• もっと見る
«「企業と比べたときの、NPOの強みって何だろう?」 | Main | NPOリーダーが次世代に伝えたいこと。 〜NPOリーダーに求められること。次世代を担う学生との関わり方〜»
NPOは指揮者に依存しない『雅楽型組織』 〜コミュニティ・オーガナイジングがNPOの可能性を広げる〜 [2014年01月17日(Fri)]
■NPOは指揮者に依存しない『雅楽型組織』

以前、知人が「NPOって雅楽型組織なんだね。」と言っていたことがありました。「雅楽型組織ってどういうことですか?」と尋ねると、「オーケストラは指揮者がいるでしょ?雅楽は指揮者がいないよね。指揮者が指示を出して動かすのではなく、メンバーが自分で状況を見て、必要な動きを、必要なタイミングでするってことだよ。こういうメンバーのリーダーシップって、すごいことだよ。」ということをお話されていました。

確かに、私が所属している団体の一つ「NPO法人 Gifter LABO」も、2年半前に代表山崎のビジョンに魅かれ、ばらばらに集まってきた社会人のメンバーが、自然と自分の役割を見つけ、今ではそれぞれが団体内の専門家になっています。性格、職業、年齢も全く違ったメンバーで構成されており、それぞれが個性を発揮しながらも、全体としては、同じビジョンに向かって動いており、一つにまとまっています。

雅楽の話に戻りますが、雅楽で使われる楽器はそれぞれが個性の強い楽器で、一つにまとめて演奏するには、個性を活かせるよう心がけると同時に、極端に主張しないよう「和」も大切にしないといけないようです。しかも「指揮者がいない」状況で、です。

指揮者がいない分、それぞれが、自分の音だけではなく他人の音と全体のバランスを気にし、他人の音に対しても真剣になり、それによって「和」を実現する事ができる。

これは、プロフェッショナルなNPOの組織と似ているなと思いました。代表の指示のもと動くのではなく、メンバー1人ひとりがプロフェッショナルであり、団体のミッションを実現するために、自分がリーダーシップをとるだけでなく、メンバーの個性・価値観を尊重し統制のとれた組織を作り上げていく。

■コミュニティ・オーガナイジングがNPOの可能性を広げる

そんなことを思っていたときに、欧米のNPOを中心に活用されているコミュニティ・オーガナイジングという言葉を知りました。

コミュニティ・オーガナイジングとは、ハーバード大学のマーシャル・ガンツ博士が、「(カリスマ性のある限られた人ではなく)一人ひとりがリーダーシップを発揮し、組織を形成し牽引していくための手法」を学問的に系統立てたものだそうです。また、コミュニティーオーガナイザーという職業は全米に広まっていて、多くのNPOが活動に取り入れているとのこと。

ガンツ博士はどんな方かというと、オバマ大統領の選挙参謀として、本手法を用い、普段投票に行かない若者や黒人層を動かし、初の黒人大統領を生み出した変革者だと紹介されていました。

「リーダーシップというと、カリスマ性のある限られた人にだけ与えられた特別なものと思われがちだ。しかし、リーダーシップは学ぶことができる。コミュニティ・オーガナイジングでは、誰もがリーダーであると考える。ただし、リーダーシップを学ぶためには、行動を起こし、何度も失敗しながら挑戦することが必要である。

変化や変革が生まれる時に創造的なリーダーシップが必要だ。リーダーは常に学習者であるべきであり、"自分たちの資源"をどのように変化に変えていくのかを考え、最終的に"コミュニティの資源"に変えていくことが重要である」(マーシャル・ガンツ博士)


■リーダー不在の組織を目指して

今、立ち上げ準備をしている「ENPOWER(NPO法人申請中)」も、メンバー全員が共同代表という、リーダーレスな新しい組織を目指しています。リーダーがいないということは、全員がリーダーであるという意味でもあります。

ビジネスパーソンが、それぞれが持っているプロフェッショナルな職業スキルを活用し、それぞれがリーダーシップを発揮して、社会変革を目指していこうというビジョンをもっています。また、一般企業で公私とも忙しく働いているビジネスパーソンが、

【Story of SELF】
なぜ自分が行動しようと思ったのか(リーダーシップを発揮する)
【Story of US】
それが行動していない人とどう繋がるのか(共有する価値と経験)
【Story of NOW】
なぜ今行動するのか(戦略とアクション)

というストーリーを発信することにより、社会貢献に関心がないビジネスパーソンの心を動かそうというのも活動目的の一つです。

ガンツ博士も言っていますが、リーダーシップを学ぶことは簡単ではなく、とりわけ、社会変革がテーマになると、巻き込む人はより多様になりますし、ハードルも高くなります。

しかし、ここにチャレンジしてみようと思ったメンバーとの出逢いや、時代の追い風、そして、最近出逢う若者の志の高さや意欲など、これは「Story of NOW」であることを日々確信しつつ、私も周りを巻き込んでいけるようなチカラを身につけていきたいと思いました。

参考記事:
シリーズ未来をひらく2 “物語”の力が社会を変える
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3448.html

「コミュニティ・オーガナイジング」を通じて、一人ひとりが社会変革の主役となるには 〜マーシャル・ガンツ博士 特別講義
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38021?page=2
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました

コメントする
コメント