先日、立教大学院 21世紀社会デザイン研究科でお世話になっている先生が支援されている、ある地域の協議会(13の自治会のコミュニティ)との打ち合わせに同席させていただきました。この日の議題は、地域防災、eコミュニティプラットフォーム(
http://ecom-plat.jp/)を活用した地区防災計画策定。
私は、地域の場の打ち合わせに参加すること自体で初めてであり、少し緊張して参加しましたが、多くの気づきをいただきましたので、忘れないうちにまとめておこうと。
こちらの地域は、協議会 会長の方が、リード役としてご活躍されているようでした。この1年間、先生たちからの防災の研修やサポートなどを受けていて、このタイミングで、具体的に地区防災計画の素案を作成して、市町村会議に対して提案(計画提案)を行っていこうというお話でした。(多分・・)。その打ち合わせの中での気づき。
◆防災というプロセスを通じて、地域住民が知り合ったり、支え合う文化をつくる◆・時間はかかっても、「地域の共通認識」をつくっていきたいという思い
・ゆっくり時間をかけて「骨太」な地域に。
■議論@:住民も多様化しているので、地域住民に共通することを見つけることが難しい・
地域プロデューサーが、意図的にデザインしていく必要がある
・防災ではなく、別の切り口・インセンティブをつくることも検討。
(例)楽しいイベントで集客したあとに、イベント後の後付けをしっかり行っていく。名簿作成の協力のお願い、簡単な申し合わせなど。
こういった地道な積み重ねをしていって信頼関係を構築していかないと、結局表面的な約束にしかならないため、「やると言ってやらない」という状況になる。
※昔は、多世代で同じテレビ番組を見ていたので、共通言語があったというお話は興味深かったです。
■議論A:そのプロセスを、いかに普段の生活に取り入れることができるか・震災など「何かあった時」に、
自然と体が動くことが大事。マニュアルを作ることが目的ではない。
そのためには、いかに普段の生活に取り入れることができるか、が課題。
・「何かあった時」に、一気に団結できるように。コトが無い時に、どう人をまとめるか。平時にどう人をまとめるかが難しい。
■議論B:シニアのつぶやきで終わらせるのではなく、子どもまで巻き込んでいく。・eコミを使った多世代ディスカッション。
子どもが大人に意見したり、一緒に社会経験をすることは「心の安全」につながる。
・子ども目線の防災計画。子どもが自ら考える。
・会議参加メンバーが運営しているPC寺子屋で、eコミを使った試みを開始予定
・地域全体の日々の生活が変わることが「防犯」にもつながる
■議論C:防災訓練が地域の個性を知るきっかけとなる・複数の町内会が集まり、町内会ごとに炊き出しを実施(新潟県柏崎市の事例)
→町内会によって、属性、やり方などの'個性'があり、その共有の場となる。
→ある町内会では、とても美味しいミネストローネを作っているおじいさんがいた。
その地域に住んでいる人の得意なこと、好きなことを知るきっかけとなった。
■議論D:町内会・自治会の自己財源比率を増やしていく。色々な可能性を描いていく「計画」を。・今は、イベント単位で補助金を申請しているが、今後は
「事業」という視点を入れていくことを提案
・新潟県柏崎市の事例
1. 補助金を、町内会・自治会がやりたい内容で提案し、お金を取りにいっている
2. 貧困家庭の学生のサポートのために、イベント販売など単発の事業を行い、寄付をしている。
・カリスマではなく、誰にでも出来ることが大事。
■TOWNTIPまた、この地域では、TOWNTIP(
http://towntip.jp/tsurugashima/sns/index2.php)を活用しているそうです。TOWNTIPは、「新しい公共」の創造に向けて、地域が共感・共鳴・協働する「まちづくり」を推進するためのテーマ特化型のSNSだとのこと。また、寄附やまちづくりイベントなどの活動参加すると、まちづくりポイントが発行され、経験値となり、将来的には、地域通貨や公共施設サービス利用ができたり、ポイントで地域活動に投票したりすることができるようになるそうです。
◆NPO法人 Gifter LABOの活動とのつながり◆打ち合わせメンバーの中に、子どものことを真剣に考えている方がいらっしゃったのですが、「先ずは、子どもになんでも好きにやっていいよと、フリーの環境をつくってあげる。フリーでやったあとに、やってはいけないことを決めるという方法が良いのではないか」というお話をされていたのが、印象的でした。
確かに、今の子どもたちにとって、フリーに遊べたり行動できたりする場って、少ないんだろうなと。私も発達障害をもった子どもの好きなことを伸ばすという取り組みをしているので、とても共感しました。
その方は、コンピュータソフト開発のお仕事をされているようですが、現在はお仕事のほかにボランティアで、中学校総合文化部の活動補助(マイコンを使って物つくり)や、小学生への『PC寺子屋』運営などをされているそうです。まさに、Gifter LABOのギフター(ボランティア先生)にぴったりの方なのですよね。こういう方って、きっと地域にいるんだろうなって。それも、防災というプロセス(地域づくり)の中で、自然と見つけていけるのではないかなと感じました。
今までは、自分たちNPOが、ソーシャルビジネス(お仕事体験プログラム)を通じて、子どもの支援をするというやり方を考えていましたが、やっぱりテーマ別のNPO単体ですと、対象も絞られますし、一時的な支援になってしまうケースが少なくありません。また、子どもにとっても、団体に合う合わないもあると思います。
それだったら
、「地域を良くする」という目標のもと、私たちのような発達障害児や不登校児を支援している専門性のあるNPOの役割はどうあるべきかとか、そもそも、内容によっては、NPOではなく、地域がソーシャルビジネス(事業)をやるという考えの方が良いのではないか、と考えるようになりました。子どもたちも、決められたNPOに行くのではなく、複数の町内会等の取り組みから、自分の好きな団体や活動を選べて、好きなときに好きなことができる、というやり方の方が自然なんじゃないかなと。
わざわざ、私たち
が新規にNPOというアソシエーション(組織)をつくるのではなく、もとからあるコミュニティ(地域)の中にいる素敵な人・社会的資源を活かしていく、足元にあるものを少し進化させたかたちに変えていく、という取り組みに、関心が変わってきました。
でも、まだまだ知らないことだらけなので、もっと情報・経験知が欲しいです。
これからも、このような場に、参加させていただきたいと思います。