実現する事ができる。

これは、プロフェッショナルなNPOの組織と似ているなと思いました。代表の指示のもと動くのではなく、メンバー1人ひとりがプロフェッショナルであり、団体のミッションを実現するために、自分がリーダーシップをとるだけでなく、メンバーの個性・価値観を尊重し統制のとれた組織を作り上げていく。

■コミュニティ・オーガナイジングがNPOの可能性を広げる

そんなことを思っていたときに、欧米のNPOを中心に活用されているコミュニティ・オーガナイジングという言葉を知りました。

コミュニティ・オーガナイジングとは、ハーバード大学のマーシャル・ガンツ博士が、「(カリスマ性のある限られた人ではなく)一人ひとりがリーダーシップを発揮し、組織を形成し牽引していくための手法」を学問的に系統立てたものだそうです。また、コミュニティーオーガナイザーという職業は全米に広まっていて、多くのNPOが活動に取り入れているとのこと。

ガンツ博士はどんな方かというと、オバマ大統領の選挙参謀として、本手法を用い、普段投票に行かない若者や黒人層を動かし、初の黒人大統領を生み出した変革者だと紹介されていました。

「リーダーシップというと、カリスマ性のある限られた人にだけ与えられた特別なものと思われがちだ。しかし、リーダーシップは学ぶことができる。コミュニティ・オーガナイジングでは、誰もがリーダーであると考える。ただし、リーダーシップを学ぶためには、行動を起こし、何度も失敗しながら挑戦することが必要である。

変化や変革が生まれる時に創造的なリーダーシップが必要だ。リーダーは常に学習者であるべきであり、"自分たちの資源"をどのように変化に変えていくのかを考え、最終的に"コミュニティの資源"に変えていくことが重要である」(マーシャル・ガンツ博士)


■リーダー不在の組織を目指して

今、立ち上げ準備をしている「ENPOWER(NPO法人申請中)」も、メンバー全員が共同代表という、リーダーレスな新しい組織を目指しています。リーダーがいないということは、全員がリーダーであるという意味でもあります。

ビジネスパーソンが、それぞれが持っているプロフェッショナルな職業スキルを活用し、それぞれがリーダーシップを発揮して、社会変革を目指していこうというビジョンをもっています。また、一般企業で公私とも忙しく働いているビジネスパーソンが、

【Story of SELF】
なぜ自分が行動しようと思ったのか(リーダーシップを発揮する)
【Story of US】
それが行動していない人とどう繋がるのか(共有する価値と経験)
【Story of NOW】
なぜ今行動するのか(戦略とアクション)

というストーリーを発信することにより、社会貢献に関心がないビジネスパーソンの心を動かそうというのも活動目的の一つです。

ガンツ博士も言っていますが、リーダーシップを学ぶことは簡単ではなく、とりわけ、社会変革がテーマになると、巻き込む人はより多様になりますし、ハードルも高くなります。

しかし、ここにチャレンジしてみようと思ったメンバーとの出逢いや、時代の追い風、そして、最近出逢う若者の志の高さや意欲など、これは「Story of NOW」であることを日々確信しつつ、私も周りを巻き込んでいけるようなチカラを身につけていきたいと思いました。

参考記事:
シリーズ未来をひらく2 “物語”の力が社会を変える
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3448.html

「コミュニティ・オーガナイジング」を通じて、一人ひとりが社会変革の主役となるには 〜マーシャル・ガンツ博士 特別講義
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38021?page=2
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