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立教大学院 ソーシャルデザイン・オープンゼミ「忘れられる権利と忘れられない権利」 [2015年08月31日(Mon)]
立教大学院 21世紀社会デザイン研究科 主催 ソーシャル・オープンゼミ「ソーシャルデザインの研究テーマを発見する〜素朴な疑問と違和感から〜」。8月26日のゲストは、ヤフー株式会社執行役員社長室長別所さんによる、「忘れられる権利と忘れられない権利」。ヤフーが検索情報削除の基準を公表した背景や業界の課題等について。

感想は2点。
1つ目は、人間は完璧なものではなく、思いもよらないことが、大きな失敗になってしまうこともあるが、インターネットが普及した今の社会では、それが、なかなか忘れてもらえない仕組みになっている。検索エンジン会社として、どこまで判断できるものなのかは難しいけれど(人の想いをどう扱うか)、そこに問題提起したことに業界を代表する企業としての誇りや存在意義を感じた。

2つ目は、SNSを中心とした情報発信の教育を子どもの頃からすべきではないかということ。SNSの注意点だけでなく、LINE、Twitterなど、短い文章でのコミュニケーションが生活の一部になっている時代においての、短い文章でのコミュニケーションのお作法は知っておく必要がある。短文のコミュニケーションは大人でもむつかしく、意図がちゃんと伝わらないためにトラブルになるケースも多い。また、対面では言えないことも書けてしまう残酷さなどもある。作文とは違った視点・文章力が必要になる。

この日は、NHKのディレクターの方も受講生として参加してくださり、「忘れられない権利」として、戦争や被災地などの記憶をどう繋げていくかというお話などもありました。NHKで良い映像を作って公開してもなかなか見てもらえないが、ヤフーとリンクした途端、アクセス数が急増したそうです。確かに、普段NHKのHPを見に行く人は少ないでしょうが、ヤフーは毎日見ます。日常の生活の中で、便利で見ているサイトだからこそ、社会的な影響力も高いんですね。やはり、企業の力は大きいです。

写真は左が講師の別所さん、右がコーディネーターの立教大学院 21世紀社会デザイン研究科 長坂俊成教授。

別所さん.jpg
立教大学院 ソーシャルデザイン・オープンゼミ「復興とソーシャルデザイン〜石巻の水産業の人材支援〜」 [2015年08月31日(Mon)]
立教大学院 21世紀社会デザイン研究科 主催 ソーシャル・オープンゼミ「ソーシャルデザインの研究テーマを発見する〜素朴な疑問と違和感から〜」。8月27日のゲストは、ヤフー株式会社 復興支援室 復興デパートメント担当マネージャー 長谷川琢也さんと、石巻の漁師で一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン 共同代表理事の阿部勝太さんによる講演。

■フィッシャーマンズプロジェクト

フィッシャーマンズプロジェクト(http://fishermanjapan.com/#/top)は、漁業を世界で再びたたかえる産業にしようと立ち上がった20代の漁師さん達と、ITの力でビジネスモデルをサポートするために一緒に立ち上がったヤフーの取り組み。「真にカッコよくて稼げるフィッシャーマン」になり、これからの若者世代が憧れる水産業をデザインしていくという画期的な取メッセージ。

ヤフーでは、2012年に経営陣が変わったことをきっかけに、「課題解決エンジン」という【世の中の問題を解決するサービス】を提供しよういう取り組みを開始。その中で東北の課題を解決する部署を立ち上げたそうです。そこで、石巻に支社をつくり、長谷川さんが出向というかたちで家族で移住し、現地でこのプロジェクトを立ち上げたとのこと。

■日本の漁業の課題

日本の漁業は、比較的最近まで世界一だったんですね(平成に入るくらいまでの生産量)。そこから、右肩下がり。世界では、漁業は右肩上がりなのに、日本ではどんどん魚を食べなくなってきている。一方、日本人の気持ちとしては、「魚食を増やしたい」「母親が子供に食べさせたい食材」「国産品だったら割高でも買う」という、日本人がDNAとして、本当は魚を食べたいという気持ちを持っている人が多いという調査結果も出ているそうです。

一方、日本の漁業の課題は様々ですが、一番危機的だと思われるのが、日本の漁業者数(漁師)が、この20年間に約半分になっており、さらに20代の漁師が3〜4%しかいないという現実。この背景には、「稼げない」「きつい(労働時間が長く、休みがない)」という問題があります。そこで、阿部さんは、震災を機に会社を立ち上げ、今までの漁師の世界では考えられない「固定給制度」「シフト制」の導入に挑戦。また、「漁師」という職業に限定せず、「石巻」という地域にも限定せず、シーズンオフの時期に、東北で人手不足の地域のヘルプ、水産業の他の仕事とのマッチングなどを行っています(漁師以外の仕事ができるようにスキル育成)。また、当初は、長時間働くことが美徳のようになっている漁業の世界にいる父親たちからの大反発があったようですが、このやり方では若者は漁師になりたがらないと、変革を実現。今は、ご両親もシフト休に合わせて温泉旅行など楽しまれているそうです。そこには、ご両親世代の「きついと言いたくない」というプライドと潜在的な声がきっと奥にあったんだろうとおっしゃっていました。

■ITの力で100%直販に

また、ヤフーのITのチカラで、今は100%直販となり、価格決定権を自分たちで持てるようになったということと、消費者の声を直接聞けるようになったことで、ブレがなくなってきたとのこと。何よりも、価格決定権をもてたことにより、精神的に楽にあったそうです。(それまでは、価格の不安定さと自然の不安定さとダブルのリスクがあった)

本当に、素晴らしい取り組みで感動しました!想いだけじゃなく、リアリティもあり、日本の漁業が本当に変わるんじゃないかって、ワクワク感をもらいました。これからも、応援させていただきます。

写真は、左から長谷川さん、阿部さん、コーディネーターの長坂教授。

フィッシャーマン.jpg
不祥事が起きる企業側の問題「社員に対する遠慮」〜性善説は真の問題を隠す〜 [2015年05月06日(Wed)]
昨日の企業のリスクマネジメントの授業から。

■気づかないうちに「お客様<社員」という価値観が優先されている

不祥事が起きる、企業側の問題のひとつに「社員に対する遠慮:お客様<社員」という無意識の構図があるそうです。自分たちでは気づいていないけれど、知らず知らずのうちに、社員の価値観が優先されて意志決定がされていることが少なくないとのこと。

特に、日本企業にありがちのようですが、社員や雇用を大事にする日本企業の特性が裏目として出てしまったり、過去の貸し借りの関係、先輩後輩の関係が、言うべきことを言えなくさせることもあるようです。

性善説を訴える企業もあるそうですが、性善説はあとづけの言い訳であって、これも社員に対する遠慮のケースが多く、結果的に、性善説を前面に出すことで、真の問題を隠ぺいしてしまっているそうです。それが、将来の不祥事につながるリスクとなる。

一方、「お客様>社員」の行き過ぎた例が、コンビニ店員の土下座事件。土下座強要は、脅迫罪にあたるので、会社としては拒否する責務があるため、このようなケースでは、会社は社員を守らないといけないんですね。

■感想

社員に対する遠慮(貸し借りや先輩後輩の関係含め)が、企業としての何かしらの判断に影響を与えているのであれば、企業としてあってはならないことだと思うのですが、一方、その価値観はとても手強いようにも思え、一度根付いてしまったら、そこから脱却するのはなかなかむつかしいように思えます。コンプライアンス以前に、普段の仕事のやり方からの見直しとも言えると思うので。

ここに、本気で切り込めるかどうかでしょうか。
また、社員にとっても、このような環境で仕事がしやすいという状況は危機的だと思うので、
ここに切り込むことは、中長期的に考えれば、間違いなく社員にとってもよい結果につながるのではと思います。

戦略的CSR(CSV)が、企業内社会起業家を育てる 〜企業内社会起業家(ソーシャル・イントラプレナー)という働き方〜 [2014年01月01日(Wed)]
「NPOに就職するのではなく、企業の中でソーシャルビジネスを立ち上げた方が、社会全体への影響が大きいこともある」

最近注目されている、ビジネスパーソンのNPOへの転職の流れについて思うことの一つ。「社会問題を解決する仕事」の選択肢っていろいろあるんですよね。

@NPO等のソーシャルセクターを起業する(社外社会起業家/ソーシャル・アントレプレナー)
A企業の中でソーシャルビジネスを立ち上げる(企業内社会起業家/ソーシャル・イントラプレナー)
B職業スキルを活かしてNPOなどのソーシャルセクターに協力する(プロボノ)

など、社会貢献のかたちは今後、どんどん多様になってくると思います。

企業内でソーシャルビジネスを立ち上げるって、フロンティア精神だけでなく、社外とのネットワークも必要だったり、関心が無い社員を説得しないといけないため、社外でNPOを立ち上げるよりも、立ち上げまでのプロセスがハードかもしれません。一方、立ち上がったあとの拡大の可能性、ソーシャルインパクトという点で考えると、やっぱり企業がもっているリソース(人・物・金)って、中小企業であってもすごいと思うんです。

自分のアクションの社会的インパクトの最大化を考えるのだったら、会社を辞めるのではなく、「会社を変えることで社会を変える」ことを目標とし、企業内でソーシャルビジネスを立ち上げ、社外の魅力的なNPO・社外社会起業家とパートナーを組んだ方が、社会全体の影響は大きくなることもあるのではないかなと思いました。

また、社内でソーシャルビジネスを立ち上げるということは、まさに、企業が本業を通じて社会貢献を行う(CSR/CSV)ということであり、社内で社会起業家を育成するということでもありますよね。組織に属しながらも、社会とのつながりを強め、大きな志をもって仕事に取り組む「企業内社会起業家の育成」は、未来の経営を担うリーダーの育成でもあると思います。

ソーシャルビジネス・企業内社会起業家育成というのは、なかなか競合が真似できることではないので、企業としてはより持続可能な競争上のポジションをつくるきっかけにもなります。

もちろん、原体験や志からNPOへ転職したいという気持ちは大切だと思いますし、社会を変える為の思い切ったアクションや、目の前の困っている人の人生を変える、という現場支援となると、企業内ではむつかしいと思うので、ちょっと考え方を変えてみるという意味です。

個人的には、今後、日本の社会変革の担い手として、企業の中から社会変革を起こす企業内社会起業家(ソーシャル・イントラプレナー)が、大きな役割を果たすであろうと感じています。