路上で生活されていた元当事者の方からお話〜自分から路上に出たくて出てる人なんて、一人もいない〜 [2015年02月23日(Mon)]
先日、路上で生活されていた元当事者の方からお話をお聞きする機会がありました。
家族の介護をきっかけに会社を退職したことがきっかけで路上で生活をせざるを得ない状況になり、そこから生活保護を利用し、今は路上生活者支援をしながらお仕事をされているという方でした。そのお話の中から、気づいたことを書きたいと思います。 ・路上で生活しているとき一番つらかったのは、「誰とも話せないこと」。隣にいる路上生活者とも口をきくことはない。(自分のことは話したくない) ・「路上で生活されている方に、一般の個人(市民)にできることはありますか?」 →「こんにちは!」と言ってくれるだけでいいんだよ。 ・「ホームレス」ではなく「自分の名前」がある 自分たちには名前がある。ホームレスとは家が無いという状態のことを指す。「(名前以外で)こう呼ばれたいというのはありましたか?」→「路上で生活している方かな」※昔は「日雇い労働者」と呼ばれたいという声が多かったそうです。 ・自分から路上に出たくて出てる人なんて、一人もいない。 ・「支援」という言葉は好きじゃない 「支援する」と言われた時点で差別を感じる。「応援」「お手伝い」という言葉の方がいい。 ・「生活保護」を受けている人の半分くらいは精神を病んでしまう 「生活保護を受ければ食料と住居は安心できると思うが、そのような中でな ぜ病んでしまうのか。」→「人との繋がりがない。毎日、自宅とハローワークの往復で仕事も見つからない。また、生活保護を受けていることや働いていないことを人(友達)に言えないため、社会から孤立する。この前も、そのような孤立した環境の中、自ら食べることを拒否してしまった人が、餓死していた。このような、ゆるやかな自死が増えている。生活保護を受け始めて2〜3年目が危険。」 ・「生活保護を受けていることについてバッシングをする人はどんな人か?」 →生活保護を受けるまでにはいかない、ぎりぎりのところで頑張っている人。お金をもっている人は、そもそも関心すらない。 ・生活保護を申請するときに、自分の人生の年表を細かく聞かれる。それに耐えられず生活保護を受けることを断念する人も少なくない。 また、ちょっと笑ってしまったので、支援者が男性だと疑って逃げていたのが、女性3人で自分のところ来た時にはついていってしまったというお話でした(笑) 私は、路上生活から生活保護につながれば、少しづつ生活が再建できていくものかと思っていました。でも、実際は、そこからもとてもつらい環境なのですね。生活保護を利用していることに対しての差別や偏見もあるため、それを隠したり嘘をつくことで、どんどん社会の繋がりから孤立していってしまう。生活保護を利用している人が、自分を隠すことなく生活できるようになるためには、どうしたら良いのか。きっと、利用者のおかれている(おかれていた)状況を知ってもらうことであったり、利用者の一日の生活を想像してもらえるようになることが、第一歩なのかなと思いました。 |